四半期報告書-第36期第1四半期(平成31年2月1日-平成31年4月30日)

【提出】
2019/06/06 15:25
【資料】
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【項目】
27項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年2月1日~4月30日)の当社グループを取りまく環境としましては、国内経済におきましては、個人消費が減速しつつも緩やかに伸びる一方、海外景気の減速に伴い輸出が弱含みとなり景気全体としては概ね横ばいで推移いたしました。世界経済におきましては、米国経済は底堅さを維持する一方、ユーロ圏及び中国等では停滞・景気下振れ傾向が継続し、新興国経済も主要国の景気動向の影響を受け緩やかな減速傾向にあります。
当社グループの属する情報通信産業分野においては、センシング技術、通信技術やAI関連技術等の発展やそれらの利活用コストの低減を背景に、IoT(Internet of Things)関連市場やそれを支える5G通信技術が急速に成長しつつあります。当社グループは、これらの市場環境と自社の技術的優位性・事業経験を最大限に活用して中期的に大きな事業成長を実現すべく、製品開発投資・戦略投資を加速・積極化しております。
当第1四半期連結累計期間においては、前年同四半期と比較して、前連結会計年度に買収したNorthforge Innovations Inc.の連結開始等の増収要因があった一方、一部案件の獲得遅れ等の減収要因が生じております。また、上記Northforge Innovations Inc.の買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却費が発生したほか、製品開発投資の強化に伴う減価償却費や事業拡大に向けた営業・管理体制強化等の費用が増加しております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における連結業績は、売上高15億85百万円(前年同四半期比2.1%減)、営業損失5億6百万円(前第1四半期連結累計期間は営業損失1億66百万円)、経常損失5億19百万円(前第1四半期連結累計期間は経常損失1億64百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失5億43百万円(前第1四半期連結累計期間は親会社株主に帰属する四半期純損失1億70百万円)となりました。
セグメント別の取り組みは以下の通りです。
○ 国内事業
センシング技術・通信技術・クラウド技術等を活用した各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、並びに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS™」の提供を行うほか、国内子会社ACCESS Worksにおいて組み込みソフトウェア開発の強化に取り組んでおります。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTゲートウェイ機器向けエッジコンピューティングエンジン、AI機能を搭載したIoTカメラ、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、当社はセンサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までをワンストップで提供できる数少ないベンダーとして、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに車両制御や交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車内インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、売上高については前年同四半期と概ね同水準で推移しましたが、セグメント利益については、製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加や事業拡大に向けた営業・管理体制強化等の投資が先行し、減益となりました。
国内事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高1,072百万円1,016百万円△5.2%
セグメント損益15百万円△179百万円

○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズの拡販に努めております。特に、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向けを注力分野として、高付加価値なサービスプラットフォームを提供しストック収益基盤を構築する方針です。2019年4月5日付「ドイツNetRange MMH GmbH社の持分取得に関するお知らせ」の通り、同社を子会社することで当社製品の高度化及び効率化、並びにTV向けサービスとのシームレスな統合による事業加速を図るほか、当社製品の車載向けサービスとしての公的認定の取得やセキュリティの強化等に取り組んでおります。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、一部案件の獲得遅れにより売上高については前年同四半期比で減収となり、セグメント利益はほぼ横ばいで推移いたしました。
海外事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高188百万円119百万円△36.9%
セグメント損益△55百万円△55百万円

○ ネットワークソフトウェア事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、新規分野として、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、米国を中心に近年急速に市場が拡大しつつあります。
本事業は通信キャリアによる「OcNOS®」の直接採用を中長期的な事業戦略に掲げており、その実現に向け、現在は多様な半導体チップセットへの対応・機能拡張等の製品開発投資や30社を超える通信キャリア等の事業者との技術検証・実証実験に注力しております。また、データセンター向けには高機能・高品質を差別化要素としてシェア獲得を図っており、さくらインターネット株式会社のデータセンター・サービス向けに提供する等の実績を収めております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、前連結会計年度にNorthforge Innovations Inc.を買収したことにより売上高が増加した一方、同買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却費の発生や「OcNOS®」開発投資の強化に伴う減価償却費の増加によりセグメント損益は前年同四半期比で減益となりました。
ネットワークソフトウェア事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高358百万円449百万円25.5%
セグメント損益△128百万円△269百万円

以上の結果、当第1四半期連結累計期間における連結業績は、売上高15億85百万円(前年同四半期比2.1%減)、経常損失5億19百万円(前第1四半期連結累計期間は経常損失1億64百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失5億43百万円(前第1四半期連結累計期間は親会社株主に帰属する四半期純損失1億70百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ5億5百万円減少して311億83百万円となりました。
負債は、前受金の増加及びIFRS第16号適用による累積的影響を当第1四半期連結会計期間より認識したこと等により、前連結会計年度末に比べ1億66百万円増加して20億96百万円となりました。
純資産は、配当金の支払い及び親会社株主に帰属する四半期純損失5億43百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ6億71百万円減少して290億86百万円となりました。
なお、当社グループの資金需要として、事業活動の遂行に係る運転資金需要に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策の遂行に係る投資資金需要を想定しておりますが、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は226億32百万円であることから、十分な流動性を確保しており、資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって対応可能な状況であると認識しております。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は30百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。前連結会計年度末との比較では、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが28億31百万円から33億92百万円に増加しており、その主な内容は市場販売目的ソフトウエア及び顧客へサービスを提供するための自社利用ソフトウエアです。