有価証券報告書-第37期(令和2年2月1日-令和3年1月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2020年2月1日~2021年1月31日)における世界経済は、世界的な新型コロナの感染拡大により、各国でのロックダウン、国内においては緊急事態宣言の発令等、社会経済活動が制限され、年度前半は経済へ大きな影響を及ぼしました。
当連結会計年度は、ネットワーク事業を中心とした成長分野への製品開発投資と事業開拓を継続しながらも、中長期的な利益成長へと繋げていくための収益拡大の年と位置付けておりました。しかし、新型コロナの感染拡大による世界的な経済活動の停滞によって顧客企業における投資の抑制や案件の延期、車載機器等の最終製品の出荷減、当社製品の試験評価の遅延や中断等、多くの減収要因が発生しました。そういった中で、今後の主な成長分野に位置付けているネットワーク事業及び海外事業における車載インフォテインメント向け分野において、複数の顧客と当社製品のライセンス販売に関する大型案件の商談を進めてまいりましたが、新型コロナの影響で当初想定よりも顧客側の検討に時間を要したことに加え、欧米での感染再拡大に伴う短期的な不確実性の増大に伴い、当連結会計年度でのこれらの大型ライセンス案件の契約の締結には至りませんでした。一方、製品開発投資の強化に伴う減価償却費が先行し、費用が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高75億16百万円(前年同期比20.2%減少)、経常損失23億37百万円(前連結会計年度は経常利益4億30百万円)となり、前連結会計年度との比較においては減収減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
○ 国内事業
センシング技術、通信技術、クラウド技術等を活用し、企業のDX推進を加速させるソリューションや各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、ならびに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB 3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS®」の提供を行っております。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までワンストップで提供可能という当社の強みを活かし、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車載インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読履歴の分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、IoT分野における産業用ドローン、データサイエンス関連、DX等の新たな案件の獲得・引き合いがありました。また台湾子会社における通販事業者向けサービスの業績は堅調に推移しました。一方、経済活動の先行きの不透明感が依然続いていることに伴う顧客企業の投資の抑制により、IoTサービス開発・構築案件の規模縮小・延期・中止等が生じました。Webプラットフォーム分野においては、年度前半は新型コロナ影響により一時的な営業活動の制約を受けたものの年度後半で回復基調に転じました。電子出版分野においては、既存サービスは概ね堅調に推移したものの、新規サービスにおいてはサービスインの延期の発生や進行中だった大型案件が中止となりました。これらの減収要因に加え、販売計画の見直しに伴い電子出版分野の一部ソフトウェア資産の早期償却を行ったことや製品開発投資の強化による減価償却費の増加に伴い、前期比で減収減益となりました。
○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズ、前連結会計年度に買収したNetRange MMH GmbHのTV・車載向けの動画配信プラットフォーム及びプラットフォームを通じた動画配信サービスの提供、拡販に努めております。特に、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向け分野に注力し、コンテンツ配信・サービスプラットフォームを広く提供することによって、ストック収益基盤を構築する方針です。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、新型コロナの感染拡大の影響により、今後の主な成長分野に位置付けている車載インフォテインメント向け分野における顧客企業の事業活動が一時的に停滞しました。それに伴い、当連結会計年度での当社製品のライセンス販売に関する大型案件の契約の締結に至らなかったことやロイヤリティ収入の減少により、前期比で減収減益となりました。
○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、世界的に市場が拡大しつつあります。
AT&T Inc.の子会社との業務提携により、IP Infusion Inc.は「DANOS-Vyatta edition」の付加価値インテグレーターとして、商用ソリューションを通信事業者や企業向けに独占的に提供しており、複数のハードウェア選択肢の中からユースケースに沿った柔軟な提案が可能となっております。また今後はこれまでの通信事業者向けのWAN/LAN向け共通プラットフォーム内のCSR(Cell Site Router)やuCPE(Universal Customer Premise Equipment、汎用顧客構内設備)向けに加え、商用版の「SONiC distribution」の取り扱いを開始したことで、データセンター向けのホワイトボックスソリューションを拡充しました。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、Asia Pacific Telecom(亞太電信、本社:台湾)やMundo Pacífico(本社:チリ共和国)、Afribone(本社:マリ共和国)等の通信事業者へのホワイトボックスソリューションの導入を通じて得られた知見や当社の認知度の向上により、引き合いや交渉中の案件も増加しております。一方で、新型コロナの感染拡大により顧客側の人材・機材の調達制限に伴う試験評価の遅延や中断が発生したことに加えて、受注までに要する試験評価期間自体が当初想定よりも長引き、総じて案件受注タイミングの遅れが生じました。それにより、当社製品のライセンス販売に関する大型案件の契約の締結に至らず、製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加が先行し、前期比で減収減益となりました。
なお、営業外収益として、投資事業組合運用益1億71百万円、条件付取得対価(アーンアウト対価)に係る公正価値の変動額1億21百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高75億16百万円(前年同期比20.2%減少)、経常損失23億37百万円(前連結会計年度は経常利益4億30百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失25億37百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益4億93百万円)となり、前連結会計年度比では減収減益となりました。
当社グループの当連結会計年度末の資産は、ソフトウエアが増加したものの、現金及び預金、受取手形及び売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ35億20百万円減少して292億62百万円となりました。
負債は、買掛金や長期未払金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ6億18百万円減少し19億40百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失25億37百万円を計上したこと等により、29億2百万円減少し273億21百万円となりました。その結果、自己資本比率は93.2%(前連結会計年度末は92.1%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて25億24百万円減少し、165億45百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は8億80百万円の増加(前連結会計年度は4億91百万円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失23億56百万円を計上した一方で、売上債権が16億53百万円減少したことや減価償却費26億95百万円を計上したことであります。前連結会計年度との比較では、減価償却費及び売上債権の減少額が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は32億2百万円の減少(前連結会計年度は41億21百万円の減少)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出が30億71百万円であったことであります。前連結会計年度との比較では、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出や無形固定資産の取得による支出が減少いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は20百万円の減少(前連結会計年度は23百万円の減少)となりました。その要因は、配当金の支払額1億21百万円があった一方で、引出制限付預金の引出による収入1億55百万円があったことであります。前連結会計年度との比較では、引出制限付預金の預入による支出及び引出による収入が減少いたしました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、ソフトウエアのうち自社開発分(資産計上分)を含んでおります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.海外事業における生産実績の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.海外事業における受注高及び受注残高の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3.当連結会計年度のUfi Space Co., Ltd.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5.海外事業における販売実績の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、自社製品・サービス提供によるストック収益を中心とし、かつグローバルにスケール可能な事業構造への変革を推進しており、その実現にあたっては、通常の事業活動に加え、保有資金を有効活用することによって製品開発投資やM&A等の外部成長施策を遂行することを想定しております。なお、2022年1月期における製品開発投資は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、24億12百万円を計画しております。当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は165億45百万円であることから、これらの資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって充当することを想定しており、また、十分な流動性を確保可能と認識しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2020年2月1日~2021年1月31日)における世界経済は、世界的な新型コロナの感染拡大により、各国でのロックダウン、国内においては緊急事態宣言の発令等、社会経済活動が制限され、年度前半は経済へ大きな影響を及ぼしました。
当連結会計年度は、ネットワーク事業を中心とした成長分野への製品開発投資と事業開拓を継続しながらも、中長期的な利益成長へと繋げていくための収益拡大の年と位置付けておりました。しかし、新型コロナの感染拡大による世界的な経済活動の停滞によって顧客企業における投資の抑制や案件の延期、車載機器等の最終製品の出荷減、当社製品の試験評価の遅延や中断等、多くの減収要因が発生しました。そういった中で、今後の主な成長分野に位置付けているネットワーク事業及び海外事業における車載インフォテインメント向け分野において、複数の顧客と当社製品のライセンス販売に関する大型案件の商談を進めてまいりましたが、新型コロナの影響で当初想定よりも顧客側の検討に時間を要したことに加え、欧米での感染再拡大に伴う短期的な不確実性の増大に伴い、当連結会計年度でのこれらの大型ライセンス案件の契約の締結には至りませんでした。一方、製品開発投資の強化に伴う減価償却費が先行し、費用が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高75億16百万円(前年同期比20.2%減少)、経常損失23億37百万円(前連結会計年度は経常利益4億30百万円)となり、前連結会計年度との比較においては減収減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
○ 国内事業
センシング技術、通信技術、クラウド技術等を活用し、企業のDX推進を加速させるソリューションや各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、ならびに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB 3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS®」の提供を行っております。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までワンストップで提供可能という当社の強みを活かし、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車載インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読履歴の分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、IoT分野における産業用ドローン、データサイエンス関連、DX等の新たな案件の獲得・引き合いがありました。また台湾子会社における通販事業者向けサービスの業績は堅調に推移しました。一方、経済活動の先行きの不透明感が依然続いていることに伴う顧客企業の投資の抑制により、IoTサービス開発・構築案件の規模縮小・延期・中止等が生じました。Webプラットフォーム分野においては、年度前半は新型コロナ影響により一時的な営業活動の制約を受けたものの年度後半で回復基調に転じました。電子出版分野においては、既存サービスは概ね堅調に推移したものの、新規サービスにおいてはサービスインの延期の発生や進行中だった大型案件が中止となりました。これらの減収要因に加え、販売計画の見直しに伴い電子出版分野の一部ソフトウェア資産の早期償却を行ったことや製品開発投資の強化による減価償却費の増加に伴い、前期比で減収減益となりました。
国内事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 5,884百万円 | 5,257百万円 | △10.7% |
セグメント損益 | 643百万円 | △540百万円 | - |
○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズ、前連結会計年度に買収したNetRange MMH GmbHのTV・車載向けの動画配信プラットフォーム及びプラットフォームを通じた動画配信サービスの提供、拡販に努めております。特に、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向け分野に注力し、コンテンツ配信・サービスプラットフォームを広く提供することによって、ストック収益基盤を構築する方針です。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、新型コロナの感染拡大の影響により、今後の主な成長分野に位置付けている車載インフォテインメント向け分野における顧客企業の事業活動が一時的に停滞しました。それに伴い、当連結会計年度での当社製品のライセンス販売に関する大型案件の契約の締結に至らなかったことやロイヤリティ収入の減少により、前期比で減収減益となりました。
海外事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 998百万円 | 430百万円 | △56.9% |
セグメント損益 | △85百万円 | △587百万円 | - |
○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、世界的に市場が拡大しつつあります。
AT&T Inc.の子会社との業務提携により、IP Infusion Inc.は「DANOS-Vyatta edition」の付加価値インテグレーターとして、商用ソリューションを通信事業者や企業向けに独占的に提供しており、複数のハードウェア選択肢の中からユースケースに沿った柔軟な提案が可能となっております。また今後はこれまでの通信事業者向けのWAN/LAN向け共通プラットフォーム内のCSR(Cell Site Router)やuCPE(Universal Customer Premise Equipment、汎用顧客構内設備)向けに加え、商用版の「SONiC distribution」の取り扱いを開始したことで、データセンター向けのホワイトボックスソリューションを拡充しました。
当連結会計年度における当セグメントにつきましては、Asia Pacific Telecom(亞太電信、本社:台湾)やMundo Pacífico(本社:チリ共和国)、Afribone(本社:マリ共和国)等の通信事業者へのホワイトボックスソリューションの導入を通じて得られた知見や当社の認知度の向上により、引き合いや交渉中の案件も増加しております。一方で、新型コロナの感染拡大により顧客側の人材・機材の調達制限に伴う試験評価の遅延や中断が発生したことに加えて、受注までに要する試験評価期間自体が当初想定よりも長引き、総じて案件受注タイミングの遅れが生じました。それにより、当社製品のライセンス販売に関する大型案件の契約の締結に至らず、製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加が先行し、前期比で減収減益となりました。
ネットワーク事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 2,540百万円 | 1,828百万円 | △28.0% |
セグメント損益 | △171百万円 | △1,506百万円 | - |
なお、営業外収益として、投資事業組合運用益1億71百万円、条件付取得対価(アーンアウト対価)に係る公正価値の変動額1億21百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高75億16百万円(前年同期比20.2%減少)、経常損失23億37百万円(前連結会計年度は経常利益4億30百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失25億37百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益4億93百万円)となり、前連結会計年度比では減収減益となりました。
当社グループの当連結会計年度末の資産は、ソフトウエアが増加したものの、現金及び預金、受取手形及び売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ35億20百万円減少して292億62百万円となりました。
負債は、買掛金や長期未払金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ6億18百万円減少し19億40百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失25億37百万円を計上したこと等により、29億2百万円減少し273億21百万円となりました。その結果、自己資本比率は93.2%(前連結会計年度末は92.1%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて25億24百万円減少し、165億45百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は8億80百万円の増加(前連結会計年度は4億91百万円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失23億56百万円を計上した一方で、売上債権が16億53百万円減少したことや減価償却費26億95百万円を計上したことであります。前連結会計年度との比較では、減価償却費及び売上債権の減少額が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は32億2百万円の減少(前連結会計年度は41億21百万円の減少)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出が30億71百万円であったことであります。前連結会計年度との比較では、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出や無形固定資産の取得による支出が減少いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は20百万円の減少(前連結会計年度は23百万円の減少)となりました。その要因は、配当金の支払額1億21百万円があった一方で、引出制限付預金の引出による収入1億55百万円があったことであります。前連結会計年度との比較では、引出制限付預金の預入による支出及び引出による収入が減少いたしました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 4,991,266 | 107.9 |
海外事業 | 246,075 | 49.6 |
ネットワーク事業 | 2,526,799 | 82.4 |
合計 | 7,764,142 | 94.8 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、ソフトウエアのうち自社開発分(資産計上分)を含んでおります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.海外事業における生産実績の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 3,592,574 | 95.6 | 601,978 | 101.0 |
海外事業 | 159,061 | 52.8 | 11,475 | 42.4 |
ネットワーク事業 | 845,415 | 117.8 | 156,501 | 100.4 |
合計 | 4,597,051 | 96.2 | 769,955 | 98.8 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.海外事業における受注高及び受注残高の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 5,257,451 | 89.3 |
海外事業 | 430,525 | 43.1 |
ネットワーク事業 | 1,828,756 | 72.0 |
合計 | 7,516,733 | 79.8 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
Ufi Space Co., Ltd. | 1,095,600 | 11.6 | - | - |
3.当連結会計年度のUfi Space Co., Ltd.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5.海外事業における販売実績の減少は、車載インフォテインメント向け分野において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により顧客企業の事業活動が一時的に停滞したことによるものです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、自社製品・サービス提供によるストック収益を中心とし、かつグローバルにスケール可能な事業構造への変革を推進しており、その実現にあたっては、通常の事業活動に加え、保有資金を有効活用することによって製品開発投資やM&A等の外部成長施策を遂行することを想定しております。なお、2022年1月期における製品開発投資は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、24億12百万円を計画しております。当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は165億45百万円であることから、これらの資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって充当することを想定しており、また、十分な流動性を確保可能と認識しております。