有価証券報告書-第28期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/23 15:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
145項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績等の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に昨年末にかけて緩やかな回復基調で推移したものの、本年初めからの新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化し、世界規模の経済的難局が想定される状況となっております。
このような経営環境下で当社グループは、「個人のチカラをベースに既存の情報流・商流・製造流を創りなおすイノベーションプラットフォームとなる」というビジョンのもと、専門の知識や経験を持った“ガイド”が分野別に情報発信する総合情報サイト「All About」のサービス拡大のほか、トライアルマーケティング&コマース「サンプル百貨店」における商品拡充や自社ポイントの導入など、利用者の皆様及びマーケティング活動を行う法人への価値提供に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは以下の通りとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ356百万円増加し、5,655百万円となりました。
流動資産は4,509百万円となり、前連結会計年度末に比べ467百万円増加いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益を338百万円計上したこと等により現金及び預金が670百万円増加した一方、在庫残高の適正化を図ったことにより商品及び製品が69百万円減少し、また前連結会計年度に計上されていた未収還付法人税等が73百万円減少したことによるものであります。
固定資産は1,146百万円となり、前連結会計年度末に比べ111百万円減少いたしました。これは主に、株式会社オールアバウトライフマーケティングが運営するECサイトのドメイン閉鎖・移行等に伴う減損損失計上によりのれんが23百万円、ソフトウエアが42百万円減少し、また回収困難と判断された投資について評価損を計上したことにより投資有価証券が26百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ166百万円増加し、1,618百万円となりました。
流動負債は1,540百万円となり、前連結会計年度末に比べ164百万円増加いたしました。これは主に買掛金が39百万円増加し、また利益増加に伴い未払法人税等が108百万円、未払消費税等が40百万円増加したことによるものであります。
固定負債は77百万円となり、前連結会計年度末に比べ2百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債が1百万円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ189百万円増加し、4,037百万円となりました。
これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を200百万円計上したこと及び26百万円の配当実施により利益剰余金が173百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ734百万円増加し、15,604百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。マーケティングソリューションセグメントにおけるグローバルマーケティング売上の伸長、また、コンシューマサービスセグメントにおける主力の「サンプル百貨店」売上の伸長が増収に寄与いたしました。
(売上総利益)
売上原価は、「サンプル百貨店」における価格設定や在庫管理等の徹底により利益率を改善し、前連結会計年度に比べ179百万円減少し、7,554百万円(同2.3%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ914百万円増加し、8,049百万円(同12.8%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、「サンプル百貨店」における売上増加に伴う物流費増加や販売促進等により、前連結会計年度に比べ600百万円増加し、7,619百万円(同8.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ313百万円増加し、430百万円(同268.3%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、7百万円(同110.1%増)となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ38百万円減少し、1百万円(同95.9%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ356百万円増加し、436百万円(同446.5%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、株式会社ディーエルマーケットにおける訴訟和解金や逸失利益に対する保険金受領等により35百万円(同6.4%減)となりました。
特別損失は、ファッション通販サイト「MUSE&Co.」のドメイン閉鎖や生涯学習事業のソフトウエアに対する減損損失の計上や、投資回収が困難と判断した投資有価証券に対する評価損の計上等により、133百万円(同29.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は200百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失29百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(マーケティングソリューションセグメント)
マーケティングソリューションセグメントにおきましては、コンテンツマーケティングやプログラマティック広告売上が前年同期に比べて減少いたしましたが、グローバルマーケティング売上の伸長が収益に貢献いたしました。グローバルマーケティングの案件はコンテンツの取材執筆が中心であるため、Web構築やツール等のハード費用が発生せず、取材執筆を行うライターのマネジメントを内製することで利益率が高くなります。当連結会計年度においては、2020年に開催を予定していた東京オリンピックの影響等により、インバウンド観光産業支援施策としてグローバルマーケティングの案件を多く獲得いたしました。
また、総合情報サイト「All About」の利用者数につきましては、検索エンジンのアルゴリズム変更により影響を受ける構造にあり前年から減少傾向でしたが、当連結会計年度後半にかけては好影響があり、月間総利用者数が2,000万人程度で堅調に推移いたしました。
費用に関しましては、広告制作費や広告配信費が前年同期に比べて増加したものの、業務効率化により人件費を中心とした固定費が減少いたしました。
以上の結果、マーケティングソリューションセグメントの外部顧客に対する売上高は3,585百万円(前連結会計年度比0.6%増)、セグメント利益は490百万円(同8.6%増)となりました。
(コンシューマサービスセグメント)
コンシューマサービスセグメントにおきましては、デジタルコンテンツ販売マーケットプレイス「DLmarket」が2019年6月に運営終了したことによる売上減少がありましたが、主力の「サンプル百貨店」では、商品拡充や自社ポイント導入等、会員に対するサービス向上に努めました。
また、ここ数年において業界全体で物流費の値上げが課題になっておりますが、「サンプル百貨店」において価格管理及びカテゴリーマネジメント等の改善によって物流費の値上げを吸収し、変動費率を減少させてまいりました。「サンプル百貨店」の収益効率改善のために行った具体的な施策の内容は以下のとおりであります。
・「サンプル百貨店」は扱う商品群の種類やチャネル政策によって粗利率が異なるポートフォリオで事業が組まれていますが、粗利率が高い商材の割合を増やす構造によって最適化を行ったことで、利益向上に寄与いたしました。
・配送費について、地域別の費用も配送費だけではなく物流全般で工夫し、適切にコントロールすることにより、利益効率の改善を図ることができました。
・「サンプル百貨店」では商品の在庫管理や見せ方等の多岐にわたるオペレーションの中でも、価格の決定基準を最適化することが非常に重要であり、その仕組みについてトライして一定の効果が出ました。
・カスタマーサポートの業務プロセス改善等について積極的に取り組んでまいりました。
以上の結果、コンシューマサービスセグメントの外部顧客に対する売上高は12,019百万円(前連結会計年度比6.3%増)、セグメント利益は269百万円(同480.4%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ670百万円増加し、当連結会計年度末には2,411百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、935百万円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益が338百万円、減価償却費が174百万円、減損損失が74百万円、たな卸資産の減少額が60百万円、法人税等の還付額が75百万円発生したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、244百万円の減少となりました。これは、投資有価証券の取得による支出が30百万円、無形固定資産の取得による支出が219百万円発生したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、20百万円の減少となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入が8百万円発生した一方、配当金の支払額が26百万円発生したこと等によるものです。
② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産活動は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
コンシューマサービス6,235,466△5.5

(注)1.本表の金額には消費税等は含まれておりません。
2.マーケティングソリューションにおける商品仕入実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
c.受注実績
当社グループは受注から納品までの期間が短期間のため記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
マーケティングソリューション3,585,5270.6
コンシューマサービス12,019,1176.3
合計15,604,6454.9

(注)1.本表の金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引高は相殺消去しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。
当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループで採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響等、不確実性が大きく、見積り、予測への反映が難しい要素もあるため、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っておりますが、その影響が長期化した場合には将来において損失が発生する可能性があります。
a.固定資産の減損
当社グループの事業においては、ソフトウエア等の固定資産を保有しております。
固定資産のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価格を下回る場合には、帳簿価格を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、物流費や人件費を中心とした販売費及び一般管理費等の費用であります。また、継続的なソフトウエアの開発、事業拡大のための株式や事業の取得に関する投資を目的とした資金需要があります。
当該資金については、内部留保による手元資金で十分賄えている状況です。今後、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針としております。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性を確保し、成長性向上を継続し事業基盤の強化による企業価値の継続的拡大を目指しており、売上高、営業利益(営業利益率)、経常利益を重要な指標と位置付けております。
当連結会計年度における各指標は以下の通りであります。
指標名当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前連結会計年度比
売上高(千円)15,604,6454.9%
営業利益(千円)430,627268.3%
営業利益率(%)2.82.0ポイント増
経常利益(千円)436,492446.5%

引き続き、当該指標について改善するよう取り組むとともに、株主資本効率も重視した経営を進めてまいります。