有価証券報告書-第17期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末における「資産の部」は165,511百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,273百万円(+3.3%)増加しました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等が2,611百万円、関係会社株式が3,057百万円増加したことによるものであります。
また、「負債の部」は73,942百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,932百万円(△5.0%)減少しました。これは主に、短期借入金が3,405百万円減少したことによるものであります。
一方、「純資産の部」は91,569百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,205百万円(+11.2%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.1%から55.0%となりました。
② 経営成績の状況
当社グループを取り巻く事業環境は、政府による防災・減災、国土強靭化対策等に牽引された公共投資と企業の堅調な設備投資意欲に伴う民間投資により、建設投資全体は底堅く推移するものと見込まれています。しかしながら、公共投資である鉄構セグメントの鋼製橋梁事業は発注予算が金額ベースで縛られる中、資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により、重量ベースでは低調な推移が見込まれており、今後の工場操業度確保が大きな課題となっています。また民間投資である鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントは建設コスト上昇等による計画の延期や見直しの動きが散見されています。加えて深刻な担い手不足は業界全体における喫緊の課題である中、建設業界に対しても2024年4月から適用された時間外労働の上限規制により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっているなど、厳しい経営環境が続いています。
このような事業環境の中、当社グループは、2023年5月に策定した「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」に沿って、「基幹事業における収益力強化」と「成長事業における事業規模拡大」を着実に取り組むことで利益水準の向上を図るとともに、資本コストを意識したROE向上を目指した経営を推進しています。
計画2年目である2024年度におきましては、鉄構セグメントの鋼製橋梁事業と土木セグメントの新設事業と更新事業を中心に順調に推移したことで売上高は目標を達成することができました。営業利益につきましても、基幹事業である鉄構・土木セグメントでの大型工事における設計変更獲得に加え、建築セグメントにおける採算性が良い工事の進捗が堅調に推移し、また成長事業であるソリューションセグメントでの事業規模拡大と採算性の改善による利益の上積みで、計画2年目に設定した目標を大幅に上回ることができました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても12.8%と改善いたしました。
当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高132,905百万円(前連結会計年度比2.9%増)、営業利益9,684百万円(同10.9%増)、経常利益12,616百万円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,107百万円(同47.3%増)となりました。受注高につきましては148,202百万円(同12.9%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)
(鉄構セグメント)
当セグメントの中の鋼製橋梁事業につきましては、受注高は当連結会計年度における新設橋梁の発注量が低調に推移する中、先行して設計業務を受注していた大規模工事において、その製作・施工業務についても契約できたことや高速道路会社発注の新規大型工事に加え、地方公共団体の新規工事を複数受注できたことにより前連結会計年度を大きく上回ることができました。売上高は国土交通省と高速道路会社の工事の進捗が進んだことや竣工を迎えた大型工事を中心に設計変更の獲得による上積みもあり前連結会計年度を上回りました。また損益面におきましても、売上高の増加に加え、当第4四半期においても国土交通省の複数の工事において設計変更を計上できたことで前連結会計年度を上回りました。
鉄骨事業につきましては、受注高は当第4四半期に新規工事や大型工事の追加受注を積み上げることができましたが、前連結会計年度に首都圏での大型再開発工事の受注があった反動で前連結会計年度を下回りました。売上高は一部工事で建設価格の上昇による計画の先送りや2024年問題による現場工程の遅れによる出来高の減少があり、前連結会計年度を下回りました。その一方、損益面におきましては、首都圏案件を中心に複数の工事において設計変更が獲得できたことで前連結会計年度を上回りました。
セグメント全体では売上高63,172百万円(前連結会計年度比2.7%増)、営業利益6,274百万円(同35.0%増)となりました。また、受注高は70,983百万円(同10.8%増)となりました。
(土木セグメント)
土木セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期におきましても高速道路会社発注の新設事業、保全事業で大型工事の受注を獲得でき、44,137百万円(前連結会計年度比40.0%増)と前連結会計年度を大幅に上回ることができました。売上高は、新設事業と更新事業において、工事の進捗が順調に推移したことに加え、竣工を迎えた大型工事での設計変更の獲得もあり38,622百万円(同9.0%増)と前年同期を上回りました。損益面につきましては、新規に受注した大型工事及び既受注工事での見込原価悪化に伴う工事損失引当金の計上を行ったことにより、営業利益2,106百万円(同27.2%減)となりました。
(建築セグメント)
建築セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期においても一部新規の工事を受注することができましたが、前連結会計年度に多層階倉庫の大型案件の受注があった反動もあり15,398百万円(前連結会計年度比18.7%減)となりました。売上高につきましては、前連結会計年度から繰り越した大型工事が当連結会計年度の上半期までは設計業務が中心となり、進捗が伸びなかったことが響き15,473百万円(同12.1%減)となりました。損益面につきましては、当第4四半期に竣工を迎えた大型工事での採算性の改善が図れたものの、売上高の減少に伴い、営業利益1,444百万円(同8.3%減)と前連結会計年度を下回りました。
(ソリューションセグメント)
ソリューションセグメントにつきましては、前連結会計年度に引き続き、当連結会計年度においても橋梁設計業務の発注量減少を受け、建設コンサルタントからの受託設計業務の受注が減少したものの、ソフトウエア販売事業を中心に受注が積み上がったことで、受注高は8,053百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。売上高につきましては、サブスク方式で販売しているソフトウエア販売事業が前連結会計年度からの繰越高増加に加え、当連結会計年度における受注増加を受け、売上を伸ばすことができたことで7,949百万円(同5.3%増)となり、営業利益につきましても2,982百万円(同2.1%増)と増加いたしました。
(その他)
その他につきましては、橋梁付属物の販売や航空機使用事業で売上高を伸ばすことができたことで、売上高は9,798百万円(前連結会計年度比11.7%増)となりましたが、定期路線事業での損失が響き、営業損失172百万円(前連結会計年度は営業損失436百万円)となりました。なお、定期路線事業に係る営業損失につきましては、営業外収益に計上する補助金収入により相当部分が解消しています。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,823百万円減少し14,279百万円(前連結会計年度比△11.3%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、9,839百万円の資金増加(前連結会計年度は13,320百万円の資金増加)となりました。これは主に、未払消費税等の増加による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,981百万円の資金減少(前連結会計年度は2,553百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,659百万円の資金減少(前連結会計年度は10,337百万円の資金減少)となりました。これは主に、借入金の返済による資金の減少があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しています。
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。
a.生産実績
(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。
2 生産高には、外注生産高が含まれています。
b.受注実績
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。
2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額70億円以上の主なものは、次のとおりであります。
c.販売実績
(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
西日本高速道路㈱ 9,412百万円 11.9%
当事業年度
清水建設㈱ 8,941百万円 11.4%
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部の流動資産では現金預金が減少し、売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等)が増加しました。これは主に土木セグメントにおいて売上高の増加による売掛債権が増加したことによるものです。負債の部の流動負債では支払手形や短期借入金が減少し、未成工事受入金が増加しました。これは協力会社への支払を手形払いから現金払いに変更したことと、鉄構セグメントにおいて売上代金の回収が進んだことに加え、期末に大型工事の前渡金を受け取り、短期借入金の返済に充てたことにより運転資金が減少したことによるものと分析しています。
次に、総資産は5,273百万円増加し165,511百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比3.9%上昇の55.3%となりました。これは上記運転資金の減少及び純資産において利益剰余金が8,088百万円増加したことによるものであります。関係会社株式が3,057百万円増加していますが、これは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであり、繰延税金資産が1,259百万円増加しているのは、税効果会計により繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによるものであります。
(ロ)経営成績
当連結会計年度は第3次中期経営計画の2年目でしたが、受注高は鉄構、土木セグメントにおいて順調に大型案件を積み上げることができ目標をクリアすることができました。売上高は建築セグメントが伸び悩んだものの、鉄構、土木セグメントでカバーすることができ目標を達成し、営業利益につきましても全てのセグメントで目標をクリアすることができ、その結果、当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても前連結会計年度に比べ3.2%改善し12.8%となりました。
当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業が豊富な繰越高を抱えた中で、高速道路会社発注の大型新設工事が概ね順調に進捗したことや土木セグメントにおいて新設事業と更新事業が概ね順調に進捗したことで前連結会計年度に比べ2.9%増の132,905百万円となりました。営業利益は鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業において、売上高の増加に加え、複数の大型工事で設計変更を計上できたことで、前連結会計年度に比べ10.9%増の9,684百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益が増加したことで前連結会計年度に比べ19.7%増の12,616百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益が前連結会計年度に比べ増加したことや繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによる法人税等調整額の増加により47.3%増の11,107百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、2023年5月に発表した「第3次中期経営計画」においては、当社グループの基幹事業が複数年にわたる事業を行っていることから、設計変更交渉の状況により各年度の売上高及び損益が大きく変動する可能性があるため数値目標は3か年累計としていますが、1年目、2年目の収益が想定を上回るペースで積み上がったことを受け、営業利益及び当期純利益の数値目標を修正いたしています。
第3次中期経営計画(目標値)(3か年累計)
(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントにおける鋼製橋梁事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。
また基幹事業である鉄構、土木、建築セグメントは、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっています。
さらにまた、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。また、同社グループはシンガポールを中心に東南アジアで事業展開をしていることに伴い外貨建ての資産・負債を有することから、為替相場の変動による差損益が持分法投資損益に影響を与えることがあります。
その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について
当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることでありますが、セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントの鋼製橋梁事業では、新設の発注量は金額ベースでは前年度と同規模程度が見込まれていますが、資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により重量ベースでは減少が予想されています。このことは、金額的には一定の水準であっても、工場の操業度(生産量)的には低下する可能性があると認識しています。また発注ロットの小型化が進んでいる中、事業ボリュームを確保するために国土交通省のWTO案件や高速道路会社の大型案件の受注競争が激化しています。当社グループでは受注確保に向け、入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また新設は中期的には大型プロジェクトの発注が控えているものの、長期的には緩やかな減少が予想されていることから、今後は更新工事を含む保全工事への対応を強化していくとともに合成床版の拡販や土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。
次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏における大型再開発案件、関西地区におけるIR関連案件、九州地区における半導体関連案件の発注が見込まれており市場環境は当面は底堅く推移していくと予想されています。その一方で建設コスト上昇等により大型プロジェクトの計画や工程の見直し等が散見され、発注時期について不透明な状況が続いています。当社といたしましては、工場操業の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームの確保と収益の拡大を目指してまいります。
土木セグメントでは、PC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクトマネジメントを取り入れ、受注確保、原価低減、固定費圧縮の徹底を図っています。そのような中、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大したことに伴いゼネコンの進出が顕著となってきたことや、近年の発注量がピーク時に比べ減少傾向にあることで、受注競争が益々激化しています。潜在市場としてはまだまだ大きなものがあると想定されることから、引き続き受注力の強化に向けて情報収集力を高め、技術提案力や積算精度を向上させることで安定的な事業ボリュームの確保と採算性の向上を目指してまいります。
建築セグメントでは、倉庫、工場の市場において1棟あたりの延床面積は減少傾向にあるものの、着工棟数は増加しており、当社がターゲットとして位置付けている平屋、2階建て倉庫や冷凍冷蔵・危険物を用途とする倉庫の市場環境は底堅く推移していくと予想されています。当社といたしましては、受注力強化に向けて、協力会社からの情報を含め、様々な営業案件の情報を収集するための体制を強化することで、施工要員の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。
ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化する中、3次元CADや情報共有ソフトを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移しました。老朽化した社会インフラに対する更新ニーズの高まりもあり、この事業環境は当面続くと想定されることから、当社グループといたしましては引き続き成長事業と位置付け、積極的に取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益12,683百万円、減価償却費3,075百万円、未払消費税等増加4,169百万円により売上債権の増加2,611百万円、仕入債務の減少3,109百万円、法人税等の支払4,887百万円等をカバーし営業活動によるキャッシュ・フローは9,839百万円のプラスとなっています。これは、鉄構・土木・建築の各セグメントの案件の大型化で運転資金は増加しましたが、税金等調整前当期純利益、減価償却費等の範囲内に収まったことが主な要因です。これに伴い短期借入金を3,405百万円減少させ、配当金の支払3,021百万円を行いましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは8,659百万円のマイナスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形固定資産の取得3,217百万円に伴い2,981百万円のマイナスとなっています。
・資金需要
当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。
運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり運転資金は増加しましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の範囲内に収まりました。
設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むのに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で2,648百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
・財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部留保の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。
運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。その点を踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については、それぞれの事業会社が金融機関と個別に当座貸越契約を締結していますが、グループ全体で金融機関14行との間で総額418億円の当座貸越契約を締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。
金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。
また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、一部の借入については金利スワップなどの手段で金利の固定化を図り、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。
・経営資源の配分
当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フロー(注)については、基幹事業の更なる強化を図るための「設備投資」及び成長事業への投資と「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。2023年度を初年度とする第3次中期経営計画の本年度実績は以下のとおりとなりました。
(注)当社グループでは複数年に亘る事業を行っているため、事業に係る資金の動きは除外しています。
(カッコ内は計画値(3か年累計))
(※)株主還元について
・株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針を「連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
・2024年5月には「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」の残り期間(2024年度~2025年度)に係る1株当たり配当金の下限を90円としています。
・2024年度より中間配当制度を導入しています。
・2024年11月には、配当方針を「親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末における「資産の部」は165,511百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,273百万円(+3.3%)増加しました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等が2,611百万円、関係会社株式が3,057百万円増加したことによるものであります。
また、「負債の部」は73,942百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,932百万円(△5.0%)減少しました。これは主に、短期借入金が3,405百万円減少したことによるものであります。
一方、「純資産の部」は91,569百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,205百万円(+11.2%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.1%から55.0%となりました。
② 経営成績の状況
当社グループを取り巻く事業環境は、政府による防災・減災、国土強靭化対策等に牽引された公共投資と企業の堅調な設備投資意欲に伴う民間投資により、建設投資全体は底堅く推移するものと見込まれています。しかしながら、公共投資である鉄構セグメントの鋼製橋梁事業は発注予算が金額ベースで縛られる中、資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により、重量ベースでは低調な推移が見込まれており、今後の工場操業度確保が大きな課題となっています。また民間投資である鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントは建設コスト上昇等による計画の延期や見直しの動きが散見されています。加えて深刻な担い手不足は業界全体における喫緊の課題である中、建設業界に対しても2024年4月から適用された時間外労働の上限規制により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっているなど、厳しい経営環境が続いています。
このような事業環境の中、当社グループは、2023年5月に策定した「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」に沿って、「基幹事業における収益力強化」と「成長事業における事業規模拡大」を着実に取り組むことで利益水準の向上を図るとともに、資本コストを意識したROE向上を目指した経営を推進しています。
計画2年目である2024年度におきましては、鉄構セグメントの鋼製橋梁事業と土木セグメントの新設事業と更新事業を中心に順調に推移したことで売上高は目標を達成することができました。営業利益につきましても、基幹事業である鉄構・土木セグメントでの大型工事における設計変更獲得に加え、建築セグメントにおける採算性が良い工事の進捗が堅調に推移し、また成長事業であるソリューションセグメントでの事業規模拡大と採算性の改善による利益の上積みで、計画2年目に設定した目標を大幅に上回ることができました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても12.8%と改善いたしました。
当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高132,905百万円(前連結会計年度比2.9%増)、営業利益9,684百万円(同10.9%増)、経常利益12,616百万円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,107百万円(同47.3%増)となりました。受注高につきましては148,202百万円(同12.9%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)
(鉄構セグメント)
当セグメントの中の鋼製橋梁事業につきましては、受注高は当連結会計年度における新設橋梁の発注量が低調に推移する中、先行して設計業務を受注していた大規模工事において、その製作・施工業務についても契約できたことや高速道路会社発注の新規大型工事に加え、地方公共団体の新規工事を複数受注できたことにより前連結会計年度を大きく上回ることができました。売上高は国土交通省と高速道路会社の工事の進捗が進んだことや竣工を迎えた大型工事を中心に設計変更の獲得による上積みもあり前連結会計年度を上回りました。また損益面におきましても、売上高の増加に加え、当第4四半期においても国土交通省の複数の工事において設計変更を計上できたことで前連結会計年度を上回りました。
鉄骨事業につきましては、受注高は当第4四半期に新規工事や大型工事の追加受注を積み上げることができましたが、前連結会計年度に首都圏での大型再開発工事の受注があった反動で前連結会計年度を下回りました。売上高は一部工事で建設価格の上昇による計画の先送りや2024年問題による現場工程の遅れによる出来高の減少があり、前連結会計年度を下回りました。その一方、損益面におきましては、首都圏案件を中心に複数の工事において設計変更が獲得できたことで前連結会計年度を上回りました。
セグメント全体では売上高63,172百万円(前連結会計年度比2.7%増)、営業利益6,274百万円(同35.0%増)となりました。また、受注高は70,983百万円(同10.8%増)となりました。
(土木セグメント)
土木セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期におきましても高速道路会社発注の新設事業、保全事業で大型工事の受注を獲得でき、44,137百万円(前連結会計年度比40.0%増)と前連結会計年度を大幅に上回ることができました。売上高は、新設事業と更新事業において、工事の進捗が順調に推移したことに加え、竣工を迎えた大型工事での設計変更の獲得もあり38,622百万円(同9.0%増)と前年同期を上回りました。損益面につきましては、新規に受注した大型工事及び既受注工事での見込原価悪化に伴う工事損失引当金の計上を行ったことにより、営業利益2,106百万円(同27.2%減)となりました。
(建築セグメント)
建築セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期においても一部新規の工事を受注することができましたが、前連結会計年度に多層階倉庫の大型案件の受注があった反動もあり15,398百万円(前連結会計年度比18.7%減)となりました。売上高につきましては、前連結会計年度から繰り越した大型工事が当連結会計年度の上半期までは設計業務が中心となり、進捗が伸びなかったことが響き15,473百万円(同12.1%減)となりました。損益面につきましては、当第4四半期に竣工を迎えた大型工事での採算性の改善が図れたものの、売上高の減少に伴い、営業利益1,444百万円(同8.3%減)と前連結会計年度を下回りました。
(ソリューションセグメント)
ソリューションセグメントにつきましては、前連結会計年度に引き続き、当連結会計年度においても橋梁設計業務の発注量減少を受け、建設コンサルタントからの受託設計業務の受注が減少したものの、ソフトウエア販売事業を中心に受注が積み上がったことで、受注高は8,053百万円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。売上高につきましては、サブスク方式で販売しているソフトウエア販売事業が前連結会計年度からの繰越高増加に加え、当連結会計年度における受注増加を受け、売上を伸ばすことができたことで7,949百万円(同5.3%増)となり、営業利益につきましても2,982百万円(同2.1%増)と増加いたしました。
(その他)
その他につきましては、橋梁付属物の販売や航空機使用事業で売上高を伸ばすことができたことで、売上高は9,798百万円(前連結会計年度比11.7%増)となりましたが、定期路線事業での損失が響き、営業損失172百万円(前連結会計年度は営業損失436百万円)となりました。なお、定期路線事業に係る営業損失につきましては、営業外収益に計上する補助金収入により相当部分が解消しています。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,823百万円減少し14,279百万円(前連結会計年度比△11.3%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、9,839百万円の資金増加(前連結会計年度は13,320百万円の資金増加)となりました。これは主に、未払消費税等の増加による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,981百万円の資金減少(前連結会計年度は2,553百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,659百万円の資金減少(前連結会計年度は10,337百万円の資金減少)となりました。これは主に、借入金の返済による資金の減少があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 鉄構 | 70,983 | 10.8 | 95,372 | 8.9 |
| 土木 | 44,137 | 40.0 | 50,700 | 12.2 |
| 建築 | 15,398 | △18.7 | 17,788 | △0.4 |
| ソリューション | 8,053 | 4.7 | 3,603 | 3.0 |
| その他 | 9,628 | 6.9 | 452 | △27.3 |
| 合計 | 148,202 | 12.9 | 167,917 | 8.5 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 鉄構 | 63,172 | 2.7 |
| 土木 | 38,622 | 9.0 |
| 建築 | 15,473 | △12.1 |
| ソリューション | 7,949 | 5.3 |
| その他 | 9,798 | 11.7 |
| 合計 | 135,015 | 3.2 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しています。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 西日本高速道路㈱ | 17,146 | 13.3 | - | - |
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。
a.生産実績
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 鉄構 | 61,267 | 62,552( 2.1%増) |
| 建築 | 17,544 | 15,398(12.2%減) |
| その他 | 188 | 290(53.8%増) |
| 合計 | 79,000 | 78,241( 1.0%減) |
(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。
2 生産高には、外注生産高が含まれています。
b.受注実績
| 期別 | セグメントの名称 | 前期繰越工事高(百万円) | 当期受注工事高(百万円) | 計 (百万円) | 当期完成工事高(百万円) | 次期繰越工事高(百万円) |
| 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 鉄構 | 85,012 | 64,025 | 149,037 | 61,475 | 87,561 |
| 建築 | 16,526 | 18,936 | 35,463 | 17,601 | 17,862 | |
| その他 | - | 315 | 315 | 228 | 87 | |
| 合計 | 101,538 | 83,278 | 184,817 | 79,305 | 105,511 | |
| 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 鉄構 | 87,561 | 70,671 | 158,233 | 62,854 | 95,378 |
| 建築 | 17,862 | 15,398 | 33,261 | 15,473 | 17,788 | |
| その他 | 87 | 235 | 323 | 306 | 17 | |
| 合計 | 105,511 | 86,306 | 191,818 | 78,633 | 113,184 |
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。
2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額70億円以上の主なものは、次のとおりであります。
| 名古屋高速道路公社 | 市道高速1号他新洲崎工区改築事業 | 2028年1月完成予定 |
| 首都高速道路㈱ | 高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事 | 2025年7月 〃 |
| 清水建設㈱ | 大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業Torch Tower(B棟)新築工事 | 2027年5月 〃 |
| 西日本高速道路㈱ | 新名神高速道路 高槻高架橋西(鋼上部工)工事 | 2027年6月 〃 |
| 国土交通省関東地方整備局 | 川崎臨港道路東扇島水江町線主橋梁部上部工事(その2) | 2027年7月 〃 |
c.販売実績
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 鉄構 | 61,475 | 62,854( 2.2%増) |
| 建築 | 17,601 | 15,473(12.1%減) |
| その他 | 228 | 306(34.0%増) |
| 合計 | 79,305 | 78,633( 0.8%減) |
(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
| 清水建設㈱ | 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事(A街区) |
| 日本梱包運輸倉庫㈱ | 日本梱包運輸倉庫株式会社 三芳営業所 新倉庫増築 |
| 鹿島建設㈱ | JASM新築工事 FAB棟 |
| ㈱竹中工務店 | 梅田3丁目計画(仮称) |
| ㈱竹中工務店 | (仮称)うめきた2期地区開発事業新築工事のうち北街区賃貸棟 |
当事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
| 西日本高速道路㈱ | 中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事 |
| ㈱大林組 | 品川開発プロジェクト(第1期)4街区 本体鉄骨 北棟A工区 |
| 清水建設㈱ | (仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事 |
| 東日本高速道路㈱ | 東関東自動車道 塔ヶ崎高架橋(鋼上部工)工事 |
| 大成建設㈱ | (仮称)赤坂二丁目プロジェクト |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
西日本高速道路㈱ 9,412百万円 11.9%
当事業年度
清水建設㈱ 8,941百万円 11.4%
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部の流動資産では現金預金が減少し、売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等)が増加しました。これは主に土木セグメントにおいて売上高の増加による売掛債権が増加したことによるものです。負債の部の流動負債では支払手形や短期借入金が減少し、未成工事受入金が増加しました。これは協力会社への支払を手形払いから現金払いに変更したことと、鉄構セグメントにおいて売上代金の回収が進んだことに加え、期末に大型工事の前渡金を受け取り、短期借入金の返済に充てたことにより運転資金が減少したことによるものと分析しています。
次に、総資産は5,273百万円増加し165,511百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比3.9%上昇の55.3%となりました。これは上記運転資金の減少及び純資産において利益剰余金が8,088百万円増加したことによるものであります。関係会社株式が3,057百万円増加していますが、これは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであり、繰延税金資産が1,259百万円増加しているのは、税効果会計により繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによるものであります。
(ロ)経営成績
当連結会計年度は第3次中期経営計画の2年目でしたが、受注高は鉄構、土木セグメントにおいて順調に大型案件を積み上げることができ目標をクリアすることができました。売上高は建築セグメントが伸び悩んだものの、鉄構、土木セグメントでカバーすることができ目標を達成し、営業利益につきましても全てのセグメントで目標をクリアすることができ、その結果、当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても前連結会計年度に比べ3.2%改善し12.8%となりました。
当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業が豊富な繰越高を抱えた中で、高速道路会社発注の大型新設工事が概ね順調に進捗したことや土木セグメントにおいて新設事業と更新事業が概ね順調に進捗したことで前連結会計年度に比べ2.9%増の132,905百万円となりました。営業利益は鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業において、売上高の増加に加え、複数の大型工事で設計変更を計上できたことで、前連結会計年度に比べ10.9%増の9,684百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益が増加したことで前連結会計年度に比べ19.7%増の12,616百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益が前連結会計年度に比べ増加したことや繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによる法人税等調整額の増加により47.3%増の11,107百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、2023年5月に発表した「第3次中期経営計画」においては、当社グループの基幹事業が複数年にわたる事業を行っていることから、設計変更交渉の状況により各年度の売上高及び損益が大きく変動する可能性があるため数値目標は3か年累計としていますが、1年目、2年目の収益が想定を上回るペースで積み上がったことを受け、営業利益及び当期純利益の数値目標を修正いたしています。
第3次中期経営計画(目標値)(3か年累計)
| 当初 | 前回 | 今回 | |
| 2023年5月12日発表 | 2024年5月14日発表 | 2025年5月13日発表 | |
| 営業利益 | 186億円 | 223億円 | 261億円 |
| 当期純利益① | 156億円 | 183億円 | 261億円 |
| 当期純利益②(持分法利益除く) | 121億円 | 146億円 | 196億円 |
(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントにおける鋼製橋梁事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。
また基幹事業である鉄構、土木、建築セグメントは、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっています。
さらにまた、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。また、同社グループはシンガポールを中心に東南アジアで事業展開をしていることに伴い外貨建ての資産・負債を有することから、為替相場の変動による差損益が持分法投資損益に影響を与えることがあります。
その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について
当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることでありますが、セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントの鋼製橋梁事業では、新設の発注量は金額ベースでは前年度と同規模程度が見込まれていますが、資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により重量ベースでは減少が予想されています。このことは、金額的には一定の水準であっても、工場の操業度(生産量)的には低下する可能性があると認識しています。また発注ロットの小型化が進んでいる中、事業ボリュームを確保するために国土交通省のWTO案件や高速道路会社の大型案件の受注競争が激化しています。当社グループでは受注確保に向け、入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また新設は中期的には大型プロジェクトの発注が控えているものの、長期的には緩やかな減少が予想されていることから、今後は更新工事を含む保全工事への対応を強化していくとともに合成床版の拡販や土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。
次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏における大型再開発案件、関西地区におけるIR関連案件、九州地区における半導体関連案件の発注が見込まれており市場環境は当面は底堅く推移していくと予想されています。その一方で建設コスト上昇等により大型プロジェクトの計画や工程の見直し等が散見され、発注時期について不透明な状況が続いています。当社といたしましては、工場操業の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームの確保と収益の拡大を目指してまいります。
土木セグメントでは、PC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクトマネジメントを取り入れ、受注確保、原価低減、固定費圧縮の徹底を図っています。そのような中、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大したことに伴いゼネコンの進出が顕著となってきたことや、近年の発注量がピーク時に比べ減少傾向にあることで、受注競争が益々激化しています。潜在市場としてはまだまだ大きなものがあると想定されることから、引き続き受注力の強化に向けて情報収集力を高め、技術提案力や積算精度を向上させることで安定的な事業ボリュームの確保と採算性の向上を目指してまいります。
建築セグメントでは、倉庫、工場の市場において1棟あたりの延床面積は減少傾向にあるものの、着工棟数は増加しており、当社がターゲットとして位置付けている平屋、2階建て倉庫や冷凍冷蔵・危険物を用途とする倉庫の市場環境は底堅く推移していくと予想されています。当社といたしましては、受注力強化に向けて、協力会社からの情報を含め、様々な営業案件の情報を収集するための体制を強化することで、施工要員の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。
ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化する中、3次元CADや情報共有ソフトを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移しました。老朽化した社会インフラに対する更新ニーズの高まりもあり、この事業環境は当面続くと想定されることから、当社グループといたしましては引き続き成長事業と位置付け、積極的に取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益12,683百万円、減価償却費3,075百万円、未払消費税等増加4,169百万円により売上債権の増加2,611百万円、仕入債務の減少3,109百万円、法人税等の支払4,887百万円等をカバーし営業活動によるキャッシュ・フローは9,839百万円のプラスとなっています。これは、鉄構・土木・建築の各セグメントの案件の大型化で運転資金は増加しましたが、税金等調整前当期純利益、減価償却費等の範囲内に収まったことが主な要因です。これに伴い短期借入金を3,405百万円減少させ、配当金の支払3,021百万円を行いましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは8,659百万円のマイナスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形固定資産の取得3,217百万円に伴い2,981百万円のマイナスとなっています。
・資金需要
当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。
運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり運転資金は増加しましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の範囲内に収まりました。
設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むのに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で2,648百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
・財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部留保の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。
運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。その点を踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については、それぞれの事業会社が金融機関と個別に当座貸越契約を締結していますが、グループ全体で金融機関14行との間で総額418億円の当座貸越契約を締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。
金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。
また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、一部の借入については金利スワップなどの手段で金利の固定化を図り、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。
・経営資源の配分
当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フロー(注)については、基幹事業の更なる強化を図るための「設備投資」及び成長事業への投資と「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。2023年度を初年度とする第3次中期経営計画の本年度実績は以下のとおりとなりました。
(注)当社グループでは複数年に亘る事業を行っているため、事業に係る資金の動きは除外しています。
(カッコ内は計画値(3か年累計))
| 営業キャッシュ・フロー(3年間計) (200億円) 初年度 133億円 本年度 157億円 2か年計 291億円 | ||
| 設備投資 (100億円) 初年度 38億円 本年度 26億円 2か年計 65億円 | 株主還元(※)(配当46億円) 初年度 22億円 本年度 25億円 2か年計 47億円 | |
(※)株主還元について
・株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針を「連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
・2024年5月には「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」の残り期間(2024年度~2025年度)に係る1株当たり配当金の下限を90円としています。
・2024年度より中間配当制度を導入しています。
・2024年11月には、配当方針を「親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。