有価証券報告書-第14期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、自然災害による影響や消費税率引上げなどにより個人消費等に弱さが見られますが、緩やかな回復基調が続きました。
国内化粧品市場においては、中国における電子商取引法施行の影響が一部で見られ、足元の伸長は鈍化傾向にあります。また、インバウンド消費を除く市場規模は消費増税前の駆け込み需要により一時的に増加に転じたのち、反動減が継続しております。海外化粧品市場においては、中国を中心に、アジアでは堅調に成長し、緩やかな拡大傾向が続いております。
このような市場環境のもと、2017年からスタートした4ヶ年中期経営計画(2017年から2020年)に基づき、国内のさらなる収益性向上と海外事業での黒字化、次世代の成長ブランド創出を達成すべく、取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は次のとおりとなりました。
売上高は、基幹ブランドであるPOLAブランドの国内インバウンド売上の減少影響により、前年同期比11.5%減の219,920百万円となりました。営業利益は、売上高減による売上総利益減少により、前年同期比21.2%減の31,137百万円、経常利益は前年同期比21.4%減の30,630百万円となりました。以上の結果に加え、前連結会計年度に計上したJurliqueブランドに係る固定資産の減損損失及び医薬品事業からの撤退決定に伴う事業整理損の影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比134.8%増の19,694百万円となりました。
[業績の概要]
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[セグメント別の業績]
売上高(外部顧客への売上高)
セグメント利益(営業利益)
(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費などを連
結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第5
経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等) 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)
ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」「H2O PLUS」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」を展開しております。
POLAブランドでは、さらなるブランド価値の向上、事業基盤の強化を進めるため、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入、ブランド価値を体現するプロフェッショナル人材育成の強化に取り組んでおります。新規美白有効成分を配合した「ホワイトショット LX」「ホワイトショット MX」の発売(5月)、パーソナライズドスキンケアシリーズ「アペックス」の刷新(7月)、最先端のエステ理論にパーソナルメニューと新機器、プロの施術を取り入れた「エステ」の刷新(10月)、ポーラ最高位の美容液・乳液「B.A グランラグゼⅢ」の発売(11月)など、積極的な商品展開を実施しました。また、「リンクルショット メディカル セラム」の国内外の免税店、及び国内EC、越境ECでの販売を開始しております。引き続き、海外での展開を順次拡大し、海外事業の成長加速を進めてまいります。アジア圏での成長は継続しているものの、一方で、国内市場における中国の電子商取引法施行の影響によるインバウンド需要の減速により、POLAブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。 ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出による存在感の向上に取り組んでおります。ブランドメッセージ「ここちを美しく。」の世界観を体現する商品を中心としたコミュニケーションや、一貫した市場発信を強化してまいりました。2018年10月に全面刷新したエイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」や、日本初発売となる肌への機能が確認された特定保健用食品「オルビス ディフェンセラ」が、新規顧客の獲得に貢献しました。一方で、戦略的に顧客ターゲットの絞り込みに取り組んだ結果、既存顧客が減少した影響により、ORBISブランドは前年同期並みの売上高・営業利益となりました。
海外ブランドについては、Jurliqueブランドは豪州とアジア、H2O PLUSブランドは本拠地である米国での事業成長を目指した取り組みを行っております。Jurliqueブランドは、自社で独自開発したバラの成分を配合した新商品シリーズを8月に発売し、新規顧客の獲得に貢献しました。一方で、ブランドプレゼンス回復を図るべく、豪州ではリテールに集中するため卸を縮小し、中国では代理店モデルから直営モデルへの転換に伴い出荷を抑制したことにより、前年同期を下回る売上高となりました。費用面では本部機能の縮小等によるコスト構造改革や、中国での不採算店の閉鎖、固定費の削減に積極的に取り組んだことにより、前年同期より営業損失が縮小する結果となりました。H2O PLUSブランドは、新商品シリーズの投入に加え、自社サイトのコンテンツの拡充とユーザビリティの向上によりECチャネルの拡大を進めてまいりましたが、一部リテーラーからの撤退やアメニティの出荷減により、前年同期を下回る売上高・営業損失の拡大となりました。
育成ブランドについては、10周年を迎えたTHREEブランドの海外売上の成長や、2018年にローンチしたAmplitudeブランド、ITRIMブランド、FIVEISM×THREEブランドにより、前年同期を上回る売上高となりました。一方で、新ブランドへの更なる成長投資を行ったことにより、前年同期を下回る営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は214,886百万円(前年同期比7.1%減)、営業利益は30,193百万円(前年同期比21.2%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当連結会計年度は、一部テナントの退居の発生により、前年同期を下回る売上高となりましたが、一方で、ビルの価値向上に向けた取り組みや、市況や他社状況を勘案した入居条件に見直しにより収益性が向上し、前年同期を上回る営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,619百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益は1,021百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
(その他)
その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。
ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当連結会計年度は、工事受注減少により、前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。
以上の結果に加え、2019年1月に医薬品事業から撤退した影響により、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,415百万円(前年同期比83.5%減)、営業利益は130百万円(前年同期比83.6%減)となりました。
当連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17,339百万円減少し、227,256百万円(前連結会計年度末比7.1%減)となりました。主な増減項目は、有価証券の増加1,921百万円、ソフトウェアの増加2,419百万円により増加し、現金及び預金の減少10,784百万円、受取手形及び売掛金の減少5,661百万円、商品及び製品の減少3,349百万円により減少しております。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ19,612百万円減少し、36,186百万円(前連結会計年度末比35.1%減)となりました。主な増減項目は、リース債務の増加669百万円により増加し、支払手形及び買掛金の減少2,390百万円、未払金の減少2,435百万円、未払法人税等の減少4,057百万円、事業整理損失引当金の減少9,906百万円により減少しております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,272百万円増加し、191,069百万円(前連結会計年度末比1.2%増)となりました。主な増減項目は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上19,694百万円により増加し、一方で剰余金の配当17,700百万円により減少しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ10,673百万円減少し、65,789百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、21,127百万円の収入(前年同期比30.2%減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益29,813百万円、減価償却費7,377百万円並びに減損損失689百万円、売上債権の増減額607百万円、たな卸資産の増減額1,066百万円により資金は増加し、一方で、ポイント引当金の増減額675百万円、仕入債務の増減額917百万円、法人税等の支払額16,319百万円により資金は減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、12,514百万円の支出(前年同期比37.1%増)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入25,510百万円により資金は増加し、一方で、資金運用計画に沿った余剰資金の運用に伴う有価証券の取得による支出11,900百万円並びに投資有価証券の取得による支出14,390百万円、有形固定資産の取得による支出4,589百万円、無形固定資産の取得による支出4,730百万円により資金は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,336百万円の支出(前年同期比3.9%減)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出1,638百万円、配当金の支払額17,697百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
としております。
③生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造会社販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 不動産及びその他事業については、生産活動を行っておりません。
4 その他における減少は、医薬品事業からの撤退によるものであります。
(受注実績)
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、その作成には経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。この判断及び見積りに関しては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(たな卸資産)
商品、製品、仕掛品及び原材料は、主として月別移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しており、貯蔵品については、主として最終仕入原価法を採用しております。また、販売可能性の低い長期滞留品については、必要な評価減並びに廃棄処分等を行っております。
(固定資産)
当社グループでは、固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の判定を行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(有価証券)
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。時価のあるものについては、個々の銘柄の時価が取得原価に比較して50%を超えて下落したものについてはすべて、30%を超えて下落したものについては時価の推移及び財政状態等の検討により回収可能性を総合的に判断し、減損処理を行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の貸借対照表への計上にあたって、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額し、回収可能額の範囲内に調整しております。評価性引当額の必要性の検討にあたっては、中期経営計画に基づいた将来課税所得や将来減算一時差異のスケジューリングの結果により判断することで、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により、当該判断を行った期間に利益を計上しております。
なお、当社及び一部の国内子会社は、連結納税制度を適用しているため、繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税グループ全体の課税所得の見積りにより判断しております。
(ポイント引当金)
ポイント制度における将来のポイント使用による売上値引及び記念品費用の支出に備えるため、未使用のポイント残高に対して、過去の使用実績から将来使用されると見込まれる金額を見積り適正な引当金を計上しております。
(退職給付費用及び債務)
当社及び国内連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)、退職一時金制度を設けております。一部の国内連結子会社は、確定拠出型の制度として、中小企業退職金共済制度に加入しております。また、一部の海外連結子会社は、退職一時金制度及び確定拠出型制度を設けております。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などを含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
イ 売上高
当連結会計年度の売上高は219,920百万円(前年同期比11.5%減)となりました。セグメントごと(セグメント間取引を除く)に見ると、ビューティケア事業で214,886百万円(前年同期比7.1%減)、不動産事業で2,619百万円(前年同期比3.2%減)、その他の事業で2,415百万円(前年同期比83.5%減)となりました。ビューティケア事業における減少の主な要因は、POLAブランドの国内インバウンド売上の減少影響によるものであります。その他事業における減少の主な要因は、2019年1月に医薬品事業から撤退した影響によるものであります。
ロ 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度より23,057百万円減少し、183,995百万円(前年同期比11.1%減)となりました。
ハ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より14,699百万円減少し、152,857百万円(前年同期比8.8%減)となりました。医薬品事業からの撤退に伴う人件費の減少や、変動費であるPOLAブランドの販売手数料が減少した他、前連結会計年度に計上したJurliqueブランドの一時費用が減少したものの、新ブランドへの先行投資を実施したことにより、売上高に対する比率は前年を上回っております。
ニ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より8,358百万円減少し、31,137百万円(前年同期比21.2%減)となりました。前述の売上高減による売上総利益減少によるものであります。
ホ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より8,324百万円減少し、30,630百万円(前年同期比21.4%減)となりました。営業利益が減少したことにより、前年を下回っております。
ヘ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度より13,748百万円増加し、29,813百万円(前年同期比85.6%増)となりました。前述の経常利益は減少したものの、前連結会計年度に特別損失として計上した、Jurliqueブランドに係る固定資産の減損損失及び医薬品事業からの撤退決定に伴う事業整理損の影響により、前年を上回っております。
ト 法人税等
法人税等は、前連結会計年度より2,436百万円増加し、10,111百万円(前年同期比31.7%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に計上した特別損失の影響によるものであります。
チ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より11,306百万円増加し、19,694百万円(前年同期比134.8%増)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17,339百万円減少し、227,256百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ19,612百万円減少し、36,186百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,272百万円増加し、191,069百万円となりました。
主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載のとおりであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の338.0%から536.9%に上昇し、自己資本比率が前連結会計年度末の77.0%から83.9%に上昇しております。
(経営戦略の現状と見通し)
経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。今後の資金使途につきましては、新価値創出に向けた研究開発投資、店舗の出店・リニューアルや生産性向上のための設備投資、M&Aを含む新規ブランドの創出・育成に取り組むことで、将来のキャッシュ・フローの創出を目指します。なお、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、子会社における資金業務を当社に集中させることにより、当社グループ全体の資金効率化を図っております。
事業資金と余剰資金については、それぞれ資金運用管理規程及び資金運用管理基準をもとに運用しております。当連結会計年度末の現金及び預金残高は66,548百万円と前連結会計年度末に比べ10,784百万円減少しております。
(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2017年からスタートした4ヶ年中期経営計画において、4ヶ年平均の連結売上高成長率3~4%、連結営業利益成長率10%、2020年末時点のROE 12%の達成を目指してまいりました。次期(2020年12月期)の業績見通しにつきましては、COVID-19(新型コロナウィルス)感染拡大に伴うインバウンド需要等への影響を勘案し、売上高217,000百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益31,200百万円(前年同期比0.2%増)、経常利益30,700百万円(前年同期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20,000百万円(前年同期比1.5%増)を見込んでおります。『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』に記載の重点戦略に取り組み、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、自然災害による影響や消費税率引上げなどにより個人消費等に弱さが見られますが、緩やかな回復基調が続きました。
国内化粧品市場においては、中国における電子商取引法施行の影響が一部で見られ、足元の伸長は鈍化傾向にあります。また、インバウンド消費を除く市場規模は消費増税前の駆け込み需要により一時的に増加に転じたのち、反動減が継続しております。海外化粧品市場においては、中国を中心に、アジアでは堅調に成長し、緩やかな拡大傾向が続いております。
このような市場環境のもと、2017年からスタートした4ヶ年中期経営計画(2017年から2020年)に基づき、国内のさらなる収益性向上と海外事業での黒字化、次世代の成長ブランド創出を達成すべく、取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は次のとおりとなりました。
売上高は、基幹ブランドであるPOLAブランドの国内インバウンド売上の減少影響により、前年同期比11.5%減の219,920百万円となりました。営業利益は、売上高減による売上総利益減少により、前年同期比21.2%減の31,137百万円、経常利益は前年同期比21.4%減の30,630百万円となりました。以上の結果に加え、前連結会計年度に計上したJurliqueブランドに係る固定資産の減損損失及び医薬品事業からの撤退決定に伴う事業整理損の影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比134.8%増の19,694百万円となりました。
[業績の概要]
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前年同期 | ||
増減額(百万円) | 増減率(%) | |||
売上高 | 248,574 | 219,920 | △28,654 | △11.5 |
営業利益 | 39,496 | 31,137 | △8,358 | △21.2 |
経常利益 | 38,954 | 30,630 | △8,324 | △21.4 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 8,388 | 19,694 | 11,306 | 134.8 |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[セグメント別の業績]
売上高(外部顧客への売上高)
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前年同期 | ||
増減額(百万円) | 増減率(%) | |||
ビューティケア事業 | 231,207 | 214,886 | △16,321 | △7.1 |
不動産事業 | 2,707 | 2,619 | △87 | △3.2 |
その他 | 14,659 | 2,415 | △12,244 | △83.5 |
合 計 | 248,574 | 219,920 | △28,654 | △11.5 |
セグメント利益(営業利益)
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前年同期 | ||
増減額(百万円) | 増減率(%) | |||
ビューティケア事業 | 38,294 | 30,193 | △8,100 | △21.2 |
不動産事業 | 1,001 | 1,021 | 19 | 2.0 |
その他 | 796 | 130 | △665 | △83.6 |
セグメント利益の調整額 (注) | △596 | △207 | 388 | - |
合 計 | 39,496 | 31,137 | △8,358 | △21.2 |
(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費などを連
結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第5
経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等) 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)
ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」「H2O PLUS」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」を展開しております。
POLAブランドでは、さらなるブランド価値の向上、事業基盤の強化を進めるため、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入、ブランド価値を体現するプロフェッショナル人材育成の強化に取り組んでおります。新規美白有効成分を配合した「ホワイトショット LX」「ホワイトショット MX」の発売(5月)、パーソナライズドスキンケアシリーズ「アペックス」の刷新(7月)、最先端のエステ理論にパーソナルメニューと新機器、プロの施術を取り入れた「エステ」の刷新(10月)、ポーラ最高位の美容液・乳液「B.A グランラグゼⅢ」の発売(11月)など、積極的な商品展開を実施しました。また、「リンクルショット メディカル セラム」の国内外の免税店、及び国内EC、越境ECでの販売を開始しております。引き続き、海外での展開を順次拡大し、海外事業の成長加速を進めてまいります。アジア圏での成長は継続しているものの、一方で、国内市場における中国の電子商取引法施行の影響によるインバウンド需要の減速により、POLAブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。 ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出による存在感の向上に取り組んでおります。ブランドメッセージ「ここちを美しく。」の世界観を体現する商品を中心としたコミュニケーションや、一貫した市場発信を強化してまいりました。2018年10月に全面刷新したエイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」や、日本初発売となる肌への機能が確認された特定保健用食品「オルビス ディフェンセラ」が、新規顧客の獲得に貢献しました。一方で、戦略的に顧客ターゲットの絞り込みに取り組んだ結果、既存顧客が減少した影響により、ORBISブランドは前年同期並みの売上高・営業利益となりました。
海外ブランドについては、Jurliqueブランドは豪州とアジア、H2O PLUSブランドは本拠地である米国での事業成長を目指した取り組みを行っております。Jurliqueブランドは、自社で独自開発したバラの成分を配合した新商品シリーズを8月に発売し、新規顧客の獲得に貢献しました。一方で、ブランドプレゼンス回復を図るべく、豪州ではリテールに集中するため卸を縮小し、中国では代理店モデルから直営モデルへの転換に伴い出荷を抑制したことにより、前年同期を下回る売上高となりました。費用面では本部機能の縮小等によるコスト構造改革や、中国での不採算店の閉鎖、固定費の削減に積極的に取り組んだことにより、前年同期より営業損失が縮小する結果となりました。H2O PLUSブランドは、新商品シリーズの投入に加え、自社サイトのコンテンツの拡充とユーザビリティの向上によりECチャネルの拡大を進めてまいりましたが、一部リテーラーからの撤退やアメニティの出荷減により、前年同期を下回る売上高・営業損失の拡大となりました。
育成ブランドについては、10周年を迎えたTHREEブランドの海外売上の成長や、2018年にローンチしたAmplitudeブランド、ITRIMブランド、FIVEISM×THREEブランドにより、前年同期を上回る売上高となりました。一方で、新ブランドへの更なる成長投資を行ったことにより、前年同期を下回る営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は214,886百万円(前年同期比7.1%減)、営業利益は30,193百万円(前年同期比21.2%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当連結会計年度は、一部テナントの退居の発生により、前年同期を下回る売上高となりましたが、一方で、ビルの価値向上に向けた取り組みや、市況や他社状況を勘案した入居条件に見直しにより収益性が向上し、前年同期を上回る営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,619百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益は1,021百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
(その他)
その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。
ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当連結会計年度は、工事受注減少により、前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。
以上の結果に加え、2019年1月に医薬品事業から撤退した影響により、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,415百万円(前年同期比83.5%減)、営業利益は130百万円(前年同期比83.6%減)となりました。
当連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17,339百万円減少し、227,256百万円(前連結会計年度末比7.1%減)となりました。主な増減項目は、有価証券の増加1,921百万円、ソフトウェアの増加2,419百万円により増加し、現金及び預金の減少10,784百万円、受取手形及び売掛金の減少5,661百万円、商品及び製品の減少3,349百万円により減少しております。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ19,612百万円減少し、36,186百万円(前連結会計年度末比35.1%減)となりました。主な増減項目は、リース債務の増加669百万円により増加し、支払手形及び買掛金の減少2,390百万円、未払金の減少2,435百万円、未払法人税等の減少4,057百万円、事業整理損失引当金の減少9,906百万円により減少しております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,272百万円増加し、191,069百万円(前連結会計年度末比1.2%増)となりました。主な増減項目は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上19,694百万円により増加し、一方で剰余金の配当17,700百万円により減少しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ10,673百万円減少し、65,789百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、21,127百万円の収入(前年同期比30.2%減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益29,813百万円、減価償却費7,377百万円並びに減損損失689百万円、売上債権の増減額607百万円、たな卸資産の増減額1,066百万円により資金は増加し、一方で、ポイント引当金の増減額675百万円、仕入債務の増減額917百万円、法人税等の支払額16,319百万円により資金は減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、12,514百万円の支出(前年同期比37.1%増)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入25,510百万円により資金は増加し、一方で、資金運用計画に沿った余剰資金の運用に伴う有価証券の取得による支出11,900百万円並びに投資有価証券の取得による支出14,390百万円、有形固定資産の取得による支出4,589百万円、無形固定資産の取得による支出4,730百万円により資金は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,336百万円の支出(前年同期比3.9%減)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出1,638百万円、配当金の支払額17,697百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2015年12月期 | 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
自己資本比率(%) | 76.5 | 79.9 | 78.6 | 77.0 | 83.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 188.1 | 233.2 | 346.3 | 268.5 | 254.5 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 195.0 | 406.0 | 481.0 | 510.0 | 251.1 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
としております。
③生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
ビューティケア事業 | 30,667 | △26.8 |
その他 | - | △100.0 |
合計 | 30,667 | △33.1 |
(注) 1 金額は製造会社販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 不動産及びその他事業については、生産活動を行っておりません。
4 その他における減少は、医薬品事業からの撤退によるものであります。
(受注実績)
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
ビューティケア事業 | 214,886 | △7.1 |
不動産事業 | 2,619 | △3.2 |
その他 | 2,415 | △83.5 |
合計 | 219,920 | △11.5 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、その作成には経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。この判断及び見積りに関しては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(たな卸資産)
商品、製品、仕掛品及び原材料は、主として月別移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しており、貯蔵品については、主として最終仕入原価法を採用しております。また、販売可能性の低い長期滞留品については、必要な評価減並びに廃棄処分等を行っております。
(固定資産)
当社グループでは、固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の判定を行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(有価証券)
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。時価のあるものについては、個々の銘柄の時価が取得原価に比較して50%を超えて下落したものについてはすべて、30%を超えて下落したものについては時価の推移及び財政状態等の検討により回収可能性を総合的に判断し、減損処理を行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の貸借対照表への計上にあたって、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額し、回収可能額の範囲内に調整しております。評価性引当額の必要性の検討にあたっては、中期経営計画に基づいた将来課税所得や将来減算一時差異のスケジューリングの結果により判断することで、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により、当該判断を行った期間に利益を計上しております。
なお、当社及び一部の国内子会社は、連結納税制度を適用しているため、繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税グループ全体の課税所得の見積りにより判断しております。
(ポイント引当金)
ポイント制度における将来のポイント使用による売上値引及び記念品費用の支出に備えるため、未使用のポイント残高に対して、過去の使用実績から将来使用されると見込まれる金額を見積り適正な引当金を計上しております。
(退職給付費用及び債務)
当社及び国内連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)、退職一時金制度を設けております。一部の国内連結子会社は、確定拠出型の制度として、中小企業退職金共済制度に加入しております。また、一部の海外連結子会社は、退職一時金制度及び確定拠出型制度を設けております。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などを含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
イ 売上高
当連結会計年度の売上高は219,920百万円(前年同期比11.5%減)となりました。セグメントごと(セグメント間取引を除く)に見ると、ビューティケア事業で214,886百万円(前年同期比7.1%減)、不動産事業で2,619百万円(前年同期比3.2%減)、その他の事業で2,415百万円(前年同期比83.5%減)となりました。ビューティケア事業における減少の主な要因は、POLAブランドの国内インバウンド売上の減少影響によるものであります。その他事業における減少の主な要因は、2019年1月に医薬品事業から撤退した影響によるものであります。
ロ 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度より23,057百万円減少し、183,995百万円(前年同期比11.1%減)となりました。
ハ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より14,699百万円減少し、152,857百万円(前年同期比8.8%減)となりました。医薬品事業からの撤退に伴う人件費の減少や、変動費であるPOLAブランドの販売手数料が減少した他、前連結会計年度に計上したJurliqueブランドの一時費用が減少したものの、新ブランドへの先行投資を実施したことにより、売上高に対する比率は前年を上回っております。
ニ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より8,358百万円減少し、31,137百万円(前年同期比21.2%減)となりました。前述の売上高減による売上総利益減少によるものであります。
ホ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より8,324百万円減少し、30,630百万円(前年同期比21.4%減)となりました。営業利益が減少したことにより、前年を下回っております。
ヘ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度より13,748百万円増加し、29,813百万円(前年同期比85.6%増)となりました。前述の経常利益は減少したものの、前連結会計年度に特別損失として計上した、Jurliqueブランドに係る固定資産の減損損失及び医薬品事業からの撤退決定に伴う事業整理損の影響により、前年を上回っております。
ト 法人税等
法人税等は、前連結会計年度より2,436百万円増加し、10,111百万円(前年同期比31.7%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に計上した特別損失の影響によるものであります。
チ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より11,306百万円増加し、19,694百万円(前年同期比134.8%増)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17,339百万円減少し、227,256百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ19,612百万円減少し、36,186百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,272百万円増加し、191,069百万円となりました。
主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載のとおりであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の338.0%から536.9%に上昇し、自己資本比率が前連結会計年度末の77.0%から83.9%に上昇しております。
(経営戦略の現状と見通し)
経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。今後の資金使途につきましては、新価値創出に向けた研究開発投資、店舗の出店・リニューアルや生産性向上のための設備投資、M&Aを含む新規ブランドの創出・育成に取り組むことで、将来のキャッシュ・フローの創出を目指します。なお、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、子会社における資金業務を当社に集中させることにより、当社グループ全体の資金効率化を図っております。
事業資金と余剰資金については、それぞれ資金運用管理規程及び資金運用管理基準をもとに運用しております。当連結会計年度末の現金及び預金残高は66,548百万円と前連結会計年度末に比べ10,784百万円減少しております。
(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2017年からスタートした4ヶ年中期経営計画において、4ヶ年平均の連結売上高成長率3~4%、連結営業利益成長率10%、2020年末時点のROE 12%の達成を目指してまいりました。次期(2020年12月期)の業績見通しにつきましては、COVID-19(新型コロナウィルス)感染拡大に伴うインバウンド需要等への影響を勘案し、売上高217,000百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益31,200百万円(前年同期比0.2%増)、経常利益30,700百万円(前年同期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20,000百万円(前年同期比1.5%増)を見込んでおります。『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』に記載の重点戦略に取り組み、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。