有価証券報告書-第35期(2022/11/01-2023/10/31)
経営成績等の状況の概要
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍における各種規制が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、景気や企業業績も緩やかながら回復基調となったものの、その一方で、原材料価格の長引く高騰や為替の急激な円安進行などによる景気の下振れリスクも抱えており、依然として先行きの不透明な状況が続いております。国際的な経済情勢においても、インフレの進行や中東情勢の緊迫化、金利の引き締めなどを背景として景気減速の見通しとなるとともに、今後さらに落ち込むリスクが高まってきており、先行きについては予断を許さない状況となっております。
このような経営環境のもと、当社グループの主たる顧客層である学生の動向におきましては、大学(大学院を含む)の学生数は294.6万人と前年より1.5万人増加(文部科学省「令和5年度学校基本調査(速報値)」)しており、前年に引き続き過去最多となるなど、当社グループにとって、良好な市場環境が継続する状況となっております。
このような環境の中で、当社グループにおきましては、中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)の最終年度にあたる当連結会計年度において、主力の不動産賃貸管理事業において、例年に引き続き、当初計画を上回る水準で当社グループの収益基盤である物件管理戸数は堅調に増加するとともに、入居率におきましても、物件管理戸数の増加分も含め高水準を維持するなど、当社グループの経営成績は順調に推移いたしました。
また、入居者の利便性を重視した自社所有物件開発による新規供給におきましても、運営開始当初から好評を得るなど、当社グループの経営成績に貢献いたしました。
一方では、食材価格の高騰や水道光熱費の上昇等、コスト負担の増加に伴う営業利益の圧迫も懸念されますが、販売価格への転嫁を進める等、その影響を最小限に抑える対策も図ってまいりました。
2021年10月期から当連結会計年度(2023年10月期)に至るまで、好調な経営成績を維持し、中期経営計画『GT01』における経営数値目標は超過達成を果たすことができました。
当社グループの掲げる長期ビジョン『Grow Together 2030』における次期フェーズ、中期経営計画『GT02』達成へ向け、堅調な収益基盤の確保等、当社グループとして理想的なかたちでその橋渡しができたと考えております。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は63,781百万円(前年同期比10.1%増)、経常利益は7,073百万円(同14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,775百万円(同11.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりであります。
① 不動産賃貸管理事業
大学との提携による学生寮等の企画開発や、自社所有の学生マンションの新規物件開発等による管理物件の供給増加に伴い、物件管理戸数は順調に増加し当初計画を上回りました。(前年同期比4,842戸増 85,453戸※4月末現在)入居率も高水準(99.9%※4月末現在)を維持したことにより、学生マンションの家賃収入をはじめとする各種不動産賃貸関連サービスにおける売上高は当初計画を上回る状況で推移しました。
費用面におきましては、借上物件の管理戸数増加による保証家賃の増加や、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加、食事付き学生マンションの積極展開及び食材価格の高騰による食材仕入の増加等、当社グループの業容拡大に伴う費用負担がそれぞれ増加しております。
また、前連結会計年度に引き続き、下期におきまして、当社グループ従業員へ利益の一部を還元するとともに、グループ従業員の生活支援とモチベーション向上を目的として特別手当を計上しました。
当セグメントにおける政策的な側面としまして、2023年9月13日に、京都市内北部エリアを中心に事業を展開する株式会社学生ハウジングの全株式を取得することを決議し、今後はグループ一体となり、入居者募集体制をはじめとした営業力の強化に努めてまいります。
以上の結果、売上高60,183百万円(前期比10.6%増)、セグメント利益8,767百万円(同12.7%増)となりました。
② 高齢者住宅事業
2023年5月の新型コロナウイルス感染症の「5類感染症」への分類移行にもみられる、各種規制等が徐々に緩和される状況もあり、前連結会計年度の前半に見られた、高齢者住宅施設への入居マインドの低下から一転し、足もとでの入居状況は改善傾向で推移しました。
一方、費用面では施設運営人材の採用難は依然として続いており、派遣社員の利用増加に伴う人件費負担は増加傾向となりました。
以上の結果、売上高2,980百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益310百万円(同19.1%増)となりました。
なお、2023年9月4日に、当セグメントを中心的に担う株式会社グランユニライフケアサービス(以下、「GUCS」)の全株式を株式会社学研ホールディングスの連結子会社である株式会社学研ココファンに譲渡することを決議し、今後は、同社の持つ強力な組織力のもと事業を展開していくこととなります。
本件株式譲渡に当たり、当社グループの展開する「高齢者住宅事業」をGUCSに移管した後、株式譲渡を実行し、GUCSは当社グループの連結の範囲から除外されるとともに「高齢者住宅事業」は当社グループの事業セグメントから除外されることとなります。
これに伴い、今後、当社グループは主力の「不動産賃貸管理事業」に集中的に経営資源を投下し、成長スピードの加速と企業価値の向上を図ってまいります。
③ その他
コロナ禍における世界的な入国出国規制の影響により、当社の運営する日本語学校事業では、長期間にわたり待機留学生の発生、受け入れ時期の遅延が発生しておりましたが、当該規制の大幅な緩和から、従来の受け入れ体制を取り戻したことにより事業収益は大幅に改善しました。
また、当社では、学生マンションを単なる住居ではなく、「学び・成長・つながり」の場として捉え、若者の人間力・社会人基礎力の向上を目指す、「学びのマンションプロジェクト」を推進するなど、学生支援活動にも積極的に取り組んでおります。
一方、第0新卒事業を運営する株式会社スタイルガーデンは、当初、順調なペースで事業収益の伸張はあったものの、物価高騰をはじめとした市況変化への対応が遅れたこともあり、運営体制の見直しが必要となりました。学生支援に係る当社グループの従来事業とのグループシナジー創出も含め、運営体制の見直しに一定程度の時間を要する見込みであることから、当連結会計年度において、同社に係るのれん等の減損損失を計上しました。
以上の結果、売上高616百万円(前期比0.9%減)、セグメント損失19百万円(前期はセグメント損失59百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて2,979百万円減少し、11,653百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、資金の増加は6,245百万円(前年同期6,043百万円 資金の増加)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益7,108百万円、非資金項目である減価償却費1,429百万円及び法人税等の支払額2,503百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は11,107百万円(前年同期7,089百万円 資金の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出10,812百万円、敷金及び保証金の差入による支出267百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、資金の増加は1,882百万円(前年同期2,996百万円 資金の増加)となりました。これは、主に長期借入れによる収入4,319百万円、長期借入金の返済による支出1,714百万円、自己株式の取得による支出499百万円及び配当金の支払額461百万円によるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づき分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、実際の経営成績等は異なることがあります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては前述の「(1)経営成績の状況」をご参照ください。
2030年長期ビジョン『Grow Together 2030』に基づく中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)に掲げる経営数値目標と実績との比較分析は以下のとおりとなっております。
『GT01』の計画策定時点において、主力の不動産賃貸管理事業では、新型コロナウイルス感染症感染拡大による、学生の動向や大学等教育機関の動向を考慮の上、全国各エリアにおいて一定の入居率の低下を見込んでおりました。しかしながら、計画実践初年度である2021年10月期の賃貸入居需要の繁忙期に当たる第2四半期連結会計期間(2月~4月)において、当初の見込みを一転し、前年実績を上回る入居水準に達するといった好調な状況となりました。また、その後の入居状況についても底堅く推移したことに加え、オンラインを通じ非対面を中心とした営業戦略推進による運営効率化によって、コスト圧縮も想定以上に進んだこともあり、初年度における当初の計画数値を大幅に超過するに至りました。
さらに、2021年7月26日の取締役会決議に基づき、新株式の発行及び株式売出しといった資本政策を実施し、調達資金による成長投資の加速と、投資家層の拡大、市場株式の流動性向上を図りました。
以上のことから、2021年12月14日の取締役会において、『GT01』における2023年10月期目標数値の一部について引き上げることを決定いたしました。
その後の経営成績につきましても順調に推移し、2022年10月期及び2023年10月期における経営実績数値(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)はいずれも超過達成となりました。
財務安全性における「流動比率」、入居関連指標における「契約決定件数」、成長投資における「自社物件」については、計画目標を下回るものの、その乖離幅は僅少と考えられるため、概ね計画の達成を果たしたものと評価しております。
■ 『GT01』2023年10月期 経営数値目標
■ 実績及び達成率
(注)1.( )内は単年度計画
2.2021年10月期及び2022年10月期( )内は、前連結会計年度策定時点の当初単年度計画を表示
3.2023年10月期( )内は、当連結会計年度(2023年10月期)策定の単年度計画を表示(GT01の超過達成を見込む)
4.達成率は各連結会計年度の単年度計画に対する比率を表示
■ 資本効率
■ 財務安全性
■ 入居関連指標
(注)1.管理戸数は4月末現在の不動産賃貸管理事業に係る数値
2.契約決定件数は11月~10月決定数値
■ 成長投資
(注)1.自社物件の実績累計は連結貸借対照表計上額を集計
2.システム投資の実績累計は連結貸借対照表計上額に同投資に係る維持管理費用を加算
b. 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は66,646百万円となり、前連結会計年度末の58,938百万円から7,708百万円の増加(前期比13.1%増)となりました。
(流動資産)
流動資産につきましては、14,059百万円となり、前連結会計年度末の16,607百万円から2,548百万円の減少(前期比15.3%減)となりました。これは、主として現金及び預金が2,979百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産につきましては、52,587百万円となり、前連結会計年度末の42,330百万円から10,257百万円の増加(前期比24.2%増)となりました。これは、主として有形固定資産が9,686百万円、敷金及び保証金が202百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債につきましては、12,049百万円となり、前連結会計年度末の10,469百万円から1,579百万円の増加(前期比15.1%増)となりました。これは、主として1年内返済予定の長期借入金が884百万円、前受金、営業預り金及び契約負債が663百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債につきましては、23,554百万円となり、前連結会計年度末の21,665百万円から1,888百万円の増加(前期比8.7%増)となりました。これは、主として長期借入金が1,720百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、31,043百万円となり、前連結会計年度末の26,803百万円から4,240百万円の増加(前期比15.8%増)となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が4,314百万円増加したこと、また、自己株式が356百万円増加したことによるものであります。
c. キャッシュ・フローの状況の分析
前述の(2)キャッシュ・フローをご参照ください。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。また、これらの連結財務諸表の作成にあたって、一部見積り数値を利用しておりますが、これらの見積り数値の妥当性については、継続的に評価を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性のため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(減損会計における回収可能価額)
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、固定資産の減損につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出に努めるとともに、当社グループの成長戦略推進に不可欠となる新規物件開発等に係る設備投資などの長期的な資金需要については、自己資金及び金融機関からの借入金でまかなうことを基本方針としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は22,180百万円となっており、また、現金及び現金同等物の残高は11,653百万円となっております。
なお、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」をご参照ください。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍における各種規制が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、景気や企業業績も緩やかながら回復基調となったものの、その一方で、原材料価格の長引く高騰や為替の急激な円安進行などによる景気の下振れリスクも抱えており、依然として先行きの不透明な状況が続いております。国際的な経済情勢においても、インフレの進行や中東情勢の緊迫化、金利の引き締めなどを背景として景気減速の見通しとなるとともに、今後さらに落ち込むリスクが高まってきており、先行きについては予断を許さない状況となっております。
このような経営環境のもと、当社グループの主たる顧客層である学生の動向におきましては、大学(大学院を含む)の学生数は294.6万人と前年より1.5万人増加(文部科学省「令和5年度学校基本調査(速報値)」)しており、前年に引き続き過去最多となるなど、当社グループにとって、良好な市場環境が継続する状況となっております。
このような環境の中で、当社グループにおきましては、中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)の最終年度にあたる当連結会計年度において、主力の不動産賃貸管理事業において、例年に引き続き、当初計画を上回る水準で当社グループの収益基盤である物件管理戸数は堅調に増加するとともに、入居率におきましても、物件管理戸数の増加分も含め高水準を維持するなど、当社グループの経営成績は順調に推移いたしました。
また、入居者の利便性を重視した自社所有物件開発による新規供給におきましても、運営開始当初から好評を得るなど、当社グループの経営成績に貢献いたしました。
一方では、食材価格の高騰や水道光熱費の上昇等、コスト負担の増加に伴う営業利益の圧迫も懸念されますが、販売価格への転嫁を進める等、その影響を最小限に抑える対策も図ってまいりました。
2021年10月期から当連結会計年度(2023年10月期)に至るまで、好調な経営成績を維持し、中期経営計画『GT01』における経営数値目標は超過達成を果たすことができました。
当社グループの掲げる長期ビジョン『Grow Together 2030』における次期フェーズ、中期経営計画『GT02』達成へ向け、堅調な収益基盤の確保等、当社グループとして理想的なかたちでその橋渡しができたと考えております。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は63,781百万円(前年同期比10.1%増)、経常利益は7,073百万円(同14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,775百万円(同11.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりであります。
① 不動産賃貸管理事業
大学との提携による学生寮等の企画開発や、自社所有の学生マンションの新規物件開発等による管理物件の供給増加に伴い、物件管理戸数は順調に増加し当初計画を上回りました。(前年同期比4,842戸増 85,453戸※4月末現在)入居率も高水準(99.9%※4月末現在)を維持したことにより、学生マンションの家賃収入をはじめとする各種不動産賃貸関連サービスにおける売上高は当初計画を上回る状況で推移しました。
費用面におきましては、借上物件の管理戸数増加による保証家賃の増加や、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加、食事付き学生マンションの積極展開及び食材価格の高騰による食材仕入の増加等、当社グループの業容拡大に伴う費用負担がそれぞれ増加しております。
また、前連結会計年度に引き続き、下期におきまして、当社グループ従業員へ利益の一部を還元するとともに、グループ従業員の生活支援とモチベーション向上を目的として特別手当を計上しました。
当セグメントにおける政策的な側面としまして、2023年9月13日に、京都市内北部エリアを中心に事業を展開する株式会社学生ハウジングの全株式を取得することを決議し、今後はグループ一体となり、入居者募集体制をはじめとした営業力の強化に努めてまいります。
以上の結果、売上高60,183百万円(前期比10.6%増)、セグメント利益8,767百万円(同12.7%増)となりました。
② 高齢者住宅事業
2023年5月の新型コロナウイルス感染症の「5類感染症」への分類移行にもみられる、各種規制等が徐々に緩和される状況もあり、前連結会計年度の前半に見られた、高齢者住宅施設への入居マインドの低下から一転し、足もとでの入居状況は改善傾向で推移しました。
一方、費用面では施設運営人材の採用難は依然として続いており、派遣社員の利用増加に伴う人件費負担は増加傾向となりました。
以上の結果、売上高2,980百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益310百万円(同19.1%増)となりました。
なお、2023年9月4日に、当セグメントを中心的に担う株式会社グランユニライフケアサービス(以下、「GUCS」)の全株式を株式会社学研ホールディングスの連結子会社である株式会社学研ココファンに譲渡することを決議し、今後は、同社の持つ強力な組織力のもと事業を展開していくこととなります。
本件株式譲渡に当たり、当社グループの展開する「高齢者住宅事業」をGUCSに移管した後、株式譲渡を実行し、GUCSは当社グループの連結の範囲から除外されるとともに「高齢者住宅事業」は当社グループの事業セグメントから除外されることとなります。
これに伴い、今後、当社グループは主力の「不動産賃貸管理事業」に集中的に経営資源を投下し、成長スピードの加速と企業価値の向上を図ってまいります。
③ その他
コロナ禍における世界的な入国出国規制の影響により、当社の運営する日本語学校事業では、長期間にわたり待機留学生の発生、受け入れ時期の遅延が発生しておりましたが、当該規制の大幅な緩和から、従来の受け入れ体制を取り戻したことにより事業収益は大幅に改善しました。
また、当社では、学生マンションを単なる住居ではなく、「学び・成長・つながり」の場として捉え、若者の人間力・社会人基礎力の向上を目指す、「学びのマンションプロジェクト」を推進するなど、学生支援活動にも積極的に取り組んでおります。
一方、第0新卒事業を運営する株式会社スタイルガーデンは、当初、順調なペースで事業収益の伸張はあったものの、物価高騰をはじめとした市況変化への対応が遅れたこともあり、運営体制の見直しが必要となりました。学生支援に係る当社グループの従来事業とのグループシナジー創出も含め、運営体制の見直しに一定程度の時間を要する見込みであることから、当連結会計年度において、同社に係るのれん等の減損損失を計上しました。
以上の結果、売上高616百万円(前期比0.9%減)、セグメント損失19百万円(前期はセグメント損失59百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて2,979百万円減少し、11,653百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、資金の増加は6,245百万円(前年同期6,043百万円 資金の増加)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益7,108百万円、非資金項目である減価償却費1,429百万円及び法人税等の支払額2,503百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は11,107百万円(前年同期7,089百万円 資金の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出10,812百万円、敷金及び保証金の差入による支出267百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、資金の増加は1,882百万円(前年同期2,996百万円 資金の増加)となりました。これは、主に長期借入れによる収入4,319百万円、長期借入金の返済による支出1,714百万円、自己株式の取得による支出499百万円及び配当金の支払額461百万円によるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) | 前年同期比(%) |
不動産賃貸管理事業(千円) | 60,183,753 | 110.6 |
高齢者住宅事業(千円) | 2,980,644 | 104.0 |
報告セグメント計(千円) | 63,164,398 | 110.2 |
その他(千円) | 616,936 | 99.1 |
合計(千円) | 63,781,335 | 110.1 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づき分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、実際の経営成績等は異なることがあります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては前述の「(1)経営成績の状況」をご参照ください。
2030年長期ビジョン『Grow Together 2030』に基づく中期経営計画『GT01』(2021年10月期~2023年10月期)に掲げる経営数値目標と実績との比較分析は以下のとおりとなっております。
『GT01』の計画策定時点において、主力の不動産賃貸管理事業では、新型コロナウイルス感染症感染拡大による、学生の動向や大学等教育機関の動向を考慮の上、全国各エリアにおいて一定の入居率の低下を見込んでおりました。しかしながら、計画実践初年度である2021年10月期の賃貸入居需要の繁忙期に当たる第2四半期連結会計期間(2月~4月)において、当初の見込みを一転し、前年実績を上回る入居水準に達するといった好調な状況となりました。また、その後の入居状況についても底堅く推移したことに加え、オンラインを通じ非対面を中心とした営業戦略推進による運営効率化によって、コスト圧縮も想定以上に進んだこともあり、初年度における当初の計画数値を大幅に超過するに至りました。
さらに、2021年7月26日の取締役会決議に基づき、新株式の発行及び株式売出しといった資本政策を実施し、調達資金による成長投資の加速と、投資家層の拡大、市場株式の流動性向上を図りました。
以上のことから、2021年12月14日の取締役会において、『GT01』における2023年10月期目標数値の一部について引き上げることを決定いたしました。
その後の経営成績につきましても順調に推移し、2022年10月期及び2023年10月期における経営実績数値(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)はいずれも超過達成となりました。
財務安全性における「流動比率」、入居関連指標における「契約決定件数」、成長投資における「自社物件」については、計画目標を下回るものの、その乖離幅は僅少と考えられるため、概ね計画の達成を果たしたものと評価しております。
■ 『GT01』2023年10月期 経営数値目標
売上高 | 622億円 (当初目標:619億円) | |
営業利益 | 67億円 (当初目標:60億円) | |
経常利益 | 65億円 (当初目標:58億円) | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 43億円 (当初目標:38億円) | |
資本効率 | ROE | 15%以上 (変更なし) |
ROIC | 8%以上 (変更なし) | |
財務安全性 | 自己資本比率 | 40%以上 (変更なし) |
流動比率 | 120%以上 (変更なし) | |
入居関連指標 | 管理戸数 | 85,000戸 (変更なし) |
契約決定件数 | 30,000件 (変更なし) | |
成長投資 | 自社物件 | 250億円 (当初目標:200億円) |
システム投資 | 7億円 (当初目標:6億円) |
■ 実績及び達成率
GT01 | 2021年10月期 | 達成率 (%) | 2022年10月期 | 達成率 (%) | 2023年10月期 | 達成率 (%) | |
売上高 (千円) | 62,255,647 | 52,787,978 (52,017,025) | 101.5 | 57,922,958 (57,290,107) | 101.1 | 63,781,335 (63,181,144) | 100.9 |
営業利益 (千円) | 6,743,437 | 5,337,935 (4,268,167) | 125.1 | 6,312,419 (5,881,160) | 107.3 | 7,187,219 (6,783,470) | 106.0 |
経常利益 (千円) | 6,564,473 | 5,203,523 (4,123,011) | 126.2 | 6,189,807 (5,741,181) | 107.8 | 7,073,974 (6,639,370) | 106.5 |
親会社株主に帰属する当期純利益 (千円) | 4,358,213 | 3,252,963 (2,698,673) | 120.5 | 4,303,897 (3,817,684) | 112.7 | 4,775,251 (4,421,899) | 108.0 |
(注)1.( )内は単年度計画
2.2021年10月期及び2022年10月期( )内は、前連結会計年度策定時点の当初単年度計画を表示
3.2023年10月期( )内は、当連結会計年度(2023年10月期)策定の単年度計画を表示(GT01の超過達成を見込む)
4.達成率は各連結会計年度の単年度計画に対する比率を表示
■ 資本効率
GT01 | 2021年10月期 (実績) | 2022年10月期 (実績) | 2023年10月期 (実績) | |
ROE (%) | 15%以上 | 16.1 | 17.2 | 16.5 |
ROIC (%) | 8%以上 | 10.5 | 10.0 | 9.8 |
■ 財務安全性
GT01 | 2021年10月期 (実績) | 2022年10月期 (実績) | 2023年10月期 (実績) | |
自己資本比率 (%) | 40%以上 | 46.0 | 45.4 | 46.5 |
流動比率 (%) | 120%以上 | 155.4 | 158.6 | 116.7 |
■ 入居関連指標
GT01 | 2021年10月期 (実績) | 進捗率 (%) | 2022年10月期 (実績) | 進捗率 (%) | 2023年10月期 (実績) | 進捗率 (%) | |
管理戸数 (戸) | 85,000 | 75,946 | 89.3 | 80,611 | 94.8 | 85,453 | 100.5 |
契約決定件数 (件) | 30,000 | 29,146 | 97.2 | 29,454 | 98.2 | 29,943 | 99.8 |
(注)1.管理戸数は4月末現在の不動産賃貸管理事業に係る数値
2.契約決定件数は11月~10月決定数値
■ 成長投資
GT01 | 2021年10月期 (実績累計) | 進捗率 (%) | 2022年10月期 (実績累計) | 進捗率 (%) | 2023年10月期 (実績累計) | 進捗率 (%) | |
自社物件 (千円) | 25,000,000 | 6,736,301 | 26.9 | 13,697,896 | 54.8 | 24,799,296 | 99.2 |
システム投資(千円) | 700,000 | 249,499 | 35.6 | 470,259 | 67.2 | 704,370 | 100.6 |
(注)1.自社物件の実績累計は連結貸借対照表計上額を集計
2.システム投資の実績累計は連結貸借対照表計上額に同投資に係る維持管理費用を加算
b. 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は66,646百万円となり、前連結会計年度末の58,938百万円から7,708百万円の増加(前期比13.1%増)となりました。
(流動資産)
流動資産につきましては、14,059百万円となり、前連結会計年度末の16,607百万円から2,548百万円の減少(前期比15.3%減)となりました。これは、主として現金及び預金が2,979百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産につきましては、52,587百万円となり、前連結会計年度末の42,330百万円から10,257百万円の増加(前期比24.2%増)となりました。これは、主として有形固定資産が9,686百万円、敷金及び保証金が202百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債につきましては、12,049百万円となり、前連結会計年度末の10,469百万円から1,579百万円の増加(前期比15.1%増)となりました。これは、主として1年内返済予定の長期借入金が884百万円、前受金、営業預り金及び契約負債が663百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債につきましては、23,554百万円となり、前連結会計年度末の21,665百万円から1,888百万円の増加(前期比8.7%増)となりました。これは、主として長期借入金が1,720百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、31,043百万円となり、前連結会計年度末の26,803百万円から4,240百万円の増加(前期比15.8%増)となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が4,314百万円増加したこと、また、自己株式が356百万円増加したことによるものであります。
c. キャッシュ・フローの状況の分析
前述の(2)キャッシュ・フローをご参照ください。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。また、これらの連結財務諸表の作成にあたって、一部見積り数値を利用しておりますが、これらの見積り数値の妥当性については、継続的に評価を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性のため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(減損会計における回収可能価額)
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、固定資産の減損につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出に努めるとともに、当社グループの成長戦略推進に不可欠となる新規物件開発等に係る設備投資などの長期的な資金需要については、自己資金及び金融機関からの借入金でまかなうことを基本方針としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は22,180百万円となっており、また、現金及び現金同等物の残高は11,653百万円となっております。
なお、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」をご参照ください。