訂正有価証券報告書-第74期(2022/04/01-2023/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢等による原材料やエネルギー価格の高騰、新型コロナウイルス感染症による中国市場の混乱などにより、先行きが不透明で厳しい状況が続きました。日本経済においては、原材料・エネルギー価格の高騰や急激な円安進行の影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むなかで景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。
このような経営環境のもと、当社グループは「長期ビジョン(2030ビジョン)」と「中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)」に基づき、持続的な成長と社会価値創出に向けた事業活動を推進するとともに、収益改善のために原材料価格等の高騰に対応した機動的な価格・規格改定の実施、海外や新たな食領域の事業拡大に取り組みました。なお、2023年2月には2024年3月期から始まる新たな3か年の成長戦略を策定、発表しております。
国内事業においては、上期は原料ばれいしょ不足による影響を最小限に食い止めるため、ばれいしょ以外を原料とするコーン・豆系スナック等の拡売を進めました。ばれいしょ不足懸念が解消された秋以降は、スナック菓子全体として販促活動の再開や新製品の発売等を行い、需要拡大に取り組みました。一方、コスト高騰への対応としては全カテゴリーで段階的に価格・規格改定を実施しました。
海外事業では、北米、中華圏を始めとする重点地域における事業拡大に注力しました。北米ではホールディングス体制のもと営業・マーケティング・開発の連携強化や経営の効率化を進めました。中華圏では、プロモーションの強化によりカルビーブランドの浸透を図るとともに、品揃え強化に向けて中国現地および周辺国での生産基盤の整備を進めました。なお、市場特性や競合環境を見極めながら北米や英国等で価格・規格改定を実施し、コスト高騰を吸収しながら収益改善に結びつけました。
サステナブル経営の推進に関しては、再生可能エネルギーの有効活用や生産拠点でのスマートエネルギーネットワーク事業の活用推進、環境省の支援事業である「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」への参画など、温室効果ガス総排出量削減に向けた活動を進めました。持続可能な調達に関する取組みでは、サプライヤーとのエンゲージメントを目的としたサプライヤーアセスメントを開始しました。また、国内全工場においてRSPO認証パーム油(マスバランス方式)へ切り替えが完了したことに伴い、2022年9月より「RSPO認証マーク」を表示した製品を発売しました。BCPについても取組みを強化しており、当連結会計年度では国内2工場でレジリエンス認証を取得しました。なお、外部環境の変化を踏まえ、マテリアリティに人権や生物多様性の課題など重要性が高いテーマを追加して見直しを行っております。
当連結会計年度の売上高は、279,315百万円(前連結会計年度比13.8%増)となりました。国内事業は、上期には原料ばれいしょ不足による販促抑制の影響があったものの、価格・規格改定後もスナック菓子の需要が堅調に推移したことと、行動制限や入国規制の緩和に伴うお土産需要の回復で、増収となりました。海外事業は、北米、中華圏、英国、インドネシア等においてスナック菓子の販売が拡大し、増収となりました。
営業利益は、下期は価格・規格改定効果でコスト高騰によるマイナス影響を吸収できたものの、通期では原材料価格や動力費の高騰の影響が大きく、22,233百万円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。売上高営業利益率は8.0%(前連結会計年度比2.3ポイント低下)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、14,772百万円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。
事業別売上高は以下のとおりです。
*「国内スナック菓子」「国内シリアル食品」「国内その他」の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
(食品製造販売事業)
食品製造販売事業は、国内事業、海外事業ともに前連結会計年度比で増収となりました。
(国内食品製造販売事業)
・国内スナック菓子
国内スナック菓子は、前連結会計年度比で増収となりました。
国内スナック菓子の製品別売上高は以下のとおりです。
*1 製品別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*2 前期まで「ポテト系スナック(Jagabee/じゃがポックル)」「小麦系スナック」「コーン系・豆系スナック」「その他スナック」に区分していたスナックを、当期から「新価値製品・その他スナック」とし、前期の数値も組み替えて記載しています。
・ポテトチップスは、価格・規格改定効果に加えて、秋の北海道産原料ばれいしょの収穫量が計画通り確保できたことにより数量が伸長し、前連結会計年度に比べ増収となりました。発売30周年を迎えリニューアルやプロモーションを行った「堅あげポテト」や、上期のばれいしょ不足に対応して輸入製品を拡大したこと等が貢献しました。
・じゃがりこは、外出先での需要が高まったこと等を背景にコンビニエンスストアでの販売が伸長したことに加え、TVコマーシャルやパッケージリニューアルが奏功し、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・新価値製品・その他スナックは、コーン系スナックと土産用製品が好調で、前連結会計年度に比べ増収となりました。コーン系スナックは、ばれいしょ製品の供給が不足する中で販売に注力したことに加え、相対的な値ごろ感から需要が高まりました。また、国内旅行需要の回復や外国人旅行客の受け入れ再開により「じゃがポックル」等の土産用製品が好調に推移しました。
・国内シリアル食品
国内シリアル食品の売上高は、新製品「ベイクドオーツ」の発売による増収があったものの、基幹製品の売上が減少し、24,210百万円(前連結会計年度比2.0%減)となりました。
・国内その他
国内その他の売上高は、甘しょ事業が伸長し、13,729百万円(前連結会計年度比14.2%増)となりました。
(海外食品製造販売事業)
海外食品製造販売事業は、前連結会計年度比で増収となりました。
海外食品製造販売事業の地域別売上高は以下のとおりです。
*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、豪州
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*4 前期まで別掲していた「英国」「インドネシア」を、当期から「その他地域」に含め、前期の数値も組み替えて記載しています。
・北米は、主力の豆系スナック「Harvest Snaps」は価格改定効果とパッケージリニューアルやラインアップの拡充により伸長し、「かっぱえびせん」等の日本発の製品はエスニック売り場での堅調な需要に加えて販路拡大を行ったことで、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・中華圏は、ゼロコロナ政策に伴うロックダウンにより製品発売スケジュールや小売店舗での展開に遅れが生じたものの、品揃えの強化や販路拡大により前連結会計年度に比べ増収となりました。スナック菓子は「Honey Butter Chip」や当期より販売を開始したBaby&Kids向け製品が寄与しました。シリアル食品は新製品ミューズリーの発売や「フルグラ 糖質オフ」の拡販、新規ECチャネルへの進出が貢献しました。
・その他地域は、英国やインドネシアでの伸長や、タイのGreenday Global社(スナックの製造・販売)が新たに連結子会社に加わったことにより、前連結会計年度に比べ増収となりました。英国では、ポテトチップスの価格改定効果と「Harvest Snaps」の拡売が貢献しました。インドネシアでは、ポテトチップスや小麦系スナック「KrisBee」等すべての製品カテゴリーで伸長しました。
当社グループの経営方針・経営戦略等の進捗状況の評価を行うために有用な指標の状況は下記のとおりであります。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ2,496百万円増加し、239,095百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得に加えて売上拡大に伴い棚卸資産および売掛金が増加したためです。有形固定資産の増加の主なものは、広島の新工場建設によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,268百万円増加し、56,408百万円となりました。この主な要因は、売上拡大に伴い支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ771百万円減少し、182,686百万円となりました。この主な要因は、株主への一層の利益還元と資本効率の向上を図ることを目的として自己株式を取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は72.8%となり、前連結会計年度末に比べ1.3ポイント低下しました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ19,378百万円減少し、30,292百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益が減少したことにより、前連結会計年度と比べ3,016百万円収入が減少し、19,310百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の償還による収入が減少したことにより、前連結会計年度と比べ23,973百万円支出が増加し、20,329百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に前連結会計年度にポテトかいつかの長期借入金を親子ローンに切り替えたことにより、前連結会計年度と比べ5,163百万円支出が減少し、20,004百万円の純支出となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・資金需要の動向
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品製造のための原材料費、労務費、経費および販売活動のための販売費、人件費、物流費等の支払いがあります。投資活動に係る資金支出では主に設備投資や成長投資にかかる資金需要、財務活動に係る資金支出は主に親会社の配当金にかかる資金需要があります。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、手元資金等や借入金を活用する計画です。
資金需要の具体的な内容
設備投資…既存事業の持続的成長・生産性向上、海外生産体制強化
成長投資…成長基盤獲得のための新規事業、DX推進、M&A等
株主還元…連結ベースの総還元性向50%以上、DOE4%目途
当連結会計年度末時点での資金支出の状況は以下のとおりです。
・資金調達の方法
当社グループの資金調達の方法としては、営業活動により得られたキャッシュ・フローに加えて金融機関からの借入金等を活用します。当社及び国内連結子会社においてはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理することにより、余剰資金を集中管理し資金の流動性確保、資金効率の向上を図っております。また、更なる資金の流動性を補完することを目的に複数の金融機関との間に当座貸越契約を締結しており、事業運営上の必要な資金の流動性は十分に確保していると認識しております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①固定資産の減損
当社グループは、営業活動から生ずる損益の継続的な赤字や市場価格の著しい下落等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
なお、当社グループの無形固定資産のうち主なものは株式会社ポテトかいつかを取得したことにより発生したのれんであります。これに対する会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。需要の変化によって過剰または滞留となった棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減を行う可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が前連結会計年度および当連結会計年度で10%以上の相手先はございません。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢等による原材料やエネルギー価格の高騰、新型コロナウイルス感染症による中国市場の混乱などにより、先行きが不透明で厳しい状況が続きました。日本経済においては、原材料・エネルギー価格の高騰や急激な円安進行の影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むなかで景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。
このような経営環境のもと、当社グループは「長期ビジョン(2030ビジョン)」と「中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)」に基づき、持続的な成長と社会価値創出に向けた事業活動を推進するとともに、収益改善のために原材料価格等の高騰に対応した機動的な価格・規格改定の実施、海外や新たな食領域の事業拡大に取り組みました。なお、2023年2月には2024年3月期から始まる新たな3か年の成長戦略を策定、発表しております。
国内事業においては、上期は原料ばれいしょ不足による影響を最小限に食い止めるため、ばれいしょ以外を原料とするコーン・豆系スナック等の拡売を進めました。ばれいしょ不足懸念が解消された秋以降は、スナック菓子全体として販促活動の再開や新製品の発売等を行い、需要拡大に取り組みました。一方、コスト高騰への対応としては全カテゴリーで段階的に価格・規格改定を実施しました。
海外事業では、北米、中華圏を始めとする重点地域における事業拡大に注力しました。北米ではホールディングス体制のもと営業・マーケティング・開発の連携強化や経営の効率化を進めました。中華圏では、プロモーションの強化によりカルビーブランドの浸透を図るとともに、品揃え強化に向けて中国現地および周辺国での生産基盤の整備を進めました。なお、市場特性や競合環境を見極めながら北米や英国等で価格・規格改定を実施し、コスト高騰を吸収しながら収益改善に結びつけました。
サステナブル経営の推進に関しては、再生可能エネルギーの有効活用や生産拠点でのスマートエネルギーネットワーク事業の活用推進、環境省の支援事業である「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」への参画など、温室効果ガス総排出量削減に向けた活動を進めました。持続可能な調達に関する取組みでは、サプライヤーとのエンゲージメントを目的としたサプライヤーアセスメントを開始しました。また、国内全工場においてRSPO認証パーム油(マスバランス方式)へ切り替えが完了したことに伴い、2022年9月より「RSPO認証マーク」を表示した製品を発売しました。BCPについても取組みを強化しており、当連結会計年度では国内2工場でレジリエンス認証を取得しました。なお、外部環境の変化を踏まえ、マテリアリティに人権や生物多様性の課題など重要性が高いテーマを追加して見直しを行っております。
当連結会計年度の売上高は、279,315百万円(前連結会計年度比13.8%増)となりました。国内事業は、上期には原料ばれいしょ不足による販促抑制の影響があったものの、価格・規格改定後もスナック菓子の需要が堅調に推移したことと、行動制限や入国規制の緩和に伴うお土産需要の回復で、増収となりました。海外事業は、北米、中華圏、英国、インドネシア等においてスナック菓子の販売が拡大し、増収となりました。
営業利益は、下期は価格・規格改定効果でコスト高騰によるマイナス影響を吸収できたものの、通期では原材料価格や動力費の高騰の影響が大きく、22,233百万円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。売上高営業利益率は8.0%(前連結会計年度比2.3ポイント低下)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、14,772百万円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。
事業別売上高は以下のとおりです。
2022年3月期 | 2023年3月期 | |||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率 (%) | ||
国内食品製造販売事業 | 188,048 | 207,116 | +10.1 | |
国内スナック菓子 | 176,888 | 194,031 | +9.7 | |
国内シリアル食品 | 24,696 | 24,210 | △2.0 | |
国内その他 | 12,018 | 13,729 | +14.2 | |
リベート等控除 | △25,553 | △24,854 | - | |
海外食品製造販売事業 | 57,370 | 72,198 | +25.8 | |
食品製造販売事業 計 | 245,419 | 279,315 | +13.8 |
*「国内スナック菓子」「国内シリアル食品」「国内その他」の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
(食品製造販売事業)
食品製造販売事業は、国内事業、海外事業ともに前連結会計年度比で増収となりました。
(国内食品製造販売事業)
・国内スナック菓子
国内スナック菓子は、前連結会計年度比で増収となりました。
国内スナック菓子の製品別売上高は以下のとおりです。
2022年3月期 | 2023年3月期 | |||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率 (%) | ||
ポテトチップス | 83,434 | 90,932 | +9.0 | |
じゃがりこ | 34,871 | 39,990 | +14.7 | |
新価値製品・その他スナック | 58,582 | 63,108 | +7.7 | |
国内スナック菓子 計 | 176,888 | 194,031 | +9.7 |
*1 製品別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*2 前期まで「ポテト系スナック(Jagabee/じゃがポックル)」「小麦系スナック」「コーン系・豆系スナック」「その他スナック」に区分していたスナックを、当期から「新価値製品・その他スナック」とし、前期の数値も組み替えて記載しています。
・ポテトチップスは、価格・規格改定効果に加えて、秋の北海道産原料ばれいしょの収穫量が計画通り確保できたことにより数量が伸長し、前連結会計年度に比べ増収となりました。発売30周年を迎えリニューアルやプロモーションを行った「堅あげポテト」や、上期のばれいしょ不足に対応して輸入製品を拡大したこと等が貢献しました。
・じゃがりこは、外出先での需要が高まったこと等を背景にコンビニエンスストアでの販売が伸長したことに加え、TVコマーシャルやパッケージリニューアルが奏功し、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・新価値製品・その他スナックは、コーン系スナックと土産用製品が好調で、前連結会計年度に比べ増収となりました。コーン系スナックは、ばれいしょ製品の供給が不足する中で販売に注力したことに加え、相対的な値ごろ感から需要が高まりました。また、国内旅行需要の回復や外国人旅行客の受け入れ再開により「じゃがポックル」等の土産用製品が好調に推移しました。
・国内シリアル食品
国内シリアル食品の売上高は、新製品「ベイクドオーツ」の発売による増収があったものの、基幹製品の売上が減少し、24,210百万円(前連結会計年度比2.0%減)となりました。
・国内その他
国内その他の売上高は、甘しょ事業が伸長し、13,729百万円(前連結会計年度比14.2%増)となりました。
(海外食品製造販売事業)
海外食品製造販売事業は、前連結会計年度比で増収となりました。
海外食品製造販売事業の地域別売上高は以下のとおりです。
2022年3月期 | 2023年3月期 | ||||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率(%) | 現地通貨 ベースの 伸び率 (%) | ||
北米 | 16,156 | 22,228 | +37.6 | +15.0 | |
中華圏 | 19,590 | 23,405 | +19.5 | +6.0 | |
その他地域 | 28,692 | 36,227 | +26.3 | +15.1 | |
リベート等控除 | △7,069 | △9,662 | - | - | |
海外食品製造販売事業 計 | 57,370 | 72,198 | +25.8 | +11.3 |
*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、豪州
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*4 前期まで別掲していた「英国」「インドネシア」を、当期から「その他地域」に含め、前期の数値も組み替えて記載しています。
・北米は、主力の豆系スナック「Harvest Snaps」は価格改定効果とパッケージリニューアルやラインアップの拡充により伸長し、「かっぱえびせん」等の日本発の製品はエスニック売り場での堅調な需要に加えて販路拡大を行ったことで、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・中華圏は、ゼロコロナ政策に伴うロックダウンにより製品発売スケジュールや小売店舗での展開に遅れが生じたものの、品揃えの強化や販路拡大により前連結会計年度に比べ増収となりました。スナック菓子は「Honey Butter Chip」や当期より販売を開始したBaby&Kids向け製品が寄与しました。シリアル食品は新製品ミューズリーの発売や「フルグラ 糖質オフ」の拡販、新規ECチャネルへの進出が貢献しました。
・その他地域は、英国やインドネシアでの伸長や、タイのGreenday Global社(スナックの製造・販売)が新たに連結子会社に加わったことにより、前連結会計年度に比べ増収となりました。英国では、ポテトチップスの価格改定効果と「Harvest Snaps」の拡売が貢献しました。インドネシアでは、ポテトチップスや小麦系スナック「KrisBee」等すべての製品カテゴリーで伸長しました。
当社グループの経営方針・経営戦略等の進捗状況の評価を行うために有用な指標の状況は下記のとおりであります。
2023年3月期実績 | 2023年3月期目標(期初) | |
連結売上高 | 2,793億円 | 2,680億円 |
連結営業利益 | 222億円 | 255億円 |
国内営業利益率 | 9.5% | 10.9% |
海外売上高 | 722億円 | 685億円 |
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ2,496百万円増加し、239,095百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得に加えて売上拡大に伴い棚卸資産および売掛金が増加したためです。有形固定資産の増加の主なものは、広島の新工場建設によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,268百万円増加し、56,408百万円となりました。この主な要因は、売上拡大に伴い支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ771百万円減少し、182,686百万円となりました。この主な要因は、株主への一層の利益還元と資本効率の向上を図ることを目的として自己株式を取得したことによるものです。
この結果、自己資本比率は72.8%となり、前連結会計年度末に比べ1.3ポイント低下しました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ19,378百万円減少し、30,292百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益が減少したことにより、前連結会計年度と比べ3,016百万円収入が減少し、19,310百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の償還による収入が減少したことにより、前連結会計年度と比べ23,973百万円支出が増加し、20,329百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に前連結会計年度にポテトかいつかの長期借入金を親子ローンに切り替えたことにより、前連結会計年度と比べ5,163百万円支出が減少し、20,004百万円の純支出となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・資金需要の動向
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品製造のための原材料費、労務費、経費および販売活動のための販売費、人件費、物流費等の支払いがあります。投資活動に係る資金支出では主に設備投資や成長投資にかかる資金需要、財務活動に係る資金支出は主に親会社の配当金にかかる資金需要があります。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、手元資金等や借入金を活用する計画です。
資金需要の具体的な内容
設備投資…既存事業の持続的成長・生産性向上、海外生産体制強化
成長投資…成長基盤獲得のための新規事業、DX推進、M&A等
株主還元…連結ベースの総還元性向50%以上、DOE4%目途
当連結会計年度末時点での資金支出の状況は以下のとおりです。
2020年3月期 (百万円) | 2021年3月期 (百万円) | 2022年3月期 (百万円) | 2023年3月期 (百万円) | |
設備投資 | 8,751 | 11,205 | 12,123 | 25,668 |
成長投資 | 7,558 | 13,330 | 1,492 | 2,604 |
株主還元 | 6,425 | 6,693 | 18,691 | 18,723 |
合計 | 22,735 | 31,229 | 32,307 | 46,996 |
・資金調達の方法
当社グループの資金調達の方法としては、営業活動により得られたキャッシュ・フローに加えて金融機関からの借入金等を活用します。当社及び国内連結子会社においてはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理することにより、余剰資金を集中管理し資金の流動性確保、資金効率の向上を図っております。また、更なる資金の流動性を補完することを目的に複数の金融機関との間に当座貸越契約を締結しており、事業運営上の必要な資金の流動性は十分に確保していると認識しております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①固定資産の減損
当社グループは、営業活動から生ずる損益の継続的な赤字や市場価格の著しい下落等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
なお、当社グループの無形固定資産のうち主なものは株式会社ポテトかいつかを取得したことにより発生したのれんであります。これに対する会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。需要の変化によって過剰または滞留となった棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減を行う可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
食品製造販売事業 | 312,080 | 12.3 |
合計 | 312,080 | 12.3 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
食品製造販売事業 | 277,672 | 13.8 |
その他 | 1,643 | 13.4 |
合計 | 279,315 | 13.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が前連結会計年度および当連結会計年度で10%以上の相手先はございません。