有価証券報告書-第70期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/20 15:19
【資料】
PDFをみる
【項目】
159項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度において、当社グループは引き続きイノベーション(成長戦略)とコスト・リダクションを経営の基本方針として、事業活動を推進しました。
国内事業においては、前期には馬鈴しょ不足がポテト系スナックの生産・販売に大きな影響をもたらしましたが、当期は十分な馬鈴しょの確保とともに、ポテトチップスの増量キャンペーン等の積極的な販売活動を行いました。また、新たな顧客層の獲得に向けた取組みとして、「とうもりこ」や「えだまりこ」等の個食サイズの新スナック商品の宣伝活動と全国販売を展開しました。シリアル食品「フルグラ」は、既存商品のサイズラインアップ拡充などの施策により、新規顧客の開拓に努めました。一方、事業の選択と集中を図るため、2018年4月にガーデンベーカリー株式会社(パンおよび菓子類の製造販売)の株式の一部を、2018年9月にカルネコ株式会社(販促物の制作および販売)の全株式を譲渡しました。
海外事業においては、北米、中華圏、インドネシア、英国等の事業拡大に注力しました。北米では、既存スナック商品の販売促進活動や新商品の展開を進めると同時に、原価低減や販促費のコントロールを行い、収益改善に努めました。「フルグラ」の中国への販売拡大に向けて、2018年8月から京都工場での生産を開始するとともに、販売チャネルの拡大を図りました。インドネシアでは、好調な需要を背景にポテトチップスの生産能力を増強しました。英国では、さらなる事業拡大とブランド強化に向けて、2018年10月にポテトチップスブランドを有する製菓会社Seabrook Crisps Limitedの事業を買収しました。一方、海外事業における採算性を精査した結果、フィリピンでのスナック菓子製造・販売の合弁事業を解消することを決定し、2018年9月にCalbee-URC,Inc.の全株式を譲渡、ライセンス契約による当社ブランド商品の製造・販売へと変更しました。
当連結会計年度の売上高は、248,655百万円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。営業利益は、26,964百万円(前連結会計年度比0.5%増)となり、営業利益率は10.8%(前連結会計年度比0.1ポイント改善)になりました。国内事業においては、ポテトチップス等の売上増加による利益貢献があったものの、原材料費や動力費、物流費等のコスト上昇の影響を受けました。海外事業においては、北米での廃棄ロスや労務費削減による原価低減や、中国向け「フルグラ」の売上拡大による利益の増加が貢献しました。経常利益は、為替差益406百万円等により27,432百万円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。また、2018年9月に連結子会社のカルネコ株式会社の全株式を譲渡したことによる関係会社株式売却益2,378百万円を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、19,429百万円(前連結会計年度比12.1%増)となりました。
2018年3月期2019年3月期伸び率(%)現地通貨
ベースの
伸び率
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内売上高217,77486.6208,19383.7△4.4△4.4
海外売上高33,80113.440,46116.3+19.7+20.8
合計251,575100.0248,655100.0△1.2△1.0

事業別の売上高は以下のとおりです。
売上高2018年3月期2019年3月期
金額
(百万円)
金額
(百万円)
伸び率
(%)
① 食品製造販売事業247,577246,064△0.6
国内食品製造販売事業213,775205,602△3.8
国内スナック菓子175,575180,499+2.8
国内シリアル食品23,83623,817△0.1
国内その他食品14,3631,285△91.0
海外食品製造販売事業33,80140,461+19.7
海外スナック菓子31,26635,178+12.5
海外シリアル食品2,5345,283+108.5
② その他事業3,9982,590△35.2
合計251,575248,655△1.2

① 食品製造販売事業
(国内食品製造販売事業)
・国内スナック菓子
国内スナック菓子の売上高は、前連結会計年度に比べ増収となりました。ポテトチップスの需要増により売上が伸長したことに加えて、新たな素材を使った新商品が増収に貢献しました。一方、「Jagabee」、小麦系スナックおよびコーン系・豆系スナックは、ポテトチップスの需要増の反動からの回復が弱く、売上が減少しました。
国内スナック菓子の製品別売上高は以下のとおりです。
売上高2018年3月期2019年3月期
金額
(百万円)
金額
(百万円)
伸び率
(%)
ポテト系スナック126,305133,068+5.4
ポテトチップス77,00784,129+9.2
じゃがりこ35,69537,402+4.8
Jagabee/じゃがポックル13,60211,537△15.2
小麦系スナック22,40520,775△7.3
かっぱえびせん10,7079,705△9.4
サッポロポテト等11,69711,069△5.4
コーン系・豆系スナック16,78515,882△5.4
その他スナック10,07810,773+6.9
国内スナック菓子 計175,575180,499+2.8

・ポテト系スナックの売上高は、前連結会計年度に比べ増収となりました。ポテトチップスは、前年第1四半期において馬鈴しょ不足から販売アイテムの調整を行った影響と、当期実施した増量キャンペーン効果等により、「うすしお味」に代表される定番品および「堅あげポテト」の売上が拡大しました。また、個食サイズの新商品「とうもりこ」および「えだまりこ」が、TVコマーシャルの展開とともに全国販売を開始し、「じゃがりこ」は増収となりました。一方「Jagabee/じゃがポックル」は、「じゃがポックル」が堅調に推移したものの、「Jagabee」の定番品等の販売不振により減収となりました。
・小麦系スナックの売上高は、「かっぱえびせん」の期間限定品の投入等を実施したものの、前期の好調な需要までに至らず、前連結会計年度に比べ減収となりました。
・コーン系・豆系スナックの売上高は、当期に発売したジャパンフリトレーの「ドラゴンポテト」が売上に貢献するも、「チートス」等はポテトチップスの需要増の反動からの回復が弱く、前連結会計年度に比べ減収となりました。
・その他スナックの売上高は、個食サイズの新商品「miino(ミーノ)」および「極じゃが」の売上が拡大し、前連結会計年度に比べ増収となりました。一方、「ポテトチップスクリスプ」は新フレーバーの展開を進めるも、販売不振により、売上が減少しました。
・国内シリアル食品
国内シリアル食品の売上高は、前連結会計年度とほぼ横ばいとなりました。国内の新規顧客開拓に向けた「フルグラ」のSサイズや個食用サイズのラインアップの拡充とともに、「フルグラ糖質オフ」のリニューアルや期間限定品の投入等を継続的に実施したものの、需要の底上げには至りませんでした。一方、中国小売店舗向けの「フルグラ」の需要は順調に拡大しました。
・国内その他食品
国内その他食品の売上高は、ベーカリー事業を2018年4月に譲渡したことから、前連結会計年度に比べ大幅に減収となりました。
(海外食品製造販売事業)
・海外スナック菓子
海外スナック菓子の売上高は、前連結会計年度に比べ増収となりました。欧州においては、2018年10月に英国の製菓会社Seabrook Crisps Limitedの事業を買収したことにより、大幅に増収となりました。豪州においては、市場参入以来、豆系スナック「Harvest Snaps」の売上の拡大が続きました。インドネシアでは、ポテトチップス「Potabee」や2018年3月から販売開始したコーン系スナック「Krisbee Krunchy」の貢献等により増収となりました。北米においては、オーガニック豆を使用した「Harvest Snaps」の販売を開始するも、大手顧客における導入が遅れたことにより、売上が伸び悩みました。一方、韓国では、販売不振が継続し売上が減少しました。
・海外シリアル食品
海外シリアル食品の売上高は、前連結会計年度に比べ大幅に増収となりました。中国向けの「フルグラ」は、日本国内の生産拠点の拡大とともに、前期に開始した越境Eコマースに加え、当期から開始した中国国内のEコマースにより、販売を拡大しました。
海外食品製造販売事業の地域別売上高は以下のとおりです。
売上高2018年3月期2019年3月期
金額
(百万円)
金額
(百万円)
伸び率(%)
北米9,8439,941+1.0
アジア中華圏8,71811,339+30.1
韓国5,2834,636△12.2
その他アジア・豪州8,55110,350+21.0
欧州1,4044,193+198.6
海外食品製造販売事業 計33,80140,461+19.7

*1 中華圏:中国、台湾、香港
*2 その他アジア・豪州:タイ、フィリピン、シンガポール、インドネシア、オーストラリア
② その他事業
その他事業には、主に物流事業、販売促進ツール関連事業が含まれておりますが、販促物の制作および販売を行うカルネコ株式会社の全株式を2018年9月に譲渡したことから、前連結会計年度に比べ大幅に減収となりました。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ10,715百万円増加し、202,750百万円となりました。この主な要因は、資金運用のために有価証券を取得し、増加したことによるものです。
負債は、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ3,106百万円減少し、42,260百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ13,822百万円増加し、160,490百万円となりました。
この結果、自己資本比率は75.9%となり、前連結会計年度末に比べ3.3ポイント上昇しました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,769百万円減少し、35,425百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主として売上債権が減少したことにより前連結会計年度と比べ18,262百万円収入が増加し、27,620百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出の増加および有価証券の償還による収入の減少、ならびに連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことにより前連結会計年度と比べ22,089百万円支出が増加し、28,347百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主として前期に非支配株主からの増資があったために収入が減少となり、前連結会計年度と比べ776百万円支出が増加し、6,227百万円の純支出となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載の通りであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
食品製造販売事業245,283△0.7
合計245,283△0.7

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
食品製造販売事業246,064△0.6
その他2,590△35.2
合計248,655△1.2

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
販売高
(百万円)
割合(%)販売高
(百万円)
割合(%)
三菱食品㈱28,08011.229,74912.0
㈱山星屋24,1279.625,67910.3
コンフェックス㈱22,3928.925,17610.1

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。