有価証券報告書-第75期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、長期化するロシア・ウクライナ情勢、中東問題等の地政学的リスクおよび中国の景気低迷などから先行きの不透明な状況が続く一方、米国経済成長率の堅調な推移といった下支えの動きも見られました。日本経済においては、円安の進行によるコスト高止まりの影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済再開が本格的に進み、年明けには日本銀行のマイナス金利政策からの転換や昨年以上の賃上げの動き等、経済循環の正常化も顕著でした。このような経済環境のもと、国内においては原材料等のコスト高騰に対応すべく価格・規格改定を前期に続き実施するとともに、昨年2月に公表した「2030ビジョン・成長戦略」に基づき次なる成長に向けた事業構造改革に向けた取り組みを進め、成長ガイダンス以上の業績となりました。海外においては、欧米を中心とした世界的なインフレーション進行や中国の景況感悪化による影響に対応しつつ、各地での事業拡大に努めました。
国内事業においては、価格・規格改定実施後の早期の販売回復に努め、継続的なマーケティングや旅行需要の獲得で販売数量を伸ばすことにより収益増に取り組みました。また、主力製品の生産ライン増設による生産能力増や2025年3月期に稼働開始を予定する「せとうち広島工場」建設も着実に進めました。
海外事業では、北米、中華圏の事業環境の変化に対応しつつ、その他地域の事業拡大に取り組みました。北米では製造受託事業の収益性改善を進める一方、主力ブランドの「Harvest Snaps」や日本発ブランドは営業体制を強化し、現地主要小売業者への販売を拡大しました。中華圏では、消費者の節約志向の高まりや処理水問題に起因する当社主要スナック製品の通関規制の強化による販売減に対し、周辺地域拠点からの輸入代替や製造委託による現地生産に取り組み始めています。また、その他地域では、英国やインドネシアを中心に新製品上市や生産能力増も行い、事業拡大に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進においては、地球温暖化適応策として、海外グループ各社のGHG排出量算定をプロジェクト体制にて推進し、同時に水・パーム油・紙・プラスチックに関する現状把握を行いました。国内では昨年度の環境省支援事業「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」にて策定したロードマップに沿って、自社だけの削減に留まらないスコープ3カテゴリー1の原材料「ばれいしょ」の排出量見える化に取り組み(農林水産省支援事業)、契約農家へのヒアリング等を実施しました。その他原材料についてはサプライヤーアセスメントでの現状把握に伴い協働を強化しました。生物多様性や人権課題の重要性を高め再特定したマテリアリティに基づき、2025年秋のTNFD情報開示を目指し準備を進めています。また、「カルビーグループ環境ポリシー」および「カルビーグループ人権方針」を整備し、国連グローバル・コンパクトへの署名も行い、コミットメントをグローバルに拡大しています。
当連結会計年度の売上高は、303,027百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。国内事業は、価格・規格改定効果に加え、前年上期に行ったばれいしょ不足による販売抑制の解消や人流回復による土産用製品の需要増、ブランド強化のためのマーケティング、営業活動と生産能力増による需要の着実な獲得から増収となりました。海外事業は北米、中華圏の不調を英国、インドネシア等のその他地域で補い、増収となりました。
営業利益は、27,304百万円(前連結会計年度比22.8%増)となり、売上高営業利益率は9.0%(前連結会計年度比1.1ポイント上昇)となりました。国内事業において、年度を通じ原材料価格の上昇は継続しましたが、これを価格・規格改定により相殺し、販売数量の伸長により増益となりました。また、海外事業は過去最高益となりました。経常利益は、円安の進行に伴う為替差益の営業外収益への計上により、31,155百万円(前連結会計年度比32.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は19,886百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。
事業別売上高は以下のとおりです。
*「国内スナック菓子」「国内シリアル食品」「国内その他」の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
(食品製造販売事業)
食品製造販売事業は、国内事業、海外事業ともに前連結会計年度比で増収となりました。
(国内食品製造販売事業)
・国内スナック菓子
国内スナック菓子は、前連結会計年度比で増収となりました。
国内スナック菓子の製品別売上高は以下のとおりです。
*1 製品別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*2 前期の「新価値製品・その他スナック」を当期より「その他スナック」に名称変更しています。
・ポテトチップスは、「うすしお味」等の定番品や「堅あげポテト」を中心とした販売増により、前連結会計年度に比べ増収となりました。高水準のばれいしょ収穫量による安定した原材料供給、継続的なマーケティングの実施とそれに連動した営業活動が奏功しました。
・じゃがりこは、人流回復もあり定番品を中心に強い需要が継続し、生産能力増の寄与もあり、前連結会計年度に比べ増収となりました。また、新製品「じゃがりこ細いやつ サラダ」の貢献もありました。
・その他スナックは、国内外観光客の増加等により「じゃがポックル」等の土産用製品が大きく伸長しました。また、小麦系、コーン系、豆系スナックも全体的に好調であり、2024年に発売60周年を迎えた「かっぱえびせん」の販売伸長も寄与し、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・国内シリアル食品
国内シリアル食品の売上高は、他社とのコラボレーション企画品「フルグラ ブラックサンダー味」やマーケティング活動に連携した営業強化が奏功し、既存の大容量製品も販売増となり下期には需要拡大を牽引したことから、26,194百万円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。
・国内その他
国内その他の売上高は、甘しょ事業が伸長し、15,565百万円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。
(海外食品製造販売事業)
海外食品製造販売事業は、前連結会計年度比で増収となりました。
海外食品製造販売事業の地域別売上高は以下のとおりです。
*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、オーストラリア
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
・北米は、配荷拡大により豆系スナック「Harvest Snaps」や「じゃがりこ」「かっぱえびせん」が牽引する日本発ブランドは販売を伸ばした一方、スナック菓子の受託製造販売減少が続いたことから、現地通貨ベースで前連結会計年度に比べ減収となりました。
・中華圏は、景況感の悪化や通関規制強化の影響により小売店舗向けおよびECチャネルとも販売が低調になったことから、前連結会計年度に比べ減収となりました。
・その他地域は、年度を通して英国、インドネシア等における事業拡大が貢献し、前連結会計年度に比べ増収となりました。英国ではSeabrookブランド製品の配荷拡大や新製品の発売により増収となり、インドネシアでは、生地スナックの生産能力増もあり販売が伸長したこと等から増収となりました。
当社グループの経営方針・経営戦略等の進捗状況の評価を行うために有用な指標の状況は下記のとおりであります。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ53,063百万円増加し、292,158百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の増加に加え売掛金の増加によるものです。有形固定資産の増加の主なものは、せとうち広島工場の建設およびじゃがりこ製造設備の新設です。売掛金の増加は3月末日が銀行休業日だったことにより回収が翌月にずれ込んだことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ34,663百万円増加し、91,072百万円となりました。この主な要因は、長期借入金の増加によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ18,399百万円増加し、201,086百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は65.6%となり、前連結会計年度末に比べ7.2ポイント低下しました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,426百万円増加し、37,718百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,350百万円の純収入となり、前連結会計年度と比べ5,039百万円収入が増加しました。主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、35,307百万円の純支出となり、前連結会計年度と比べ14,977百万円支出が増加しました。主に有価証券の償還による収入が減少したことおよび有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16,850百万円の純収入となり、前連結会計年度と比べ36,855百万円収入が増加しました。主に長期借入れによる収入が増加したことおよび自己株式の取得による支出が減少したことによるものです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・資金需要の動向
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品製造のための原材料費、労務費、経費および販売活動のための販売費、人件費、物流費等の支払いがあります。投資活動に係る資金支出では主に設備投資や成長投資にかかる資金需要、財務活動に係る資金支出は主に親会社の配当金にかかる資金需要があります。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、手元資金等や借入金を活用する計画です。
資金需要の具体的な内容
成長投資…国内外の事業成長のための設備投資および新規領域投資、海外基盤化のためのM&A等
効率化投資…ESG対応、自動化・省力化等の生産性向上のための設備投資
株主還元…連結ベースの総還元性向50%以上、DOE4%目途
当連結会計年度末時点での資金支出の状況は以下のとおりです。
・資金調達の方法
当社グループの資金調達の方法としては、営業活動により得られたキャッシュ・フローに加えて金融機関からの借入金等を活用します。当社及び国内連結子会社においてはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理することにより、余剰資金を集中管理し資金の流動性確保、資金効率の向上を図っております。また、更なる資金の流動性を補完することを目的に複数の金融機関との間に当座貸越契約を締結しており、事業運営上の必要な資金の流動性は十分に確保していると認識しております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①固定資産の減損
当社グループは、営業活動から生ずる損益の継続的な赤字や市場価格の著しい下落等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
なお、当社グループの無形固定資産のうち主なものはカルビーかいつかスイートポテト株式会社を取得したことにより発生したのれんであります。これに対する会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。需要の変化によって過剰または滞留となった棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減を行う可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が前連結会計年度および当連結会計年度で10%以上の相手先はございません。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、長期化するロシア・ウクライナ情勢、中東問題等の地政学的リスクおよび中国の景気低迷などから先行きの不透明な状況が続く一方、米国経済成長率の堅調な推移といった下支えの動きも見られました。日本経済においては、円安の進行によるコスト高止まりの影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済再開が本格的に進み、年明けには日本銀行のマイナス金利政策からの転換や昨年以上の賃上げの動き等、経済循環の正常化も顕著でした。このような経済環境のもと、国内においては原材料等のコスト高騰に対応すべく価格・規格改定を前期に続き実施するとともに、昨年2月に公表した「2030ビジョン・成長戦略」に基づき次なる成長に向けた事業構造改革に向けた取り組みを進め、成長ガイダンス以上の業績となりました。海外においては、欧米を中心とした世界的なインフレーション進行や中国の景況感悪化による影響に対応しつつ、各地での事業拡大に努めました。
国内事業においては、価格・規格改定実施後の早期の販売回復に努め、継続的なマーケティングや旅行需要の獲得で販売数量を伸ばすことにより収益増に取り組みました。また、主力製品の生産ライン増設による生産能力増や2025年3月期に稼働開始を予定する「せとうち広島工場」建設も着実に進めました。
海外事業では、北米、中華圏の事業環境の変化に対応しつつ、その他地域の事業拡大に取り組みました。北米では製造受託事業の収益性改善を進める一方、主力ブランドの「Harvest Snaps」や日本発ブランドは営業体制を強化し、現地主要小売業者への販売を拡大しました。中華圏では、消費者の節約志向の高まりや処理水問題に起因する当社主要スナック製品の通関規制の強化による販売減に対し、周辺地域拠点からの輸入代替や製造委託による現地生産に取り組み始めています。また、その他地域では、英国やインドネシアを中心に新製品上市や生産能力増も行い、事業拡大に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進においては、地球温暖化適応策として、海外グループ各社のGHG排出量算定をプロジェクト体制にて推進し、同時に水・パーム油・紙・プラスチックに関する現状把握を行いました。国内では昨年度の環境省支援事業「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」にて策定したロードマップに沿って、自社だけの削減に留まらないスコープ3カテゴリー1の原材料「ばれいしょ」の排出量見える化に取り組み(農林水産省支援事業)、契約農家へのヒアリング等を実施しました。その他原材料についてはサプライヤーアセスメントでの現状把握に伴い協働を強化しました。生物多様性や人権課題の重要性を高め再特定したマテリアリティに基づき、2025年秋のTNFD情報開示を目指し準備を進めています。また、「カルビーグループ環境ポリシー」および「カルビーグループ人権方針」を整備し、国連グローバル・コンパクトへの署名も行い、コミットメントをグローバルに拡大しています。
当連結会計年度の売上高は、303,027百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。国内事業は、価格・規格改定効果に加え、前年上期に行ったばれいしょ不足による販売抑制の解消や人流回復による土産用製品の需要増、ブランド強化のためのマーケティング、営業活動と生産能力増による需要の着実な獲得から増収となりました。海外事業は北米、中華圏の不調を英国、インドネシア等のその他地域で補い、増収となりました。
営業利益は、27,304百万円(前連結会計年度比22.8%増)となり、売上高営業利益率は9.0%(前連結会計年度比1.1ポイント上昇)となりました。国内事業において、年度を通じ原材料価格の上昇は継続しましたが、これを価格・規格改定により相殺し、販売数量の伸長により増益となりました。また、海外事業は過去最高益となりました。経常利益は、円安の進行に伴う為替差益の営業外収益への計上により、31,155百万円(前連結会計年度比32.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は19,886百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。
事業別売上高は以下のとおりです。
2023年3月期 | 2024年3月期 | |||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率 (%) | ||
国内食品製造販売事業 | 207,116 | 229,887 | +11.0 | |
国内スナック菓子 | 194,031 | 214,642 | +10.6 | |
国内シリアル食品 | 24,210 | 26,194 | +8.2 | |
国内その他 | 13,729 | 15,565 | +13.4 | |
リベート等控除 | △24,854 | △26,515 | ― | |
海外食品製造販売事業 | 72,198 | 73,140 | +1.3 | |
食品製造販売事業 計 | 279,315 | 303,027 | +8.5 |
*「国内スナック菓子」「国内シリアル食品」「国内その他」の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
(食品製造販売事業)
食品製造販売事業は、国内事業、海外事業ともに前連結会計年度比で増収となりました。
(国内食品製造販売事業)
・国内スナック菓子
国内スナック菓子は、前連結会計年度比で増収となりました。
国内スナック菓子の製品別売上高は以下のとおりです。
2023年3月期 | 2024年3月期 | |||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率 (%) | ||
ポテトチップス | 90,932 | 98,274 | +8.1 | |
じゃがりこ | 39,990 | 45,353 | +13.4 | |
その他スナック | 63,108 | 71,014 | +12.5 | |
国内スナック菓子 計 | 194,031 | 214,642 | +10.6 |
*1 製品別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*2 前期の「新価値製品・その他スナック」を当期より「その他スナック」に名称変更しています。
・ポテトチップスは、「うすしお味」等の定番品や「堅あげポテト」を中心とした販売増により、前連結会計年度に比べ増収となりました。高水準のばれいしょ収穫量による安定した原材料供給、継続的なマーケティングの実施とそれに連動した営業活動が奏功しました。
・じゃがりこは、人流回復もあり定番品を中心に強い需要が継続し、生産能力増の寄与もあり、前連結会計年度に比べ増収となりました。また、新製品「じゃがりこ細いやつ サラダ」の貢献もありました。
・その他スナックは、国内外観光客の増加等により「じゃがポックル」等の土産用製品が大きく伸長しました。また、小麦系、コーン系、豆系スナックも全体的に好調であり、2024年に発売60周年を迎えた「かっぱえびせん」の販売伸長も寄与し、前連結会計年度に比べ増収となりました。
・国内シリアル食品
国内シリアル食品の売上高は、他社とのコラボレーション企画品「フルグラ ブラックサンダー味」やマーケティング活動に連携した営業強化が奏功し、既存の大容量製品も販売増となり下期には需要拡大を牽引したことから、26,194百万円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。
・国内その他
国内その他の売上高は、甘しょ事業が伸長し、15,565百万円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。
(海外食品製造販売事業)
海外食品製造販売事業は、前連結会計年度比で増収となりました。
海外食品製造販売事業の地域別売上高は以下のとおりです。
2023年3月期 | 2024年3月期 | ||||
金額 (百万円) | 金額 (百万円) | 伸び率(%) | 現地通貨 ベースの 伸び率 (%) | ||
北米 | 22,228 | 23,473 | +5.6 | △1.3 | |
中華圏 | 23,405 | 18,568 | △20.7 | △23.3 | |
その他地域 | 36,227 | 40,411 | +11.6 | +4.3 | |
リベート等控除 | △9,662 | △9,313 | ― | ― | |
海外食品製造販売事業 計 | 72,198 | 73,140 | +1.3 | △4.7 |
*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、オーストラリア
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
・北米は、配荷拡大により豆系スナック「Harvest Snaps」や「じゃがりこ」「かっぱえびせん」が牽引する日本発ブランドは販売を伸ばした一方、スナック菓子の受託製造販売減少が続いたことから、現地通貨ベースで前連結会計年度に比べ減収となりました。
・中華圏は、景況感の悪化や通関規制強化の影響により小売店舗向けおよびECチャネルとも販売が低調になったことから、前連結会計年度に比べ減収となりました。
・その他地域は、年度を通して英国、インドネシア等における事業拡大が貢献し、前連結会計年度に比べ増収となりました。英国ではSeabrookブランド製品の配荷拡大や新製品の発売により増収となり、インドネシアでは、生地スナックの生産能力増もあり販売が伸長したこと等から増収となりました。
当社グループの経営方針・経営戦略等の進捗状況の評価を行うために有用な指標の状況は下記のとおりであります。
2024年3月期実績 | 2024年3月期目標(期初) | |
連結売上高 | 3,030億円 | 2,930億円 |
連結営業利益 | 273億円 | 240億円 |
国内営業利益率 | 10.4% | 9.8% |
海外売上高 | 731億円 | 800億円 |
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ53,063百万円増加し、292,158百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の増加に加え売掛金の増加によるものです。有形固定資産の増加の主なものは、せとうち広島工場の建設およびじゃがりこ製造設備の新設です。売掛金の増加は3月末日が銀行休業日だったことにより回収が翌月にずれ込んだことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ34,663百万円増加し、91,072百万円となりました。この主な要因は、長期借入金の増加によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ18,399百万円増加し、201,086百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は65.6%となり、前連結会計年度末に比べ7.2ポイント低下しました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,426百万円増加し、37,718百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,350百万円の純収入となり、前連結会計年度と比べ5,039百万円収入が増加しました。主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、35,307百万円の純支出となり、前連結会計年度と比べ14,977百万円支出が増加しました。主に有価証券の償還による収入が減少したことおよび有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16,850百万円の純収入となり、前連結会計年度と比べ36,855百万円収入が増加しました。主に長期借入れによる収入が増加したことおよび自己株式の取得による支出が減少したことによるものです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・資金需要の動向
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品製造のための原材料費、労務費、経費および販売活動のための販売費、人件費、物流費等の支払いがあります。投資活動に係る資金支出では主に設備投資や成長投資にかかる資金需要、財務活動に係る資金支出は主に親会社の配当金にかかる資金需要があります。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、手元資金等や借入金を活用する計画です。
資金需要の具体的な内容
成長投資…国内外の事業成長のための設備投資および新規領域投資、海外基盤化のためのM&A等
効率化投資…ESG対応、自動化・省力化等の生産性向上のための設備投資
株主還元…連結ベースの総還元性向50%以上、DOE4%目途
当連結会計年度末時点での資金支出の状況は以下のとおりです。
2024年3月期 (百万円) | 3ヵ年計画 (2024年3月期~2026年3月期) (百万円) | 進捗率 (%) | |
成長投資 | 10,779 | 80,000 | 13.5 |
効率化投資 | 22,118 | 60,000 | 36.9 |
株主還元 | 6,504 | 25,000 | 26.0 |
合計 | 39,402 | 165,000 | 23.9 |
・資金調達の方法
当社グループの資金調達の方法としては、営業活動により得られたキャッシュ・フローに加えて金融機関からの借入金等を活用します。当社及び国内連結子会社においてはキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理することにより、余剰資金を集中管理し資金の流動性確保、資金効率の向上を図っております。また、更なる資金の流動性を補完することを目的に複数の金融機関との間に当座貸越契約を締結しており、事業運営上の必要な資金の流動性は十分に確保していると認識しております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①固定資産の減損
当社グループは、営業活動から生ずる損益の継続的な赤字や市場価格の著しい下落等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
なお、当社グループの無形固定資産のうち主なものはカルビーかいつかスイートポテト株式会社を取得したことにより発生したのれんであります。これに対する会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。需要の変化によって過剰または滞留となった棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減を行う可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
食品製造販売事業 | 333,890 | 7.0 |
合計 | 333,890 | 7.0 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
食品製造販売事業 | 301,249 | 8.5 |
その他 | 1,777 | 8.2 |
合計 | 303,027 | 8.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が前連結会計年度および当連結会計年度で10%以上の相手先はございません。