有価証券報告書-第36期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:10
【資料】
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【項目】
106項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の着実な改善等により緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループの関連する医療・高齢者福祉分野におきましては、2018年度診療報酬・介護報酬の同時改定の内容が決定しました。診療報酬につきましては全体では引き下げとなったものの、医師等の技術料にあたる本体部分につきましてはプラスとなり、介護報酬につきましては6年ぶりのプラス改定となりました。団塊の世代すべてが後期高齢者となる2025年を見据え、将来の医療・介護体制の維持に向けた内容となりました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては2016年4月から2021年3月までを対象とした中期経営計画「2020プラン」の確実な達成に向け、積極的に事業を展開いたしました。同計画におきましては、2021年3月期の連結売上高1,000億円、連結営業利益140億円を目標とし、重点施策といたしまして「既存事業の維持・拡大」「海外事業拡大の加速」「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」を掲げております。
製品開発におきましては、省スペース性を保ちながら患者の快適性に配慮した透析室・化学療法室向けチェア「L'za(エルザ)」をモデルチェンジしたほか、業界初の見守りセンサー内蔵型超低床電動ベッド「エスパシアシリーズ」、やわらかさの異なる2つの面を使い分けることができるリバーシブルタイプの床ずれ防止マットレス「エバープラウド」等を開発・発売いたしました。
海外事業につきましては、メキシコ及びインドにおいて、それぞれ組立工場が稼働を開始いたしました。日本、インドネシア、中国、ベトナムの各生産拠点との連携を強化し、最適な生産体制を構築してまいります。
新たな事業の一環といたしましては、トヨタ自動車株式会社が開発したリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォークWW-1000」の販売及び設置・修理対応等のサービス業務を開始したほか、コンシューマー事業において、眠りに関するさまざまな情報を発信する拠点「パラマウントベッド 眠りギャラリー TOKYO」(東京都中央区京橋)をオープンいたしました。また、連結子会社であるパラテクノ株式会社がテレビシステム事業を行うCSアメニティサポート株式会社の全株式を取得し、2018年2月に子会社といたしました。
販売面におきましては、製品販売事業のパラマウントベッド株式会社、メンテナンス事業のパラテクノ株式会社、福祉用具レンタル卸事業のパラマウントケアサービス株式会社等、国内子会社を中心に概ね計画通り推移いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ102億13百万円増加し、1,391億76百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41億97百万円減少し、363億73百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ144億11百万円増加し、1,028億3百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における主要な品目別売上高は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、品目区分を新たに追加し、集計方法について見直しをいたしました。
(単位:百万円)
品目当連結会計年度前年度増減 (%)
ベッド27,327△2.4
マットレス4,6774.5
病室用家具7,4526.9
医療用器具備品5,6015.5
レンタル17,36811.2
部品等3,4912.2
その他11,30020.0
合計77,2205.5

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比40億21百万円増(5.5%増)の772億20百万円となりました。
営業利益につきましては、新規事業に対する先行投資に加え、運送費の増加、支店建て替えに伴う費用の発生等により前連結会計年度比3億53百万円減(3.2%減)の106億61百万円となりました。
次に、経常利益につきましては、投資事業組合の運用益等を計上したことにより前連結会計年度比3億73百万円増(3.2%増)の121億61百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比6億68百万円減(7.4%減)の83億66百万円となりました。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、344億35百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は99億67百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益122億1百万円、減価償却費58億59百万円、退職給付に係る負債の増加額2億49百万円等の増加と、法人税等の支払額28億3百万円、リース債務の支払額21億60百万円等の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は4億93百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得額66億78百万円、有形固定資産の取得額18億22百万円等による減少と、定期預金の払戻による収入61億79百万円、有価証券及び投資有価証券の売却額22億22百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は26億21百万円となりました。これは主に、配当金の支払額26億19百万円等の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
a. 生産実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
ベッド34,1145.4
マットレス5,2806.6
病室用家具3,86220.9
医療用器具備品3,82147.5
その他3,06232.3
合計50,14110.4

(注)1.金額は販売価格によって表示しております。
2.当社グループはベッド関連事業の単一セグメントであるため、品目別の生産実績を記載しております。
b. 商品仕入実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
病室用家具他12,97429.3
合計12,97429.3

c. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前事業年度に発売した在宅介護用ベッドの新製品特需が一巡したものの、特別養護老人ホーム等の新築案件が増加いたしました。また、メンテナンス事業や福祉用具レンタル卸事業の拡大に加え、病室全体のリフォームを請け負う案件の増加や、ベッド上のご利用者様の心拍、呼吸を非装着でリアルタイムに測定する「眠りSCAN」の販売が増加するなど、ベッド以外の販売が拡大したことにより、前連結会計年度比40億21百万円増(5.5%増)の772億20百万円となりました。
売上総利益は、鋼材の値上げや対人民元で円安に推移したことによる原価の増加等があり、売上総利益率が低下したものの、売上高の増加により利益は増加し、前連結会計年度と比べて4.4%増加の351億20百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度比3.2%減少し、106億61百万円となりました。これは主に、売上総利益が前連結会計年度と比べて4.4%増加の351億20百万円となったものの、販売費及び一般管理費が、新規事業に対する先行投資に加え、運送費の増加、支店建て替えに伴う費用の発生等により前連結会計年度と比べて8.1%増加の244億58百万円となったことによるものです。
経常利益は、投資事業組合の運用益等を計上したことにより、前連結会計年度比3億73百万円増(3.2%増)の121億61百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同6億68百万円減(7.4%減)の83億66百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源については、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら社債を発行するなど、機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、急激な事業環境の変化への備えとして充実した自己資本を維持し、利益処分は、株主還元と将来の事業拡大に向けた投資と内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、344億35百万円となりました。この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(220億31百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。これは、本来の事業活動により得た利益や事業成長の結果が反映されやすく、かつ配当金など株主還元の原資でもあり、株主の皆様にとって理解しやすい指標であると認識しております。また、EPS向上のために、当社グループが掲げている中期経営計画「2020プラン」において、2021年3月期の連結売上高1,000億円、連結営業利益140億円を目標としております。「2020プラン」の重点施策として「既存事業の維持・拡大」「海外事業拡大の加速」「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」を掲げており、これを達成すべく、福祉用具レンタル拡大のためのレンタル資産やメンテナンス設備導入、海外事業拡大のための組立生産工場設立やショールーム開設などの設備投資、「眠りSCAN」などで得られるデータを活用するためのソフトウェアやシステム構築などの研究開発投資、海外事業拡大のための国内からの人材シフトやソフトウェア・システム開発人材採用など、経営資源の適切な配分に努めてまいります。