有価証券報告書-第39期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 11:42
【資料】
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【項目】
125項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、東京オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめとするさまざまなイベントが延期や中止となったほか、経済活動の多くが制限されるなど厳しい状況で推移いたしました。
当社グループの関連する医療・介護分野におきましては、同ウイルス感染症の拡大防止・収束に向けてそれぞれの従事者の方々が奮闘されているなかで、医療機関では、受診控えによる外来・入院患者及び手術数の減少等による経営の悪化が深刻化するとともに、介護事業所においても、通所介護・訪問介護等で利用控えが顕著になっております。当社グループにおきましては、製品やサービスの提供を継続することで医療・介護体制の維持に貢献し、敬意と謝意をもって医療・介護施設及び従事者の方々をサポートしたいと考えております。引き続き社内外への感染防止と従業員の安全確保を最優先に考え、政府・自治体の方針に基づき迅速に対応してまいります。
当社グループは2020年4月1日付で組織改正及び代表取締役の異動等、経営体制を変更いたしました。新たな体制の下で、10年後の2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」を策定いたしました。「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」を掲げ、医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をもとに、健康の分野でも皆様に貢献することを目指してスタートしております。
当連結会計年度の業績につきましては、感染拡大により営業活動の制約等、国内外においてさまざまな影響が生じております。医療事業におきましては、海外では病床確保のための需要が発生したことなどにより順調に推移したものの、国内ではベッド等の製品を中心に販売が減少しました。
介護事業におきましては、主に介護施設において見守り支援システムとして利用されているセンサー「眠りSCAN」及び新製品等の販売が好調に推移するとともに、福祉用具レンタル卸事業においても順調に売上を伸ばしました。
健康事業におきましては、コロナ下における「巣ごもり需要」等により睡眠関連製品の販売が増加しました。また事業の認知向上を目指し「電動ベッド、のち、介護ベッド」をキャッチフレーズとしたINTIMEブランドのCM映像をリニューアルするとともに、ソーシャルメディアやラジオ等でのプロモーション活動を強化いたしました。
製品開発におきましては、在宅介護向けベッドの主力製品となる「楽匠プラスシリーズ」を2020年8月に、体重設定や体位変換等を全自動で行う床ずれ防止エアマットレス「ここちあ利楽flow」を10月にそれぞれ発売いたしました。見守りセンサー「眠りSCAN」につきましては、同製品と連動するカメラシステム「眠りSCAN eye」を同年5月に発売したほか、マイク付きヘッドホンで一斉通信できるインカムとの連携を11月にスタートさせました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ101億円増加し、1,543億58百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ33億44百万円増加し、405億35百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ67億56百万円増加し、1,138億22百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における主要な品目別売上高は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
品目当連結会計年度前年度増減 (%)
ベッド26,1548.6
マットレス5,1396.3
病室・居室用家具7,297△3.2
医療用器具備品7,52523.6
レンタル23,0138.6
部品等3,7714.3
その他14,269△5.0
合計87,1715.8

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比47億91百万円増(5.8%増)の871億71百万円となりました。
営業利益につきましては、新製品等の売上増により、同16億76百万円増(16.9%増)の115億82百万円となりました。
次に、経常利益につきましては、同33億15百万円増(32.7%増)の134億61百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15億67百万円増(22.3%増)の86億11百万円となりました。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、407億56百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は102億79百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益128億67百万円、減価償却費75億40百万円等の増加と、法人税等の支払額27億74百万円、賃貸資産の増加額69億22百万円、リース債務の支払額21億7百万円等の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は15億41百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得額57億38百万円、有形固定資産の取得額26億7百万円等による減少と、有価証券及び投資有価証券の売却額56億98百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は30億44百万円となりました。これは主に、配当金の支払額29億円等の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
a. 生産実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
ベッド34,09520.6
マットレス6,57613.5
病室・居室用家具3,91116.8
医療用器具備品2,97315.2
その他5,81656.9
合計53,37122.2

(注)1.金額は販売価格によって表示しております。
2.当社グループはベッド関連事業の単一セグメントであるため、品目別の生産実績を記載しております。
b. 商品仕入実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
病室用家具他12,642△15.6
合計12,642△15.6

c. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、医療事業においては、新型コロナウィルス感染症の影響で海外では病床確保のための需要が発生したものの、国内ではベッド等の販売が大幅に減少しました。介護事業においては、主に介護施設において見守り支援システムとして利用されているセンサー「眠りSCAN」の販売が伸びたことに加え、在宅介護分野で2020年8月に発売した「楽匠プラスシリーズ」の新製品効果と、福祉用具レンタル卸事業の順調な拡大等により売上を伸ばしました。健康事業においては、コロナ下における「巣ごもり需要」等により睡眠関連製品の販売が増加しました。製品開発においては、「楽匠プラスシリーズ」のほか、同年10月に発売した体重設定や体位変換等を全自動で行う床ずれ防止エアマットレス「ここちあ利楽flow」等が売上増に貢献しました。また、2019年10月に買収した住宅設備や家具資材等の製造・卸売り事業を行うサダシゲ特殊合板株式会社の業績が通年寄与しました。その結果、売上高は前連結会計年度比47億91百万円増(5.8%増)の871億71百万円となりました。
売上総利益は、売上増に加え、「眠りSCAN」や「楽匠プラスシリーズ」等の販売が伸びたことによる自社製品売上割合の増加等で売上総利益率も上昇し、前連結会計年度比36億27百万円増(9.9%増)の404億36百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度比16億76百万円増(16.9%増)の115億82百万円となりました。これは主に、売上総利益が前連結会計年度と比べて36億27百万円増加したことに対し、販売費及び一般管理費が人件費や売上増に伴う運送費等の増加と中長期的成長に向けた戦略投資を強化したものの、新型コロナウィルス感染症の影響で営業活動が制約され旅費交通費等が減少したこともあり、前連結会計年度と比べて19億50百万円増(7.3%増)に留まったことによるものです。
経常利益は、営業利益及び投資事業組合運用益の増加等により、前連結会計年度比33億15百万円増(32.7%増)の134億61百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として関係会社出資金評価損が発生したものの、同15億67百万円増(22.3%増)の86億11百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源については、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら社債を発行するなど、機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、急激な事業環境の変化への備えとして充実した自己資本を維持し、利益処分は、株主還元と将来の事業拡大に向けた投資および内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、407億56百万円となりました。この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(237億20百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。EPSは、本来の事業活動により得た利益や事業成長の結果が反映されやすく、かつ配当金など株主還元の原資でもあり、株主の皆様にとって理解しやすい指標であると認識しております。