有価証券報告書-第37期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 13:54
【資料】
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【項目】
136項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出等に弱さが見られたものの、緩やかな回復基調で推移いたしました。 当社グループの関連する医療・高齢者福祉分野におきましては、2018年4月に診療報酬・介護報酬の同時改定が実施されました。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、政府は国民一人一人が状態に応じた必要なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な医療・介護の提供体制の整備を目指しております。介護保険制度における福祉用具貸与関連につきましては、市場競争の中で自由価格であった福祉用具貸与価格において、「外れ値」といわれる平均価格を大幅に上回る価格の存在が問題になったこと等により、2018年10月から製品ごとに上限価格が設定されました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては中期経営計画「2020プラン」の確実な達成に向け、積極的に事業を展開いたしました。同計画におきましては、2021年3月期の連結売上高1,000億円、連結営業利益140億円を目標とし、重点施策といたしまして「既存事業の維持・拡大」「海外事業拡大の加速」「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」を掲げております。
既存事業におきましては、福祉用具貸与の上限価格設定の影響が懸念されたレンタル卸事業を始め、国内の医療施設向け販売及びメンテナンス事業等が堅調に推移いたしました。新製品といたしまして、優れた体圧分散性能と動きやすいかたさを兼ね備えたリバーシブルタイプの医療・介護用マットレス「エバーフィットC3マットレス」を2018年7月に、電源を入れるだけで自動でマットレスのかたさを設定する床ずれ防止エアマットレス「ここちあ利楽(りらく)」を同年11月に、それぞれ発売いたしました。
海外事業におきましては、販売拡大に向けて、海外各拠点における人員の拡充や製品の開発・再編等に注力いたしました。
新たなビジネスモデルにおきましては、テレビシステム事業を展開するCSアメニティサポート株式会社が2018年2月に当社グループとなり、業績に寄与いたしました。また、睡眠関連ビジネスを行うコンシューマー分野におきましては、販売好調の電動ベッド「インタイム1000」のセミダブルサイズを2018年9月に追加発売いたしました。さらに睡眠と健康領域の新ブランド「Active Sleep (アクティブスリープ)」を2019年3月に立ち上げ、その第1弾として“眠りの自動運転”を実現した新製品「アクティブスリープベッド」の同年6月の発売を発表いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ48億30百万円増加し、1,440億6百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億8百万円減少し、357億64百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ54億39百万円増加し、1,082億42百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における主要な品目別売上高は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
品目当連結会計年度前年度増減 (%)
ベッド25,502△6.7
マットレス4,8473.6
病室用家具7,4640.2
医療用器具備品6,0317.7
レンタル19,29711.1
部品等3,7788.2
その他13,16716.5
合計80,0883.7

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比28億68百万円増(3.7%増)の800億88百万円となりました。
営業利益につきましては、新規事業に対する先行投資に加え、人件費、広告宣伝費等の増加により前連結会計年度比81百万円減(0.8%減)の105億80百万円となりました。
次に、経常利益につきましては、運用益の減少等により同12億38百万円減(10.2%減)の109億23百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として関係会社株式評価損を計上したこともあり、同16億62百万円減
(19.9%減)の67億4百万円となりました。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、370億69百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は79億14百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益102億6百万円、減価償却費63億61百万円、退職給付に係る負債の増加額2億14百万円等の増加と、法人税等の支払額44億80百万円、リース債務の支払額27億10百万円等の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は24億64百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得額75億69百万円、有形固定資産の取得額12億35百万円等による減少と、定期預金の払戻による収入10億11百万円、有価証券及び投資有価証券の売却額53億36百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は28億42百万円となりました。これは主に、配当金の支払額28億40百万円等の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
a. 生産実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
ベッド30,807△9.7
マットレス6,39621.2
病室用家具3,124△19.1
医療用器具備品2,904△24.0
その他3,0870.8
合計46,320△7.6

(注)1.金額は販売価格によって表示しております。
2.当社グループはベッド関連事業の単一セグメントであるため、品目別の生産実績を記載しております。
b. 商品仕入実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
病室用家具他16,23825.2
合計16,23825.2

c. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、第7期介護保険事業計画の初年度で特別養護老人ホームの新築案件が減少したものの、メンテナンス事業や福祉用具レンタル卸事業の拡大に加え、新製品を発売しラインアップを強化したマットレスや、ベッド上のご利用者様の心拍、呼吸を非装着でリアルタイムに測定する「眠りSCAN」の販売が増加するなど、ベッド以外の販売が拡大し、また、前事業年度に買収したTVシステム事業を行うCSアメニティサポート株式会社の売上が通年寄与したことなどにより、前連結会計年度比28億68百万円増(3.7%増)の800億88百万円となりました。
売上総利益は、病室用家具等仕入品の割合の増加等で売上総利益率が低下したものの、売上高の増加により利益が増加し、前連結会計年度比12億49百万円増(3.6%増)の363億70百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度比0.8%減少し、105億80百万円となりました。これは主に、売上総利益が前連結会計年度と比べて3.6%増加の363億70百万円となったものの、販売費及び一般管理費が、新規事業に対する先行投資に加え、人件費、広告宣伝費等の増加により、前連結会計年度と比べて5.4%増加の257億89百万円となったことによるものです。
経常利益は、前連結会計年度に7億38百万円計上した投資事業組合運用益がなくなったこと等により、前連結会計年度比12億38百万円減(10.2%減)の109億23百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として関係会社株式評価損を計上したこともあり、同16億62百万円減(19.9%減)の67億4百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源については、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら社債を発行するなど、機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、急激な事業環境の変化への備えとして充実した自己資本を維持し、利益処分は、株主還元と将来の事業拡大に向けた投資と内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、370億69百万円となりました。この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(212億9百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。これは、本来の事業活動により得た利益や事業成長の結果が反映されやすく、かつ配当金など株主還元の原資でもあり、株主の皆様にとって理解しやすい指標であると認識しております。また、EPS向上のために、当社グループが掲げている中期経営計画「2020プラン」において、2021年3月期の連結売上高1,000億円、連結営業利益140億円を目標としております。「2020プラン」の重点施策として「既存事業の維持・拡大」「海外事業拡大の加速」「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」を掲げており、これを達成すべく、福祉用具レンタル拡大のためのレンタル資産やメンテナンス設備導入、マットレス販売拡大のための生産工場設立などの設備投資、「眠りSCAN」などで得られるデータを活用するためのソフトウェアやシステム構築などの研究開発投資、また、コンシューマー分野において立ち上げた、睡眠と健康領域の新ブランド「アクティブスリープ」を浸透させるためのマーケティング投資など、経営資源の適切な配分に努めてまいります。