有価証券報告書-第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 12:01
【資料】
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【項目】
136項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、期初より個人消費等の持ち直しが見られ、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、期末にかけて発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化いたしました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては「既存事業の維持・拡大」「海外事業拡大の加速」「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」を重点施策とした中期経営計画「2020プラン」の達成に向け、積極的に事業を展開いたしました。
既存事業におきましては、期末に、新型コロナウイルス感染拡大防止措置を講じる医療施設・高齢者施設等による製品納入の延期要請が増加したものの、製品販売事業、メンテナンス事業及びレンタル卸事業が概ね予算通りの売上となりました。製品開発といたしましては、検査台・ストレッチャー・いすとして使用できる処置台「ムーヴィス」を2019年4月に、重症患者対応から立位支援までを行う急性期医療向けベッド「アリウスシリーズ」を同年12月にそれぞれ発売いたしました。また、各施設向けの木製品等の販売強化を目指し、住宅設備や家具資材等の製造・卸売り事業を行うサダシゲ特殊合板株式会社の全株式を2019年10月に取得いたしました。
海外事業につきましては、販売拡大に向けて引き続き海外各拠点における人員の拡充や新製品の開発・再編に注力した結果、全体的に見るとほぼ予算通り推移いたしました。
新たなビジネスモデルにおきましては、高齢者の見守り等に利用できる「眠りSCAN」等、センサー技術を応用した製品の拡販に努めております。「眠りSCAN」につきましてはさらなる普及を目指し、1年単位のレンタルサービスを2019年12月にスタートいたしました。同製品の見守り支援システムとしての取組は「介護の人材不足・高度化に対応し、貢献できるシステム」である等として、経済産業省等が主催する「第8回ものづくり日本大賞」において経済産業大臣賞を受賞いたしました。また、コンシューマー向けでは、“眠りの自動運転”を実現した新製品「Active Sleep BED」を2019年6月に、遠隔での見守りができる電動ベッド「INTIME2000i」を同年7月に発売いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億51百万円増加し、1,442億57百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ14億27百万円増加し、371億91百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億75百万円減少し、1,070億66百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における主要な品目別売上高は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、サダシゲ特殊合板株式会社の株式取得に伴い、品目区分の名称を「病室用家具」から「病室・居室用家具」に変更いたしました。
(単位:百万円)
品目当連結会計年度前年度増減 (%)
ベッド24,091△5.5
マットレス4,834△0.3
病室・居室用家具7,5341.0
医療用器具備品6,0880.9
レンタル21,2019.9
部品等3,614△4.3
その他15,01314.0
合計82,3792.9

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比22億90百万円増(2.9%増)の823億79百万円となりました。
営業利益につきましては、人件費、運送費等の増加のほか、新型コロナウイルス感染症の影響による納入の遅延などにより、同6億74百万円減(6.4%減)の99億6百万円となりました。
次に、経常利益につきましては、同7億77百万円減(7.1%減)の101億45百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の減少により同3億39百万円増(5.1%増)の70億43百万円となりました。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、350億9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は90億87百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益102億79百万円、減価償却費68億95百万円、退職給付に係る負債の増加額2億30百万円等の増加と、法人税等の支払額33億2百万円、リース債務の支払額26億19百万円等の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は35億79百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得額53億69百万円、有形固定資産の取得額27億51百万円等による減少と、有価証券及び投資有価証券の売却額65億94百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は74億75百万円となりました。これは主に、市場買付け等による自己株式の取得額43億82百万円、配当金の支払額29億99百万円等の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
a. 生産実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
ベッド28,260△8.3
マットレス5,793△9.4
病室・居室用家具3,3487.2
医療用器具備品2,580△11.2
その他3,70720.1
合計43,690△5.7

(注)1.金額は販売価格によって表示しております。
2.当社グループはベッド関連事業の単一セグメントであるため、品目別の生産実績を記載しております。
b. 商品仕入実績
(単位:百万円)

品目当連結会計年度前年度増減(%)
病室用家具他14,979△7.8
合計14,979△7.8

c. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、介護人材不足および建設費の高騰などにより特別養護老人ホーム等の新築案件が減少し、期末に新型コロナウイルス感染拡大防止措置を講じる医療施設・高齢者施設等による製品納入の延期要請が増加したものの、メンテナンス事業や福祉用具レンタル卸事業の拡大に加え、検査台・ストレッチャー・いすとして使用できる処置台「ムーヴィス」、重症患者対応から立位支援までを行う急性期医療向けベッド「アリウスシリーズ」、コンシューマー向けに“眠りの自動運転”を実現した「Active Sleepシリーズ」などの新製品の発売や、ベッド上のご利用者様の心拍、呼吸を非装着でリアルタイムに測定する「眠りSCAN」の販売増加などで売上が伸びました。また、住宅設備や家具資材等の製造・卸売り事業を行うサダシゲ特殊合板株式会社を2019年10月に買収したことなどにより、前連結会計年度比22億90百万円増(2.9%増)の823億79百万円となりました。
売上総利益は、病室用家具等仕入品の割合の増加等で売上総利益率が低下したものの、売上高の増加により利益が増加し、前連結会計年度比4億38百万円増(1.2%増)の368億8百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度比6億74百万円減(6.4%減)の99億6百万円となりました。これは主に、売上総利益が前連結会計年度と比べて増加したものの、販売費及び一般管理費が、消費税増税前に消耗工具等の備品を購入したことに加え、人件費、運送費等の増加により、前連結会計年度と比べて11億13百万円増(4.3%増)の269億2百万円となったことによるものです。
経常利益は、営業利益の減少と、円高による為替差損の増加等により、前連結会計年度比7億77百万円減(7.1%減)の101億45百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した関係会社株式評価損がなくなったことなどにより、同3億39百万円増(5.1%増)の70億43百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源については、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら社債を発行するなど、機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、急激な事業環境の変化への備えとして充実した自己資本を維持し、利益処分は、株主還元と将来の事業拡大に向けた投資および内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、350億9百万円となりました。この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(222億12百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。これは、本来の事業活動により得た利益や事業成長の結果が反映されやすく、かつ配当金など株主還元の原資でもあり、株主の皆様にとって理解しやすい指標であると認識しております。