有価証券報告書-第4期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/24 9:07
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149項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計期間より、「人材派遣関連」としていた報告セグメント情報を「情報サービス関連」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
①財政状態及び経営成績の状況
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、前年までは穏やかな景気回復は継続したものの、米中の通商問題の長期化や英国のEU離脱問題等を背景に景況感が悪化し、度重なる自然災害、2019年10月1日に実施された消費税増税、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、消費の低迷や先行き不透明感が強まり、景気の減速が鮮明となりました。
当社グループでは、お客様に信頼され選ばれるメーカーとして進化し続けるため、2018年3月に策定した基本方針に基づき、エンジニアリング事業の収益力強化、立体駐車装置関連事業における市場シェアの拡大、メンテナンス事業の安定収益体制の構築・拡充を課題と据え、諸施策を推進してまいりました。
2019年11月には、技術的な強みを持つ関西電機工業株式会社を当社グループに加え、今後需要が高まると予想される太陽光発電設備の保守メンテナンス事業に注力できる体制を整えました。
また管理面では、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として譲渡制限付株式報酬制度の導入を行うとともに、人材育成・評価体系の見直しなどの制度改革を行ってまいりました。
このような取組みの下、当社グループでは、受注高は主にコンベヤ設備、立体駐車設備等の受注により13,070,738千円(前年同期比34.9%増)となりました。売上高については、コンベヤ関連は電力関係、土木関係設備の納入、立体駐車装置関連の本体の新設納入やメンテナンスが堅調に推移したことにより、13,949,994千円(前年同期比4.6%増)となりました。損益面につきましては、コスト削減、経費の圧縮など徹底した合理化を推進したことにより、営業利益は803,928千円(前年同期比14.2%増)、経常利益は受取配当金の計上等により904,863千円(前年同期比18.0%増)となりましたが、投資有価証券評価損の計上、繰延税金資産の取崩等により親会社株主に帰属する当期純利益は509,215千円(前年同期比27.4%減)となりました。なお、新型コロナウイルスの感染拡大が当社の製品販売、納入に大きな影響を与えることはなく当連結会計年度の業績に与える影響は軽微でありました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
[コンベヤ関連]
今後大きな需要が見込まれるトンネル工事向けの延伸コンベヤや大型・重量物の垂直搬送などを取り扱う部門を物流装置事業部として前年度立ち上げ、また既往納入先への部品営業に注力するなど追加受注に努める一方、コスト構造の見直しなどの収益力の強化を行いました。
この結果、受注高は3,517,400千円(前年同期比13.0%増)、売上高は石炭火力発電所、土木関連のコンベヤ設備や保守部品の納入等は順調に推移したものの、トンネル工事向け設備の工事遅延により4,746,863千円(前年同期比19.0%減)となりましたが、土木、プラント案件の受注採算の改善によりセグメント利益は470,198千円(前年同期比19.6%増)となりました。
[立体駐車装置関連]
立体駐車装置関連では、新規案件の獲得に注力するとともに、通常のメンテナンスをグループ外部の協力会社へ移管し提案型保全工事に業務をシフトする施策を実施しました。
この結果、受注高は、主に平面往復式及びタワー式立体駐車装置の契約により7,250,771千円(前年同期比34.1%増)、売上高は、商業施設、マンション向けなどの新規設備納入に加え、メンテナンス、保全工事も堅調に推移したことにより6,705,528千円(前年同期比8.0%増)となりました。一方、工事損失引当金繰入等によりセグメント利益は1,148,378千円(前年同期比3.0%増)となりました。
[太陽光発電システム関連]
太陽光発電システム関連では、関西電機工業株式会社が当社グループに加わることにより、受注高は機器、発電設備ともに増加し1,921,880千円(前年同期比121.3%増)、売上高につきましても機器販売に加え発電設備の設置工事が順調にすすんだことにより2,116,917千円(前年同期比119.6%増)、のれんの償却費、子会社株式取得費用の発生があったもののセグメント利益は30,584千円(前年同期セグメント損失9,628千円)となりました。
[情報サービス関連]
情報サービス関連は、システム開発関係を中心に売上高は380,684千円(前年同期比26.2%増)、新規採用者の稼動遅れによりセグメント損失1,802千円(前年同期セグメント利益4,659千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ709,735千円増加し、5,213,583千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、720,741千円(前年同期は2,652,633千円の獲得)となりました。これは主に、コンベヤ、立体駐車装置新設案件、太陽光ディベロップ案件の入金による売上債権の減少、税金等調整前当期純利益の計上等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、349,985千円(前年同期は228,878千円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得による支出、有形、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、339,699千円(前年同期は1,271,835千円の使用)となりました。これは主に、子会社株式購入資金及び運転資金としての長期借入による収入によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,435,226△29.6
立体駐車装置関連6,274,178+8.1
太陽光発電システム関連770,245+194.8
合計11,479,650△7.2

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。(上記の金額には、消費税等は含まれておりません。)
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連3,517,400+13.08,435,717△12.7
立体駐車装置関連7,250,771+34.15,607,495+10.8
情報サービス関連380,684+26.2
太陽光発電システム関連1,921,880+121.3356,295△35.4
合計13,070,738+34.914,399,509△5.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「情報サービス関連」は売上高と同額を受注高としており、受注残高はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,746,863△19.0
立体駐車装置関連6,705,528+8.0
情報サービス関連380,684+26.2
太陽光発電システム関連2,116,917+119.6
合計13,949,994+4.6

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
芙蓉総合リース㈱1,435,75010.8
㈱ICHIKAWA2,009,86014.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、連結財務諸表、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び、財務諸表、重要な会計方針に記載のとおりであります。また決算期間における収益、費用に影響を与える見積りを行わなければならない場合は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。新型コロナウイルスの感染拡大により財務諸表の作成に当たっては、仕入価格等の上昇の影響が今後発生すると考慮して見積り及び予測を行っていますが、全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難であり収束時期等によっては変動する可能性があります。
②経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は13,949,994千円(前年同期比4.6%増)となりました。損益面につきましても、コスト削減、経費の圧縮などを推進しました結果、営業利益は803,928千円(前年同期比14.2%増)、経常利益は受取配当金の計上等により904,863千円(前年同期比18.0%増)となりました。有価証券評価損等を特別損失に計上したことに加え、繰延税金資産を取崩したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は509,215千円(前年同期比27.4%減)となりました。
③財政状態の分析
当連結会計年度において関西電機工業株式会社が連結子会社となったことにより、前連結会計年度末との比較・分析の金額には関西電機工業株式会社の当連結会計年度末の金額が含まれております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して357,877千円減少の15,882,963千円となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金が1,423,664千円、投資有価証券が559,877千円減少しましたが、現金及び預金が987,618千円、のれんが255,718千円増加したことによるものです。負債は、前連結会計年度と比較して365,870千円減少の8,133,801千円となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金が721,334千円、前受金が740,602千円減少しましたが、長期借入金が733,653千円増加したことによるものです。純資産は、前連結会計年度と比較して7,993千円増加の7,749,662千円となりました。主な内訳は、その他有価証券評価差額金は388,039千円減少、自己株式は46,595千円増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が445,523千円増加したことによるものです。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結会計年度は、設備投資や建設需要が底堅さを維持したものの、新型コロナウイルス感染拡大により先行き不透明な状況が続きました。コンベヤ関連事業においては設計・製作・調達・工事でのコスト低減、経費の圧縮などを行い、受注採算も改善したため、前連結会計年度に比べ大幅に改善し営業利益を計上することができました。
コンベヤ事業、立体駐車装置事業ともに、海外調達の推進等により、更なるコストダウンに努め、鋼材等の原材料価格の変動の影響を吸収し、収益体制を確保する事業展開を今後も推進します。
⑤戦略的現状と見通し
コンベヤ事業においては、運搬機メーカーとして培った技術を活かしながら、顧客第一主義のもと提案営業力の強化を図り、そのニーズに即した新機種投入、付加価値の高い商品提供や新サービスの開発、販売展開を推進してまいります。安定的な事業としての部品販売を維持、強化させながら、新商品開発、新販売ルートの構築により事業を発展させてまいります。引き続きコスト削減努力により価格競争力を強化させます。
都市部における地下トンネルにおいて掘削土砂を地上に垂直搬送する「スネークベルコン」、トンネル工事の掘削ずり出し設備としての需要増が見込まれる「延伸コンベヤ」を開発、販売し、今後予想される大規模案件に積極的に提案していく方針です。
従来から販売している、プラント設備向けコンベヤについては部品販売にも注力してまいります。
立体駐車装置事業においては、商品レパートリーと販売ルート増加による受注拡大に注力しております。また、新機種の開発、調達コスト削減と工場操業度改善と固定費負担軽減によるコスト競争力強化、メンテナンス網の強化とリフレッシュ工事等のソリューション営業展開によるメンテナンス事業の充実、発展を図っております。会社の機能を充実させ、期待通りの成果が出せるよう注力し、立駐業界でのリーディングカンパニーを目指します。
情報サービス事業においては、TCSホールディングス株式会社との資本業務提携等により、新たな展開を行い、事業基盤拡大と収益体質確保を図ります。
太陽光発電システム関連事業においては、新たにグループに加わった関西電機工業株式会社と連携し機器の販売、太陽光発電所ディベロップ事業からの転換を図ってまいります。
積極的に行動し、最大限の能力発揮できる企業風土構築と人材能力向上・育成により、当社グループの持続的な成長を果たせるよう経営基盤の強化に努めます。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
また、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
自己資本比率(%)58.746.547.748.8
時価ベースの自己資本比率(%)46.531.920.123.7
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)38.8230.6
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)171.2110.2

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、より強力に経営構造の改革を推進するため、毎期経営方針を策定しております。当社グループの事業領域におきましては原材料価格の動向や設備投資の調整、為替の変動等により、楽観を許さない状況が続くと想定せざるを得ません。そうした中にあっても、安定的な収益体制を確立し、持続的な成長を果たすことを目指します。売上確保とともに利益を重視することを基本方針とし、選択と集中で事業規模に合わせた体質改善により経営基盤の強化に努めてまいります。