有価証券報告書-第2期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 9:41
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【項目】
109項目
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、底堅い個人消費や、企業収益の改善を背景にした設備投資の穏やかな増加、生産や輸出の持ち直しにより、景気は回復基調で推移しました。海外においては、欧州経済と米国経済は回復持続、新興国は総じて堅調な動きが続きましたが、一方で、米中貿易摩擦の動向、北朝鮮問題、中東の地政学上のリスク等もあり、不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、受注高は主に火力発電所関連コンベヤ設備、再開発関連立体駐車設備等の受注により19,276,280千円(前年同期比68.0%増)となり、売上高についてもコンベヤ関連は電力関連、土木関係設備の納入、立体駐車装置関連の本体の新設納入やメンテナンス、太陽光発電システム関連の納入、引渡しが堅調に推移したことにより、13,417,229千円(前年同期比23.3%増)となりました。損益面につきましては、コスト削減、経費の圧縮など徹底した合理化を推進しました結果、営業利益は737,655千円(前年同期比292.4%増)、経常利益は受取配当金、有価証券売却益の計上により887,559千円(前年同期比277.2%増)となりましたが、特別損失を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純損失は291,358千円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失122,014千円)となりました。
「コンベヤ関連」セグメントにおいて、公共事業関係のコンベヤ設備等の受注を中心に売上は回復傾向にあるものの、原材料価格の高騰等による収益性低下が長期化し、減損の兆候が認められたことにより、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、当連結会計年度において、固定資産の一部の帳簿価額を回収可能額まで減額し、233,415千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。今後はグループ再編、M&Aによる規模拡大も視野に入れ、収益構造の立て直しを図ります。
また、当社は、当社グループの会社機能の一元化と事業シナジーの創出及び販売費及び一般管理費の削減等を目的とし、取締役会において、日本コンベヤ株式会社及びエヌエイチパーキングシステムズ株式会社の大阪本部が所在する大東拠点並びにエヌエイチパーキングシステムズ株式会社の上本町事務所を閉鎖し、移転・統合することを決議いたしました。また、これに伴い、同大阪本部に関する不動産賃貸契約について中途解約する方針であります。この度の移転により発生する、移転損失引当金繰入額665,763千円、減損損失260,207千円、合わせて925,970千円について、平成30年3月期において特別損失として計上いたしました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
[コンベヤ関連]
コンベヤ関連では、受注高は11,320,321千円(前年同期比277.9%増)となり、石炭火力発電所、トンネル工事向け延伸コンベヤを含む土木関連のコンベヤ設備、保守部品の納入等により、売上高は4,238,728千円(前年同期比60.1%増)、セグメント損失は38,360千円(前年同期セグメント損失387,330千円)となりました。
[立体駐車装置関連]
立体駐車装置関連では、受注高は5,545,462千円(前年同期比18.4%減)となり、大型商業施設向けなどの新規設備納入、メンテナンスは堅調に推移したことにより売上高7,249,680千円(前年同期比12.1%増)、受注採算の改善及び工事損失引当金の戻入等によりセグメント利益は811,436千円(前年同期比18.4%増)となりました。
[人材派遣関連]
人材派遣関連は、売上高は349,859千円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益は13,861千円(前年同期比383.5%増)となりました。
[太陽光発電システム関連]
太陽光発電システム関連は、受注高は2,060,638千円(前年同期比49.2%増)、売上高は機器販売は減少しましたが太陽光発電設備を販売するディベロップ案件の販売により1,578,960千円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は87,819千円(前年同期比968.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ271,831千円増加し、3,351,775千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、962,287千円(前年同期は756,325千円の使用)となりました。これは主に、仕入債務の増加、移転損失引当金の増加、減損損失の計上があったものの、売上債権の増加、税金等調整前当期純損失の計上等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、72,594千円(前年同期は263,113千円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出、無形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、1,306,892千円(前年同期は214,598千円の使用)となりました。これは主に、短期借入による収入によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,219,788+64.8
立体駐車装置関連6,773,996+13.8
太陽光発電システム関連638,487△53.8
合計11,632,271+17.6

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。(上記の金額には、消費税等は含まれておりません。)
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連11,320,321+277.912,413,594+132.8
立体駐車装置関連5,545,462△18.45,867,659△22.5
人材派遣関連349,859+15.6
太陽光発電システム関連2,060,638+49.2646,982+291.4
合計19,276,280+68.018,928,236+44.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「人材派遣関連」は売上高と同額を受注高としており、受注残高はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,238,728+60.1
立体駐車装置関連7,249,680+12.1
人材派遣関連349,859+15.6
太陽光発電システム関連1,578,960+7.9
合計13,417,229+23.3

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対する割合が100分の10以上となる相手先はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、連結財務諸表、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び、財務諸表、重要な会計方針に記載のとおりであります。また決算期間における収益、費用に影響を与える見積りを行わなければならない場合は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。
②経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は13,417,229千円(前年同期比23.3%増)となりました。損益面につきましても、コスト削減、経費の圧縮など徹底した合理化を推進しました結果、営業利益は737,655千円(前年同期比292.4%増)、経常利益は受取配当金、有価証券売却益の計上により887,559千円(前年同期比277.2%増)となりましたが、固定資産の減損損失及び連結子会社の大阪本部移転にともなう移転損失引当金繰入額を特別損失を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純損失は291,358千円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失122,014千円)となりました。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して2,951,611千円増加の15,404,016千円となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金が2,533,739千円、開発事業等支出金が474,503千円、投資有価証券が363,666千円、現金及び預金が307,836千円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度と比較して3,379,750千円増加の8,243,174千円となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金1,112,348千円、短期借入金が1,730,000千円、移転損失引当金が665,763千円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度と比較して428,139千円減少の7,160,842千円となりました。主な内訳は、その他有価証券評価差額金は202,045千円増加しましたが、非支配株主持分279,486千円、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が193,659千円減少したことによるものです。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結会計年度は、設備投資や建設需要が底堅さを維持したものの、先行き不透明な状況が続きました。コンベヤ関連事業においては設計・製作・調達・工事でのコスト低減、経費の圧縮などを行い、受注採算も改善しましたが、前連結会計年度に比べ大きく減少したものの営業損失となりました。
コンベヤ、立体駐車装置ともに、海外調達の推進等により、更なるコストダウンに努め、鋼材等の原材料価格の変動の影響を吸収し、収益体制を確保する事業展開を今後も推進します。
⑤戦略的現状と見通し
コンベヤ事業においては、運搬機メーカーとして培った技術を活かしながら、顧客第一主義のもと提案営業力の強化を図り、そのニーズに即した新機種投入、付加価値の高い商品提供や新サービスの開発、販売展開を推進してまいります。安定的な事業としての部品販売を維持、強化させながら、新商品開発、新販売ルートの構築により事業を発展させてまいります。引き続きコスト削減努力により価格競争力を強化させます。
都市部における地下トンネルにおいて掘削土砂を地上に垂直搬送する「スネークベルコン」、トンネル工事の掘削ずり出し設備としての需要増が見込まれる「延伸コンベヤ」を開発、販売し、今後予想される大規模案件に積極的に提案していく方針です。
立体駐車装置事業においては、商品レパートリーと販売ルート増加による受注拡大に注力しております。また、新機種の開発、調達コスト削減と工場操業度改善と固定費負担軽減によるコスト競争力強化、メンテナンス網の強化とリフレッシュ工事等のソリューション営業展開によるメンテナンス事業の充実、発展を図っております。会社の機能を充実させ、期待通りの成果が出せるよう注力し、立駐業界でのリーディングカンパニーを目指します。
人材派遣事業においては、TCSホールディングス株式会社との資本業務提携等により、新たな展開を行い、事業基盤拡大と収益体質確保を図ります。
太陽光発電システム関連事業においては、機器の販売に加え、「太陽光発電所ディベロップ事業」として売電による高利回りが見込める商品として分譲販売を行っております。
積極的に行動し、最大限の能力発揮できる企業風土構築と人材能力向上・育成により、当社グループの持続的な成長を果たせるよう経営基盤の強化に努めます。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
また、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。
平成29年3月期平成30年3月期
自己資本比率(%)58.746.5
時価ベースの自己資本比率(%)46.531.9
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、より強力に経営構造の改革を推進するため、毎期経営方針を策定しております。当社グループの事業領域におきましては原材料価格の動向や設備投資の調整、為替の変動等により、楽観を許さない状況が続くと想定せざるを得ません。そうした中にあっても、安定的な収益体制を確立し、持続的な成長を果たすことを目指します。売上確保とともに利益を重視することを基本方針とし、選択と集中で事業規模に合わせた体質改善により経営基盤の強化に努めてまいります。