有価証券報告書-第8期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 9:40
【資料】
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【項目】
151項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、当該将来に関する事項については、取締役会、経営会議等の社内の会議体等で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症収束に伴い、社会経済活動の正常化が一段と進み、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加など、景気は回復基調で推移しましたが、一部の材料調達難の長期化、原材料・エネルギ-価格の高止まり、物価の上昇、人手不足などに加え、ウクライナや中東地域をめぐる情勢不安、中国経済の先行き懸念、円安傾向の長期化等の外部要因によって、景気の先行きが不透明な状況で推移しました。
当社グループでは、創業以来、国内をはじめ世界30か国において社会のインフラ事業に携わり、世の中の安全・快適な生活を実現するため取り組んでまいりました。当社グループは企業理念にあるように高潔な志を持って、誠実に取り組み続けることで信頼され選ばれるメーカーとしてさらに進化し続けるため、エンジニアリング事業の構造改革と収益力強化、立体駐車装置関連事業における市場シェアの拡大、メンテナンス事業における顧客サービスの拡充、予防保全等の諸施策を引き続き推進してまいります。
2023年9月には立体駐車装置の保守、予防保全事業における技術的な強みを持つ株式会社ジャパンシステムサービス、2024年3月には二段多段式立体駐車装置の製造、保守メンテナンスに関するノウハウと技術を有し、再生エネルギー事業の増強できる株式会社アプラスを当社グループに加え、立体駐車装置関連事業ならびに再生エネルギー関連事業の拡大にむけての体制を整えてまいりました。
このような環境の中、当社グループでは、コンベヤ大型設備、新設立体駐車装置、保全工事、部品等の受注が増加したことにより、受注高は15,648,651千円(前年同期比18.4%増)となりました。売上高は立体駐車装置の新設工事、メンテナンス、再生エネルギ-関連の機器販売は堅調に推移しましたが、コンベヤ新設工事が減少したことにより14,454,119千円(前年同期比1.2%増)となりました。損益面につきましては、仕入価格の上昇、立体駐車装置新設工事に係る工事損失引当金の計上等があったものの、コンベヤ新設工事の原価低減、仕様変更による追加受注等により営業利益は899,519千円(前年同期比43.9%増)、受取配当金等の計上はありましたが、営業外費用の発生等により経常利益は800,348千円(前年同期比30.8%増)、投資有価証券売却益の計上、法人税等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は517,351千円(前年同期比53.9%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
[コンベヤ関連]
コンベヤ関連では、石灰石運搬大規模設備の受注により受注高は、5,156,707千円(前年同期比89.6%増)、売上高は、部品販売は順調に推移しましたが、石炭火力発電所向、石灰石運搬用設備向の納品が前年同期より減少したことにより4,479,231千円(前年同期比7.5%減)、セグメント利益は生産高不足による操業差損の発生はあったものの、発電所及び石灰石運搬設備の工事費等の減少による原価低減、追加受注による売上増等により902,046千円(前年同期比24.3%増)となりました。
[立体駐車装置関連]
立体駐車装置関連では、新規案件の獲得に注力するとともに、提案型保全工事の業務を強化する施策を引き続き実施しました。また、メンテナンス事業の拡大のため設立したジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社との合弁会社ジャパンパ-キングサ-ビス株式会社の業績は順調に推移しております。受注高につきましては、新設立体駐車装置等の受注増により7,962,313千円(前年同期比5.6%増)となりました。売上高は保守部品交換、保全工事ともに前年同期よりも増加し、新設工事、メンテナンスも前年並みに推移したことにより6,890,635千円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益は、原材料費の高騰による新設工事、部材のコスト増、工事損失引当金の計上等により695,245千円(前年同期比10.8%増)となりました。
[再生エネルギ-関連]
再生エネルギー関連は、関西電機工業株式会社の業績は堅調に推移したものの受注高は2,529,630千円(前年同期比14.5%減)、売上高は太陽光発電所設備、太陽光発電用機器の販売が増加したことにより3,084,251千円(前年同期比9.2%増)、仕入価格の上昇等はありましたが、販売価格への転嫁が進んだことによりセグメント利益は230,003千円(前年同期比272.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ750,717千円減少し、4,466,803千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、552,547千円(前年同期は710,542千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上等による獲得はあったものの、売上債権の増加、契約負債の減少、法人税の支払等による使用があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,039,253千円(前年同期は123,752千円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券売却による収入はあったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、840,681千円(前年同期は816,902千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金、長期借入金の借入による収入によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,408,925△8.9
立体駐車装置関連6,705,603+5.0
再生エネルギ-関連3,200,869+14.3
合計14,315,399+2.0

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連5,156,707+89.66,084,126+12.5
立体駐車装置関連7,962,313+5.69,299,413+13.0
再生エネルギー関連2,529,630△14.5887,990△38.4
合計15,648,651+18.416,271,531+7.9

(注) 当連結会計年度において、コンベヤ関連の受注実績に著しい変動がありました。これは、石灰石運搬大規模設備の受注があったことによるものであります。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
コンベヤ関連4,479,231△7.5
立体駐車装置関連6,890,635+4.2
再生エネルギー関連3,084,251+9.2
合計14,454,119+1.2

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日鉄鉱業株式会社1,834,51812.7

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は14,454,119千円(前年同期比1.2%増)となりました。損益面につきましては、コスト削減、経費の圧縮などの推進に努めたことに加え、コンベヤ新設工事の追加受注等により、原材料価格等の高騰、工事損失引当金の計上等があったものの営業利益は899,519千円(前年同期比43.9%増)、受取配当金等の計上はありましたが営業外費用の発生等により経常利益は800,348千円(前年同期比30.8%増)、投資有価証券売却益、法人税等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は517,351千円(前年同期比53.9%増)となりました。
③財政状態の分析
当連結会計年度において株式会社アプラス、株式会社ジャパンシステムサ-ビスが連結子会社となったことにより、前連結会計年度との比較・分析の金額には、株式会社アプラス、株式会社ジャパンシステムサ-ビスの企業結合日の金額が含まれております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して3,554,606千円増加の18,361,570千円となりました。主な内訳は、連結子会社の増加により2,621,156千円、電子記録債権が319,633千円、売掛金が549,541千円、投資有価証券が217,673千円増加したことによるものです。負債は、前連結会計年度末と比較して3,083,259千円増加の10,234,631千円となりました。主な内訳は連結子会社の増加により2,006,190千円、短期借入金が538,242千円、長期借入金が512,568千円増加したことによるものです。純資産は、前連結会計年度と比較して471,346千円増加の8,126,939千円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、配当金の支払等により利益剰余金が235,068千円、その他有価証券評価差額金が180,862千円増加したことによるものです。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結会計年度は、設備投資や建設需要が底堅さを維持したものの、一部の材料調達難の長期化、原材料・エネルギ-価格の高止まり、物価の上昇、人手不足などにより先行き不透明な状況が続きました。コンベヤ関連事業、立体駐車装置関連事業においては設計・製作・調達・工事でのコスト低減、経費の圧縮などを行った結果、引当金の計上があったものの営業利益を計上することができました。再生エネルギ-関連事業において棚卸資産評価損の計上があったものの営業利益を計上することができました。
コンベヤ事業、立体駐車装置事業ともに、海外調達の推進等により、更なるコストダウンに努め、鋼材等の原材料価格の変動の影響を吸収し、収益体制を確保する事業展開を今後も推進します。
⑤戦略的現状と見通し
コンベヤ事業においては、運搬機メーカーとして培った技術を活かしながら、顧客第一主義のもと提案営業力の強化を図り、そのニーズに即した新機種投入、付加価値の高い商品提供や新サービスの開発、販売展開を推進してまいります。安定的な事業としての部品販売を維持、強化させながら、新商品開発、新販売ルートの構築により事業を発展させてまいります。引き続きコスト削減努力により価格競争力を強化させます。
都市部における地下トンネルにおいて掘削土砂を地上に垂直搬送する「スネークベルコン」、トンネル工事の掘削ずり出し設備としての需要増が見込まれる「延伸コンベヤ」、浚渫工事、ダム工事に向けた「フリーラインコンベヤ」を開発、販売し、脱炭素に向け積極的に提案していく方針です。
既往事業であるコンベヤプラント設備の部品販売にも注力してまいります。
立体駐車装置事業においては、市場ニーズに即した新機種の開発と新たな販売ルートの開拓により、受注拡大を図っております。また、新機種の開発、調達コスト削減と工場操業度改善と固定費負担軽減によるコスト競争力強化、メンテナンス網の強化とリフレッシュ工事等のソリューション営業展開によるメンテナンス事業の充実、発展を図っております。全国的なネットワークを構築し、通常のメンテナンスのみならず、お客様の安全確保を第一に考えた予防保全工事・リニューアル工事などを積極的に推進し、機械式駐車場業界でのリーディングカンパニーを目指します。
再生エネルギ-関連事業においては、日本コンベヤ株式会社と関西電機工業株式会社が連携し、太陽光発電機器の販売、オペレ-ション&メンテナンス事業の展開を拡大していく方針です。
積極的に行動し、最大限の能力が発揮できる企業風土と永続的な人材の育成により、当社グループの持続的な成長を果たせるよう経営基盤の強化に努めます。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
また、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。
2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
自己資本比率(%)48.859.949.651.744.3
時価ベースの自己資本比率(%)23.729.358.759.140.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)230.6306.3337.9131.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)110.266.051.1133.5

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(注5)キャッシュ・フローがマイナスの期におけるキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「―」で表示しています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、より強力に経営構造の改革を推進するため、毎期経営方針を策定しております。当社グループの事業領域におきましては景気の動向、原材料価格の上昇や為替の変動等により、楽観を許さない状況が続くと想定せざるを得ません。そうした中にあっても、安定的な収益体制を確立し、持続的な成長を果たすことを目指します。受注、売上、利益の確保を基本方針とし、お客様・市場ニーズへの提案力強化、事業構造の転換と体質改善により経営基盤の強化に努めてまいります。