四半期報告書-第10期第3四半期(2023/07/01-2023/09/30)

【提出】
2023/11/14 15:39
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日現在において判断したものであります。
なお、前連結会計年度において企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前第3四半期連結累計期間に係る数値については暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が解除され、コロナ禍からの社会・経済活動の正常化が一層進みました。一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇や引き続き継続する円安などによる物価の高騰も続き、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループは、2022年8月に発表した中期経営計画(2023/12~2025/12)において、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、日本国内及び海外においてSMS市場のリーディングカンパニーとしてメッセージングサービス事業を中心に事業展開しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に、社会課題解決への取り組みを推進していく事を表明しております。
加えて、中長期的には「日本のアクリートからアジアのアクリートに」を掲げ、今後、市場拡大が想定されているアジア市場のセキュリティ、コミュニケーション分野において、日本での本人認証や業務連絡によるSMS配信サービス事業で培った知見や経験を活かし、事業展開していくことを当社グループの成長・企業価値創出のキーとするという考えのもと、アジアという広大なマーケットでの事業拡大を推進していく方針を打ち出しております。
その一環として、セキュリティ分野において、本年8月に世界でも最高峰レベルの声紋認証技術を持つPindrop Security,Inc.との同社製品に関する特約販売契約を締結しております。
また、中期経営計画に沿って次代に適応する新たな事業展開を目指しておりますが、その中で次代に向けた取り組みについては、SMS事業内の事業展開だけでは限界があるとの判断があり、SMSに関連、SMSから派生する事業にまで枠を広げた事業展開の準備を行っており、特にSMSを応用、活用したサービス機器の開発などにも取り組むべく、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでおります。
当社グループの主たる事業である国内メッセージングサービス事業のうちSMS配信サービスの市場環境は、2026年の国内直収市場規模について配信数は140億7,713万通と予想され(「ミックITレポート2022年10月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2022年度から2026年度までの年平均成長率は40.3%増で、引き続き成長を続けると予想されておりますが、競合他社参入による価格競争のため配信単価の下落傾向が続いており、売上高及び営業利益については苦しい状況となっており、可及的速やかに価格競争に巻き込まれない対策を講じることが当社グループの課題であると認識しております。また、海外アグリゲーター向けについても、当第2四半期連結会計期間より引き続き、キャリア系大手企業など競合他社の市場への参入の影響が顕著となっており、市場環境は変わらず厳しい状況が続いており、当第3四半期連結累計期間においても営業面でその影響を大きく受ける結果となりました。
また、海外メッセージングサービス事業においては、アジア地域の法人向けSMS配信市場規模は2020年度から2024年度までの年平均成長率は2.8%ベースで拡大し、2024年には1.41兆通に成長すると予測されており(出典:Mobile Squad社「GLOBAL A2P SMS DATABOOK REPORT, 2019-2024」)、前連結会計年度に子会社化した、VietGuysJ.S.C. (以下、「VGS社」という。)が事業展開するベトナムのSMS配信市場は、2024年には354億通と予想され、当社としては日本でのノウハウや経験をVGS社に提供することでベトナム市場での一定のシェア獲得を推進しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は3,971,450千円(前年同四半期比14.0%減)、営業利益は261,791千円(前年同四半期比73.7%減)となりました。経常利益は260,155千円(前年同四半期比74.4%減)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は175,616千円(前年同四半期比75.4%減)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①国内メッセージングサービス事業
国内メッセージングサービス事業は日本国内にて事業活動を行う当社及び国内子会社にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。
a.SMS配信サービス
当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しなどにより、自治体等による連絡手段としての利用がひと段落したことで、前第3四半期連結累計期間に比べて減少しましたが、引き続き国内SMS市場の配信数は増加傾向が続いており、今後も「連絡・通知」の利用用途での広がりが予想されております。一方で、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへキャリア系大手企業などの競合他社参入などによる配信数の減少、価格競争のため販売単価の下落が続いております。
しかしながら、非コロナでの配信数は前年同四半期比で132%を達成し、地道な営業活動は着実に実を結ぶ結果となっております。
そのような事業環境の中、利用用途を「認証」と「連絡・通知」に分け、「認証」については当社のSMS認証技術とPindrop Security,Inc.の声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより、これまでにないセキュリティレベルの多要素認証サービスを提供すること、また、「連絡・通知」については、引き続き配信数が拡大を続ける市場に対して、ナッジAIと組み合わせたコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により価格競争に巻き込まれない当社独自の差別化を進めることでSMS市場のリーディングカンパニーとして引き続き事業拡大および収益性の向上に取り組んでおります。
b.メール配信サービス
当社は子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しており、豊かな人生とよりよい社会を創造するために自ら考え主体的に行動できる人を育むことを目指す「Kumamoto Education Week 2023」に協賛したり、熊本日日新聞と協力して「SDGs安心メールくまもと」の配信を開始するなどのCSR活動を通じて、また、「第14回 EDIX(教育総合展)東京」に出展するなど新規顧客開拓、サービスの浸透に積極的に取り組んでおります。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,872,250千円(前年同四半期比22.3%減)、セグメント利益は283,006千円(前年同四半期比71.8%減)となりました。
②海外メッセージングサービス事業
海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(VGS社)にて構成されております。VGS社が事業を展開しているベトナムでは、新型コロナウイルス感染症流行の影響から一時は回復したものの、世界的な需要減速による輸出減により景気減速の懸念がされておりましたが、渡航制限の解除などによる観光関連産業をはじめとしたサービス業の回復により復調の兆しが出てきております。
ベトナムを含めた東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。そのような状況の下、VGS社はCDP(カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)の略称で、利用企業が保有する顧客データを収集・統合するための顧客データ基盤)サービスを通して顧客のマーケティング活動を支援することで、メッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、より収益性の高いサービスへのシフトを通じて売上拡大と収益率向上に取り組んでおります。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,099,199千円(前年同四半期比19.8%増)、セグメント損失は21,215千円(前年同四半期は8,994千円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の状況
資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べて474,871千円減少し、4,446,825千円となりました。これは主に現金及び預金374,662千円及び受取手形、売掛金及び契約資産269,985千円の減少によるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて686,108千円減少し、2,057,851千円となりました。これは主に未払法人税等339,899千円及び長期借入金315,963千円の減少によるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて211,237千円増加し、2,388,974千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金175,616千円、新株予約権の権利行使に伴う資本金10,629千円及び資本剰余金10,629千円、為替換算調整勘定43,424千円の増加に対して、配当金の支払いによる利益剰余金の減少56,772千円によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。