有価証券報告書-第6期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 10:55
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【項目】
104項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな景気回復基調が続いておりますが、米中貿易摩擦の長期化による海外経済の減速影響等が懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況のまま推移しております。
SMS配信サービス業界においては、SMS配信サービスの認知度が向上し、SNSやスマートフォンアプリの利用時などの本人認証通知、公共料金・税金など督促の通知、飲食業界のノー・ショウ(飲食店における無断キャンセル)対策としての予約確認など企業と個人の間でのコミュニケーション手段として高い到達率と開封率というSMSの有用性を再認識する企業の増加に伴い、SMS配信市場は急速な広がりをみせており、2023年の市場規模は配信数31億8,000万通と予想され(「ミックITリポート 2019年9月号」(ミック経済研究所))、2018年度から2023年度までの年平均成長率は46.7%増で、国内法人市場は最低5年先まで安定高成長を続けると予想されております。
このような状況の中、当社は国内の携帯電話事業者4社との直接回線接続、大量配信に耐えうるSMS配信システムなどから海外SMSアグリゲーター、IT企業、コールセンター、人材サービス会社等からの支持を受け、業界内でのポジションを確立しております。
当事業年度における国内市場向け配信数につきましては、SMS配信サービス市場の拡大を背景に、人材サービス・国内大手IT企業等での利用が増加し、過去最高の配信数を更新し、前年同期比及び前四半期比ともに増加しましたが、海外SMSアグリゲーター経由の配信数は、キャッシュレス決済サービス・配車アプリの個人認証手段におけるSMS配信等での増加は見られるものの、GAFAに代表される一部のグローバルIT企業のSMS配信において、価格競争により一部採算割れが発生し、SMS配信数を減少させたことから、前年同期比及び前四半期比ともに減少する結果となりました。
このような市場環境を踏まえ、当社では「SMS×α」をコンセプトにSMSを活用した付加価値の高いサービス開発を推進しており、2019年2月に海外の携帯電話番号向けにSMS配信を行う「SMSコネクトグローバル」のサービスを開始、3月にケイスリー株式会社と地方自治体向けSMS配信プラットホーム開発についての業務提携、4月に株主・投資家に対し、当社の情報開示をより認知していただくために、IVRサービスを活用した「IR-SMS配信サービス」を開始、5月に株式会社イー・カムトゥルー及びBCホールディングス株式会社と飲食店向け予約台帳システム及びSMS配信ツール開発について業務提携を行い、8月に沖縄県浦添市及びケイスリー株式会社とSMSを活用した「大腸がん検診のお知らせ」に関する連携協定を締結、9月にはSMS配信サービス及びIVRサービスを活用したイベント参加者等の把握及びマーケティングを支援する「アクリートSMSエントリー」サービスを開始、12月には当社の高品質なSMS配信プラットフォーム「SMSコネクト」とMobile Innovation Company Limited社の優れたアプリケーション、長年の実績とノウハウを用いて、災害時の緊急連絡・安否確認等のユーザニーズに応えるSMS一斉連絡サービス「アクリートSMSアラート」を開始しております。
以上の結果、当事業年度のSMS配信数は340百万通(前年同期比6.2%減)、最終顧客数は1,063社、売上高は1,413,950千円(前年同期比9.5%増)、営業利益は254,038千円(前年同期比3.2%増)、経常利益は249,046千円(前年同期比11.7%増)、当期純利益は170,779千円(前年同期比12.0%増)となりました。
なお、当社はSMS配信サービス事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載は省略しております。
② 財政状態の状況
当事業年度末の財政状態は、前事業年度末に比べて純資産が201,245千円増加し、財政状態は良好な状態で推移しております。資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度末に比べて210,403千円増加し1,244,161千円となりました。これは主に税引前当期純利益の計上等による現金及び預金の増加218,910千円によるものです。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて、9,157千円増加し217,233千円となりました。これは主に未払法人税等の増加10,784千円によるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて、201,245千円増加し1,026,927千円となりました。これは主に当期純利益の計上による利益剰余金の増加170,779千円及び新株予約権の行使に伴う資本金13,541千円、資本準備金13,541千円の増加によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べて218,910千円増加し、988,282千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は211,301千円(前事業年度は123,511千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益249,046千円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払い66,138千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は19,261千円(前事業年度は15,900千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、ソフトウエアの開発による無形固定資産の取得18,149千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は26,870千円(前事業年度は438,653千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、株式の発行による26,900千円であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
② 受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)前事業年度比(%)
SMS配信サービス事業1,413,950109.5
合計1,413,950109.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、SMS配信サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載しておりません。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Nexmo, Inc.216,31216.8257,55218.2
ヤフー株式会社540.0157,75011.2
SAP BSC Nederland B.V.261,55620.379,4185.6
TeleSign Mobile Limited242,77118.815,9511.1

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」にも記載しておりますが、売上高は1,413,950千円(前事業年度比9.5%増)となりました。これは主に、価格競争により一部採算割れが発生したことにより海外SMSアグリゲーターを経由したSMS配信数は減少したものの、国内SMS配信市場の拡大により国内市場向けのSMS配信数が増加したことによるものであります。
売上原価は、901,278千円(同7.3%増)となりました。これは主に、SMS配信数増加に伴う携帯電話事業者からの仕入高増加によるものであります。また、売上原価率は63.7%(同1.4ポイント低下)となりました。これは主に、利益率の高い国内市場向けのSMS配信数が増加したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、258,633千円(同26.2%増)となりました。これは主に、人材採用紹介料などの支払手数料の増加24,379千円、派遣社員や業務委託など外部協力者に対する人材派遣費、業務委託費の増加14,689千円によるものであります。
結果、営業利益は254,038千円(同3.2%増)となり、売上原価率は1.4ポイント低下したものの、販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益率は18.0%(同1.1ポイント低下)となりました。
営業外収益は、114千円(同52.2%増)となり、営業外費用は5,106千円(同78.2%減)となりました。これは主に、前事業年度に株式公開費用15,517千円を計上したことによるものであります。
結果、経常利益は249,046千円(同11.7%増)、経常利益率は17.6%(同0.3ポイント増)となり、税引前当期純利益は249,046千円(同11.7%増)、当期純利益は170,779千円(同12.0%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は211,301千円(前事業年度は123,511千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益249,046千円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払い66,138千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は19,261千円(前事業年度は15,900千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、ソフトウエアの開発による無形固定資産の取得18,149千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は26,870千円(前事業年度は438,653千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、株式の発行による26,900千円であります。
以上により、当事業年度末における現金及び現金同等物は988,282千円(前事業年度末は769,371千円)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、ソフトウエアの開発による無形固定資産取得のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。
また、今後の更なる成長の為に、SMSを活用した付加価値の高いサービスの開発や、SMS配信サービスの営業体制強化等に取り組む方針です。これらの事業活動に必要となる資金は、自己資金により充当する事が基本方針でありますが、必要に応じて資金調達を実施いたします。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しておりますが、当社の売上高の48.1%(2019年12月期)を占める海外SMSアグリゲーターの動向及び携帯電話事業者との契約関係は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社は、SMS配信サービス企業として、顧客の利便性・安全性を高める大量のSMSの正確かつ安定した配信、SMS利用用途の拡大、SMS配信マーケットの健全な発展への貢献を経営方針とし、SMS配信サービス市場のシェア拡大を目指してまいりました。
SMS配信サービス市場の更なる拡大が予測される中、当社は「SMS×α」のコンセプトのもと、新たなサービス開発、市場開拓を行うことにより、SMS配信サービス企業からSMSを活用したサービスプロバイダーへの転換を図るとともに、販社・代理店を中心とした国内マーケティング体制を再構築し、営業力を強化することにより収益の向上を果たしてまいります。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、「デジタル社会に、リアルな絆を」を会社のビジョンとして掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、SMS配信サービス事業を展開しております。
今後の方針としましても、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入すること、あわせて、SMS配信サービスに付加価値をつけた「SMS×α」の販売拡大、次世代メッセージサービスとして「+メッセージ」への取り組み等を進めることで中長期の持続的な成長を目指してまいります。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。