半期報告書-第11期(2024/01/01-2024/12/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、円安進行による物価上昇や、高水準で推移する資源価格や原材料価格の高騰、及び金融政策の変動等の影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社が法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組んでまいりました。その間に、グローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業にご利用いただくことで、現在ではSMS最終利用企業数が5,000社を突破し、年間10億通規模のSMS配信できる基盤を構築できるまでに成長してまいりました。さらに2021年からグループ3社を加えたことで現在ではサービス利用企業数も10,000社を超える規模に成長し、同時に日本国内のみならず、中長期的には「アジアのアクリートたる」として海外、特にアジア地域で、日本での事業展開から培った知見や経験、事業ネットワーク・アライアンスを活用することでアジアという広大なマーケットでの事業拡大を推進することを目論んでおります。
そのような状況下において、当社は当中間連結会計期間終了間もない2024年7月12日に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を公表いたしました。今回の中期経営計画の修正は新経営陣によって当社の現状と新たなビジョンに基づき行われたものであり、「新たな次代のアクリートへの転換」として、この修正された中期経営計画の着実な達成を図ることとし、当社の新たな「未来」を切り開く礎と位置付けております。これまで当社の展開する事業は当社の主力サービスである「SMS(ショートメッセージングサービス)」に対し、脱SMSを図る新規事業をすべて「非SMS」とまとめておりました。2024年7月からの今回の修正においては新たな企業価値創造を目指して、SMS事業を1つのセグメントとして設定し、これを①「コミュニケーション(SMSメッセージング)」事業と称し、これを加えて「ハード・アンド/プラス・サービス」事業と、「認証&AIソリューション」事業を取り組む②「ソリューション事業」と、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘し、それらに対して投融資を行っていくことで事業面でのアライアンスの一環として機能させていく③「投資・インキュベーション」事業の、①~③の3つの事業セグメント設定に修正しました。これによって、事業・企業活動の幅を広げ、当社の実績や営業面の資産、企業間ネットワークなどを活用した事業戦略に基づく事業展開が可能になると考えております。なお、この①~③の事業セグメントは第3四半期から適用する予定です。
まず、第一の柱であるコミュニケーション(SMSメッセージング)事業では、これまで通りSMS事業における国内メッセージング事業と海外メッセージング事業により構成され、当該事業はテレコミュニケーションサービス全般を対象に事業展開を行ってまいります。2024年6月にはApple社によるiPhoneのRCS(+メッセージ対応)が公表されましたが、この発表は国内SMS市場における+メッセージシフトの促進とも考えることができます。また2024年7月16日には当社の出資先であるDigital Platformer社との取り組みとして、分散型IDの発行サービス「SMS-OTP for DID」提供を発表しました。当社は今後こうしたツールとしてのSMS採用から脱却した、SMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスをSMSやRCS(+メッセージ)と組み合わせる新たな取り組みの展開を図ります。それに加え、SMS機能面での充実や、当社がこれまで培ってきた顧客との関係深化と特定業界に特化したソリューションによる事業(パートナーサービスAPI連携)を展開することで、国内SMS市場の新規開拓を加速させてまいります。また海外アグリゲーター経由の日本向けSMS配信においては、コロナ禍以後に通信キャリアによるSMS市場への直接参入が始まったことで、シェア獲得のための価格面での競争が一層激化しております。そのような中、当社は2024年8月6日に「Techown Information Technology Co., Ltd.との業務提携に関するお知らせ」を公表しました。SMS事業のアジア地域での国際化を推進する中で、中国の大手SMS通信事業者であるTechown社との業務提携によって同国でのSMSの拡大を推進してまいります。このように「アジアのアクリート」を標榜した、事業の国際化として従来の方針を継承してまいります。
次に第二の柱となるソリューション事業ですが、生成AIの利用拡大による需要の高まりを受けて新たな次代のアクリートへと転換するための成長因子として、AIをキーワードとしての取り組みを中心としています。前述した2つのカテゴリーのうち、「ハード・アンド/プラス・サービス」事業は、昨年期より取り組んできたGPU関連の取引の継続拡大と新たな顧客開拓に取り組んでおります。また、GPUサーバーを含むハードウェアやAIソリューションは、ベンチャー企業のインキュベーションにも活用出来ると考えております。次に「認証&AIソリューション」事業ですが、これまでの声紋など多要素認証の取り組みは引き続き行う一方、特にAIを使った認証サービスに力を入れており、具体的には海外において実績が出始めている、新たなシステムとしての健康やクレジットに関するスコアリング・認証ソリューション展開、コールセンターでのDX化のためのAIエージェントソリューション、子会社のテクノミックスを通して教育関係AIソリューション等を取り組みとして検討しています。これらの取り組みは準備が整い次第、順次お知らせしてまいります。
最後に第三の柱である投資・インキュベーション事業ですが、次代へ向けた取り組みとして、投資部門を新設し、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘し、それらに対する投融資によって事業面でのアライアンスの一環として機能させ、新たな企業価値創造のキーとして展開していきます。有望な開発系やAIベンチャーへの投資を通して、当社での社内活用やインキュベーションを行うことで投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指すような形態で事業展開してまいります。これまでも当社のソリューションとしてSMSの付帯サービスとなる可能性のある技術の発掘を行ってきた経緯から既に投資先候補も発掘しております。
また、これらの事業計画を実現するために組織改編も行い、2024年8月1日より役付取締役を変更し、代表取締役会長である株本幸二を代表取締役社長とし、また経営統括本部本部長を兼任、代表取締役社長である田中優成を代表取締役副社長とし、営業統括本部長を兼任することと致しました。上記2名の社内取締役にて事業推進、コーポレートマネージメントを機動的に行うための体制移行と展開加速化を目的とし、併せて2024年7月1日には先んじて組織体制の変更によって、アクリートグループ全体の経営企画・経営管理面業務のスピーディかつ効率的な体制強化の準備を開始しております。中でも新設の社長室は、成長戦略を担う海外事業及び投資・インキュベーション事業を担当し、中期経営計画を推進するエンジン役の1つを担い、コーポレートガバナンスと経営企画面の強化を補強するように社長直轄で迅速な対応を可能とするように機能させてまいります。
以上の結果、当中間連結会計期間の業績につきましては、売上高は2,598,694千円(前年同期比5.6%減)、営業利益は85,140千円(前年同期比65.4%減)となりました。経常利益は85,899千円(前年同期比64.8%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は60,909千円(前年同期比62.5%減)となりました。当中間連結会計期間は、前年比こそマイナスではありますが、2024年12月期の連結業績予想に対しては計画通りに推移しております。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①国内メッセージングサービス事業
国内メッセージングサービス事業は日本国内にて事業活動を行う当社及び国内子会社にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。
a.SMS配信サービス
当中間連結会計期間において、国内SMS市場では競合他社との価格競争による販売単価については下落傾向が続いておりますが、SMS配信数は対前年同期比131%と引き続き増加傾向が続いております。今後はSMSやRCS(+メッセージ)とSMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスとを組み合わせる取り組みによって事業拡大を進めてまいります。また、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信については、前連結会計年度において本格化したサービスへキャリア系大手企業の競合他社参入などによる影響のため、配信数及び販売単価について厳しい事業環境が続いております。2023年12月期の第3四半期までに見られたようなペースでの売上・通数減少からは脱しておりますが、SMS配信数は対2023年第3四半期比98%とほぼ横ばいの状態が続いております。今後はTechown社との取り組みによる事業展開による収益の拡大に取り組んでまいります。
b.メール配信サービス
子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。メール配信サービスの利用顧客は、当連結会計年度からは、当社及び販売代理店との連携強化による顧客拡大に取り組んでおります。また、AI技術を応用した新たな教育ソフトの取り扱いも検討しており、テクノミックスの持つ営業インフラを活用する戦略による事業展開も計画しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,797,131千円(前年同期比10.6%減)、セグメント利益は109,548千円(前年同期比56.4%減)となりました。
②海外メッセージングサービス事業
海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(以下、VGS社という)にて構成されております。海外展開については、従来からの「アジアのアクリート」という方針は維持しつつ、その内容については業務提携を含むSMS事業の国際化とM&Aによる市場獲得によるものとし、社長室にて管理統括していくこととします。すでにVGS社にて事業展開するベトナムに加えて中国の大手SMS事業会社との協業に関しても協議しており、その他のアジア各国においても新経営陣の持つ海外ネットワークを活用して当社の業容拡大を図るべく、プロジェクト・ソリューション単位での営業・提携等を積極的に展開していく計画としています。
VGS社が事業を展開しているベトナムを含めた東南アジアにおいては、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。VGS社は当期ではCDP(Customer Data Platform)サービスを軸として、ベトナム国内におけるメッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、SMS以外のサービス拡充や他社との提携を推進することにより、事業拡大と収益率向上に取り組んでおります。
以上の結果、当セグメントの売上高は801,563千円(前年同期比7.7%増)、セグメント損失は24,408千円(前年同期は5,550千円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の状況
資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当中間連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べて168,838千円減少し、4,042,521千円となりました。これは主に前払金423,330千円の増加に対して、現金及び預金424,383千円、未収還付法人税等93,225千円、及び受取手形、売掛金及び契約資産80,367千円の減少によるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて309,348千円減少し、1,755,147千円となりました。これは主に短期借入金による100,000千円の増加に対して、長期借入金210,642千円及び買掛金181,314千円の減少によるものです。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて140,510千円増加し、2,287,373千円となりました。これは親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加60,909千円、為替換算調整勘定50,922千円、新株予約権の権利行使に伴う資本金450千円及び資本剰余金450千円の増加によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて424,383千円減少し、1,400,610千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は248,005千円(前年同期は86,244千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前中間純利益85,899千円、減価償却費56,504千円及び売上債権の減少額110,584千円、法人税等の還付額94,222千円であり、支出の主な内訳は、前払金の増加額419,090千円及び仕入債務の減少額188,198千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18,525千円(前年同期は66,965千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出16,509千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は171,786千円(前年同期は224,259千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円であり、支出の主な内容は長期借入金の返済による支出210,642千円及び連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出62,000千円であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、円安進行による物価上昇や、高水準で推移する資源価格や原材料価格の高騰、及び金融政策の変動等の影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社が法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組んでまいりました。その間に、グローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業にご利用いただくことで、現在ではSMS最終利用企業数が5,000社を突破し、年間10億通規模のSMS配信できる基盤を構築できるまでに成長してまいりました。さらに2021年からグループ3社を加えたことで現在ではサービス利用企業数も10,000社を超える規模に成長し、同時に日本国内のみならず、中長期的には「アジアのアクリートたる」として海外、特にアジア地域で、日本での事業展開から培った知見や経験、事業ネットワーク・アライアンスを活用することでアジアという広大なマーケットでの事業拡大を推進することを目論んでおります。
そのような状況下において、当社は当中間連結会計期間終了間もない2024年7月12日に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を公表いたしました。今回の中期経営計画の修正は新経営陣によって当社の現状と新たなビジョンに基づき行われたものであり、「新たな次代のアクリートへの転換」として、この修正された中期経営計画の着実な達成を図ることとし、当社の新たな「未来」を切り開く礎と位置付けております。これまで当社の展開する事業は当社の主力サービスである「SMS(ショートメッセージングサービス)」に対し、脱SMSを図る新規事業をすべて「非SMS」とまとめておりました。2024年7月からの今回の修正においては新たな企業価値創造を目指して、SMS事業を1つのセグメントとして設定し、これを①「コミュニケーション(SMSメッセージング)」事業と称し、これを加えて「ハード・アンド/プラス・サービス」事業と、「認証&AIソリューション」事業を取り組む②「ソリューション事業」と、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘し、それらに対して投融資を行っていくことで事業面でのアライアンスの一環として機能させていく③「投資・インキュベーション」事業の、①~③の3つの事業セグメント設定に修正しました。これによって、事業・企業活動の幅を広げ、当社の実績や営業面の資産、企業間ネットワークなどを活用した事業戦略に基づく事業展開が可能になると考えております。なお、この①~③の事業セグメントは第3四半期から適用する予定です。
まず、第一の柱であるコミュニケーション(SMSメッセージング)事業では、これまで通りSMS事業における国内メッセージング事業と海外メッセージング事業により構成され、当該事業はテレコミュニケーションサービス全般を対象に事業展開を行ってまいります。2024年6月にはApple社によるiPhoneのRCS(+メッセージ対応)が公表されましたが、この発表は国内SMS市場における+メッセージシフトの促進とも考えることができます。また2024年7月16日には当社の出資先であるDigital Platformer社との取り組みとして、分散型IDの発行サービス「SMS-OTP for DID」提供を発表しました。当社は今後こうしたツールとしてのSMS採用から脱却した、SMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスをSMSやRCS(+メッセージ)と組み合わせる新たな取り組みの展開を図ります。それに加え、SMS機能面での充実や、当社がこれまで培ってきた顧客との関係深化と特定業界に特化したソリューションによる事業(パートナーサービスAPI連携)を展開することで、国内SMS市場の新規開拓を加速させてまいります。また海外アグリゲーター経由の日本向けSMS配信においては、コロナ禍以後に通信キャリアによるSMS市場への直接参入が始まったことで、シェア獲得のための価格面での競争が一層激化しております。そのような中、当社は2024年8月6日に「Techown Information Technology Co., Ltd.との業務提携に関するお知らせ」を公表しました。SMS事業のアジア地域での国際化を推進する中で、中国の大手SMS通信事業者であるTechown社との業務提携によって同国でのSMSの拡大を推進してまいります。このように「アジアのアクリート」を標榜した、事業の国際化として従来の方針を継承してまいります。
次に第二の柱となるソリューション事業ですが、生成AIの利用拡大による需要の高まりを受けて新たな次代のアクリートへと転換するための成長因子として、AIをキーワードとしての取り組みを中心としています。前述した2つのカテゴリーのうち、「ハード・アンド/プラス・サービス」事業は、昨年期より取り組んできたGPU関連の取引の継続拡大と新たな顧客開拓に取り組んでおります。また、GPUサーバーを含むハードウェアやAIソリューションは、ベンチャー企業のインキュベーションにも活用出来ると考えております。次に「認証&AIソリューション」事業ですが、これまでの声紋など多要素認証の取り組みは引き続き行う一方、特にAIを使った認証サービスに力を入れており、具体的には海外において実績が出始めている、新たなシステムとしての健康やクレジットに関するスコアリング・認証ソリューション展開、コールセンターでのDX化のためのAIエージェントソリューション、子会社のテクノミックスを通して教育関係AIソリューション等を取り組みとして検討しています。これらの取り組みは準備が整い次第、順次お知らせしてまいります。
最後に第三の柱である投資・インキュベーション事業ですが、次代へ向けた取り組みとして、投資部門を新設し、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘し、それらに対する投融資によって事業面でのアライアンスの一環として機能させ、新たな企業価値創造のキーとして展開していきます。有望な開発系やAIベンチャーへの投資を通して、当社での社内活用やインキュベーションを行うことで投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指すような形態で事業展開してまいります。これまでも当社のソリューションとしてSMSの付帯サービスとなる可能性のある技術の発掘を行ってきた経緯から既に投資先候補も発掘しております。
また、これらの事業計画を実現するために組織改編も行い、2024年8月1日より役付取締役を変更し、代表取締役会長である株本幸二を代表取締役社長とし、また経営統括本部本部長を兼任、代表取締役社長である田中優成を代表取締役副社長とし、営業統括本部長を兼任することと致しました。上記2名の社内取締役にて事業推進、コーポレートマネージメントを機動的に行うための体制移行と展開加速化を目的とし、併せて2024年7月1日には先んじて組織体制の変更によって、アクリートグループ全体の経営企画・経営管理面業務のスピーディかつ効率的な体制強化の準備を開始しております。中でも新設の社長室は、成長戦略を担う海外事業及び投資・インキュベーション事業を担当し、中期経営計画を推進するエンジン役の1つを担い、コーポレートガバナンスと経営企画面の強化を補強するように社長直轄で迅速な対応を可能とするように機能させてまいります。
以上の結果、当中間連結会計期間の業績につきましては、売上高は2,598,694千円(前年同期比5.6%減)、営業利益は85,140千円(前年同期比65.4%減)となりました。経常利益は85,899千円(前年同期比64.8%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は60,909千円(前年同期比62.5%減)となりました。当中間連結会計期間は、前年比こそマイナスではありますが、2024年12月期の連結業績予想に対しては計画通りに推移しております。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①国内メッセージングサービス事業
国内メッセージングサービス事業は日本国内にて事業活動を行う当社及び国内子会社にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。
a.SMS配信サービス
当中間連結会計期間において、国内SMS市場では競合他社との価格競争による販売単価については下落傾向が続いておりますが、SMS配信数は対前年同期比131%と引き続き増加傾向が続いております。今後はSMSやRCS(+メッセージ)とSMS以外の携帯電話番号を活用する多様なキャリアサービスとを組み合わせる取り組みによって事業拡大を進めてまいります。また、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信については、前連結会計年度において本格化したサービスへキャリア系大手企業の競合他社参入などによる影響のため、配信数及び販売単価について厳しい事業環境が続いております。2023年12月期の第3四半期までに見られたようなペースでの売上・通数減少からは脱しておりますが、SMS配信数は対2023年第3四半期比98%とほぼ横ばいの状態が続いております。今後はTechown社との取り組みによる事業展開による収益の拡大に取り組んでまいります。
b.メール配信サービス
子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。メール配信サービスの利用顧客は、当連結会計年度からは、当社及び販売代理店との連携強化による顧客拡大に取り組んでおります。また、AI技術を応用した新たな教育ソフトの取り扱いも検討しており、テクノミックスの持つ営業インフラを活用する戦略による事業展開も計画しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,797,131千円(前年同期比10.6%減)、セグメント利益は109,548千円(前年同期比56.4%減)となりました。
②海外メッセージングサービス事業
海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(以下、VGS社という)にて構成されております。海外展開については、従来からの「アジアのアクリート」という方針は維持しつつ、その内容については業務提携を含むSMS事業の国際化とM&Aによる市場獲得によるものとし、社長室にて管理統括していくこととします。すでにVGS社にて事業展開するベトナムに加えて中国の大手SMS事業会社との協業に関しても協議しており、その他のアジア各国においても新経営陣の持つ海外ネットワークを活用して当社の業容拡大を図るべく、プロジェクト・ソリューション単位での営業・提携等を積極的に展開していく計画としています。
VGS社が事業を展開しているベトナムを含めた東南アジアにおいては、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。VGS社は当期ではCDP(Customer Data Platform)サービスを軸として、ベトナム国内におけるメッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、SMS以外のサービス拡充や他社との提携を推進することにより、事業拡大と収益率向上に取り組んでおります。
以上の結果、当セグメントの売上高は801,563千円(前年同期比7.7%増)、セグメント損失は24,408千円(前年同期は5,550千円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の状況
資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当中間連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べて168,838千円減少し、4,042,521千円となりました。これは主に前払金423,330千円の増加に対して、現金及び預金424,383千円、未収還付法人税等93,225千円、及び受取手形、売掛金及び契約資産80,367千円の減少によるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて309,348千円減少し、1,755,147千円となりました。これは主に短期借入金による100,000千円の増加に対して、長期借入金210,642千円及び買掛金181,314千円の減少によるものです。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて140,510千円増加し、2,287,373千円となりました。これは親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加60,909千円、為替換算調整勘定50,922千円、新株予約権の権利行使に伴う資本金450千円及び資本剰余金450千円の増加によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べて424,383千円減少し、1,400,610千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は248,005千円(前年同期は86,244千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前中間純利益85,899千円、減価償却費56,504千円及び売上債権の減少額110,584千円、法人税等の還付額94,222千円であり、支出の主な内訳は、前払金の増加額419,090千円及び仕入債務の減少額188,198千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18,525千円(前年同期は66,965千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出16,509千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は171,786千円(前年同期は224,259千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円であり、支出の主な内容は長期借入金の返済による支出210,642千円及び連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出62,000千円であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。