有価証券報告書-第74期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 13:40
【資料】
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【項目】
121項目
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善傾向が続き、企業収益は堅調に推移しております。個人消費についても持ち直しの動きが見られるものの、当社グループ関連業界におきましては人手不足感が一層強まってきており、また水産物需要の世界的な高まりに伴う買付競争も引き続き厳しく、依然として予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループは中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017(2014-2017)」の最終年度を迎えましたが、持続的成長の実現と中長期の企業価値向上に向けて、完全養殖マグロ事業の拡大、グローバル領域における収益拡大、及び冷凍食品を生産する新石巻工場の稼働など、「成長路線の遂行」に取り組んでまいりました。
その結果、売上高は918,820百万円(前期比5.2%増)、営業利益は24,497百万円(前期比6.9%減)、経常利益は27,917百万円(前期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,102百万円(前期比4.2%増)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当期は、漁業における魚価上昇及び養殖事業における出荷増により増収となりました。またカツオの魚価高や国内外の好調な漁獲により漁業の利益率が改善した結果、漁業・養殖事業の売上高は38,332百万円(前期比6.0%増)、営業利益は2,332百万円(前期比12.4%増)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ「水産商事」「畜産商事」、市場流通の基幹を担う「荷受」、及び量販店、コンビニエンスストア、生協、外食などの業態に特化した「業務用食品(商事)」から構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
「水産商事」は、主要魚種の多くが高値圏にあるなか、冷凍魚・エビなどを中心に原料・加工品の販売が好調に推移したものの、浜値高や円安による調達コスト増加の影響もあり、増収減益となりました。
「荷受」は、鮮魚・冷凍魚ともに単価高が続くなか、天候不順などに起因する不漁も影響し、集荷面では引き続き苦戦を余儀なくされ、また販売面も単価高から全般的に低調で利幅の取りにくい状況が続き、減収減益となりました。
「畜産商事」は、牛肉、豚肉、鶏肉の取扱増により増収となったものの、鶏肉、加工品、飼料原料の利益率低下により減益となりました。
「業務用食品(商事)」は、コンビニエンスストア、外食向け等を中心に販売が堅調に推移し増収となりましたが、原料コストの上昇に加え、マグロ加工事業の苦戦が影響し減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は471,231百万円(前期比4.2%増)、営業利益は5,051百万円(前期比33.4%減)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している「海外」、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する「北米」から構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
「海外」は、日本産水産物の輸出事業や豪州での漁労事業が順調に推移したものの、タイでのペットフード事業が原料価格の高騰等により大幅減益となったため、全体として増収減益となりました。
「北米」は、ズワイカニの漁獲枠削減に伴う生産・販売減はあったものの、助宗すりみの効率的な生産・順調な販売及びアラスカ紅鮭・鱒の生産・販売増により増収増益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は165,324百万円(前期比13.1%増)、営業利益は8,607百万円(前期比7.6%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う「家庭用冷凍食品」、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う「家庭用加工食品」、業務用商材の製造・販売を行う「業務用食品(加工)」、及び化成品の製造・販売を行う「化成」から構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
「家庭用冷凍食品」は、米飯類、グラタン類や冷凍野菜の販売増により増収となりましたが、新規設備投資の償却増による影響で減益となりました。
「家庭用加工食品」は、缶詰は青物缶詰の伸長が下支えして前年並みの販売を維持し、ちくわ等のチルド食品の販売が好調であったことにより増収、加えて原料コストや生産性の改善により、増益となりました。
「業務用食品(加工)」は、介護食、コンビニエンスストア等の取り組み強化に加え、自社工場製品の販売伸長により増収となりましたが、原料高や円安による調達コストの増加等が影響し減益となりました。
「化成」は、健康食品の輸出減少のほか、鮭不漁に伴う原料不足でプロタミン・DNAの販売を調整したこともあり売上高は前年並みとなりましたが、引き続き機能性表示食品制度を追い風としたDHA・EPAの販売が好調に推移し増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は214,938百万円(前期比2.0%増)、営業利益は5,177百万円(前期比0.3%増)となりました。
物流事業
物流事業は、輸配送コストが高止まりするなか、安定的な車輌調達と取扱貨物の集荷拡大に努めました。
当期は、前期に稼働した出水物流センターに係る減価償却費の増加や動力費等のコスト上昇があったものの、冷蔵保管事業、輸配送事業ともに貨物の取扱数量が増加し堅調に推移したことにより、売上高は15,969百万円(前期比3.0%増)、営業利益は1,870百万円(前期比1.8%増)となりました。
(2)財政状態の分析
総資産は516,843百万円となり、前期に比べ15,540百万円増加いたしました。これは、主として売上債権及びたな卸資産の増加によるものであります。
負債は376,793百万円となり、前期に比べ1,689百万円減少いたしました。これは、主として借入金の減少によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は140,049百万円となり、前期に比べ17,228百万円増加いたしました。
各セグメントの資産は次のとおりであります。
漁業・養殖事業の総資産は37,048百万円となり、前期に比べ320百万円増加いたしました。これは、主としてその他投資等の増加によるものであります。
商事事業の総資産は126,684百万円となり、前期に比べ5,878百万円増加いたしました。これは、主として売上債権の増加によるものであります。
海外事業の総資産は123,958百万円となり、前期に比べ10,729百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産及びたな卸資産の増加によるものであります。
加工事業の総資産は136,247百万円となり、前期に比べ265百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
物流事業の総資産は35,776百万円となり、前期に比べ613百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には15,187百万円と前連結会計年度末に比べ1,859百万円増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は29,737百万円となり、前期に比べ3,768百万円増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、14,975百万円となり、前期に比べ3,878百万円増加いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、13,314百万円となり、前期に比べ304百万円減少いたしました。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、国内及び海外からの水産物の調達費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。
当社グループは、中期経営計画「Innovation toward 2021」に掲げておりますとおり、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(5)目標とする経営指標の達成状況等
中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017(2014-2017)」の最終年度の達成状況は次のとおりであります。
指標平成29年度(計画)平成29年度(実績)平成29年度(計画比)
売上高9,000億円9,188億円188億円増( 2.1%増)
営業利益200億円244億円44億円増(22.0%増)
経常利益190億円279億円89億円増(46.8%増)
海外法人利益比率
(経常利益)
25.0%40.2%15.2%増
有利子負債残高2,750億円2,660億円90億円減( 3.3%減)
自己資本比率20.0%22.3%2.3%増

(6)生産、受注及び販売の実績
①生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
漁業・養殖事業(百万円)42,712107.0
商事事業(百万円)402,913104.0
海外事業(百万円)174,143110.1
加工事業(百万円)154,383108.3
物流事業(百万円)13,980102.6
報告セグメント計(百万円)788,133106.2
その他(百万円)8,43793.6
合計(百万円)796,570106.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
漁業・養殖事業(百万円)38,332106.0
商事事業(百万円)471,231104.2
海外事業(百万円)165,324113.1
加工事業(百万円)214,938102.0
物流事業(百万円)15,969103.0
報告セグメント計(百万円)905,797105.2
その他(百万円)13,022103.6
合計(百万円)918,820105.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。