四半期報告書-第79期第3四半期(2022/10/01-2022/12/31)

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2023/02/07 9:05
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス新規感染者数の増加局面は引き続きあったものの、新たな行動制限が行われなかったことや、全国旅行支援等の政府による需要喚起策もあり、宿泊・飲食サービス等の非製造業を中心に緩やかな回復が見られました。
その一方で、当社グループ関連業界を取り巻く環境につきましては、ウクライナ情勢長期化の影響による原材料・エネルギー資源価格の高騰に加え、日米金利差や世界景気の動向を受けた為替相場の乱高下等、依然として不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループにおいては、中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」の策定にあたり再定義した長期経営ビジョンの実現に向けて、「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」に引き続き取り組んでまいりました。
(長期経営ビジョン)
①事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地域・社会づくりに貢献する
②総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する
③水産資源調達力と食品加工技術力に基づく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現する
その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は781,020百万円(前年同期比18.1%増)、営業利益は26,947百万円(前年同期比20.4%増)、経常利益は30,847百万円(前年同期比24.5%増)となりました。また、2022年9月24日に当社広島工場で発生した火災による火災損失の計上等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は18,503百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、従来、報告セグメントについては「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分としておりましたが、水産資源調達力と食品加工技術を生かしたバリューチェーンの更なる強化拡充を図るため、第1四半期連結会計期間より「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
水産資源事業
水産資源事業は、国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内において主にブリ、カンパチ、マグロの養殖を行う養殖ユニット、国内外にわたり水産物の調達・市場流通も含む販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、中国・東南アジア・北米・欧州において水産物・加工食品の生産・販売を行う海外ユニットから構成され、新型コロナウイルスの影響により大きく変化する事業環境に対応し、収益の確保に努めました。
漁業ユニットは、メロを始め主要魚種の販売好調により増収となり、魚価の回復により増益となりました。
養殖ユニットは、量販店や外食向けを中心としたブリ、カンパチの販売数量増加と販売価格の回復に加えて、マグロを始め主要魚種相場の上昇により増収増益となりました。
水産商事ユニットは、外食・業務用向け販売の回復に加えて、水産物全般の堅調な魚価に支えられて、増収増益となりました。
海外ユニットは、北米では生産効率の向上や新たに獲得したアラスカのスケソウダラ資源が生産増に寄与し、加えて堅調なマーケットの中で販売価格が上昇したことにより増収増益となりました。欧州では水産物需要拡大に対応した仕入・販売やイギリス水産加工販売会社の買収及びオランダの食品卸会社への追加出資による子会社化により増収増益、アジアではタイのペットフードが北米向けの販売好調やドル高バーツ安により増収増益となり、全体においても増収増益となりました。
以上の結果、水産資源事業の売上高は458,274百万円(前年同期比24.7%増)、営業利益は19,464百万円(前年同期比55.9%増)となりました。
加工食品事業
加工食品事業は、家庭用冷凍食品・缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・ デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット、及び化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
加工食品ユニットは、食品全体の値上げによる消費心理の冷え込みや節約志向が見られる環境下ではありましたが、引き続き簡便食としてのニーズが堅調、また値上げ効果や販売拡大に向けた施策が奏功し、増収となりました。一方、再値上げを実施したものの、引き続き原材料、エネルギーコストの高騰及び急激な円安進行の影響を受け減益となりました。
ファインケミカルユニットは、今期より新規参入したヘパリンの販売や既存の健康食品向けの販売が底堅く推移し増収増益となりました。
以上の結果、加工食品事業の売上高は82,001百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は2,982百万円(前年同期比35.4%減)となりました。
食材流通事業
食材流通事業は、多様な業態に対して水産商材や業務用商材の製造・販売を行う食材流通ユニット、国内外の畜産物を取り扱う畜産ユニットから構成され、グループにおける原料調達力、商品開発力、加工技術力を結集して業態ニーズにお応えする商品を提案し、収益の確保に努めました。
食材流通ユニットは、外食向け販売が回復し、給食、介護食向けも堅調に推移し増収となりました。一方で、生産性の向上や効率化に努めたものの、原材料、エネルギーコストの高騰及び急激な円安進行によるコストアップのカバーには至らず、減益となりました。
畜産ユニットは、欧州産豚肉の取り扱い増加に加え、全般的な輸入畜肉相場の上昇が販売価格を引き上げたことから増収となりましたが、急激な円安進行による輸入部門での仕入価格上昇分をカバーしきれず減益となりました。
以上の結果、食材流通事業の売上高は227,136百万円(前年同期比13.0%増)、営業利益は3,025百万円(前年同期比22.5%減)となりました。
物流事業
物流事業は、電気料金の値上げに伴い動力費が大幅に増加となったものの、大都市を中心に保管需要を着実に取り込んだことにより、売上高は13,308百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益は1,353百万円(前年同期比25.3%増)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は698,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ149,859百万円増加いたしました。これは主として売上債権及び棚卸資産の増加によるものであります。
負債は483,011百万円となり、前連結会計年度末に比べ122,303百万円増加いたしました。これは主として借入金及び仕入債務の増加によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は215,451百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,555百万円増加いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前第3四半期連結累計期間(以下「前年同期」という。)を119,798百万円上回る781,020百万円(前年同期比18.1%増)となりました。主な増減の内訳は、海外ユニットにおける欧州での水産物需要拡大に対応した仕入・販売及びタイでの北米向けペットフードの販売好調、水産商事ユニットにおける外食・業務筋向けの販売回復と水産物全般の魚価の堅調な推移による水産資源事業の増収90,721百万円、食材流通ユニットにおける外食向け販売の回復及び給食、介護食向けの堅調な販売、畜産ユニットにおける欧州産豚肉の取扱数量の増加及び全般的な輸入畜肉相場の上昇に伴う販売価格の上昇による食材流通事業の増収26,162百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高
(単位:百万円)
セグメントの名称前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比増減率(%)
水産資源事業367,553458,27490,72124.7
加工食品事業79,61682,0012,3853.0
食材流通事業200,973227,13626,16213.0
物流事業12,76713,3085414.2
その他310298△12△3.9
合計661,222781,020119,79818.1

(注)従来、報告セグメントについては「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分としておりましたが、第1四半期連結会計期間より「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の増加に伴い、前年同期に比べ107,820百万円増加し、674,187百万円(前年同期比19.0%増)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.7ポイント悪化し、86.3%となりました。販売費及び一般管理費は、発送配達費の増加等により前年同期に比べ7,404百万円増加し、79,885百万円(前年同期比10.2%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.7ポイント好転し、10.2%となりました。研究開発費は、前年同期に比べ83百万円増加し、1,217百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は、前年同期を4,573百万円上回る26,947百万円(前年同期比20.4%増)となりました。主な増減の内訳は、海外ユニットにおけるタイでの北米向けペットフードの販売好調、北米での販売価格の上昇、養殖ユニットにおける量販店や外食向けの販売数量の増加及び販売価格の回復に加え、主要魚種相場の上昇、水産商事ユニットにおける水産物全般の堅調な魚価の下支え等による水産資源事業の増益6,980百万円、加工食品ユニットにおける原材料、エネルギーコストの高騰及び急激な円安進行の影響による加工食品事業の減益1,635百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益
(単位:百万円)
セグメントの名称前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比増減率(%)
水産資源事業12,48319,4646,98055.9
加工食品事業4,6172,982△1,635△35.4
食材流通事業3,9033,025△878△22.5
物流事業1,0801,35327325.3
その他1742123822.0
調整額113△90△204-
合計22,37326,9474,57320.4

(注)従来、報告セグメントについては「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分としておりましたが、第1四半期連結会計期間より「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(経常利益)
経常利益は前年同期を6,079百万円上回る30,847百万円(前年同期比24.5%増)となりました。主な増減の内訳は、営業利益の増加4,573百万円及び為替差損益の増益2,555百万円となります。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期を2,331百万円上回る18,503百万円(前年同期比14.4%増)となり、1株当たり四半期純利益は360円37銭(前年同期は307円32銭)となりました。増減の内訳は、経常利益の増加6,079百万円、特別利益の増加2,817百万円、特別損失の増加2,495百万円、法人税等の増加2,062百万円及び非支配株主に帰属する四半期純利益の増加2,007百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益が3,243百万円となり固定資産売却益の増加等により、前年同期に比べ2,817百万円増加し、また、特別損失が3,579百万円となり火災損失2,897百万円の計上等により、前年同期に比べ2,495百万円増加した結果、前年同期に比べ322百万円の増益となりました。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の概要
(単位:百万円)
前第3四半期連結会計期間
(2021年12月31日)
(a)
前連結会計年度
(2022年3月31日)
(b)
当第3四半期連結会計期間
(2022年12月31日)
(c)
前年同期比
(c)-(a)
前年対比
(c)-(b)
資産の部
流動資産356,439324,304452,38495,944128,079
内、現金及び預金24,49724,95228,9604,4624,007
内、受取手形、売掛金
及び契約資産
153,877115,391179,80625,92964,414
内、棚卸資産167,763172,691229,32661,56256,635
固定資産226,660224,298246,07819,41721,779
内、有形固定資産141,181140,249149,0857,9038,835
内、投資その他の資産62,94762,01663,8689211,852
資産合計583,099548,603698,462115,362149,859
負債の部
流動負債247,742221,544331,56283,820110,017
内、支払手形及び買掛金49,13736,22659,23610,09923,010
固定負債151,375139,162151,4487212,285
負債合計399,118360,707483,01183,893122,303
内、有利子負債273,028250,604341,32168,29290,716
純資産の部
純資産合計183,981187,895215,45131,46927,555

(注)有利子負債は、短期借入金、一年以内長期借入金、長期借入金及び社債の合計額であります。なお、リース債務は有利子負債には含んでおりません。
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ149,859百万円(27.3%)増加し、698,462百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ128,079百万円(39.5%)増加し、452,384百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ21,779百万円(9.7%)増加し、246,078百万円となりました。
主な増減の内訳は、売上債権の増加64,414百万円、棚卸資産の増加56,635百万円となります。
売上債権及び棚卸資産は前連結会計年度末に比べ増加しており、また前第3四半期連結会計期間末と比べ合計で87,491百万円増加しておりますが、販売好調による売上債権の増加及び必要な在庫の手当て、魚種全体にわたる単価上昇や外貨換算の円安影響等によるものであり、正常な範囲内と考えております。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ122,303百万円(33.9%)増加し、483,011百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ110,017百万円(49.7%)増加し、331,562百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ12,285百万円(8.8%)増加し、151,448百万円となりました。
主な増減の内訳は、有利子負債の増加90,716百万円、仕入債務の増加23,010百万円となります。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ、27,555百万円(14.7%)増加し、215,451百万円となりました。
主な増減の内訳は、親会社株主に帰属する四半期純利益等による利益剰余金の増加15,609百万円、為替換算調整勘定の増加11,301百万円となります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の29.2%から26.1%となりました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の流動性)
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成する等の方法により流動性リスクを管理しております。
なお、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ、4,086百万円増加し、28,516百万円となりました。
(財務政策)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した財務政策について重要な変更はありません。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当第3四半期連結会計期間末における有利子負債残高は、短期借入金が216,934百万円、長期借入金が119,386百万円、社債が5,000百万円となり、合計で341,321百万円となりました。
(資金需要の動向)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した資金需要の動向について重要な変更はありません。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,217百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。