有価証券報告書-第77期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概況
① 経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの流行が収束しないなか、二度に渡る緊急事態宣言の発令もあり、旅行・宿泊・飲食サービスなどの個人消費が大きく低迷しましたが、テレワーク関連需要が堅調な情報通信サービス業や輸出増の影響を受けた製造業などでの収益改善もあり、企業収益については持ち直しの傾向もみられました。
海外においても、米国や中国で景気持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルスの再拡大リスクが払拭されたとは言えず、また米中対立の深刻度は増しており長期化の様相を呈しています。
当社グループ関連業界におきましては、冷凍食品をはじめとする家庭用商品の販売は堅調に推移しましたが、水産物については飲食店の需要が激減したことから、鮮魚・養殖魚・高級商材の取扱いが振るわず、依然として予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大防止と従業員及び関係各位の安全を最優先としながらも、中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現に向けて、事業活動を推進してまいりました。
その結果、売上高は862,585百万円(前期比4.7%減)、営業利益は16,208百万円(前期比5.1%減)、経常利益は18,130百万円(前期比8.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,778百万円(前期比53.9%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当期は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落により、漁業・養殖事業の売上高は32,629百万円(前期比16.7%減)、営業損失は3,188百万円(前期は277百万円の営業損失)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、第1四半期を底に回復基調にあるものの、新型コロナウイルスの影響から外食・業務筋向け販売不振により減収となりましたが、マグロや帆立などの主要魚種の利益率改善に加え、量販店・宅配向け等の好調チャネルへの販売シフトや新規事業の貢献もあり増益となりました。
荷受ユニットは、新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚などの外食・業務筋向けの高級商材の販売不振により減収減益となりました。
畜産商事ユニットは、全取扱品目において増収となりましたが、輸入豚肉の国内販売価格の下落等により、減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は419,654百万円(前期比3.8%減)、営業利益は2,289百万円(前期比6.5%減)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化しているアジア・オセアニアユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米・欧州ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
アジア・オセアニアユニットは、オセアニアでの漁獲は順調に推移したものの新型コロナウイルスの影響によりメロ市況が下落し、収益に影響を及ぼしましたが、タイでのペットフード事業が好調で全体では減収増益となりました。
北米・欧州ユニットは、国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速から減収となり、またアラスカにおける新型コロナ水際対策コスト増、スケソウダラの魚体小型化と漁獲遅延による減産及び生産コスト増等により減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は154,343百万円(前期比6.3%減)、営業利益は5,129百万円(前期比21.1%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、生活スタイルの変化に伴い米飯・麺・中華等の主力商品の売上が増加し、増収増益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、缶詰、デザート、ハムソーセージ各事業とも販売不振により減収となりましたが、フィッシュソーセージを中心に収益性を重視した販売及びゼリー・レトルトの生産体制の見直しに努めた結果、増益となりました。
業務用食品ユニットは、新型コロナウイルスの影響から徐々に回復基調にあるものの、依然として外食向け販売は苦戦を強いられており、生協や介護食向けの販売は好調に推移するも全体をカバーするには至らず、減収減益となりました。
化成ユニットは、DHA・EPA製品及びフリーズドライ製品の販売が順調で、全体として売上は前年並みながらも増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は226,659百万円(前期比3.3%減)、営業利益は8,002百万円(前期比16.5%増)となりました。
物流事業
物流事業は、新型コロナウイルスの影響により荷動きが鈍化したため減収となりました。一方、冷凍装置換装工事等に伴う減価償却費の増加があったものの、動力費、外注費、労務コスト等が減少したことにより、売上高は15,622百万円(前期比5.5%減)、営業利益は2,140百万円(前期比3.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
総資産は532,719百万円となり、前期に比べ4,655百万円増加いたしました。これは、主として現預金及び投資有価証券の増加によるものであります。
負債は365,722百万円となり、前期に比べ3,362百万円減少いたしました。これは、主として借入金の減少によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は166,996百万円となり、前期に比べ8,018百万円増加いたしました。
各セグメントの資産は次のとおりです。
なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業の総資産は41,694百万円となり、前期に比べ2,680百万円減少いたしました。これは、主としてたな卸資産及び有形固定資産の減少によるものであります。
商事事業の総資産は125,586百万円となり、前期に比べ2,119百万円増加いたしました。これは、主として投資有価証券の増加によるものであります。
海外事業の総資産は125,146百万円となり、前期に比べ5,221百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
加工事業の総資産は141,714百万円となり、前期に比べ2,239百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産の増加によるものであります。
物流事業の総資産は43,803百万円となり、前期に比べ6,309百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には31,156百万円と前連結会計年度末に比べ9,383百万円増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は33,361百万円となり、前期に比べ5,817百万円減少いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、11,996百万円となり、前期に比べ10,449百万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、10,812百万円となり、前期に比べ3,680百万円増加いたしました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ⅰ) 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅱ) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前連結会計年度を42,619百万円下回る862,585百万円となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚などの外食・業務筋向けの高級商材の販売不振等による商事事業の減収16,678百万円、北米・欧州ユニットにおける国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速等による海外事業の減収10,371百万円、業務用食品ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う外食向け販売の苦戦等による加工事業の減収7,669百万円及びまき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減収6,542百万円となります。
連結会計年度のセグメント別売上高
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度から40,752百万円減少し、746,382百万円(前期比5.2%減)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.4ポイント好転し、86.5%となりました。販売費及び一般管理費は、発送配達費等が増加しましたが、旅費交通費等の減少により、前連結会計年度から995百万円減少し、99,994百万円(前期比1.0%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.4ポイント悪化し、11.6%となりました。研究開発費は、1,556百万円(前期比38.6%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度を871百万円下回る16,208百万円(前期比5.1%減)となりました。主な内訳は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減益2,911百万円、家庭用冷凍食品ユニットにおける米飯・麺・中華等の主力商品の売上増加等による加工事業の増益1,136百万円及びアジア・オセアニアユニットにおけるタイでのペットフード事業が好調等による海外事業の増益895百万円となります。
また、営業利益の売上高に対する比率は、1.9%(前連結会計年度は1.9%)となりました。
連結会計年度のセグメント別営業利益
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(経常利益)
経常利益は前連結会計年度を1,771百万円下回る18,130百万円(前期比8.9%減)となりました。主な減益の内訳は、営業利益の減少871百万円、為替差益の減少581百万円、持分法による投資利益の減少291百万円となります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を6,759百万円下回る5,778百万円(前期比53.9%減)となり、1株当たり当期純利益は109円81銭(前連結会計年度は238円24銭)となりました。増減の内訳は、特別利益の減少4,721百万円、特別損失の増加4,012百万円、法人税等の減少4,659百万円、非支配株主に帰属する当期純利益の増加912百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益は194百万円となり、受取賠償金2,026百万円、受取保険金1,807百万円等を計上した前連結会計年度に比べ4,721百万円減少となり、また、特別損失は7,762百万円となり、事業整理損3,158百万円、減損損失2,143百万円等を計上したことにより前連結会計年度に比べ4,012百万円増加となり、前連結会計年度に比べ8,734百万円減益となります。
法人税等合計は前連結会計年度に比べ4,659百万円減少しておりますが、法人税等合計の税金等調整前当期純利益に対する比率が14.4ポイント減の15.5%となっております。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少及び固定資産減損損失の認容等によるものであります。
非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ912百万円の増加となりました。当期純利益が減少したものの非支配株主に帰属する当期純利益が増加したため、当期純利益の減少率に比べ、親会社株主に帰属する当期純利益の減少率が大きくなっております。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ4,655百万円(0.9%)増加し、532,719百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ1,478百万円(0.5%)減少し、300,511百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ6,134百万円(2.7%)増加し、232,207百万円となりました。
主な増減の内訳は、投資有価証券の増加8,257百万円並びに米国アラスカ州に保有していた連結子会社ピーターパンシーフーズの事業譲渡等による現金及び預金の増加9,797百万円並びにたな卸資産の減少8,166百万円となります。
なお、売上債権回転日数は43.4日(前期比0.6日増)、たな卸資産回転日数は76.4日(前期比0.2日増)となっており、売上債権及びたな卸資産の水準は正常な範囲内と判断しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により資金需要が今後増大する可能性も考え、手元資金は引き続き余裕を持たせております。
売上債権回転日数及びたな卸資産回転日数
なお、セグメント別資産の内訳は、次のとおりであります。
連結会計年度のセグメント別資産
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ3,362百万円(0.9%)減少し、365,722百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ13,956百万円(7.0%)増加し、213,484百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ17,319百万円(10.2%)減少し、152,237百万円となりました。
主な増減の内訳は、未払法人税等の減少2,132百万円、借入金の減少1,878百万円、退職給付に係る負債の減少1,567百万円及び設備投資等に係る未払金の増加3,550百万円となります。
また、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して1,878百万円減少し、259,837百万円となりました。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ8,018百万円(5.0%)増加し、166,996百万円となりました。
主な増減の内訳は、その他有価証券評価差額金の増加5,887百万円、当期純利益による利益剰余金の増加5,778百万円及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少2,105百万円となります。
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍及び自己資本比率30.0%を目標としておりますが、D/Eレシオについては、前連結会計年度末の2.0倍から1.8倍に、自己資本比率は前連結会計年度末の25.1%から26.8%になりました。また、1株当たり純資産は前連結会計年度末の2,520円27銭から2,714円32銭になりました。
引き続き、成長への投資を最優先として収益性を高めながら、財務基盤の強化を図ってまいります。
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5.7%を目標としておりますが、前連結会計年度に比べ0.4ポイント悪化し3.4%となりました。内訳は、売上高経常利益率が前連結会計年度に比べ0.1ポイント悪化し2.1%、総資産回転率が前連結会計年度に比べ10.1ポイント悪化し162.6%となります。
総資産回転率の悪化については、コロナ禍における高級魚の相場下落や販売不振が長期化していること等による売上高の減少及び投資有価証券の増加等による総資産の増加による影響もありますが、水産関連事業における構造的な問題でもあり、課題と考えております。
構造的課題として、主に以下の4点を認識しております。
・海外まき網漁業の採算悪化
・養殖事業の市況低迷と高コスト構造
・荷受事業の市況低迷と構造改革の遅れ
・北米のピーターパンシーフーズの収益悪化
このうち、ピーターパンシーフーズは、不採算事業の譲渡が既に完了しており、解消済みと考えております。
残る課題についても、海外まき網漁業は、不採算漁船の減船等によるコスト削減、養殖事業は、完全養殖魚のコスト低減、研究開発強化、荷受事業は、水産商事事業との連携強化による市場外取引の充実に、それぞれ着手しております。
さらに、当社グループの水産資源調達力と食品加工技術力を生かしたバリューチェーンを更に強化拡充すべく、次期より事業セグメント及び事業ユニットを再編し、各ユニットのシナジーを追求します。
引き続き、成長への投資を最優先と考えておりますが、コロナ禍における高級魚の相場下落や販売不振が長期化していること等から、投資にあたっては慎重に判断するとともに、事業ごとに収益性を勘案しながら適正な事業規模となるよう在庫、設備等を適宜見直してまいります。
ROA(総資産経常利益率)
(注)1.ROA:経常利益/期首・期末平均総資産
2.売上高経常利益率:経常利益/売上高
3.総資産回転率:売上高/期首・期末平均総資産
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
連結キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、33,361百万円の収入(前連結会計年度は39,178百万円の収入)となりました。減価償却費16,166百万円、税金等調整前当期純利益10,561百万円、たな卸資産の減少額9,976百万円があったこと等によるものです。
前連結会計年度に比べて営業活動の結果得られた資金が5,817百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、税金等調整前当期純利益の減少10,505百万円、売上債権の減少額の減少5,062百万円、たな卸資産の減少額の増加8,516百万円等となります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11,996百万円の支出(前連結会計年度は22,445百万円の支出)となりました。物流事業における物流センター、加工事業における生産拠点、海外事業における漁船、生産拠点等を中心に、有形固定資産の取得による支出22,771百万円、事業譲渡による収入10,241百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて投資活動の結果使用した資金が10,449百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、事業譲渡による収入の増加10,241百万円等となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10,812百万円の支出(前連結会計年度は7,132百万円の支出)となりました。借入金の返済による支出3,065百万円、配当金の支払額2,096百万円、非支配株主への配当金の支払額1,625百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて財務活動の結果使用した資金が3,680百万円増加いたしましたが、主な増減の内訳は、連結子会社である大都魚類株式会社株式に対する公開買付け等の連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出の増加1,896百万円、借入金の返済による支出の増加1,488百万円等となります。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9,383百万円増加し、31,156百万円となりました。
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
有利子負債残高は259,837百万円でありますが、短期借入金は135,920百万円であり、手元流動性は十分に確保できていると考えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。
(財務政策)
当社グループは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、①収益力の更なる向上、②成長への取り組み、③経営基盤の強化を掲げております。
グループ中期経営計画に基づき、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
また、当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入及びグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる自己資金によっております。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(資金需要の動向)
当社グループでは、設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」に掲げる成長への投資として、水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンの再構築、加工事業における生産拠点の再構築をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化及び国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、中長期的な成長領域への投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資のほか、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」について着実に推進するための活動を展開するために資金を充当してまいります。
設備投資を目的とした資金需要のうち主なものは、食品生産拠点、物流センター、漁船等の購入・建設費用等であり、運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点及び物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
引き続き、新型コロナウイルスの影響拡大による資金需要が今後増大する可能性も考え、資金需要の増大にも備えてまいります。
各セグメントの資金需要の動向は次のとおりであります。
なお、当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「漁業・養殖」、「商事」、「海外」、「加工」及び「物流」の5つを従来の報告セグメントとしておりましたが、水産部門のグローバルに展開する調達から販売までの各ユニットのシナジーを追求し、バリューチェーンの更なる強化拡充を促進するため、次期より、「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分に変更することといたしました。
水産資源事業
漁船、漁業許可権利金、食品生産拠点、養殖設備等の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、養殖魚や養殖のために必要なエサ代、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
加工事業
食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
物流事業
物流センターの購入・建設費用及び物流センターの運営費等の運転資金が必要となります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記については、重要なものとして、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
(ⅰ)固定資産の減損
(ⅱ)たな卸資産の評価
(ⅲ)繰延税金資産の回収可能性
(ⅳ)新型コロナウイルス感染拡大の影響
その他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
(ⅴ)貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、流動資産で△400百万円、固定資産で△3,412百万円の貸倒引当金を計上しております。
取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額には不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が売上債権、貸付金等の貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅵ)投資有価証券の減損
当社グループは、その他有価証券のうち、時価のあるものについては、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。時価のないものについては、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、当該有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、投資有価証券として43,665百万円計上しております。
有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などには不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が連結貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅶ)退職給付会計
当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。また、一部連結子会社では、確定拠出制度を採用しております。
当社においては、退職給付信託を設定しております。
退職給付型の制度において、退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の見積り・前提を用いております。
割引率については、デュレーション法(加重平均期間アプローチ)により算出した期間に対応する国債のイールド・カーブから抜粋した利回りを加重平均割引率とする方法を採用しております。
当連結会計年度においては、退職給付に係る負債として19,383百万円を計上しております。
これらの見積り・前提に用いる割引率、退職率及び死亡率などについては、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しておりますが、実際の結果がこれらの見積り・前提と異なる場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、退職給付関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概況
① 経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの流行が収束しないなか、二度に渡る緊急事態宣言の発令もあり、旅行・宿泊・飲食サービスなどの個人消費が大きく低迷しましたが、テレワーク関連需要が堅調な情報通信サービス業や輸出増の影響を受けた製造業などでの収益改善もあり、企業収益については持ち直しの傾向もみられました。
海外においても、米国や中国で景気持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルスの再拡大リスクが払拭されたとは言えず、また米中対立の深刻度は増しており長期化の様相を呈しています。
当社グループ関連業界におきましては、冷凍食品をはじめとする家庭用商品の販売は堅調に推移しましたが、水産物については飲食店の需要が激減したことから、鮮魚・養殖魚・高級商材の取扱いが振るわず、依然として予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大防止と従業員及び関係各位の安全を最優先としながらも、中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現に向けて、事業活動を推進してまいりました。
その結果、売上高は862,585百万円(前期比4.7%減)、営業利益は16,208百万円(前期比5.1%減)、経常利益は18,130百万円(前期比8.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,778百万円(前期比53.9%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当期は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落により、漁業・養殖事業の売上高は32,629百万円(前期比16.7%減)、営業損失は3,188百万円(前期は277百万円の営業損失)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、第1四半期を底に回復基調にあるものの、新型コロナウイルスの影響から外食・業務筋向け販売不振により減収となりましたが、マグロや帆立などの主要魚種の利益率改善に加え、量販店・宅配向け等の好調チャネルへの販売シフトや新規事業の貢献もあり増益となりました。
荷受ユニットは、新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚などの外食・業務筋向けの高級商材の販売不振により減収減益となりました。
畜産商事ユニットは、全取扱品目において増収となりましたが、輸入豚肉の国内販売価格の下落等により、減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は419,654百万円(前期比3.8%減)、営業利益は2,289百万円(前期比6.5%減)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化しているアジア・オセアニアユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米・欧州ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
アジア・オセアニアユニットは、オセアニアでの漁獲は順調に推移したものの新型コロナウイルスの影響によりメロ市況が下落し、収益に影響を及ぼしましたが、タイでのペットフード事業が好調で全体では減収増益となりました。
北米・欧州ユニットは、国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速から減収となり、またアラスカにおける新型コロナ水際対策コスト増、スケソウダラの魚体小型化と漁獲遅延による減産及び生産コスト増等により減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は154,343百万円(前期比6.3%減)、営業利益は5,129百万円(前期比21.1%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、生活スタイルの変化に伴い米飯・麺・中華等の主力商品の売上が増加し、増収増益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、缶詰、デザート、ハムソーセージ各事業とも販売不振により減収となりましたが、フィッシュソーセージを中心に収益性を重視した販売及びゼリー・レトルトの生産体制の見直しに努めた結果、増益となりました。
業務用食品ユニットは、新型コロナウイルスの影響から徐々に回復基調にあるものの、依然として外食向け販売は苦戦を強いられており、生協や介護食向けの販売は好調に推移するも全体をカバーするには至らず、減収減益となりました。
化成ユニットは、DHA・EPA製品及びフリーズドライ製品の販売が順調で、全体として売上は前年並みながらも増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は226,659百万円(前期比3.3%減)、営業利益は8,002百万円(前期比16.5%増)となりました。
物流事業
物流事業は、新型コロナウイルスの影響により荷動きが鈍化したため減収となりました。一方、冷凍装置換装工事等に伴う減価償却費の増加があったものの、動力費、外注費、労務コスト等が減少したことにより、売上高は15,622百万円(前期比5.5%減)、営業利益は2,140百万円(前期比3.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
総資産は532,719百万円となり、前期に比べ4,655百万円増加いたしました。これは、主として現預金及び投資有価証券の増加によるものであります。
負債は365,722百万円となり、前期に比べ3,362百万円減少いたしました。これは、主として借入金の減少によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は166,996百万円となり、前期に比べ8,018百万円増加いたしました。
各セグメントの資産は次のとおりです。
なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業の総資産は41,694百万円となり、前期に比べ2,680百万円減少いたしました。これは、主としてたな卸資産及び有形固定資産の減少によるものであります。
商事事業の総資産は125,586百万円となり、前期に比べ2,119百万円増加いたしました。これは、主として投資有価証券の増加によるものであります。
海外事業の総資産は125,146百万円となり、前期に比べ5,221百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
加工事業の総資産は141,714百万円となり、前期に比べ2,239百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産の増加によるものであります。
物流事業の総資産は43,803百万円となり、前期に比べ6,309百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には31,156百万円と前連結会計年度末に比べ9,383百万円増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は33,361百万円となり、前期に比べ5,817百万円減少いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、11,996百万円となり、前期に比べ10,449百万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、10,812百万円となり、前期に比べ3,680百万円増加いたしました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ⅰ) 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
漁業・養殖事業(百万円) | 40,839 | 91.6 |
商事事業(百万円) | 369,095 | 95.7 |
海外事業(百万円) | 154,117 | 92.0 |
加工事業(百万円) | 158,655 | 97.7 |
物流事業(百万円) | 13,445 | 88.1 |
報告セグメント計(百万円) | 736,153 | 94.9 |
その他(百万円) | 5,764 | 57.8 |
合計(百万円) | 741,918 | 94.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅱ) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
漁業・養殖事業(百万円) | 32,629 | 83.3 |
商事事業(百万円) | 419,654 | 96.2 |
海外事業(百万円) | 154,343 | 93.7 |
加工事業(百万円) | 226,659 | 96.7 |
物流事業(百万円) | 15,622 | 94.5 |
報告セグメント計(百万円) | 848,909 | 95.3 |
その他(百万円) | 13,676 | 96.8 |
合計(百万円) | 862,585 | 95.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前連結会計年度を42,619百万円下回る862,585百万円となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚などの外食・業務筋向けの高級商材の販売不振等による商事事業の減収16,678百万円、北米・欧州ユニットにおける国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速等による海外事業の減収10,371百万円、業務用食品ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う外食向け販売の苦戦等による加工事業の減収7,669百万円及びまき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減収6,542百万円となります。
連結会計年度のセグメント別売上高
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | 増減率 (%) |
漁業・養殖事業(百万円) | 39,171 | 32,629 | △6,542 | △16.7 |
商事事業(百万円) | 436,332 | 419,654 | △16,678 | △3.8 |
海外事業(百万円) | 164,715 | 154,343 | △10,371 | △6.3 |
加工事業(百万円) | 234,328 | 226,659 | △7,669 | △3.3 |
物流事業(百万円) | 16,524 | 15,622 | △901 | △5.5 |
その他(百万円) | 14,131 | 13,676 | △455 | △3.2 |
合計(百万円) | 905,204 | 862,585 | △42,619 | △4.7 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度から40,752百万円減少し、746,382百万円(前期比5.2%減)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.4ポイント好転し、86.5%となりました。販売費及び一般管理費は、発送配達費等が増加しましたが、旅費交通費等の減少により、前連結会計年度から995百万円減少し、99,994百万円(前期比1.0%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.4ポイント悪化し、11.6%となりました。研究開発費は、1,556百万円(前期比38.6%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度を871百万円下回る16,208百万円(前期比5.1%減)となりました。主な内訳は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減益2,911百万円、家庭用冷凍食品ユニットにおける米飯・麺・中華等の主力商品の売上増加等による加工事業の増益1,136百万円及びアジア・オセアニアユニットにおけるタイでのペットフード事業が好調等による海外事業の増益895百万円となります。
また、営業利益の売上高に対する比率は、1.9%(前連結会計年度は1.9%)となりました。
連結会計年度のセグメント別営業利益
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | 増減率 (%) |
漁業・養殖事業(百万円) | △277 | △3,188 | △2,911 | - |
商事事業(百万円) | 2,447 | 2,289 | △158 | △6.5 |
海外事業(百万円) | 4,234 | 5,129 | 895 | 21.1 |
加工事業(百万円) | 6,866 | 8,002 | 1,136 | 16.5 |
物流事業(百万円) | 2,073 | 2,140 | 67 | 3.2 |
その他(百万円) | 952 | 1,242 | 289 | 30.4 |
調整額(百万円) | 783 | 593 | △189 | △24.2 |
合計(百万円) | 17,079 | 16,208 | △871 | △5.1 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(経常利益)
経常利益は前連結会計年度を1,771百万円下回る18,130百万円(前期比8.9%減)となりました。主な減益の内訳は、営業利益の減少871百万円、為替差益の減少581百万円、持分法による投資利益の減少291百万円となります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を6,759百万円下回る5,778百万円(前期比53.9%減)となり、1株当たり当期純利益は109円81銭(前連結会計年度は238円24銭)となりました。増減の内訳は、特別利益の減少4,721百万円、特別損失の増加4,012百万円、法人税等の減少4,659百万円、非支配株主に帰属する当期純利益の増加912百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益は194百万円となり、受取賠償金2,026百万円、受取保険金1,807百万円等を計上した前連結会計年度に比べ4,721百万円減少となり、また、特別損失は7,762百万円となり、事業整理損3,158百万円、減損損失2,143百万円等を計上したことにより前連結会計年度に比べ4,012百万円増加となり、前連結会計年度に比べ8,734百万円減益となります。
法人税等合計は前連結会計年度に比べ4,659百万円減少しておりますが、法人税等合計の税金等調整前当期純利益に対する比率が14.4ポイント減の15.5%となっております。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少及び固定資産減損損失の認容等によるものであります。
非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ912百万円の増加となりました。当期純利益が減少したものの非支配株主に帰属する当期純利益が増加したため、当期純利益の減少率に比べ、親会社株主に帰属する当期純利益の減少率が大きくなっております。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ4,655百万円(0.9%)増加し、532,719百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ1,478百万円(0.5%)減少し、300,511百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ6,134百万円(2.7%)増加し、232,207百万円となりました。
主な増減の内訳は、投資有価証券の増加8,257百万円並びに米国アラスカ州に保有していた連結子会社ピーターパンシーフーズの事業譲渡等による現金及び預金の増加9,797百万円並びにたな卸資産の減少8,166百万円となります。
なお、売上債権回転日数は43.4日(前期比0.6日増)、たな卸資産回転日数は76.4日(前期比0.2日増)となっており、売上債権及びたな卸資産の水準は正常な範囲内と判断しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により資金需要が今後増大する可能性も考え、手元資金は引き続き余裕を持たせております。
売上債権回転日数及びたな卸資産回転日数
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | 増減率 (%) | |
売上高(a) | 905,204 | 862,585 | △42,619 | △4.7 |
売上原価(b) | 787,135 | 746,382 | △40,752 | △5.2 |
受取手形及び売掛金(c) | 106,077 | 102,644 | △3,433 | △3.2 |
たな卸資産(d) | 164,309 | 156,142 | △8,166 | △5.0 |
売上債権回転日数(日) | 42.8 | 43.4 | 0.6 | 1.4 |
(c)÷(a)×365 | ||||
たな卸資産回転日数(日) | 76.2 | 76.4 | 0.2 | 0.3 |
(d)÷(b)×365 |
なお、セグメント別資産の内訳は、次のとおりであります。
連結会計年度のセグメント別資産
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当連結会計年度 (2021年3月31日) | 前期比 | 増減率 (%) |
漁業・養殖事業(百万円) | 44,375 | 41,694 | △2,680 | △6.0 |
商事事業(百万円) | 123,466 | 125,586 | 2,119 | 1.7 |
海外事業(百万円) | 130,368 | 125,146 | △5,221 | △4.0 |
加工事業(百万円) | 139,474 | 141,714 | 2,239 | 1.6 |
物流事業(百万円) | 37,494 | 43,803 | 6,309 | 16.8 |
その他(百万円) | 21,392 | 21,646 | 254 | 1.2 |
調整額(百万円) | 31,492 | 33,126 | 1,633 | 5.2 |
合計(百万円) | 528,063 | 532,719 | 4,655 | 0.9 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ3,362百万円(0.9%)減少し、365,722百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ13,956百万円(7.0%)増加し、213,484百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ17,319百万円(10.2%)減少し、152,237百万円となりました。
主な増減の内訳は、未払法人税等の減少2,132百万円、借入金の減少1,878百万円、退職給付に係る負債の減少1,567百万円及び設備投資等に係る未払金の増加3,550百万円となります。
また、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して1,878百万円減少し、259,837百万円となりました。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ8,018百万円(5.0%)増加し、166,996百万円となりました。
主な増減の内訳は、その他有価証券評価差額金の増加5,887百万円、当期純利益による利益剰余金の増加5,778百万円及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少2,105百万円となります。
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍及び自己資本比率30.0%を目標としておりますが、D/Eレシオについては、前連結会計年度末の2.0倍から1.8倍に、自己資本比率は前連結会計年度末の25.1%から26.8%になりました。また、1株当たり純資産は前連結会計年度末の2,520円27銭から2,714円32銭になりました。
引き続き、成長への投資を最優先として収益性を高めながら、財務基盤の強化を図ってまいります。
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | |
有利子負債(a) | 261,715 | 259,837 | △1,878 |
自己資本(b) | 132,628 | 142,833 | 10,205 |
総資産(c) | 528,063 | 532,719 | 4,655 |
D/Eレシオ(倍)(a)÷(b) | 2.0 | 1.8 | △0.2 |
自己資本比率(%)(b)÷(c) | 25.1 | 26.8 | 1.7 |
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5.7%を目標としておりますが、前連結会計年度に比べ0.4ポイント悪化し3.4%となりました。内訳は、売上高経常利益率が前連結会計年度に比べ0.1ポイント悪化し2.1%、総資産回転率が前連結会計年度に比べ10.1ポイント悪化し162.6%となります。
総資産回転率の悪化については、コロナ禍における高級魚の相場下落や販売不振が長期化していること等による売上高の減少及び投資有価証券の増加等による総資産の増加による影響もありますが、水産関連事業における構造的な問題でもあり、課題と考えております。
構造的課題として、主に以下の4点を認識しております。
・海外まき網漁業の採算悪化
・養殖事業の市況低迷と高コスト構造
・荷受事業の市況低迷と構造改革の遅れ
・北米のピーターパンシーフーズの収益悪化
このうち、ピーターパンシーフーズは、不採算事業の譲渡が既に完了しており、解消済みと考えております。
残る課題についても、海外まき網漁業は、不採算漁船の減船等によるコスト削減、養殖事業は、完全養殖魚のコスト低減、研究開発強化、荷受事業は、水産商事事業との連携強化による市場外取引の充実に、それぞれ着手しております。
さらに、当社グループの水産資源調達力と食品加工技術力を生かしたバリューチェーンを更に強化拡充すべく、次期より事業セグメント及び事業ユニットを再編し、各ユニットのシナジーを追求します。
引き続き、成長への投資を最優先と考えておりますが、コロナ禍における高級魚の相場下落や販売不振が長期化していること等から、投資にあたっては慎重に判断するとともに、事業ごとに収益性を勘案しながら適正な事業規模となるよう在庫、設備等を適宜見直してまいります。
ROA(総資産経常利益率)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | |
売上高(百万円) | 905,204 | 862,585 | △42,619 |
経常利益(百万円) | 19,901 | 18,130 | △1,771 |
総資産(百万円) | 528,063 | 532,719 | 4,655 |
ROA | 3.8% | 3.4% | △0.4pt |
売上高経常利益率 | 2.2% | 2.1% | △0.1pt |
総資産回転率 | 172.7% | 162.6% | △10.1pt |
(注)1.ROA:経常利益/期首・期末平均総資産
2.売上高経常利益率:経常利益/売上高
3.総資産回転率:売上高/期首・期末平均総資産
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 39,178 | 33,361 | △5,817 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △22,445 | △11,996 | 10,449 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △7,132 | △10,812 | △3,680 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 319 | △1,168 | △1,487 |
現金及び現金同等物の増減額 | 9,919 | 9,383 | △535 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 21,772 | 31,156 | 9,383 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、33,361百万円の収入(前連結会計年度は39,178百万円の収入)となりました。減価償却費16,166百万円、税金等調整前当期純利益10,561百万円、たな卸資産の減少額9,976百万円があったこと等によるものです。
前連結会計年度に比べて営業活動の結果得られた資金が5,817百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、税金等調整前当期純利益の減少10,505百万円、売上債権の減少額の減少5,062百万円、たな卸資産の減少額の増加8,516百万円等となります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11,996百万円の支出(前連結会計年度は22,445百万円の支出)となりました。物流事業における物流センター、加工事業における生産拠点、海外事業における漁船、生産拠点等を中心に、有形固定資産の取得による支出22,771百万円、事業譲渡による収入10,241百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて投資活動の結果使用した資金が10,449百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、事業譲渡による収入の増加10,241百万円等となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10,812百万円の支出(前連結会計年度は7,132百万円の支出)となりました。借入金の返済による支出3,065百万円、配当金の支払額2,096百万円、非支配株主への配当金の支払額1,625百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて財務活動の結果使用した資金が3,680百万円増加いたしましたが、主な増減の内訳は、連結子会社である大都魚類株式会社株式に対する公開買付け等の連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出の増加1,896百万円、借入金の返済による支出の増加1,488百万円等となります。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9,383百万円増加し、31,156百万円となりました。
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
有利子負債残高は259,837百万円でありますが、短期借入金は135,920百万円であり、手元流動性は十分に確保できていると考えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。
(財務政策)
当社グループは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、①収益力の更なる向上、②成長への取り組み、③経営基盤の強化を掲げております。
グループ中期経営計画に基づき、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
また、当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入及びグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる自己資金によっております。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(資金需要の動向)
当社グループでは、設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」に掲げる成長への投資として、水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンの再構築、加工事業における生産拠点の再構築をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化及び国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、中長期的な成長領域への投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資のほか、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」について着実に推進するための活動を展開するために資金を充当してまいります。
設備投資を目的とした資金需要のうち主なものは、食品生産拠点、物流センター、漁船等の購入・建設費用等であり、運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点及び物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
引き続き、新型コロナウイルスの影響拡大による資金需要が今後増大する可能性も考え、資金需要の増大にも備えてまいります。
各セグメントの資金需要の動向は次のとおりであります。
なお、当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「漁業・養殖」、「商事」、「海外」、「加工」及び「物流」の5つを従来の報告セグメントとしておりましたが、水産部門のグローバルに展開する調達から販売までの各ユニットのシナジーを追求し、バリューチェーンの更なる強化拡充を促進するため、次期より、「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分に変更することといたしました。
水産資源事業
漁船、漁業許可権利金、食品生産拠点、養殖設備等の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、養殖魚や養殖のために必要なエサ代、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
加工事業
食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
物流事業
物流センターの購入・建設費用及び物流センターの運営費等の運転資金が必要となります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記については、重要なものとして、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
(ⅰ)固定資産の減損
(ⅱ)たな卸資産の評価
(ⅲ)繰延税金資産の回収可能性
(ⅳ)新型コロナウイルス感染拡大の影響
その他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
(ⅴ)貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、流動資産で△400百万円、固定資産で△3,412百万円の貸倒引当金を計上しております。
取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額には不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が売上債権、貸付金等の貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅵ)投資有価証券の減損
当社グループは、その他有価証券のうち、時価のあるものについては、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。時価のないものについては、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、当該有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、投資有価証券として43,665百万円計上しております。
有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などには不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が連結貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅶ)退職給付会計
当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。また、一部連結子会社では、確定拠出制度を採用しております。
当社においては、退職給付信託を設定しております。
退職給付型の制度において、退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の見積り・前提を用いております。
割引率については、デュレーション法(加重平均期間アプローチ)により算出した期間に対応する国債のイールド・カーブから抜粋した利回りを加重平均割引率とする方法を採用しております。
当連結会計年度においては、退職給付に係る負債として19,383百万円を計上しております。
これらの見積り・前提に用いる割引率、退職率及び死亡率などについては、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しておりますが、実際の結果がこれらの見積り・前提と異なる場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、退職給付関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)に記載のとおりであります。