四半期報告書-第77期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの流行が収束しないなか、今後の経済活動の回復についても緩やかなものに留まる見通しであることから依然として厳しい状況が継続しています。
海外においても、米国では新型コロナウイルスの流行が再拡大している状況にあり、また欧州でも収束への道筋が見えないことから、世界経済の先行きは不透明な状態となっております。
当社グループ関連業界におきましては、家庭用商品の販売は堅調であったものの、企業業績や雇用情勢の悪化に伴う節約志向が高まっており、また外食産業向け販売が引き続き振るわず、国内における水産物取扱いも鮮魚・養殖魚を中心に不振となっていることから、予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、「収益力の更なる向上」「成長への取り組み」「経営基盤の強化」の3つの経営戦略への取り組みを推進するとともに「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」に引き続き取り組んでまいりました。
その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は664,076百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益は17,245百万円(前年同期比7.5%増)、経常利益は18,822百万円(前年同期比1.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,529百万円(前年同期比41.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当第3四半期連結累計期間は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落により、漁業・養殖事業の売上高は24,265百万円(前年同期比18.9%減)、営業損失は2,319百万円(前年同期比2,370百万円減)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、新型コロナウイルスの影響から第1四半期を底に回復基調にあるものの、外食・業務筋向け販売不振により減収となりましたが、マグロや帆立等の主要魚種の利益率改善に加え、量販・宅配向け等の好調チャネルへの販売シフトもあり増益となりました。
荷受ユニットは、新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚等、外食・業務筋向けの高級商材の販売不振により減収減益となりました。
畜産商事ユニットは、全取扱品目において増収となりましたが、欧州産豚肉の国内販売価格の下落等により、減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は326,846百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益は3,563百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化しているアジア・オセアニアユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米・欧州ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
アジア・オセアニアユニットは、世界的な新型コロナウイルスの影響を受けて各事業で減収となりましたが、タイのペットフード事業で原料安・対ドルバーツ安に加え、強い需要に支えられた結果、増益となりました。
北米・欧州ユニットは、国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速により減収となり、またアラスカにおけるコロナ水際対策コスト、スケソウダラの魚体小型化と漁獲遅延による生産コスト増等により減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は117,090百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は5,035百万円(前年同期比39.1%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、米飯・麺・中華等の主食商品の需要が引き続き堅調に推移し、増収増益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、ギフト、ちくわ、デザートの販売不振により減収となりましたが、フィッシュソーセージを中心に収益性を重視した販売及びゼリー・レトルトの生産体制を見直しに努めた結果、増益となりました。
業務用食品ユニットは、新型コロナウイルスの影響から徐々に回復基調にあるものの、依然として外食向け販売は苦戦を強いられており、生協や介護食向けの販売は好調に推移するも全体をカバーするには至らず、減収減益となりました。
化成ユニットは、DHA・EPA製品及びフリーズドライ製品の販売が伸び、全体として売上は前年並みながらも増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は173,241百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は7,558百万円(前年同期比22.9%増)となりました。
物流事業
物流事業は、新型コロナウイルスの影響により荷動きが鈍化したため、輸配送事業では減収となりましたが、冷蔵保管事業において大都市圏における旺盛な保管需要を取り込んだことにより全体では微減収となりました。
また、冷凍装置換装工事等に伴う減価償却費の増加があったものの、動力費・外注費・労務コスト等が減少したことにより、売上高は12,001百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は1,909百万円(前年同期比7.3%増)と増益になりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は570,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ42,341百万円増加いたしました。これは主として売上債権の増加によるものであります。
負債は406,080百万円となり、前連結会計年度末に比べ36,995百万円増加いたしました。これは主として借入金及び仕入債務の増加によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は164,324百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,346百万円増加いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前第3四半期連結累計期間(以下「前年同期」という。)を34,314百万円下回る664,076百万円(前年同期比4.9%減)となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚等、外食・業務筋向けの高級商材の販売不振等による商事事業の減収17,569百万円、業務用食品ユニットにおける新型コロナウイルスの影響による外食向け販売の減少等による加工事業の減収6,135百万円、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の販売減少と相場下落等による漁業・養殖事業の減収5,639百万円、北米・欧州ユニットにおける国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落、コロナ禍による欧米での販売減速等による海外事業の減収3,941百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高
(注)第1四半期連結会計期間より、組織体制の見直しに伴い、従来「商事」セグメントに含まれていたアジア地域事業の一部を「海外」セグメントへ、従来「海外」セグメントに含まれていた輸出事業の一部を「商事」セグメントへそれぞれ変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の減少に伴い、前年同期に比べ33,613百万円減少し、571,574百万円(前年同期比5.6%減)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.6ポイント低下し、86.1%となりました。販売費及び一般管理費は、売上高の減少に伴い、前年同期に比べ1,910百万円減少し、75,255百万円(前年同期比2.5%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.3ポイント上昇し、11.3%となりました。研究開発費は、前年同期に比べ373百万円増加し、1,169百万円(前年同期比47.0%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は、前年同期を1,209百万円上回る17,245百万円(前年同期比7.5%増)となりました。主な増減の内訳は、アジア・オセアニアユニットにおけるタイのペットフード事業で原料安・対ドルバーツ安に加え、強い需要に支えられたこと等による海外事業の増益1,414百万円、家庭用冷凍食品ユニットにおける米飯・麺・中華等の主食商品の需要が引き続き堅調に推移したこと等による加工事業の増益1,407百万円、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減益2,370百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益又は損失(△)は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益又は損失(△)
(注)第1四半期連結会計期間より、組織体制の見直しに伴い、従来「商事」セグメントに含まれていたアジア地域事業の一部を「海外」セグメントへ、従来「海外」セグメントに含まれていた輸出事業の一部を「商事」セグメントへそれぞれ変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(経常利益)
経常利益は前年同期を187百万円上回る18,822百万円(前年同期比1.0%増)となりました。主な増減の内訳は、営業利益の増加1,209百万円及び為替差損益の悪化922百万円となります。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期を5,401百万円下回る7,529百万円(前年同期比41.8%減)となり、1株当たり四半期純利益は143円08銭(前年同期は245円72銭)となりました。増減の内訳は、特別利益の減少3,627百万円、特別損失の増加5,478百万円、法人税等の減少3,976百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益の増加459百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益が113百万円、受取賠償金1,940百万円等を計上した前年同期に比べ3,627百万円減少となり、また、特別損失が6,317百万円、事業整理損失引当金繰入額4,010百万円等を計上したことにより前年同期に比べ5,478百万円増加となり、前年同期に比べ9,106百万円の減益となります。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の概要
(単位:百万円)
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ42,341百万円(8.0%)増加し、570,405百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ37,821百万円(12.5%)増加し、339,812百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ4,520百万円(2.0%)増加し、230,593百万円となりました。
主な増減の内訳は、受取手形及び売掛金の増加34,527百万円、投資有価証券の時価評価差額等による投資その他の資産の増加3,985百万円となります。
受取手形及び売掛金は前連結会計年度末に比べ増加しておりますが、前第3四半期連結会計期間末と比べると5,005百万円減少しており、正常な範囲内と考えております。
また、新型コロナウイルスの影響により資金需要が今後増大する可能性も考え、前連結会計年度末から引き続き、手元資金は例年に比べ余裕を持たせております。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ36,995百万円(10.0%)増加し、406,080百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ32,717百万円(16.4%)増加し、232,245百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ4,278百万円(2.5%)増加し、173,835百万円となりました。
主な増減の内訳は、有利子負債(リース債務を除く)の増加22,249百万円、支払手形及び買掛金の増加13,027百万円となります。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ、5,346百万円(3.4%)増加し、164,324百万円となりました。
主な増減の内訳は、親会社株主に帰属する四半期純利益等による利益剰余金の増加5,424百万円、その他有価証券評価差額金の増加3,916百万円及び当社の連結子会社である大都魚類株式会社の公開買付け等による完全子会社化等による非支配株主持分の減少3,788百万円となります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の25.1%から24.9%となりました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の流動性)
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ、316百万円増加し、22,088百万円となりました。
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
有利子負債残高は283,964百万円でありますが、短期借入金は139,937百万円であり、手元流動性は十分に確保できていると考えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。
(財務政策)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した財務政策について重要な変更はありません。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(資金需要の動向)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した資金需要の動向について重要な変更はありません。
引き続き、新型コロナウイルスの影響拡大による資金需要が今後増大する可能性も考え、資金需要の増大にも備えてまいります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
第2四半期連結会計期間末において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載中、(ⅰ)新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについて、下記のとおり、仮定の一部を変更しております。
新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、国内外で、巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、海外漁業の不振及び外食や業務筋への販売、景気後退による高単価商材の販売不振を想定しております。しかし、その影響の規模、収束時期等を見通すことは困難な状況にあると判断しております。
当社グループでは、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響は事業や地域によってその影響や程度は異なるものの当連結会計年度末まで継続し、翌連結会計年度以降、徐々に回復していくものと仮定しております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については不確実性が大きく、仮定と異なった場合、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,169百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)経営成績等の状況の概況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの流行が収束しないなか、今後の経済活動の回復についても緩やかなものに留まる見通しであることから依然として厳しい状況が継続しています。
海外においても、米国では新型コロナウイルスの流行が再拡大している状況にあり、また欧州でも収束への道筋が見えないことから、世界経済の先行きは不透明な状態となっております。
当社グループ関連業界におきましては、家庭用商品の販売は堅調であったものの、企業業績や雇用情勢の悪化に伴う節約志向が高まっており、また外食産業向け販売が引き続き振るわず、国内における水産物取扱いも鮮魚・養殖魚を中心に不振となっていることから、予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、「収益力の更なる向上」「成長への取り組み」「経営基盤の強化」の3つの経営戦略への取り組みを推進するとともに「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」に引き続き取り組んでまいりました。
その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は664,076百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益は17,245百万円(前年同期比7.5%増)、経常利益は18,822百万円(前年同期比1.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,529百万円(前年同期比41.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当第3四半期連結累計期間は、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落により、漁業・養殖事業の売上高は24,265百万円(前年同期比18.9%減)、営業損失は2,319百万円(前年同期比2,370百万円減)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、新型コロナウイルスの影響から第1四半期を底に回復基調にあるものの、外食・業務筋向け販売不振により減収となりましたが、マグロや帆立等の主要魚種の利益率改善に加え、量販・宅配向け等の好調チャネルへの販売シフトもあり増益となりました。
荷受ユニットは、新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚等、外食・業務筋向けの高級商材の販売不振により減収減益となりました。
畜産商事ユニットは、全取扱品目において増収となりましたが、欧州産豚肉の国内販売価格の下落等により、減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は326,846百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益は3,563百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化しているアジア・オセアニアユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米・欧州ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
アジア・オセアニアユニットは、世界的な新型コロナウイルスの影響を受けて各事業で減収となりましたが、タイのペットフード事業で原料安・対ドルバーツ安に加え、強い需要に支えられた結果、増益となりました。
北米・欧州ユニットは、国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落及びコロナ禍による欧米での販売減速により減収となり、またアラスカにおけるコロナ水際対策コスト、スケソウダラの魚体小型化と漁獲遅延による生産コスト増等により減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は117,090百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は5,035百万円(前年同期比39.1%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、米飯・麺・中華等の主食商品の需要が引き続き堅調に推移し、増収増益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、ギフト、ちくわ、デザートの販売不振により減収となりましたが、フィッシュソーセージを中心に収益性を重視した販売及びゼリー・レトルトの生産体制を見直しに努めた結果、増益となりました。
業務用食品ユニットは、新型コロナウイルスの影響から徐々に回復基調にあるものの、依然として外食向け販売は苦戦を強いられており、生協や介護食向けの販売は好調に推移するも全体をカバーするには至らず、減収減益となりました。
化成ユニットは、DHA・EPA製品及びフリーズドライ製品の販売が伸び、全体として売上は前年並みながらも増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は173,241百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は7,558百万円(前年同期比22.9%増)となりました。
物流事業
物流事業は、新型コロナウイルスの影響により荷動きが鈍化したため、輸配送事業では減収となりましたが、冷蔵保管事業において大都市圏における旺盛な保管需要を取り込んだことにより全体では微減収となりました。
また、冷凍装置換装工事等に伴う減価償却費の増加があったものの、動力費・外注費・労務コスト等が減少したことにより、売上高は12,001百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は1,909百万円(前年同期比7.3%増)と増益になりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は570,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ42,341百万円増加いたしました。これは主として売上債権の増加によるものであります。
負債は406,080百万円となり、前連結会計年度末に比べ36,995百万円増加いたしました。これは主として借入金及び仕入債務の増加によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は164,324百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,346百万円増加いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前第3四半期連結累計期間(以下「前年同期」という。)を34,314百万円下回る664,076百万円(前年同期比4.9%減)となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける新型コロナウイルスの影響に伴う活魚や近海鮮魚等、外食・業務筋向けの高級商材の販売不振等による商事事業の減収17,569百万円、業務用食品ユニットにおける新型コロナウイルスの影響による外食向け販売の減少等による加工事業の減収6,135百万円、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の販売減少と相場下落等による漁業・養殖事業の減収5,639百万円、北米・欧州ユニットにおける国内でのすりみの取扱い減、助子の単価下落、コロナ禍による欧米での販売減速等による海外事業の減収3,941百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高
セグメントの名称 | 前第3四半期連結累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比 | 増減率(%) |
漁業・養殖(百万円) | 29,904 | 24,265 | △5,639 | △18.9 |
商事(百万円) | 344,416 | 326,846 | △17,569 | △5.1 |
海外(百万円) | 121,031 | 117,090 | △3,941 | △3.3 |
加工(百万円) | 179,376 | 173,241 | △6,135 | △3.4 |
物流(百万円) | 12,612 | 12,001 | △610 | △4.8 |
その他(百万円) | 11,049 | 10,631 | △418 | △3.8 |
合計(百万円) | 698,390 | 664,076 | △34,314 | △4.9 |
(注)第1四半期連結会計期間より、組織体制の見直しに伴い、従来「商事」セグメントに含まれていたアジア地域事業の一部を「海外」セグメントへ、従来「海外」セグメントに含まれていた輸出事業の一部を「商事」セグメントへそれぞれ変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の減少に伴い、前年同期に比べ33,613百万円減少し、571,574百万円(前年同期比5.6%減)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.6ポイント低下し、86.1%となりました。販売費及び一般管理費は、売上高の減少に伴い、前年同期に比べ1,910百万円減少し、75,255百万円(前年同期比2.5%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.3ポイント上昇し、11.3%となりました。研究開発費は、前年同期に比べ373百万円増加し、1,169百万円(前年同期比47.0%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は、前年同期を1,209百万円上回る17,245百万円(前年同期比7.5%増)となりました。主な増減の内訳は、アジア・オセアニアユニットにおけるタイのペットフード事業で原料安・対ドルバーツ安に加え、強い需要に支えられたこと等による海外事業の増益1,414百万円、家庭用冷凍食品ユニットにおける米飯・麺・中華等の主食商品の需要が引き続き堅調に推移したこと等による加工事業の増益1,407百万円、まき網事業におけるカツオの漁獲減、新型コロナウイルスの影響による養殖魚の相場下落等による漁業・養殖事業の減益2,370百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益又は損失(△)は、次のとおりであります。
第3四半期連結累計期間のセグメント別営業利益又は損失(△)
セグメントの名称 | 前第3四半期連結累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比 | 増減率(%) |
漁業・養殖(百万円) | 50 | △2,319 | △2,370 | - |
商事(百万円) | 3,175 | 3,563 | 387 | 12.2 |
海外(百万円) | 3,620 | 5,035 | 1,414 | 39.1 |
加工(百万円) | 6,151 | 7,558 | 1,407 | 22.9 |
物流(百万円) | 1,779 | 1,909 | 129 | 7.3 |
その他(百万円) | 855 | 1,067 | 212 | 24.8 |
調整額(百万円) | 401 | 430 | 28 | 7.1 |
合計(百万円) | 16,036 | 17,245 | 1,209 | 7.5 |
(注)第1四半期連結会計期間より、組織体制の見直しに伴い、従来「商事」セグメントに含まれていたアジア地域事業の一部を「海外」セグメントへ、従来「海外」セグメントに含まれていた輸出事業の一部を「商事」セグメントへそれぞれ変更しております。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成したものを開示しております。
(経常利益)
経常利益は前年同期を187百万円上回る18,822百万円(前年同期比1.0%増)となりました。主な増減の内訳は、営業利益の増加1,209百万円及び為替差損益の悪化922百万円となります。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期を5,401百万円下回る7,529百万円(前年同期比41.8%減)となり、1株当たり四半期純利益は143円08銭(前年同期は245円72銭)となりました。増減の内訳は、特別利益の減少3,627百万円、特別損失の増加5,478百万円、法人税等の減少3,976百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益の増加459百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益が113百万円、受取賠償金1,940百万円等を計上した前年同期に比べ3,627百万円減少となり、また、特別損失が6,317百万円、事業整理損失引当金繰入額4,010百万円等を計上したことにより前年同期に比べ5,478百万円増加となり、前年同期に比べ9,106百万円の減益となります。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の概要
(単位:百万円)
前第3四半期連結累計期間 (2019年12月31日) (a) | 前連結会計年度 (2020年3月31日) (b) | 当第3四半期連結会計期間 (2020年12月31日) (c) | 前年同期比 (c)-(a) | 前年対比 (c)-(b) | |
資産の部 | |||||
流動資産 | 347,921 | 301,990 | 339,812 | △8,109 | 37,821 |
内、現金及び預金 | 16,961 | 21,782 | 22,098 | 5,136 | 315 |
内、受取手形及び売掛金 | 145,610 | 106,077 | 140,604 | △5,005 | 34,527 |
内、たな卸資産 | 174,051 | 164,309 | 165,567 | △8,483 | 1,258 |
固定資産 | 224,729 | 226,073 | 230,593 | 5,864 | 4,520 |
内、有形固定資産 | 144,320 | 148,206 | 149,911 | 5,591 | 1,705 |
内、投資その他の資産 | 61,039 | 58,827 | 62,813 | 1,774 | 3,985 |
資産合計 | 572,650 | 528,063 | 570,405 | △2,244 | 42,341 |
負債の部 | |||||
流動負債 | 237,628 | 199,528 | 232,245 | △5,382 | 32,717 |
内、支払手形及び買掛金 | 49,070 | 32,797 | 45,824 | △3,246 | 13,027 |
固定負債 | 173,259 | 169,556 | 173,835 | 575 | 4,278 |
負債合計 | 410,887 | 369,085 | 406,080 | △4,806 | 36,995 |
内、有利子負債 (リース債務を除く) | 288,160 | 261,714 | 283,964 | △4,195 | 22,249 |
純資産の部 | |||||
純資産合計 | 161,762 | 158,978 | 164,324 | 2,561 | 5,346 |
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ42,341百万円(8.0%)増加し、570,405百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ37,821百万円(12.5%)増加し、339,812百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ4,520百万円(2.0%)増加し、230,593百万円となりました。
主な増減の内訳は、受取手形及び売掛金の増加34,527百万円、投資有価証券の時価評価差額等による投資その他の資産の増加3,985百万円となります。
受取手形及び売掛金は前連結会計年度末に比べ増加しておりますが、前第3四半期連結会計期間末と比べると5,005百万円減少しており、正常な範囲内と考えております。
また、新型コロナウイルスの影響により資金需要が今後増大する可能性も考え、前連結会計年度末から引き続き、手元資金は例年に比べ余裕を持たせております。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ36,995百万円(10.0%)増加し、406,080百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ32,717百万円(16.4%)増加し、232,245百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ4,278百万円(2.5%)増加し、173,835百万円となりました。
主な増減の内訳は、有利子負債(リース債務を除く)の増加22,249百万円、支払手形及び買掛金の増加13,027百万円となります。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ、5,346百万円(3.4%)増加し、164,324百万円となりました。
主な増減の内訳は、親会社株主に帰属する四半期純利益等による利益剰余金の増加5,424百万円、その他有価証券評価差額金の増加3,916百万円及び当社の連結子会社である大都魚類株式会社の公開買付け等による完全子会社化等による非支配株主持分の減少3,788百万円となります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の25.1%から24.9%となりました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金の流動性)
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ、316百万円増加し、22,088百万円となりました。
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
有利子負債残高は283,964百万円でありますが、短期借入金は139,937百万円であり、手元流動性は十分に確保できていると考えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。
(財務政策)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した財務政策について重要な変更はありません。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(資金需要の動向)
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した資金需要の動向について重要な変更はありません。
引き続き、新型コロナウイルスの影響拡大による資金需要が今後増大する可能性も考え、資金需要の増大にも備えてまいります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
第2四半期連結会計期間末において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載中、(ⅰ)新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについて、下記のとおり、仮定の一部を変更しております。
新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、国内外で、巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、海外漁業の不振及び外食や業務筋への販売、景気後退による高単価商材の販売不振を想定しております。しかし、その影響の規模、収束時期等を見通すことは困難な状況にあると判断しております。
当社グループでは、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響は事業や地域によってその影響や程度は異なるものの当連結会計年度末まで継続し、翌連結会計年度以降、徐々に回復していくものと仮定しております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については不確実性が大きく、仮定と異なった場合、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,169百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。