有価証券報告書-第121期(2022/04/01-2023/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ30.4%増加し1兆9,338億円となりました。
利益については、営業利益は前連結会計年度に比べ21.0%増加し546億円、経常利益は12.2%増加し565億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.7%増加し490億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ21.3%増加し1兆4,390億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14.4%減少し486億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ6.8%増加し890億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ20.3%減少し381億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ59.3%増加し5,684億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ29.8%増加し180億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により524億円資金が減少しましたが(前連結会計年度は893億円の資金減少)、営業活動により838億円資金が増加し(前連結会計年度は777億円の資金増加)、財務活動により656億円資金が増加した結果(前連結会計年度は196億円の資金増加)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ996億円増加し3,867億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第120期
第121期
d. 次期繰越高(2023年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の流行に対する各種制限が段階的に緩和される中、社会経済活動は正常化に向けた動きが見られましたが、ウクライナ危機の長期化や円安の進行、それらに伴うエネルギー資源、食料の世界的な供給制約と価格上昇が企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。
建設業界においては、民間設備投資に持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の価格高騰などの影響があり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、手持ちの大型工事が順調に進捗したことによる当社の完成工事高の増加などから、前連結会計年度に比べ30.4%増加し1兆9,338億円となりました。
利益については、開発事業等総利益が減少したものの、海外建築工事の工事採算が持ち直したことなどにより、完成工事総利益が増加したことなどから、営業利益は前連結会計年度に比べ21.0%増加し546億円、経常利益は前連結会計年度に比べ12.2%増加し565億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2.7%増加し490億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ21.3%増加し1兆4,390億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14.4%減少し486億円となりました。
なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ24.5%増加し746億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ6.8%増加し890億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比較的採算の良い大型開発物件の売却があった反動などから、前連結会計年度に比べ20.3%減少し381億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、日本道路株式会社が連結子会社となったことなどから、前連結会計年度に比べ59.3%増加し5,684億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ29.8%増加し180億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、現金同等物(現金預金及び有価証券に含まれる譲渡性預金)や受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ3,196億円増加し2兆4,480億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等及や連結有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2,875億円増加し1兆5,407億円となりました。
連結有利子負債の残高は5,772億円となり、前連結会計年度末に比べ821億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ321億円増加し9,072億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.9ポイント低下し34.8%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により524億円資金が減少しましたが、営業活動により838億円、財務活動により656億円それぞれ資金が増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ996億円増加し3,867億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益753億円を計上したことなどにより838億円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得などにより524億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより656億円の資金増加となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。また、当社グループは、2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」において、建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ、非建設事業の着実な収益力向上を図ることを目的とし、2019年度から5年間で生産性向上・研究開発、不動産開発事業、新規事業などに7,500億円の投資を計画しております。
これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため、自己資本比率を40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍以下とすることを財務上のKPIとして設定しております。2022年度の実績については、「⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の4年目である2022年度の実績は以下のとおりであります。
a.経営数値目標(連結ベース)
(単位:億円)
b.投資計画
(単位:億円)
c.非財務KPI
※1 第三者保証取得前の2023年4月時点暫定値
2 当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ30.4%増加し1兆9,338億円となりました。
利益については、営業利益は前連結会計年度に比べ21.0%増加し546億円、経常利益は12.2%増加し565億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.7%増加し490億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ21.3%増加し1兆4,390億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14.4%減少し486億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ6.8%増加し890億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ20.3%減少し381億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ59.3%増加し5,684億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ29.8%増加し180億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により524億円資金が減少しましたが(前連結会計年度は893億円の資金減少)、営業活動により838億円資金が増加し(前連結会計年度は777億円の資金増加)、財務活動により656億円資金が増加した結果(前連結会計年度は196億円の資金増加)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ996億円増加し3,867億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
期別 | 種類別 | 前期 繰越高 (百万円) | 当期 受注(契約)高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期 売上高 (百万円) | 次期 繰越高 (百万円) | |||
第120期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,310,317 | 1,146,342 | 2,456,660 | 936,043 | 1,520,616 | ||||
土木工事 | 532,692 | 273,719 | 806,411 | 227,446 | 578,965 | ||||
計 | 1,843,009 | 1,420,062 | 3,263,072 | 1,163,489 | 2,099,582 | ||||
開発事業等 | 93,685 | 123,399 | 217,084 | 123,863 | 93,221 | ||||
合計 | 1,936,695 | 1,543,461 | 3,480,156 | 1,287,352 | 2,192,803 | ||||
第121期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,520,616 | 1,142,688 | 2,663,305 | 1,189,563 | 1,473,741 | ||||
土木工事 | 578,965 | 258,591 | 837,556 | 238,542 | 599,014 | ||||
計 | 2,099,582 | 1,401,279 | 3,500,861 | 1,428,105 | 2,072,755 | ||||
開発事業等 | 93,221 | 114,608 | 207,829 | 129,219 | 78,610 | ||||
合計 | 2,192,803 | 1,515,887 | 3,708,691 | 1,557,325 | 2,151,365 |
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) | |
第120期 | (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 建築工事 | 29.0 | 71.0 | 100 |
土木工事 | 7.7 | 92.3 | 100 | ||
第121期 | (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 建築工事 | 40.7 | 59.3 | 100 |
土木工事 | 10.4 | 89.6 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) | |||
第120期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 103,397 | 832,646 | 936,043 | ||||
土木工事 | 130,061 | 97,385 | 227,446 | ||||
計 | 233,458 | 930,031 | 1,163,489 | ||||
開発事業等 | 1,228 | 122,634 | 123,863 | ||||
合計 | 234,686 | 1,052,665 | 1,287,352 | ||||
第121期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 128,231 | 1,061,331 | 1,189,563 | ||||
土木工事 | 152,081 | 86,460 | 238,542 | ||||
計 | 280,313 | 1,147,792 | 1,428,105 | ||||
開発事業等 | 1,517 | 127,702 | 129,219 | ||||
合計 | 281,830 | 1,275,494 | 1,557,325 |
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第120期
新橋田村町地区市街地再開発組合 | 新橋田村町地区市街地再開発事業 新築工事 |
春日・後楽園駅前地区市街地 再開発組合 | 春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事(北街区) |
プロロジス | プロロジスパーク猪名川1プロジェクト |
石巻市 | 石巻半島部・河北・北上・雄勝・牡鹿地域漁業集落 防災機能強化事業他整備工事 |
中日本高速道路(株) | 新東名高速道路 高取山トンネル西工事 |
第121期
東急(株) (株)東急レクリエーション | 東急歌舞伎町タワー |
大名プロジェクト特定目的会社 | 福岡大名ガーデンシティ |
シンガポール共和国政府 | シンガポール国立がんセンター |
東京都 | 東京都市計画道路幹線街路環状第5の1号線 |
中日本高速道路(株) | 新東名高速道路 萱沼トンネル |
d. 次期繰越高(2023年3月31日現在)
区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
建設事業 | |||
建築工事 | 190,191 | 1,283,550 | 1,473,741 |
土木工事 | 375,231 | 223,782 | 599,014 |
計 | 565,423 | 1,507,332 | 2,072,755 |
開発事業等 | 1,353 | 77,256 | 78,610 |
合計 | 566,776 | 1,584,589 | 2,151,365 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合 | 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係る A街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 |
日本橋一丁目中地区市街地再開発組合 | 日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業C街区新築工事 |
野村不動産(株) | (仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事 |
フィリピン共和国政府 | マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 |
東日本高速道路(株) | 東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の流行に対する各種制限が段階的に緩和される中、社会経済活動は正常化に向けた動きが見られましたが、ウクライナ危機の長期化や円安の進行、それらに伴うエネルギー資源、食料の世界的な供給制約と価格上昇が企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。
建設業界においては、民間設備投資に持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の価格高騰などの影響があり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、手持ちの大型工事が順調に進捗したことによる当社の完成工事高の増加などから、前連結会計年度に比べ30.4%増加し1兆9,338億円となりました。
利益については、開発事業等総利益が減少したものの、海外建築工事の工事採算が持ち直したことなどにより、完成工事総利益が増加したことなどから、営業利益は前連結会計年度に比べ21.0%増加し546億円、経常利益は前連結会計年度に比べ12.2%増加し565億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2.7%増加し490億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ21.3%増加し1兆4,390億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14.4%減少し486億円となりました。
なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ24.5%増加し746億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ6.8%増加し890億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比較的採算の良い大型開発物件の売却があった反動などから、前連結会計年度に比べ20.3%減少し381億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、日本道路株式会社が連結子会社となったことなどから、前連結会計年度に比べ59.3%増加し5,684億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ29.8%増加し180億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、現金同等物(現金預金及び有価証券に含まれる譲渡性預金)や受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ3,196億円増加し2兆4,480億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等及や連結有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2,875億円増加し1兆5,407億円となりました。
連結有利子負債の残高は5,772億円となり、前連結会計年度末に比べ821億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ321億円増加し9,072億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.9ポイント低下し34.8%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により524億円資金が減少しましたが、営業活動により838億円、財務活動により656億円それぞれ資金が増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ996億円増加し3,867億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益753億円を計上したことなどにより838億円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得などにより524億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより656億円の資金増加となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。また、当社グループは、2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」において、建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ、非建設事業の着実な収益力向上を図ることを目的とし、2019年度から5年間で生産性向上・研究開発、不動産開発事業、新規事業などに7,500億円の投資を計画しております。
これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため、自己資本比率を40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍以下とすることを財務上のKPIとして設定しております。2022年度の実績については、「⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の4年目である2022年度の実績は以下のとおりであります。
a.経営数値目標(連結ベース)
(単位:億円)
中期経営計画〈2019‐2023〉 | ||||||
2022年度実績 | 2023年度目標 | 財務KPI | 2022年度実績 | 2023年度目標 | ||
総売上高 | 19,338 | 18,800 | RОE | 5.9% | 10%以上 | |
建設事業 | 16,938 | 15,500 | 自己資本比率 | 34.8% | 40%以上 | |
非建設事業 | 2,399 | 3,300 | 負債資本倍率 (D/Eレシオ) | 0.68倍 | 0.7倍以下 | |
売上利益 | 1,610 | 2,350 | ||||
建設事業 | 1,110 | 1,850 | 配当性向 | 31.7% | 30%程度※ | |
非建設事業 | 499 | 500 | ※ 2023年度は、40%程度へ引き上げる方針としております。 | |||
経常利益 | 565 | 1,400 |
b.投資計画
(単位:億円)
投資額(計画) (5ヶ年) | 投資額(実績) (2019~2022) | ||
生産性向上・研究開発投資 | 1,000 | 723 | |
不動産開発事業 | 5,000 | 2,723 | |
インフラ・再生可能エネルギー・ 新規事業(フロンティア事業他) | 1,300 | 785 | |
人財関連 | 200 | 130 | |
投資額合計 | 7,500 | 4,361 |
c.非財務KPI
非財務KPI | 2022年度実績 | 2023年度目標 | |
建設事業における生産性(2016年度比)向上率 | 10.0% | 20%以上 | |
建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率 | 23.1%※1 | 10%以上 | |
働きがい指標※2 | 3.67 | 4.0以上 | |
重大な法令違反件数 | 0件 | 0件 |
※1 第三者保証取得前の2023年4月時点暫定値
2 当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)