有価証券報告書-第120期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1.8%増加し1兆4,829億円となりました。
利益については、営業利益は前連結会計年度に比べ54.9%減少し451億円、経常利益は52.2%減少し504億円、親会社株主に帰属する当期純利益は38.1%減少し477億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ2.2%減少し1兆1,861億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ47.2%減少し567億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ82.7%増加し833億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ328億円増加し478億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ13.6%減少し3,569億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ6.7%減少し139億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により893億円資金が減少しましたが(前連結会計年度は1,139億円の資金減少)、営業活動により777億円資金が増加し(前連結会計年度は806億円の資金増加)、財務活動により196億円資金が増加した結果(前連結会計年度は427億円の資金減少)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ108億円増加し、2,871億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当期首から適用してお
り、第119期の次期繰越高に当該会計基準等の適用による影響額を加減して、第120期の前期繰越高を
算出しております。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第119期
第120期
d. 次期繰越高(2022年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2021年度の日本経済は、新型コロナウイルスの感染状況が引き続き改善と悪化を繰り返す中、社会経済活動が一定の制約を受け、個人消費に弱さや足踏みが見られましたが、企業収益は総じて改善に向けた動きが見られました。
建設業界においては、設備投資の持ち直しにより民間工事の受注が増加し、業界全体の受注高は前年度を上回る結果となりました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、開発事業等売上高が増加したことにより、前連結会計年度に比べ1.8%増加し1兆4,829億円となりました。
利益については、大型開発物件を売却したことにより、開発事業等総利益が増加したものの、国内建築及び海外建築工事の工事採算の低下などにより完成工事総利益が減少したことなどから、営業利益は前連結会計年度に比べ54.9%減少し451億円、経常利益は前連結会計年度に比べ52.2%減少し504億円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益や日本道路株式会社の子会社化に伴う負ののれん発生益などを計上したことなどから、前連結会計年度に比べ38.1%減少し477億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ2.2%減少し1兆1,861億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ47.2%減少し567億円となりました。
(当社投資開発事業)
大型開発物件を売却したことなどにより、売上高は、前連結会計年度に比べ82.7%増加し833億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ328億円増加し478億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ13.6%減少し3,569億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ6.7%減少し139億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形・完成工事未収入金等の増加及び賃貸事業用固定資産の取得などにより、前連結会計年度末に比べ2,196億円増加し2兆1,283億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等及び連結有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,659億円増加し1兆2,531億円となりました。
連結有利子負債の残高は4,951億円となり、前連結会計年度末に比べ724億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、自己株式の取得を実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加に加え、日本道路株式会社の子会社化に伴う非支配株主持分の増加などにより、前連結会計年度末に比べ537億円増加し8,751億円となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.0ポイント低下し38.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により893億円資金が減少しましたが、営業活動により777億円、財務活動により196億円それぞれ資金が増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ108億円増加し2,871億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益647億円の計上などにより777億円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得などにより893億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの発行などにより196億円の資金増加となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。また、当社グループは、2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」において、建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ、非建設事業の着実な収益力向上を図ることを目的とし、2019年度から5年間で生産性向上・研究開発、不動産開発事業、新規事業などに7,500億円の投資を計画しております。
これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため、自己資本比率を40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍以下とすることを財務上のKPIとして設定しております。2021年度の実績については、「⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (追加情報)」に記載しております。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の3年目である2021年度の実績は以下のとおりであります。
a.経営数値目標(連結ベース)
(単位:億円)
b.投資計画
(単位:億円)
c.非財務KPI
※1 第三者保証取得前の2022年4月時点暫定値
※2 当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1.8%増加し1兆4,829億円となりました。
利益については、営業利益は前連結会計年度に比べ54.9%減少し451億円、経常利益は52.2%減少し504億円、親会社株主に帰属する当期純利益は38.1%減少し477億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ2.2%減少し1兆1,861億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ47.2%減少し567億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ82.7%増加し833億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ328億円増加し478億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ13.6%減少し3,569億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ6.7%減少し139億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により893億円資金が減少しましたが(前連結会計年度は1,139億円の資金減少)、営業活動により777億円資金が増加し(前連結会計年度は806億円の資金増加)、財務活動により196億円資金が増加した結果(前連結会計年度は427億円の資金減少)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ108億円増加し、2,871億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
期別 | 種類別 | 前期 繰越高 (百万円) | 当期 受注(契約)高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期 売上高 (百万円) | 次期 繰越高 (百万円) | |||
第119期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,415,866 | 817,718 | 2,233,584 | 917,145 | 1,316,439 | ||||
土木工事 | 482,753 | 312,996 | 795,750 | 259,980 | 535,770 | ||||
計 | 1,898,620 | 1,130,715 | 3,029,335 | 1,177,125 | 1,852,210 | ||||
開発事業等 | 96,651 | 70,254 | 166,906 | 72,860 | 94,045 | ||||
合計 | 1,995,272 | 1,200,969 | 3,196,241 | 1,249,985 | 1,946,255 | ||||
第120期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,310,317 | 1,146,342 | 2,456,660 | 936,043 | 1,520,616 | ||||
土木工事 | 532,692 | 273,719 | 806,411 | 227,446 | 578,965 | ||||
計 | 1,843,009 | 1,420,062 | 3,263,072 | 1,163,489 | 2,099,582 | ||||
開発事業等 | 93,685 | 123,399 | 217,084 | 123,863 | 93,221 | ||||
合計 | 1,936,695 | 1,543,461 | 3,480,156 | 1,287,352 | 2,192,803 |
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当期首から適用してお
り、第119期の次期繰越高に当該会計基準等の適用による影響額を加減して、第120期の前期繰越高を
算出しております。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) | |
第119期 | (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 建築工事 | 37.1 | 62.9 | 100 |
土木工事 | 12.9 | 87.1 | 100 | ||
第120期 | (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 建築工事 | 29.0 | 71.0 | 100 |
土木工事 | 7.7 | 92.3 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) | |||
第119期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 93,541 | 823,603 | 917,145 | ||||
土木工事 | 166,983 | 92,997 | 259,980 | ||||
計 | 260,524 | 916,601 | 1,177,125 | ||||
開発事業等 | 340 | 72,519 | 72,860 | ||||
合計 | 260,864 | 989,120 | 1,249,985 | ||||
第120期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 103,397 | 832,646 | 936,043 | ||||
土木工事 | 130,061 | 97,385 | 227,446 | ||||
計 | 233,458 | 930,031 | 1,163,489 | ||||
開発事業等 | 1,228 | 122,634 | 123,863 | ||||
合計 | 234,686 | 1,052,665 | 1,287,352 |
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第119期
東京ガス不動産(株) | (仮称)TGMM芝浦プロジェクトB棟Ⅱ期新築工事 |
(株)みずほフィナンシャルグループ | (仮称)丸の内1-3計画新築工事 フィットアウト 工事タワー部分 専有 |
武蔵小金井駅南口第2地区市街地 再開発組合 | 武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事 |
国土交通省 | 東京国際空港際内トンネル他築造等工事 |
シンガポール共和国政府 | シンガポールMRTトムソン-イーストコースト ラインT207工区建設工事 |
第120期
新橋田村町地区市街地再開発組合 | 新橋田村町地区市街地再開発事業 新築工事 |
春日・後楽園駅前地区市街地 再開発組合 | 春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事(北街区) |
プロロジス | プロロジスパーク猪名川1プロジェクト |
石巻市 | 石巻半島部・河北・北上・雄勝・牡鹿地域漁業集落 防災機能強化事業他整備工事 |
中日本高速道路(株) | 新東名高速道路 高取山トンネル西工事 |
d. 次期繰越高(2022年3月31日現在)
区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
建設事業 | |||
建築工事 | 223,704 | 1,296,912 | 1,520,616 |
土木工事 | 381,245 | 197,720 | 578,965 |
計 | 604,949 | 1,494,632 | 2,099,582 |
開発事業等 | 1,079 | 92,141 | 93,221 |
合計 | 606,029 | 1,586,774 | 2,192,803 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
虎ノ門・麻布台地区市街地 再開発組合 | 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係る A街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 |
勝どき東地区市街地再開発組合 | 勝どき東地区第一種市街地再開発事業施設建築物 A2地区新築工事 |
東急(株) (株)東急レクリエーション | (仮称)歌舞伎町一丁目地区開発計画 新築工事 |
フィリピン共和国政府 | マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 |
東日本高速道路(株) | 東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2021年度の日本経済は、新型コロナウイルスの感染状況が引き続き改善と悪化を繰り返す中、社会経済活動が一定の制約を受け、個人消費に弱さや足踏みが見られましたが、企業収益は総じて改善に向けた動きが見られました。
建設業界においては、設備投資の持ち直しにより民間工事の受注が増加し、業界全体の受注高は前年度を上回る結果となりました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、開発事業等売上高が増加したことにより、前連結会計年度に比べ1.8%増加し1兆4,829億円となりました。
利益については、大型開発物件を売却したことにより、開発事業等総利益が増加したものの、国内建築及び海外建築工事の工事採算の低下などにより完成工事総利益が減少したことなどから、営業利益は前連結会計年度に比べ54.9%減少し451億円、経常利益は前連結会計年度に比べ52.2%減少し504億円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益や日本道路株式会社の子会社化に伴う負ののれん発生益などを計上したことなどから、前連結会計年度に比べ38.1%減少し477億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ2.2%減少し1兆1,861億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ47.2%減少し567億円となりました。
(当社投資開発事業)
大型開発物件を売却したことなどにより、売上高は、前連結会計年度に比べ82.7%増加し833億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ328億円増加し478億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ13.6%減少し3,569億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ6.7%減少し139億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形・完成工事未収入金等の増加及び賃貸事業用固定資産の取得などにより、前連結会計年度末に比べ2,196億円増加し2兆1,283億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等及び連結有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,659億円増加し1兆2,531億円となりました。
連結有利子負債の残高は4,951億円となり、前連結会計年度末に比べ724億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、自己株式の取得を実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加に加え、日本道路株式会社の子会社化に伴う非支配株主持分の増加などにより、前連結会計年度末に比べ537億円増加し8,751億円となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.0ポイント低下し38.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、投資活動により893億円資金が減少しましたが、営業活動により777億円、財務活動により196億円それぞれ資金が増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ108億円増加し2,871億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益647億円の計上などにより777億円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得などにより893億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの発行などにより196億円の資金増加となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。また、当社グループは、2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」において、建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ、非建設事業の着実な収益力向上を図ることを目的とし、2019年度から5年間で生産性向上・研究開発、不動産開発事業、新規事業などに7,500億円の投資を計画しております。
これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため、自己資本比率を40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍以下とすることを財務上のKPIとして設定しております。2021年度の実績については、「⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (追加情報)」に記載しております。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の3年目である2021年度の実績は以下のとおりであります。
a.経営数値目標(連結ベース)
(単位:億円)
中期経営計画〈2019‐2023〉 | ||||||
2021年度実績 | 2023年度目標 | 財務KPI | 2021年度実績 | 2023年度目標 | ||
総売上高 | 14,829 | 18,800 | RОE | 5.8% | 10%以上 | |
建設事業 | 12,959 | 15,500 | 自己資本比率 | 38.7% | 40%以上 | |
非建設事業 | 1,869 | 3,300 | 負債資本倍率 (D/Eレシオ) | 0.60倍 | 0.7倍以下 | |
売上利益 | 1,396 | 2,350 | ||||
建設事業 | 811 | 1,850 | 配当性向 | 35.9% | 30%程度 | |
非建設事業 | 584 | 500 | ||||
経常利益 | 504 | 1,400 |
b.投資計画
(単位:億円)
投資額(計画) (5ヶ年) | 投資額(実績) (2019~2021) | |
生産性向上・研究開発投資 | 1,000 | 523 |
不動産開発事業 | 5,000 | 2,550 |
インフラ・再生可能エネルギー・ 新規事業(フロンティア事業他) | 1,300 | 640 |
人財関連 | 200 | 79 |
投資額合計 | 7,500 | 3,792 |
c.非財務KPI
非財務KPI | 2021年度実績 | 2023年度目標 | |
建設事業における生産性(2016年度比)向上率 | 4.3% | 20%以上 | |
建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率 | 10.2%※1 | 10%以上 | |
働きがい指標※2 | 3.72 | 4.0以上 | |
重大な法令違反件数 | 0件 | 0件 |
※1 第三者保証取得前の2022年4月時点暫定値
※2 当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)