有価証券報告書-第122期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。
利益については、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。
(道路舗装事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円資金が減少し(前連結会計年度は838億円の資金増加)、投資活動により53億円資金が減少し(前連結会計年度は524億円の資金減少)、財務活動により239億円資金を使用した結果(前連結会計年度は656億円の資金増加)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第121期
第122期
d. 次期繰越高(2024年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2023年度の日本経済は、社会経済活動の正常化やインバウンド需要の復調等により、景気には緩やかな回復が見られました。一方で、世界的な物価高や各国の金融引き締めに加え、ウクライナ危機の長期化など国際情勢の不安定化が進み、企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。
建設業界においては、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きが見られましたが、供給面では、建設資材・エネルギー価格の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、完成工事高及び開発事業等売上高が増加したことにより、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。
利益については、国内・海外の複数の大型建築工事において、工事採算の大幅な悪化に伴い工事損失引当金を計上したことにより、完成工事総利益が減少したことなどから、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に保有株式の売却に伴う固定資産売却益などを計上した結果、前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、工事採算の低下により前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。
なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ820億円減少し74億円の損失となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。
(道路舗装事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、SEP船による洋上工事の利益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形・完成工事未収入金等や株式相場の上昇に伴う保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより、前連結会計年度末に比べ907億円増加し2兆5,387億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等は減少しましたが、工事損失引当金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ499億円増加し1兆5,907億円となりました。
連結有利子負債の残高は6,031億円となり、前連結会計年度末に比べ259億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、自己株式の取得を実施したものの、保有株式の時価の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ407億円増加し9,480億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.2ポイント上昇し35.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円、投資活動により53億円、財務活動により239億円それぞれ資金が減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益335億円を計上しましたが、仕入債務の減少などにより212億円の資金減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、イノベーション拠点の建設に伴う固定資産の取得などにより53億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払などにより239億円の資金減少となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
また、当社グループは、2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」において、経営基盤強化、事業戦略、グローバル展開を推進するとともに、経営数値目標の達成と資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、2024年度から3年間で人財、生産性向上・研究開発、不動産開発、グリーンエネルギー開発、新規事業などに3,600億円の投資を計画しております。これらの資金需要に対しては、事業の着実な推進により営業キャッシュフローを増加させるとともに、賃貸不動産等の売却や政策保有株式の段階的縮減を継続し、創出したキャッシュにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため「中期経営計画〈2024‐2026〉」では、自己資本比率を35%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を1.0倍以内、また、中長期的(次期中期経営計画期間中)には、自己資本比率40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍程度とすることを財務上のKPIとして設定しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の最終年度である2023年度の実績及び2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」における経営数値目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。
利益については、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。
(道路舗装事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円資金が減少し(前連結会計年度は838億円の資金増加)、投資活動により53億円資金が減少し(前連結会計年度は524億円の資金減少)、財務活動により239億円資金を使用した結果(前連結会計年度は656億円の資金増加)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。
このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高
期別 | 種類別 | 前期 繰越高 (百万円) | 当期 受注(契約)高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期 売上高 (百万円) | 次期 繰越高 (百万円) | |||
第121期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,520,616 | 1,142,688 | 2,663,305 | 1,189,563 | 1,473,741 | ||||
土木工事 | 578,965 | 258,591 | 837,556 | 238,542 | 599,014 | ||||
計 | 2,099,582 | 1,401,279 | 3,500,861 | 1,428,105 | 2,072,755 | ||||
開発事業等 | 93,221 | 114,608 | 207,829 | 129,219 | 78,610 | ||||
合計 | 2,192,803 | 1,515,887 | 3,708,691 | 1,557,325 | 2,151,365 | ||||
第122期
| 建設事業 | ||||||||
建築工事 | 1,473,741 | 1,385,820 | 2,859,561 | 1,174,972 | 1,684,589 | ||||
土木工事 | 599,014 | 335,177 | 934,191 | 260,007 | 674,183 | ||||
計 | 2,072,755 | 1,720,997 | 3,793,753 | 1,434,980 | 2,358,772 | ||||
開発事業等 | 78,610 | 131,183 | 209,793 | 142,928 | 66,864 | ||||
合計 | 2,151,365 | 1,852,181 | 4,003,547 | 1,577,909 | 2,425,637 |
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) | |
第121期 | (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 建築工事 | 40.7 | 59.3 | 100 |
土木工事 | 10.4 | 89.6 | 100 | ||
第122期 | (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 建築工事 | 34.5 | 65.5 | 100 |
土木工事 | 6.2 | 93.8 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) | |||
第121期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 128,231 | 1,061,331 | 1,189,563 | ||||
土木工事 | 152,081 | 86,460 | 238,542 | ||||
計 | 280,313 | 1,147,792 | 1,428,105 | ||||
開発事業等 | 1,517 | 127,702 | 129,219 | ||||
合計 | 281,830 | 1,275,494 | 1,557,325 | ||||
第122期
| 建設事業 | ||||||
建築工事 | 108,326 | 1,066,646 | 1,174,972 | ||||
土木工事 | 151,549 | 108,458 | 260,007 | ||||
計 | 259,875 | 1,175,105 | 1,434,980 | ||||
開発事業等 | 1,542 | 141,386 | 142,928 | ||||
合計 | 261,418 | 1,316,491 | 1,577,909 |
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第121期
東急㈱ ㈱東急レクリエーション | 東急歌舞伎町タワー |
大名プロジェクト特定目的会社 | 福岡大名ガーデンシティ |
シンガポール共和国政府 | シンガポール国立がんセンター |
東京都 | 東京都市計画道路幹線街路環状第5の1号線 |
中日本高速道路㈱ | 新東名高速道路 萱沼トンネル |
第122期
森ビル㈱ | 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係る A街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 |
勝どき東地区市街地再開発組合 | パークタワー勝どきミッド |
名古屋プロパティー特定目的会社 | ロジポート名古屋 |
環境省 | 令和2年度中間貯蔵施設(大熊2・4工区)の受入 分別処理・貯蔵工事 |
国土交通省 | 東京外環中央JCT北側A・Hランプシールド工事 |
d. 次期繰越高(2024年3月31日現在)
区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
建設事業 | |||
建築工事 | 211,501 | 1,473,088 | 1,684,589 |
土木工事 | 433,279 | 240,903 | 674,183 |
計 | 644,780 | 1,713,992 | 2,358,772 |
開発事業等 | 231 | 66,633 | 66,864 |
合計 | 645,012 | 1,780,625 | 2,425,637 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
日本橋一丁目中地区市街地再開発組合 | 日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業C街区新築工事 |
野村不動産㈱ | (仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事 |
豊海地区市街地再開発組合 | 豊海地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事 |
フィリピン共和国政府 | マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 |
東日本高速道路㈱ | 東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2023年度の日本経済は、社会経済活動の正常化やインバウンド需要の復調等により、景気には緩やかな回復が見られました。一方で、世界的な物価高や各国の金融引き締めに加え、ウクライナ危機の長期化など国際情勢の不安定化が進み、企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。
建設業界においては、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きが見られましたが、供給面では、建設資材・エネルギー価格の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループの売上高は、完成工事高及び開発事業等売上高が増加したことにより、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。
利益については、国内・海外の複数の大型建築工事において、工事採算の大幅な悪化に伴い工事損失引当金を計上したことにより、完成工事総利益が減少したことなどから、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に保有株式の売却に伴う固定資産売却益などを計上した結果、前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。)
(当社建設事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、工事採算の低下により前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。
なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ820億円減少し74億円の損失となりました。
(当社投資開発事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。
(道路舗装事業)
売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、SEP船による洋上工事の利益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、受取手形・完成工事未収入金等や株式相場の上昇に伴う保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより、前連結会計年度末に比べ907億円増加し2兆5,387億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等は減少しましたが、工事損失引当金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ499億円増加し1兆5,907億円となりました。
連結有利子負債の残高は6,031億円となり、前連結会計年度末に比べ259億円増加しました。
当連結会計年度末の純資産の部は、自己株式の取得を実施したものの、保有株式の時価の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ407億円増加し9,480億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.2ポイント上昇し35.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円、投資活動により53億円、財務活動により239億円それぞれ資金が減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益335億円を計上しましたが、仕入債務の減少などにより212億円の資金減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、イノベーション拠点の建設に伴う固定資産の取得などにより53億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払などにより239億円の資金減少となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。
また、当社グループは、2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」において、経営基盤強化、事業戦略、グローバル展開を推進するとともに、経営数値目標の達成と資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、2024年度から3年間で人財、生産性向上・研究開発、不動産開発、グリーンエネルギー開発、新規事業などに3,600億円の投資を計画しております。これらの資金需要に対しては、事業の着実な推進により営業キャッシュフローを増加させるとともに、賃貸不動産等の売却や政策保有株式の段階的縮減を継続し、創出したキャッシュにより、必要資金の調達を行う方針であります。
なお、財務体質の健全性を維持するため「中期経営計画〈2024‐2026〉」では、自己資本比率を35%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を1.0倍以内、また、中長期的(次期中期経営計画期間中)には、自己資本比率40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍程度とすることを財務上のKPIとして設定しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(工事契約における収益認識)
当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。
収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の最終年度である2023年度の実績及び2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」における経営数値目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。