有価証券報告書-第53期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済活動が停滞し、先行きの不透明感は高まり景気は極めて厳しい状況で推移しました。
設備工事業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下、公共投資は底堅い動きがありましたが、民間設備投資は一部に持ち直しの動きが見られるものの、総じて慎重な投資判断が続いており、受注・価格競争は厳しい状況で推移しました。
このような状況下で、当社グループはお客様のニーズに合った設備の提案を積極的に行い、受注の確保・拡大に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,777百万円増加し、33,307百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,233百万円増加し、15,491百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,543百万円増加し、17,816百万円となりました。
b.経営成績
設備工事事業においては、当社グループの主要顧客である化学業界における設備増強工事、定期修繕工事、電子材、EV素材、半導体製造に関連する充填・洗浄装置等を中心とした受注のほか、高速道路における通信設備工事等の様々な分野からの受注により、前期並みの受注高を維持しました。タイ国の表面処理事業は、タイ国経済の低迷を受け、HDD向け表面処理、自動車部品の表面処理ともに不調であり、前期を下回りました。売上高については、一部の海外子会社において新型コロナウイルス感染症によるロックダウンや移動制限により、工場の稼働率低下、工事進捗の鈍化等が生じた期間もありましたが、国内においては新型コロナウイルス感染症拡大による施工環境への影響は少なく、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等が堅調であり、前期並みとなりました。
この結果、受注高40,842百万円(前連結会計年度比2.1%減)、売上高38,123百万円(同1.1%増)となりました。
利益面につきましては、競争が厳しさを増すなか、施工体制の確立、施工効率の改善、原価管理の徹底、新型コロナ禍を契機とした販売費等のコスト削減に取り組んだ結果、営業利益2,653百万円(同1.1%増)、経常利益2,742百万円(同2.1%増)と前連結会計年度を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の計上等があり、1,754百万円(同6.7%減)と前連結会計年度を下回りました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(設備工事事業)
民間プラント・機械装置を主体としております産業プラント設備工事は、基本戦略に沿って大型EPC案件の需要を取り込むべく、営業・施工体制の強化や支店間、部門間連携による施工体制の確立を図ってまいりました。化学系プラントの増設工事(機械・電気一体型)を中心とした受注がありましたが、大型案件が少なく受注高18,678百万円(前期比10.8%減)と前期を下回りました。
売上高は、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等があり、一部の海外子会社において新型コロナウイルス感染症によるロックダウンがあったものの、17,858百万円(前期比4.7%増)と前期を上回りました。
民間プラント保全工事を主体としております設備保全工事は、客先工場の設備の老朽化対策、生産性改善を目的とした需要や定修工事等の需要を取り込むべく、迅速で細かな対応を図ってまいりました。その結果、工場設備の更新や修繕工事、定修工事を中心とした受注が堅調であり、受注高8,918百万円(前期比9.8%増)、売上高8,885百万円(前期比8.1%増)ともに前期を上回りました。
電気計装工事は、産業プラント設備工事部門とのジョイントによる、民間プラントの増設工事に伴う電気計装工事や、高速道路における通信設備の更新工事等の受注や、電気計装部門の設計・積算拠点である「幕張E&Iエンジセンター」開設の効果等により、受注高9,150百万円(前期比9.0%増)と前期を上回りましたが、売上高は繰越工事となる工事等もあり、7,122百万円(前期比2.8%減)と前期を下回りました。同部門は上記のとおり事業拡大を目的とし2020年4月に「幕張E&Iエンジセンター」を開設いたしました。
送電工事は、電力会社の設備更新投資や保守等の受注が堅調であり、受注高2,034百万円(前期比2.8%増)と前期を上回りました。売上高は、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等がありましたが、2,390百万円(前期比7.8%減)と前期を下回りました。
管工事は、官公庁及び民間設備工事の受注は堅調であり、受注高1,067百万円(前期比3.0%増)と前期を上回りました。売上高は繰越となる物件もあること等から841百万円(前期比34.3%減)と前期を下回りました。
設備工事事業合計では、受注高39,849百万円(前期比1.5%減)、売上高37,097百万円(前期比1.7%増)となりました。セグメント利益は3,526百万円(前期比1.0%増)となりました。
同セグメントでは九州地区の市場拡大を目的とし福岡県大牟田市において2020年4月に「大牟田支店」を開設いたしました。
(表面処理事業)
タイ国で事業展開しております表面処理事業は、タイ国経済の低迷、新型コロナウイルス感染症による移動制限等から工場の稼働率低下が生じた期間もあり、自動車部品の表面処理、HDD向け表面処理ともに不調であり、受注高846百万円(前期比18.9%減)、売上高846百万円(前期比18.9%減)となり、前期を下回りました。セグメント損失は106百万円(前期は58百万円の損失)となりました。
同セグメントではHDD及び自動車部品の表面処理需要の減少に備え、新部品対応用のライン建設や、営業強化を目的に営業拠点としてバンコクビジネスセンターを開設いたしました。
(その他)
鋳造用工業炉は、受注高147百万円(前期比22.9%減)、売上高178百万円(前期比5.5%減)となりました。セグメント損失は7百万円(前期は4百万円の利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ841百万円増加し、4,525百万円(前連結会計年度末比22.9%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が2,644百万円、減価償却費579百万円、仕入債務の増加259百万円などの増加要因がありました。未成工事支出金の増加550百万円などの減少要因はありましたが、同じく減少要因のひとつである売上債権の増加が549百万円と少なかったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ大きく増加し、1,632百万円の収入(前連結会計年度末比93.3%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に土地等の有形固定資産の取得による支出等により、1,133百万円の支出(前連結会計年度末比9.8%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が1,000百万円と大きく、長期借入金の返済による支出460百万円、配当金の支払額319百万円等の減少要因がありましたが、367百万円の収入(前連結会計年度は497百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事事業(産業プラント設備工事、設備保全工事、電気計装工事、送電工事、管工事)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事事業においては請負形態を取っているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
従って、生産、受注及び販売の実績については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」における各セグメントの状況に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
(1)受注工事高、完成工事高、繰越工事高
第52期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
第53期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(注)前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増
減額を含みます。したがって当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(3)完成工事高
第52期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。
第53期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
第52期のAGC㈱については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(4)手持工事高(2021年3月31日現在)
手持工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は23,883百万円(前連結会計年度末21,646百万円)となり、2,236百万円増加しました。これは、主に現金預金が841百万円、未成工事支出金等が550百万円増加したことによるものと分析しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は9,424百万円(同8,883百万円)となり、540百万円増加しました。これは、主に土地が727百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が340百万円増加したことによるものと分析しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は13,210百万円(同12,294百万円)となり、916百万円増加しました。これは主に短期借入金が270百万円、未払法人税等が182百万円増加したものと分析しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,280百万円(同1,963百万円)となり、316百万円増加しました。これは、主に長期借入金が460百万円増加したものと分析しております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は17,816百万円(同16,272百万円)となり、1,543百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が1,433百万円増加したものと分析しております。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、化学系プラントの新設工事(機械・電気一体型)、定期修理工事及び設備更新工事等の受注が堅調に推移し、前連結会計年度の37,708百万円に対し414百万円増(前連結会計年度比1.1%増)の38,123百万円となりました。なお、セグメント別の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度の6,605百万円に対し、30百万円減(同0.5%減)の6,575百万円となりました。グループ全体の売上総利益率は、競争が厳しさを増すなか、施工体制の確立、施工効率の改善、原価管理の徹底に取り組んだものの、完成工事原価の増加が売上高の増加を上回り、前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少したものと分析しております。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の3,982百万円に対し、60百万円減(同1.5%減)の3,922百万円となりました。主にウェアラブルカメラ、各種自動化製品開発に係る調査研究費が103百万円減少したことのほか、新型コロナ禍を契機とした販売費等のコスト削減への取り組みにより通信交通費が65百万円減少したこと等によるものと分析しております。
(営業利益)
以上により、営業利益は前連結会計年度の2,623百万円に対し、29百万円増(同1.1%増)の2,653百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益(純額)は、前連結会計年度の61百万円の収入に対し、27百万円増(同45.0%増)の89百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度の2,685百万円に対し、57百万円増(同2.1%増)の2,742百万円となりました。
これは、主に営業利益の増加及び営業外収益の増加によるものと分析しております。
(特別損益)
特別損益(純額)は、前連結会計年度の43百万円の収入に対し、98百万円の損失となりました。
これは、主に減損損失が前連結会計年度より46百万円増加したことのほか、投資有価証券売却損38百万円を計上したことによるものと分析しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,880百万円に対し、126百万円減(同6.7%減)の1,754百万円となりました。
1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の175円74銭に対し、11円82銭減少し163円92銭となりました。
当社グループの経営に影響を与える要因として、当社グループの属する設備工事業界は受注産業であり、国内外の経済動向や国際情勢の影響を受けやすく、景気の変動により公共投資や民間設備投資の大幅な抑制が続くと、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。
現状の見通しとして、国内外経済に影響を与える不確定要素が多いなか、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、顧客の投資決定が先送りされる等が懸念され、足下では先行き不透明な状況となっております。
当社グループにおきましても、工事の中断や中止・延期、工事従業者の確保等の事業上のリスクを抱えていると認識しておりますが、タイ等の海外子会社においてロックダウンや移動制限により工場等において稼働率の低下といった事象が生じた一方で、日本国内においては重要な工事現場の閉所や工期の変更等は生じておりません。
このような状況のなかでも、前向きな変化を追求する企業も多く存在すると認識しており、お客様のニーズを的確に捉え、当社グループの特色である、「技術力」、「機動力」、「総合力」を活かし、独立系エンジニアリングメーカーとしての柔軟な対応力を強みに、同業他社との差別化を図り「ものづくり」に関するあらゆる産業分野を網羅すべく、広範囲な事業フィールドで事業を推進する所存です。
このような状況のもと、当社グループは2020年度から新たな中期経営計画(ローリング方式により定め)に従い、「成長促進」の時期として位置付け、連結売上高50,000百万円以上、連結営業利益8%以上、ROE10%以上、海外比率15%以上を目標にスタートしております。
2022年3月期の連結業績見通しは、新型コロナウイルス感染症の影響を想定できる範囲で織り込み、連結売上高39,000百万円(前連結会計年度比2.3%増)、連結営業利益2,300百万円(同13.3%減)、連結経常利益2,350百万円(同14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,600百万円(同8.8%減)と予想しております。
これは、新型コロナウイルス感染症の収束時期を現時点で正確に見通すことが困難でありますが、当感染症による影響は、日本国内においては、ワクチン接種も進み、製造業活動が停止に追い込まれるなどの重大な支障を生じさせないものと仮定し、また、海外子会社においては、翌連結会計年度末に向けて徐々に景気回復が進むものと仮定し、次期の業績予想に織り込んだものであります。
経営者の問題意識と今後の方針について、現在の事業環境及び入手可能な情報を基に環境変化にスピード感を持って柔軟に対応すべく、最善の経営方針を立案し、諸対策を実着に実行してまいります。
今後は不透明な市場環境ではありますが、優先的に対処すべき事業上の課題に記載のとおり、まずは、安定収益を確保すべく、足下の受注案件の獲得及び業績見通し達成に全力を挙げていくとともに、中長期的な成長に向け、確実に「手を打つ」、両面での経営が重要であると認識し、最適な経営資源の配分を行いつつ「世の中から必要とされ、存続する企業」として、次世代の社会・産業に貢献する会社を目指します。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持及び向上が重要であると認識しており、主要な取引先金融機関との良好な取引関係の維持に努めております。加えて、健全な財務状態の維持も重要であると認識しており、自己資本比率を50%以上に維持することを、経営目標の一つとして掲げております。
この様な基本的な考え方に沿って諸施策を進めることにより、当社グループの成長を維持するために必要とされる運転資金及び設備資金の調達に、何らの支障も生じないものと認識しております。
次に経営資源の配分に関する考え方として、営業活動により得た収益を事業活動の財源と捉え、その効率的な運用を最重点課題としております。運用先として、運転資金、更なる経営基盤の充実に備えるための人材育成・教育、設備及び研究開発への投資、財務基盤強化に繋がる有利子負債削減を企図した借入金返済がございます。
株主に対する利益還元につきましては、株主還元の安定的拡大を目指し、配当性向の目安を当面20%程度としながら将来的には30%の水準を目指しております。
上記の考え方に基づき、次のとおり、資金需要に応じた資金調達を行っております。
まず当社グループの資金需要について、運転資金需要の主なものは、工事施工に係る材料費及び外注費の他、人件費であります。また、設備資金需要の主なものは、事業領域拡大に向けた拠点の設立や、生産性向上に向けた機械の購入であります。
上記の運転資金及び設備資金の調達に当たっては、内部資金及び国内金融機関からの借入を活用しております。
運転資金の調達につきましては、当社において取引先金融機関3行とコミットメントライン契約(40億円)を締結し、機動的な資金調達を行っております。 設備資金の調達につきましては、取引先金融機関からの長期借入金により賄うことを基本的な方針としております。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による不測の事態、そのほか緊急時の資金需要への備えとして、当社において複数の取引先金融機関と当座貸越契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。
新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済活動が停滞し、先行きの不透明感は高まり景気は極めて厳しい状況で推移しました。
設備工事業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下、公共投資は底堅い動きがありましたが、民間設備投資は一部に持ち直しの動きが見られるものの、総じて慎重な投資判断が続いており、受注・価格競争は厳しい状況で推移しました。
このような状況下で、当社グループはお客様のニーズに合った設備の提案を積極的に行い、受注の確保・拡大に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,777百万円増加し、33,307百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,233百万円増加し、15,491百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,543百万円増加し、17,816百万円となりました。
b.経営成績
設備工事事業においては、当社グループの主要顧客である化学業界における設備増強工事、定期修繕工事、電子材、EV素材、半導体製造に関連する充填・洗浄装置等を中心とした受注のほか、高速道路における通信設備工事等の様々な分野からの受注により、前期並みの受注高を維持しました。タイ国の表面処理事業は、タイ国経済の低迷を受け、HDD向け表面処理、自動車部品の表面処理ともに不調であり、前期を下回りました。売上高については、一部の海外子会社において新型コロナウイルス感染症によるロックダウンや移動制限により、工場の稼働率低下、工事進捗の鈍化等が生じた期間もありましたが、国内においては新型コロナウイルス感染症拡大による施工環境への影響は少なく、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等が堅調であり、前期並みとなりました。
この結果、受注高40,842百万円(前連結会計年度比2.1%減)、売上高38,123百万円(同1.1%増)となりました。
利益面につきましては、競争が厳しさを増すなか、施工体制の確立、施工効率の改善、原価管理の徹底、新型コロナ禍を契機とした販売費等のコスト削減に取り組んだ結果、営業利益2,653百万円(同1.1%増)、経常利益2,742百万円(同2.1%増)と前連結会計年度を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の計上等があり、1,754百万円(同6.7%減)と前連結会計年度を下回りました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(設備工事事業)
民間プラント・機械装置を主体としております産業プラント設備工事は、基本戦略に沿って大型EPC案件の需要を取り込むべく、営業・施工体制の強化や支店間、部門間連携による施工体制の確立を図ってまいりました。化学系プラントの増設工事(機械・電気一体型)を中心とした受注がありましたが、大型案件が少なく受注高18,678百万円(前期比10.8%減)と前期を下回りました。
売上高は、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等があり、一部の海外子会社において新型コロナウイルス感染症によるロックダウンがあったものの、17,858百万円(前期比4.7%増)と前期を上回りました。
民間プラント保全工事を主体としております設備保全工事は、客先工場の設備の老朽化対策、生産性改善を目的とした需要や定修工事等の需要を取り込むべく、迅速で細かな対応を図ってまいりました。その結果、工場設備の更新や修繕工事、定修工事を中心とした受注が堅調であり、受注高8,918百万円(前期比9.8%増)、売上高8,885百万円(前期比8.1%増)ともに前期を上回りました。
電気計装工事は、産業プラント設備工事部門とのジョイントによる、民間プラントの増設工事に伴う電気計装工事や、高速道路における通信設備の更新工事等の受注や、電気計装部門の設計・積算拠点である「幕張E&Iエンジセンター」開設の効果等により、受注高9,150百万円(前期比9.0%増)と前期を上回りましたが、売上高は繰越工事となる工事等もあり、7,122百万円(前期比2.8%減)と前期を下回りました。同部門は上記のとおり事業拡大を目的とし2020年4月に「幕張E&Iエンジセンター」を開設いたしました。
送電工事は、電力会社の設備更新投資や保守等の受注が堅調であり、受注高2,034百万円(前期比2.8%増)と前期を上回りました。売上高は、前期繰越工事の完成や工事進行基準による完成等がありましたが、2,390百万円(前期比7.8%減)と前期を下回りました。
管工事は、官公庁及び民間設備工事の受注は堅調であり、受注高1,067百万円(前期比3.0%増)と前期を上回りました。売上高は繰越となる物件もあること等から841百万円(前期比34.3%減)と前期を下回りました。
設備工事事業合計では、受注高39,849百万円(前期比1.5%減)、売上高37,097百万円(前期比1.7%増)となりました。セグメント利益は3,526百万円(前期比1.0%増)となりました。
同セグメントでは九州地区の市場拡大を目的とし福岡県大牟田市において2020年4月に「大牟田支店」を開設いたしました。
(表面処理事業)
タイ国で事業展開しております表面処理事業は、タイ国経済の低迷、新型コロナウイルス感染症による移動制限等から工場の稼働率低下が生じた期間もあり、自動車部品の表面処理、HDD向け表面処理ともに不調であり、受注高846百万円(前期比18.9%減)、売上高846百万円(前期比18.9%減)となり、前期を下回りました。セグメント損失は106百万円(前期は58百万円の損失)となりました。
同セグメントではHDD及び自動車部品の表面処理需要の減少に備え、新部品対応用のライン建設や、営業強化を目的に営業拠点としてバンコクビジネスセンターを開設いたしました。
(その他)
鋳造用工業炉は、受注高147百万円(前期比22.9%減)、売上高178百万円(前期比5.5%減)となりました。セグメント損失は7百万円(前期は4百万円の利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ841百万円増加し、4,525百万円(前連結会計年度末比22.9%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が2,644百万円、減価償却費579百万円、仕入債務の増加259百万円などの増加要因がありました。未成工事支出金の増加550百万円などの減少要因はありましたが、同じく減少要因のひとつである売上債権の増加が549百万円と少なかったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ大きく増加し、1,632百万円の収入(前連結会計年度末比93.3%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に土地等の有形固定資産の取得による支出等により、1,133百万円の支出(前連結会計年度末比9.8%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が1,000百万円と大きく、長期借入金の返済による支出460百万円、配当金の支払額319百万円等の減少要因がありましたが、367百万円の収入(前連結会計年度は497百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事事業(産業プラント設備工事、設備保全工事、電気計装工事、送電工事、管工事)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事事業においては請負形態を取っているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
従って、生産、受注及び販売の実績については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」における各セグメントの状況に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
(1)受注工事高、完成工事高、繰越工事高
第52期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
| 工事別 | 前期繰越工事高 (千円) | 当期受注工事高 (千円) | 計(千円) | 当期完成工事高 (千円) | 次期繰越工事高(千円) |
| 産業プラント設備工事 | 5,020,767 | 17,608,599 | 22,629,366 | 16,153,377 | 6,475,989 |
| 設備保全工事 | 1,266,932 | 8,120,014 | 9,386,946 | 8,219,584 | 1,167,362 |
| 電気計装工事 | 2,261,948 | 8,398,034 | 10,659,982 | 7,329,465 | 3,330,517 |
| 送電工事 | 1,126,643 | 1,978,550 | 3,105,193 | 2,592,322 | 512,870 |
| 管工事 | 515,522 | 1,036,357 | 1,551,880 | 1,280,681 | 271,198 |
| 鋳造用工業炉 | 58,302 | 190,881 | 249,184 | 189,351 | 59,832 |
| 計 | 10,250,117 | 37,332,436 | 47,582,554 | 35,764,783 | 11,817,771 |
第53期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
| 工事別 | 前期繰越工事高 (千円) | 当期受注工事高 (千円) | 計(千円) | 当期完成工事高 (千円) | 次期繰越工事高(千円) |
| 産業プラント設備工事 | 6,475,989 | 17,699,242 | 24,175,231 | 16,119,264 | 8,055,967 |
| 設備保全工事 | 1,167,362 | 8,918,349 | 10,085,712 | 8,885,082 | 1,200,629 |
| 電気計装工事 | 3,330,517 | 9,150,672 | 12,481,189 | 7,122,731 | 5,358,457 |
| 送電工事 | 512,870 | 2,034,927 | 2,547,797 | 2,390,806 | 156,991 |
| 管工事 | 271,198 | 1,067,013 | 1,338,212 | 841,060 | 497,151 |
| 鋳造用工業炉 | 59,832 | 147,090 | 206,922 | 178,981 | 27,941 |
| 計 | 11,817,771 | 39,017,295 | 50,835,066 | 35,537,927 | 15,297,139 |
(注)前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増
減額を含みます。したがって当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 第52期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 産業プラント設備工事 | 17.2 | 82.8 | 100 |
| 設備保全工事 | 30.1 | 69.9 | 100 | |
| 電気計装工事 | 18.8 | 81.2 | 100 | |
| 送電工事 | 11.2 | 88.8 | 100 | |
| 管工事 | 15.6 | 84.4 | 100 | |
| 鋳造用工業炉 | 75.5 | 24.5 | 100 | |
| 第53期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 産業プラント設備工事 | 16.6 | 83.4 | 100 |
| 設備保全工事 | 29.1 | 70.9 | 100 | |
| 電気計装工事 | 19.3 | 80.7 | 100 | |
| 送電工事 | 33.4 | 66.6 | 100 | |
| 管工事 | 7.9 | 92.1 | 100 | |
| 鋳造用工業炉 | 91.7 | 8.3 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
(3)完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(千円) | 民間(千円) | 合計(千円) |
| 第52期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 産業プラント設備工事 | 264,044 | 15,889,332 | 16,153,377 |
| 設備保全工事 | 50,489 | 8,169,095 | 8,219,584 | |
| 電気計装工事 | 773,908 | 6,555,557 | 7,329,465 | |
| 送電工事 | - | 2,592,322 | 2,592,322 | |
| 管工事 | 505,927 | 774,754 | 1,280,681 | |
| 鋳造用工業炉 | - | 189,351 | 189,351 | |
| 計 | 1,594,369 | 34,170,414 | 35,764,783 | |
| 第53期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 産業プラント設備工事 | 171,232 | 15,948,031 | 16,119,264 |
| 設備保全工事 | 39,619 | 8,845,463 | 8,885,082 | |
| 電気計装工事 | 1,034,495 | 6,088,235 | 7,122,731 | |
| 送電工事 | - | 2,390,806 | 2,390,806 | |
| 管工事 | 229,175 | 611,885 | 841,060 | |
| 鋳造用工業炉 | - | 178,981 | 178,981 | |
| 計 | 1,474,522 | 34,063,404 | 35,537,927 |
第52期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。
| 東亞合成㈱ | 3NARE改造工事 |
| 糸魚川市 | 糸魚川市健康づくりセンター屋内プール増築(機械設備)工事 |
| 東邦化学工業㈱ | 150㎥屋外タンク×4基増設及び既設屋外タンク変更工事 |
| 昭和電工㈱ | 第二工場設備 移設工事 |
第53期の完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりであります。
| AGCセイミカル㈱ | CMS系列増設工事 |
| ㈱クラレ | TCA製造設備設置工事 |
| ㈱ダイセル | MCA・塩素化建家設備撤去 |
| 黒部川電力㈱ | 新姫六線新設工事(4工区) |
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 第52期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 第53期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 完成工事高に対する割合(%) | 金額(千円) | 完成工事高に対する割合(%) | |
| デンカ㈱ | 5,309,767 | 14.8 | 5,941,413 | 16.7 |
| AGC㈱ | - | - | 4,011,817 | 11.3 |
| 計 | 5,309,767 | 14.8 | 9,953,231 | 28.0 |
第52期のAGC㈱については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(4)手持工事高(2021年3月31日現在)
| 区分 | 官公庁(千円) | 民間(千円) | 合計(千円) |
| 産業プラント設備工事 | 12,983 | 8,042,984 | 8,055,967 |
| 設備保全工事 | - | 1,200,629 | 1,200,629 |
| 電気計装工事 | 162,100 | 5,196,357 | 5,358,457 |
| 送電工事 | - | 156,991 | 156,991 |
| 管工事 | 78,228 | 418,923 | 497,151 |
| 鋳造用工業炉 | - | 27,941 | 27,941 |
| 計 | 253,311 | 15,043,828 | 15,297,139 |
手持工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。
| 亀田製菓㈱ | 白根工場 糯第1工場2階、第2工場3階天井不燃化工事 | 2021年 8月 完成予定 |
| AGC㈱ | 単極式電解槽(F2)更新 EPC | 2021年 12月 完成予定 |
| デンカ㈱ | SN粉第Ⅴ期増強工事 | 2021年 12月 完成予定 |
| 東日本高速道路㈱ | 北陸自動車道 子不知トンネルラジオ再放送設備更新工事 | 2025年 1月 完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は23,883百万円(前連結会計年度末21,646百万円)となり、2,236百万円増加しました。これは、主に現金預金が841百万円、未成工事支出金等が550百万円増加したことによるものと分析しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は9,424百万円(同8,883百万円)となり、540百万円増加しました。これは、主に土地が727百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が340百万円増加したことによるものと分析しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は13,210百万円(同12,294百万円)となり、916百万円増加しました。これは主に短期借入金が270百万円、未払法人税等が182百万円増加したものと分析しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,280百万円(同1,963百万円)となり、316百万円増加しました。これは、主に長期借入金が460百万円増加したものと分析しております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は17,816百万円(同16,272百万円)となり、1,543百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が1,433百万円増加したものと分析しております。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、化学系プラントの新設工事(機械・電気一体型)、定期修理工事及び設備更新工事等の受注が堅調に推移し、前連結会計年度の37,708百万円に対し414百万円増(前連結会計年度比1.1%増)の38,123百万円となりました。なお、セグメント別の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度の6,605百万円に対し、30百万円減(同0.5%減)の6,575百万円となりました。グループ全体の売上総利益率は、競争が厳しさを増すなか、施工体制の確立、施工効率の改善、原価管理の徹底に取り組んだものの、完成工事原価の増加が売上高の増加を上回り、前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少したものと分析しております。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の3,982百万円に対し、60百万円減(同1.5%減)の3,922百万円となりました。主にウェアラブルカメラ、各種自動化製品開発に係る調査研究費が103百万円減少したことのほか、新型コロナ禍を契機とした販売費等のコスト削減への取り組みにより通信交通費が65百万円減少したこと等によるものと分析しております。
(営業利益)
以上により、営業利益は前連結会計年度の2,623百万円に対し、29百万円増(同1.1%増)の2,653百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益(純額)は、前連結会計年度の61百万円の収入に対し、27百万円増(同45.0%増)の89百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度の2,685百万円に対し、57百万円増(同2.1%増)の2,742百万円となりました。
これは、主に営業利益の増加及び営業外収益の増加によるものと分析しております。
(特別損益)
特別損益(純額)は、前連結会計年度の43百万円の収入に対し、98百万円の損失となりました。
これは、主に減損損失が前連結会計年度より46百万円増加したことのほか、投資有価証券売却損38百万円を計上したことによるものと分析しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,880百万円に対し、126百万円減(同6.7%減)の1,754百万円となりました。
1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の175円74銭に対し、11円82銭減少し163円92銭となりました。
当社グループの経営に影響を与える要因として、当社グループの属する設備工事業界は受注産業であり、国内外の経済動向や国際情勢の影響を受けやすく、景気の変動により公共投資や民間設備投資の大幅な抑制が続くと、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。
現状の見通しとして、国内外経済に影響を与える不確定要素が多いなか、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、顧客の投資決定が先送りされる等が懸念され、足下では先行き不透明な状況となっております。
当社グループにおきましても、工事の中断や中止・延期、工事従業者の確保等の事業上のリスクを抱えていると認識しておりますが、タイ等の海外子会社においてロックダウンや移動制限により工場等において稼働率の低下といった事象が生じた一方で、日本国内においては重要な工事現場の閉所や工期の変更等は生じておりません。
このような状況のなかでも、前向きな変化を追求する企業も多く存在すると認識しており、お客様のニーズを的確に捉え、当社グループの特色である、「技術力」、「機動力」、「総合力」を活かし、独立系エンジニアリングメーカーとしての柔軟な対応力を強みに、同業他社との差別化を図り「ものづくり」に関するあらゆる産業分野を網羅すべく、広範囲な事業フィールドで事業を推進する所存です。
このような状況のもと、当社グループは2020年度から新たな中期経営計画(ローリング方式により定め)に従い、「成長促進」の時期として位置付け、連結売上高50,000百万円以上、連結営業利益8%以上、ROE10%以上、海外比率15%以上を目標にスタートしております。
2022年3月期の連結業績見通しは、新型コロナウイルス感染症の影響を想定できる範囲で織り込み、連結売上高39,000百万円(前連結会計年度比2.3%増)、連結営業利益2,300百万円(同13.3%減)、連結経常利益2,350百万円(同14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,600百万円(同8.8%減)と予想しております。
これは、新型コロナウイルス感染症の収束時期を現時点で正確に見通すことが困難でありますが、当感染症による影響は、日本国内においては、ワクチン接種も進み、製造業活動が停止に追い込まれるなどの重大な支障を生じさせないものと仮定し、また、海外子会社においては、翌連結会計年度末に向けて徐々に景気回復が進むものと仮定し、次期の業績予想に織り込んだものであります。
経営者の問題意識と今後の方針について、現在の事業環境及び入手可能な情報を基に環境変化にスピード感を持って柔軟に対応すべく、最善の経営方針を立案し、諸対策を実着に実行してまいります。
今後は不透明な市場環境ではありますが、優先的に対処すべき事業上の課題に記載のとおり、まずは、安定収益を確保すべく、足下の受注案件の獲得及び業績見通し達成に全力を挙げていくとともに、中長期的な成長に向け、確実に「手を打つ」、両面での経営が重要であると認識し、最適な経営資源の配分を行いつつ「世の中から必要とされ、存続する企業」として、次世代の社会・産業に貢献する会社を目指します。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持及び向上が重要であると認識しており、主要な取引先金融機関との良好な取引関係の維持に努めております。加えて、健全な財務状態の維持も重要であると認識しており、自己資本比率を50%以上に維持することを、経営目標の一つとして掲げております。
この様な基本的な考え方に沿って諸施策を進めることにより、当社グループの成長を維持するために必要とされる運転資金及び設備資金の調達に、何らの支障も生じないものと認識しております。
次に経営資源の配分に関する考え方として、営業活動により得た収益を事業活動の財源と捉え、その効率的な運用を最重点課題としております。運用先として、運転資金、更なる経営基盤の充実に備えるための人材育成・教育、設備及び研究開発への投資、財務基盤強化に繋がる有利子負債削減を企図した借入金返済がございます。
株主に対する利益還元につきましては、株主還元の安定的拡大を目指し、配当性向の目安を当面20%程度としながら将来的には30%の水準を目指しております。
上記の考え方に基づき、次のとおり、資金需要に応じた資金調達を行っております。
まず当社グループの資金需要について、運転資金需要の主なものは、工事施工に係る材料費及び外注費の他、人件費であります。また、設備資金需要の主なものは、事業領域拡大に向けた拠点の設立や、生産性向上に向けた機械の購入であります。
上記の運転資金及び設備資金の調達に当たっては、内部資金及び国内金融機関からの借入を活用しております。
運転資金の調達につきましては、当社において取引先金融機関3行とコミットメントライン契約(40億円)を締結し、機動的な資金調達を行っております。 設備資金の調達につきましては、取引先金融機関からの長期借入金により賄うことを基本的な方針としております。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による不測の事態、そのほか緊急時の資金需要への備えとして、当社において複数の取引先金融機関と当座貸越契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。
新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。