四半期報告書-第147期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/07 10:05
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(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、堅調な設備投資や好調な輸出などにより、緩やかに回復しているものの、実質所得の伸び悩みなどに伴い個人消費は依然として力強さを欠くとともに、海外経済についても米中貿易摩擦の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、平成29年度から新しい中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間の業績としましては、売上高は前年同期比103.0%の854億55百万円となり、利益面では営業利益が29億72百万円と前年同期比99.1%、経常利益が同114.9%の32億7百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同101.7%の21億42百万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前年同期比110.7%の605億25百万円となり、営業利益は前年同期比180.3%の22億21百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場は前年同期に対して円高傾向で推移したものの、主要原料相場が高値圏で推移したことなどから、大豆価格は前年同期並みとなり、菜種価格については前年同期に対して上昇しました。
<主要原料相場>大豆相場は、南米産大豆がアルゼンチンの乾燥天候による減産懸念や、ブラジルの多雨による収穫遅延などを背景に価格が高騰し、総じて1ブッシェルあたり10米ドル台を超える高値圏で推移しました。菜種相場についても、堅調な需要によって需給のひっ迫感が意識される中、大豆相場の価格上昇の影響も受け、前年同期比で価格が上昇しました。
<為替相場>ドル円相場は、日銀による金融緩和縮小観測の高まりや米国の保護主義的な通商政策への警戒感に加え、地政学リスクや米中貿易摩擦の動向も意識され、前年同期に対して円高ドル安傾向で推移しました。
[ミールの販売]
ミールの販売は大豆粕、菜種粕ともに売上高で前年同期を上回りました。
<大豆粕>アルゼンチンの乾燥天候に伴う減産懸念からシカゴ大豆粕相場が高騰する中、中国を中心とした輸入粕価格の影響を受ける局面もありましたが、適正価格での販売に努めるとともに、販売数量を拡大し、売上高は前年同期を上回りました。
<菜種粕>競合する配合飼料原料価格の影響を受ける中、日本国内における菜種粕需給のひっ迫感などを背景に、大豆粕価格の上昇に合わせた適正価格での販売に努め、売上高は前年同期を上回りました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、付加価値品の拡販や新規取引の開拓などにより売上高、利益ともに前年同期を上回りました。
<油脂>ホームユースにおいては、オリーブオイルやアマニ油などの継続的な拡販と、「日清マカダミアナッツオイル」などの新商品もラインアップに加え、付加価値品の更なる販売強化に取り組みました。また、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。業務用・加工用においても、中食・外食向けを中心に機能性油脂を含めた新規取引の開拓に取り組むとともに、原材料コストに見合った適正価格での販売に努めました。
<加工食品他>ドレッシングおよびマヨネーズ類については販売数量、金額で前年同期をやや下回りましたが、ウェルネス食品において、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前年同期比84.1%の193億55百万円となり、営業利益は前年同期比27.5%の4億34百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、マーガリンやチョコレート用油脂の販売が前年同期を下回りましたが、加工食品メーカ向けの油脂販売が前年同期を上回りました。子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品の販売は前年同期並みを維持し、T.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)の販売は前年同期を上回りました。これらの結果、国内加工油脂全体では売上高は前年同期を上回りましたが、コスト面での影響などから、営業利益は前年同期を下回りました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、海外子会社のIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、前年同期の欧州向け販売が好調だったことなどから、販売数量、売上高ともに前年同期を下回りました。また、パーム油相場や為替の変動による影響に加えて、ユーティリティーコストの上昇などの要因も重なり、営業利益についても前年同期を下回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前年同期比106.9%の47億32百万円となり、営業利益は前年同期比138.5%の3億92百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、韓国、欧州向けなどの輸出販売が前年同期を下回りましたが、国内における主要取引先への販売が好調に推移しました。また、中国の販売子会社である日清奥利友(上海)国際貿易有限公司における中国国内向け販売も好調に推移し、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、化学品において新規取引の開拓が寄与するとともに、MCTの販売についても引き続き堅調に推移し、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前年同期比98.0%の8億43百万円となりましたが、営業利益は前年同期比113.6%の48百万円となりました。
≪地域別売上高≫
マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前年同期比106.3%の107億44百万円となりましたが、欧州、米国などのその他地域への売上高については、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.における欧州向けの販売が前年に比べて減少したことから、前年同期比66.8%の50億87百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前年同期に比べ2.8ポイント減少し18.5%となりました。
②財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ67億23百万円増加し、2,784億56百万円となりました。主な要因は、有価証券が46億円減少した一方で、現金及び預金が19億34百万円、売上債権が26億3百万円、たな卸資産が47億32百万円、投資有価証券が22億31百万円増加したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ46億98百万円増加し、1,350億70百万円となりました。主な要因は、仕入債務が48億81百万円増加したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ20億25百万円増加し、1,433億85百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が11億17百万円、その他有価証券評価差額金が12億86百万円増加したことであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億31百万円減少し、188億72百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、26億92百万円の増加となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益31億31百万円、減価償却費16億77百万円、仕入債務の増加50億11百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加27億4百万円、たな卸資産の増加50億37百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、22億11百万円の減少となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出26億20百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、23億45百万円の減少となりました。主な内訳は、短期借入金の純減9億83百万円、配当金の支払額10億24百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます)を定めております。
1.基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、あらゆるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を持続的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である以上、当社株式の大規模買付行為に対し、売却を行うか否かの判断や会社の経営を委ねることの是非に関する判断は、最終的には個々の株主の皆様に委ねられるべきものであります。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれのあるものも想定されます。
よって、このような当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると当社は考えます。
2.具体的取組みの内容の概要
(1) 企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み
当社は、当社の企業価値の源泉が、食品からファインケミカルまでの幅広い事業を通じて得た広範な知識と豊富な経験、蓄積された高い技術力、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼とご支援など、明治40年の創立以来100年以上の永きに亘って培ってきた経営資源に存すると考えております。
この経営資源に基づき、当社グループは中長期的な視野に立ち、企業収益及び企業の社会的価値の向上を目指し、総合的に企業価値を高め、株主の皆様の期待にお応えできるよう努めてまいります。
① 2017年度~2020年度 中期経営計画 「OilliO Value Up 2020」
当社グループは2017年度から2020年度までの4ヵ年の中期経営計画「OilliO Value Up 2020」を策定し、企業収益拡大に向けた中長期の戦略、施策を実行してまいります。
<経営ビジョン>○日清オイリオグループは、110年に亘って培ってきた卓越した油脂に関する技術をもって、お客さまのニーズや課題を解決することで新たな価値を生み出し、市場を創造する。
○日清オイリオグループは、豊かな食卓の提案、人々の健康への貢献を通じて、企業価値の最大化を目指す。
経営ビジョンにおける3つのキーワード
・Globalization
事業の源泉である植物資源を探求し、卓越した技術でその価値を最大限引き出した商品を、世界中のお客さまにお届けし続けることで、グローバルブランドを目指す。
現在保有している国内、海外拠点を新たな視点で再構築する。更に積極的に経営資源を投入し、グローバルな推進体制を確立する。
・Technology
油脂事業での経験に基づく技術を、研究、開発と生産が融合することで、更に深化させ、お客さまのニーズに合う商品を提案していく。
油脂の基礎研究に加え、その応用研究を強化する。特に油脂をおいしく、食べやすく加工した食品の開発に資源投下し、技術的な競争優位性を発揮する。
・Marketing
消費者の生活習慣の変化に基づく心理、行動様式、動機についての理解を深めることで、お客さまにとって、あったらいいなと思う商品・サービスをお届けする。
お客さまの視点に立ち、用途開発・商品開発・生産・物流・プロモーション・販売を一体的に展開する。
<基本方針>事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移す。そのために、新たなヘルスサイエンス事業を含む5つの成長戦略と2つの基盤強化策を実行する。
◇成長戦略
・「健康とエネルギーを生むチカラ」で社会に貢献するヘルスサイエンス事業をグローバルに拡大
・グローバル化の加速に向けた投資拡大と拠点間の連携強化
・業務用、加工用領域でのグループの総力を結集した戦略の展開
・ホームユース領域におけるオイリオブランドの一層の強化と新たな市場の創造
・マーケティング強化による新たな付加価値の追求
◇基盤強化策
・製油構造変革・生産基盤強化
・ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営の実践
◇財務戦略
・ROEを重視した資本効率性と格付向上を考慮した財務健全性の最適バランスを考慮した企業価値向上の追求
・利益成長の成果を株主に適切に還元するための配当性向目標(30%程度)の設定、また、総還元性向と資本効率性向上を意識し、必要に応じた機動的な自社株取得の実施
<経営目標(2020年度)>・営業利益 :130億円以上
・ROE :7%以上
・EPS成長率 :8%(年平均)
・営業キャッシュフロー:500億円(累計)
② コーポレートガバナンスの強化
当社は、社会の皆様から一層の期待と信頼をいただくために、健全で透明性の高い経営を目指し、コーポレートガバナンスの強化を経営上の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
取締役会は、取締役9名(うち独立社外取締役2名)で構成し、法令で定められた事項及び経営上の重要事項を審議し、決定しております。また、取締役会は、当社の経営に関して豊富な経験を持つ取締役と経営に関する深い知識を持ち独立性の高い社外取締役により構成され、経営及び業務執行についての監督責任を負っております。
当社は、環境変化に即応した迅速な意思決定を実践するため、執行役員制度を導入しており、執行役員は取締役会から業務執行権限を委譲され、経営計画や取締役会の方針に則り、取締役の監督のもとで業務執行に携わっております。
監査役会は、監査役4名(うち独立社外監査役2名)で構成しており、監査役は、監査役会で策定された監査方針、監査計画及び業務分担に基づき、取締役会やその他重要な会議への出席、業務及び財産の状況調査等を通して、取締役の職務執行、執行役員の業務執行を監査しております。
こうした経営体制のもとで、内部統制システムの整備、リスクマネジメント委員会やコーポレートガバナンス協議会の設置及び企業倫理ホットラインの設置等の具体的な施策を推進しております。
(2) 不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、当社株式の大規模買付行為の是非を株主の皆様に適切に判断していただくために必要かつ十分な情報及び当社取締役会の意見等の情報、並びに検討のための時間を確保するよう努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
3.具体的取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係わる理由
前記の具体的取組みの内容は、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるものであり、また当社役員の地位の維持を目的とするものではないことから、いずれも前記の基本方針に沿うものと判断しております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億63百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。