四半期報告書-第149期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/11 9:59
【資料】
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、極めて厳しい環境にあります。国内消費についても外出自粛や訪日観光客の減少により急速に落ち込み、特に外食業・観光業において厳しい状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大に伴い、各国で外出規制や貿易取引の減少が続いており、世界的に景気の悪化は避けられない状況となっております。感染の第二波の懸念や米中対立に伴う貿易摩擦等のリスク要因もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループでは、2017年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期比95.7%の810億59百万円となり、利益面では営業利益が前年同期比118.6%の46億85百万円、経常利益が同127.1%の48億9百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同137.4%の33億78百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた内食需要の高まりによるホームユース商品の販売増、および各セグメントにおける付加価値品の伸長はあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う業務用商品の販売減の影響が大きく、売上高は前年同期を下回りました。利益面では、販売減や物流費単価上昇等に伴う減益要因がありましたが、コストに見合った適正価格の維持・形成、付加価値品の拡販に継続的に取り組み、収益の改善を図りました。加工油脂事業セグメントにおけるパーム油取引の時価評価の影響もあり前年同期を上回りました。
・売上高 (単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂・油糧
および加工食品事業
58,95156,657△2,29396.1%
加工油脂事業19,89718,937△96095.2%
ファインケミカル事業4,8044,85955101.2%
その他1,046605△44157.8%
合計84,69981,059△3,64095.7%

・営業利益 (単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂・油糧
および加工食品事業
2,4012,214△18792.2%
加工油脂事業1,2482,124875170.2%
ファインケミカル事業412533120129.3%
その他3812△2532.7%
セグメント間消去・調整△150△199△48-
合計3,9504,685735118.6%


セグメント別の概況
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業セグメントでは、内食需要の高まりによるホームユース商品の販売増および付加価値品の伸長はあったものの、外食需要の減退による業務用商品の販売減の影響が大きく、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、大豆相場が前年同期に対して高い水準で推移したものの、菜種相場が前年同期に対して低い水準で推移し、またドル円相場も前年同期に対して円高水準で推移したことから、原料価格は前年同期に対して低下しました。
<主要原料相場>大豆相場は、2020年1月以降、米中貿易協議の進展等によって一時1ブッシェルあたり9米ドル半ばまで上昇しました。その後は南米大豆の豊作見通しが高まったことや、新型コロナウイルス感染症の影響による穀物需要の減少懸念等から8米ドル前半まで下落しましたが、前年同期に対しては高い水準での推移となりました。
菜種相場については、中国が一部サプライヤーからのカナダ産菜種の輸入禁止措置を継続していることによって中国向けカナダ産菜種輸出量が大幅に減少していることや、新型コロナウイルス感染症の影響による穀物需要の減少懸念等によって、前年同期に対して低い水準で推移しました。
<為替相場>ドル円相場は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大懸念等によって値動きの荒い展開となりましたが、リスク回避の円買い等の要因により、前年同期に対して円高水準で推移しました。
[ミールの販売]
大豆ミールは、南米の豊作や新型コロナウイルス感染症の影響による飼料需要の減少懸念を背景に大豆ミール相場が下落したことや、中国国内の飼料用需要低迷等を背景に中国産輸入ミールが競争力を発揮したこと等から、販売価格は前年同期を下回りました。一方、拡販に努めたことから販売数量は増加し、売上高は前年同期を上回りました。
菜種ミールは、販売数量は前年同期を上回りましたが、大豆ミール価格下落の影響等から販売価格が低下し、売上高は前年同期を下回りました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う厳しい環境のなか、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
<油脂等>業務用につきましては、「ニーズ協働発掘型」営業による新規取引の開拓を継続し、「日清炊飯油」「日清吸油が少ない長持ち油」等の機能性油脂についても拡販に取り組みました。しかしながら新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い外食需要が大幅に減少した影響から、販売は前年同期を大きく下回りました。
ホームユースにつきましては、付加価値品の継続的な市場育成、拡販に取り組み、特にごま油、オリーブオイルが伸長しました。「日清ヘルシーオフ」等の機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努めました。また新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要の高まりもあり、販売は前年同期を上回りましたが、業務用の販売減を補いきれませんでした。
加工用、大豆たん白の販売についても、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要減退を受け、前年同期を下回りました。
<加工食品>ドレッシングにおいて「日清ドレッシングダイエット」等の主力商品の販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き堅調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要の減少から売上高は前年同期を下回りました。一方、営業利益については、販売減に伴う減益要因を最小限にとどめるべくコストに見合った適正価格の維持・形成を行い、またパーム油取引の時価評価の影響もあり、前年同期を上回りました。
マーガリンやショートニング、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品については、主に土産菓子需要の減退から売上高、利益ともに減少しました。
シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)については、日本向け輸出が堅調に推移したこと等により、売上高、利益ともに前年同期を上回りました。
マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品では、欧州向け付加価値品の販売が落ち込みましたが、パーム油相場が前年同期と比べ高値となり、販売単価を押し上げたこともあり、現地通貨建ての売上高は前年同期と同水準となりました。営業利益については、販売減に伴う減益要因を最小限にとどめるべくコストに見合った適正価格の維持・形成を行い、またパーム油取引の時価評価の影響もあり、前年同期を上回りました。
≪ファインケミカル事業≫
化粧品原料では新型コロナウイルス感染症の拡大による需要減少により減収減益となりましたが、MCT等の付加価値品が伸長し、子会社のセッツ㈱においても、アルコール製剤の販売が拡大したことにより、セグメント全体としては売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
<化粧品原料>化粧品原料は、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛、化粧品販売店舗の営業時間短縮や臨時休業、インバウンド需要の減少等の影響を受け、国内およびアジア、欧州向けともに販売が減少し、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
<食品・化学品その他>食品・化学品その他は、MCT等の付加価値品が伸長し、子会社のセッツ㈱においても、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、アルコール製剤の販売が拡大しました。これらの結果、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントでは、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
地域別売上高
マレーシア、中国等のアジア向け売上高は前年同期比108.6%の86億97百万円となりましたが、欧州、米国等のその他地域への売上高については、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における欧州向けの販売が前年に比べて減少したこと等から、前年同期比83.5%の58億3百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前年同期に比べ0.2ポイント増加し17.9%となりました。
②財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ70億20百万円減少し、2,704億4百万円となりました。主な要因は、売上債権が10億51百万円、たな卸資産が12億17百万円、有形固定資産が19億70百万円、投資有価証券が13億2百万円増加した一方で、現金及び預金が99億85百万円、有価証券が20億円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ82億47百万円減少し、1,198億52百万円となりました。主な要因は、仕入債務が60億93百万円、未払法人税等が14億19百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ12億27百万円増加し、1,505億51百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が11億45百万円減少した一方で、利益剰余金が20億20百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ119億14百万円減少し、116億38百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、76億48百万円の支出(前年同期は13億93百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益47億9百万円、減価償却費19億83百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加12億26百万円、たな卸資産の増加16億70百万円、仕入債務の減少60億1百万円、法人税等の支払24億72百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億34百万円の支出(前年同期は43億46百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出39億81百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、82百万円の収入(前年同期は8億6百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増22億8百万円によるキャッシュの増加および配当金の支払13億36百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出5億99百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億94百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。