四半期報告書-第147期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/12 9:59
【資料】
PDFをみる
【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善や内外需要の底堅さを背景とした企業収益の好調さなどにより、緩やかに回復しているものの、実質所得の伸び悩みなどに伴い個人消費は依然として力強さを欠くとともに、海外経済の減速も懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、平成29年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間の業績としましては、売上高は前年同期比103.3%の2,636億95百万円となり、利益面では営業利益が113億71百万円と前年同期比154.2%、経常利益が同166.7%の121億87百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同154.7%の80億99百万円となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前年同期比108.7%の1,843億4百万円となり、営業利益は前年同期比230.9%の68億28百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場は前年同期に対して円高水準で推移したものの、主要原料相場が5月頃まで高値圏で推移したことなどから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期に対して上昇しました。
<主要原料相場>大豆相場は、アルゼンチン産大豆の乾燥天候による大幅な減産や米国産大豆の作付遅延などを背景に、5月頃まで1ブッシェルあたり10米ドル台を超える高値圏で推移するとともに、菜種相場についても、カナダの乾燥天候による作付遅延の懸念や、大豆相場の動きを受けて、5月頃まで高値圏で推移しました。6月に入ると米国産大豆の豊作見通しや米中貿易摩擦の影響を受けて大豆の価格が大きく下落し、その後は米中貿易摩擦を巡る見通しの変化や、産地における生育や収穫の進捗状況を受けながら不安定な値動きとなりました。
<為替相場>ドル円相場は、3月頃にかけて日銀の金融緩和縮小の観測や、米国の保護主義的な関税政策への懸念を背景に円高ドル安で推移しました。4月以降は、米国経済の好調などを背景に円安傾向での推移となりましたが、米国中間選挙や米中貿易摩擦を巡る不透明感などからドルの上値の重い状況が続き、前年同期との比較においては、円高ドル安の水準となりました。
[ミールの販売]
ミールの販売は、大豆ミール、菜種ミールともに売上高で前年同期を上回りました。
<大豆ミール>人口増加や生活水準向上などを背景にアジアを中心とした畜産需要は継続的に拡大し、大豆ミールを含めた飼料用原料の需要は世界的に堅調に推移しています。このような環境下、大豆ミールの主要輸出国であるアルゼンチンの大幅な減産の影響を受けて、シカゴ大豆ミール定期が大きく上昇したことから販売価格が上昇し、売上高は前年同期を上回りました。
<菜種ミール>配合飼料における菜種ミールの配合率が漸減するとともに、競合する飼料用原料価格の影響を受けるなか、国内搾油量の減少に伴う菜種ミール需給のひっ迫感などを背景に、大豆ミール価格の上昇に合わせた適正価格での販売に努め、売上高は前年同期を上回りました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、原材料コストに見合った適正価格での販売や、付加価値品の拡販などにより売上高、利益ともに前年同期を上回りました。
<油脂>ホームユースにおいては、オリーブオイル、ごま油、アマニ油などの付加価値品の継続的な拡販に取り組むとともに、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。業務用・加工用においても、中食・外食向けを中心に機能性油脂を含めた新規取引の開拓や、既存取引先への販売強化に取り組みました。また、油脂販売全般を通じて、原材料コストに見合った適正価格での販売に努めました。
<加工食品他>ドレッシングおよびマヨネーズ類において、ドレッシングの主力商品の販売が堅調に推移するとともに、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前年同期比89.8%の623億21百万円となり、営業利益は前年同期比94.8%の33億63百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、加工食品メーカー向けの油脂販売が前年同期を上回るとともに、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品においても、原材料コストに見合った適正価格での販売に努めました。また、T.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)の販売も堅調に推移し、国内加工油脂全体では、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、マレーシアの子会社のIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、欧州向けの付加価値品の販売は堅調に推移したものの、マレーシア国内向けの販売が前年同期に対して減少したことなどから、数量、売上高ともに前年同期を下回りました。また、コスト面でも、ユーティリティーコストの上昇に加えて、パーム油相場や為替の変動による影響などもあり、営業利益についても前年同期を下回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前年同期比106.1%の144億11百万円となり、営業利益は前年同期比133.1%の13億42百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、アジア、欧州向けなどの輸出販売が堅調に推移するとともに、国内販売についても旺盛な需要を受けて好調に推移しました。また、中国の販売子会社である日清奥利友(上海)国際貿易有限公司における中国国内向け販売も好調に推移し、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、MCTの販売が前年同期を下回りましたが、化学品における拡販などにより売上高は前年同期並みとなりました。また、営業利益については、適正価格での販売に努めた結果、前年同期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前年同期比94.6%の26億58百万円となりましたが、営業利益は前年同期比103.9%の2億59百万円となりました。
≪地域別売上高≫
地域別売上高につきましては、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.の売上高が前年同期と比べて減少したことなどに伴い、マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前年同期比91.7%の286億84百万円となり、欧州、米国などのその他地域への売上高についても前年同期比92.8%の195億86百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前年同期に比べ2.2ポイント減少し18.3%となりました。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ23億29百万円減少し、2,694億3百万円となりました。主な要因は、売上債権が114億9百万円、有形固定資産が37億32百万円増加した一方で、現金及び預金が80億60百万円、有価証券が46億円、たな卸資産が67億86百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ97億40百万円減少し、1,206億31百万円となりました。主な要因は、仕入債務が26億55百万円、短期借入金が100億24百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ74億11百万円増加し、1,487億71百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が58億77百万円増加したことであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ119億89百万円減少し、89億14百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、87億85百万円の増加(前年同期は22億14百万円の減少)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益119億27百万円、減価償却費51億63百万円、たな卸資産の減少66億4百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加115億2百万円、仕入債務の減少26億8百万円、法人税等の支払額22億89百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、86億44百万円の減少(前年同期は68億41百万円の減少)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出79億69百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億67百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、119億58百万円の減少(前年同期は116億88百万円の増加)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出105億80百万円、配当金の支払22億22百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます)を定めております。
1.基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、あらゆるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を持続的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である以上、当社株式の大規模買付行為に対し、売却を行うか否かの判断や会社の経営を委ねることの是非に関する判断は、最終的には個々の株主の皆様に委ねられるべきものであります。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれのあるものも想定されます。
よって、このような当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると当社は考えます。
2.具体的取組みの内容の概要
(1) 企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み
当社は、当社の企業価値の源泉が、食品からファインケミカルまでの幅広い事業を通じて得た広範な知識と豊富な経験、蓄積された高い技術力、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼とご支援など、明治40年の創立以来100年以上の永きに亘って培ってきた経営資源に存すると考えております。
この経営資源に基づき、当社グループは中長期的な視野に立ち、企業収益及び企業の社会的価値の向上を目指し、総合的に企業価値を高め、株主の皆様の期待にお応えできるよう努めてまいります。
① 2017年度~2020年度 中期経営計画 「OilliO Value Up 2020」
当社グループは2017年度から2020年度までの4ヵ年の中期経営計画「OilliO Value Up 2020」を策定し、企業収益拡大に向けた中長期の戦略、施策を実行してまいります。
<経営ビジョン>○日清オイリオグループは、110年に亘って培ってきた卓越した油脂に関する技術をもって、お客さまのニーズや課題を解決することで新たな価値を生み出し、市場を創造する。
○日清オイリオグループは、豊かな食卓の提案、人々の健康への貢献を通じて、企業価値の最大化を目指す。
経営ビジョンにおける3つのキーワード
・Globalization
事業の源泉である植物資源を探求し、卓越した技術でその価値を最大限引き出した商品を、世界中のお客さまにお届けし続けることで、グローバルブランドを目指す。
現在保有している国内、海外拠点を新たな視点で再構築する。更に積極的に経営資源を投入し、グローバルな推進体制を確立する。
・Technology
油脂事業での経験に基づく技術を、研究、開発と生産が融合することで、更に深化させ、お客さまのニーズに合う商品を提案していく。
油脂の基礎研究に加え、その応用研究を強化する。特に油脂をおいしく、食べやすく加工した食品の開発に資源投下し、技術的な競争優位性を発揮する。
・Marketing
消費者の生活習慣の変化に基づく心理、行動様式、動機についての理解を深めることで、お客さまにとって、あったらいいなと思う商品・サービスをお届けする。
お客さまの視点に立ち、用途開発・商品開発・生産・物流・プロモーション・販売を一体的に展開する。
<基本方針>事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移す。そのために、新たなヘルスサイエンス事業を含む5つの成長戦略と2つの基盤強化策を実行する。
◇成長戦略
・「健康とエネルギーを生むチカラ」で社会に貢献するヘルスサイエンス事業をグローバルに拡大
・グローバル化の加速に向けた投資拡大と拠点間の連携強化
・業務用、加工用領域でのグループの総力を結集した戦略の展開
・ホームユース領域におけるオイリオブランドの一層の強化と新たな市場の創造
・マーケティング強化による新たな付加価値の追求
◇基盤強化策
・製油構造変革・生産基盤強化
・ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営の実践
◇財務戦略
・ROEを重視した資本効率性と格付向上を考慮した財務健全性の最適バランスを考慮した企業価値向上の追求
・利益成長の成果を株主に適切に還元するための配当性向目標(30%程度)の設定、また、総還元性向と資本効率性向上を意識し、必要に応じた機動的な自社株取得の実施
<経営目標(2020年度)>・営業利益 :130億円以上
・ROE :7%以上
・EPS成長率 :8%(年平均)
・営業キャッシュフロー:500億円(累計)
※「OilliO Value Up 2020」は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象およびそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
② コーポレートガバナンスの強化
当社は、社会の皆様から一層の期待と信頼をいただくために、健全で透明性の高い経営を目指し、コーポレートガバナンスの強化を経営上の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
取締役会は、取締役9名(うち独立社外取締役2名)で構成し、法令で定められた事項及び経営上の重要事項を審議し、決定しております。また、取締役会は、当社の経営に関して豊富な経験を持つ取締役と経営に関する深い知識を持ち独立性の高い社外取締役により構成され、経営及び業務執行についての監督責任を負っております。
当社は、環境変化に即応した迅速な意思決定を実践するため、執行役員制度を導入しており、執行役員は取締役会から業務執行権限を委譲され、経営計画や取締役会の方針に則り、取締役の監督のもとで業務執行に携わっております。
監査役会は、監査役4名(うち独立社外監査役2名)で構成しており、監査役は、監査役会で策定された監査方針、監査計画及び業務分担に基づき、取締役会やその他重要な会議への出席、業務及び財産の状況調査等を通して、取締役の職務執行、執行役員の業務執行を監査しております。
こうした経営体制のもとで、内部統制システムの整備、リスクマネジメント委員会やコーポレートガバナンス協議会の設置及び企業倫理ホットラインの設置等の具体的な施策を推進しております。
(2) 不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、当社株式の大規模買付行為の是非を株主の皆様に適切に判断していただくために必要かつ十分な情報及び当社取締役会の意見等の情報、並びに検討のための時間を確保するよう努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
3.具体的取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係わる理由
前記の具体的取組みの内容は、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるものであり、また当社役員の地位の維持を目的とするものではないことから、いずれも前記の基本方針に沿うものと判断しております。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は16億92百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設、計画は次のとおりであります。
会社名事業所名
(所在地)
セグメント
の名称
設備の内容投資予定額資金調達
方法
着手年月完了予定
年月
完成後の増加能力
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
提出会社水島工場
(岡山県倉敷市)
油脂・油糧
および
加工食品事業
搾油製造設備4,818-自己資金
および
借入金
平成31年
4月
平成33年
2月
搾油工場の
老朽化対応