四半期報告書-第150期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 10:01
【資料】
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【項目】
46項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間においては、国や地域によるばらつきはあるものの、感染抑制と経済活動の両立により経済は回復基調となっています。日本経済は断続的な感染対策措置により一進一退の動きとなっていましたが、9月末の緊急事態宣言の解除以降は、緩やかな回復がみられました。中国や欧米では経済正常化が進み、新興国においても遅れていたワクチン接種の進展等を背景に行動規制が緩和・撤廃され、経済活動が再開しています。一方で、足もとでは新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大や米国におけるインフレ懸念・金利上昇、中国経済の減速、地政学的リスクの高まり等、先行きは不透明な状況です。
当社グループにおいては、国内・海外での経済回復に伴い、コロナ禍で大きな影響を受けた業務用油脂やファインケミカル製品等で一部需要の回復がありましたが、ホームユース製品では前年の内食需要増加の反動を受けて減少しました。またコスト面においては、主要原料である穀物相場が歴史的高値圏で推移していることに加え、円安ドル高進行や資源価格の高騰により、厳しい経営環境が続いています。
このような環境下、当社グループでは中期経営計画「Value Up+」(2021-2024)のもと、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に社会との多様な共有価値の創造を通じて、持続的な成長を目指しております。
当第3四半期連結累計期間の業績については、売上高は前年同期比124.7%の3,136億34百万円となり、利益面では営業利益が前年同期比74.0%の92億54百万円、経常利益が同78.6%の102億66百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同81.6%の73億31百万円となりました。なお、新たな収益認識基準の適用による売上高減少の影響額は46億7百万円であり、四半期連結財務諸表の損益に与える影響は軽微であります。
セグメント別の業績は次の通りです。
従来、報告セグメントの事業区分は「油脂・油糧および加工食品事業」、「加工油脂事業」、「ファインケミカル事業」の3事業区分に分類しておりましたが、中期経営計画「Value Up+」の事業戦略に沿って、「油脂事業」、「加工食品・素材事業」、「ファインケミカル事業」に変更しております。
この事業区分の変更は、当社グループの経営管理の実態を適正に表示するためのものであります。
なお、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。
また、会計方針の変更に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しております。なお、各セグメントに与える影響は軽微であります。
・売上高 (単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂
事業
油脂・油糧158,460197,076+38,616124.4%
加工油脂40,51559,794+19,278147.6%
小計198,975256,870+57,894129.1%
加工食品・素材事業40,01442,226+2,212105.5%
ファインケミカル事業10,65212,620+1,967118.5%
その他1,9221,916△599.7%
合計251,565313,634+62,069124.7%

・営業利益 (単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂
事業
油脂・油糧8,5463,616△4,92942.3%
加工油脂2,3283,264+935140.2%
小計10,8756,881△3,99463.3%
加工食品・素材事業1,4901,529+39102.6%
ファインケミカル事業6811,165+484171.0%
その他△24217+241-
セグメント間消去・調整△518△539△21-
合計12,5049,254△3,25074.0%

セグメント別の概況
≪油脂事業≫
原料価格高騰等を背景とした販売価格の改定等により、売上高は前年同期を上回りました。一方、営業利益については段階的な価格改定を実現したものの原料価格高騰の影響が大きく、前年同期を下回りました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、主要原料相場が前年同期に対して大幅に上昇し、またドル円相場も円安水準で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を大きく上回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、中国の旺盛な買付などによる米国産の需給逼迫とバイオ燃料需要の増加期待等を背景に5月中旬には1ブッシェルあたり16米ドル台まで上昇しました。その後、米国産の生産量改善見通しや南米産の順調な作付を受けて12米ドル台まで値を下げましたが、南米の乾燥懸念を背景に再び13米ドル台まで上昇し、前年同期比で大幅な高値推移となりました。
菜種相場は、欧州産菜種減産の影響による世界需給の引き締まりやバイオ燃料需要の増加期待等から5月には1トンあたり1,000カナダドルと史上最高値を更新しました。その後、大豆相場に連れ安となり下落するも、カナダの高温乾燥による大減産や品質悪化、また原油高の影響を受けて10月には再び1,000カナダドル台まで上昇し、前年同期比で大幅な高値推移となりました。
<為替相場>ドル円相場は、米国経済の回復期待による米国長期金利上昇により年前半から円安ドル高が進み、年後半には米国における金融緩和縮小や利上げ期待の高まりなどを背景に110~115円で推移したことにより、前年同期に対して円安ドル高水準となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールは、搾油量の回復による販売数量の増加と、大豆やコーンの世界需給逼迫などによる飼料原料価格上昇により販売価格が上昇したことから、売上高は前年同期を上回りました。
菜種ミールも、搾油量の回復による販売数量の増加と販売価格の上昇により、売上高は前年同期を上回りました。
[油脂・加工油脂の販売]
<油脂>業務用については、「ニーズ協働発掘型」営業を展開し、長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」の提案を通じた新規顧客開拓に努めました。また、コロナ禍で大きく減少した需要の回復と、販売価格の改定に取り組んだことにより、販売数量および売上高は前年同期を上回りました。
加工用についても、コストに見合った適正価格での販売により、売上高は前年同期を上回りました。
ホームユースについては、前年度の内食需要増加を背景とした大幅な販売伸長の反動により販売数量は減少しました。一方で、付加価値品の継続的な市場育成、拡販による、ごま油やサプリ的オイル等の伸長と、販売価格の改定により、売上高は前年同期を上回りました。
以上の結果、油脂全体の売上高は前年同期を上回りましたが、営業利益は原料価格高騰の影響が大きく、前年同期を下回りました。
<加工油脂>海外加工油脂については、新型コロナウイルス感染症の影響が続いているものの、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において販売が堅調に推移しました。また、パーム油相場の高騰を受けた販売価格の上昇により、売上高は前年同期を上回りました。利益面では、販売単価の上昇、販売数量の増加に加え、パーム油取引の時価評価の影響等により、営業利益は前年同期を上回りました。
国内加工油脂については、コストに見合った適正価格での販売と販売数量の回復、拡大により、売上高は前年同期を上回りましたが、利益面では原料価格高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期を下回りました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、販売数量増や適正価格での販売により、売上高は前年同期を上回りましたが、営業利益は前年同期並みとなりました。
チョコレートは、土産物を中心とした菓子需要の低迷が続くなか拡販に努めた結果、大東カカオ㈱におけるチョコレート製品の販売数量は前年同期を上回りました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.の製菓原料等(調製品)の日本向け販売は減少しました。また、インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoは新規取引の開始もあり販売数量が増加しました。これらの結果、チョコレート全体で、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
調味料は「日清ドレッシングダイエット」などの主力商品に加え「日清アマニ油ドレッシング」や「日清えごま油ドレッシング」の拡販等により販売数量が増加したことから、売上高は前年同期を上回りましたが、主に原料価格高騰の影響により営業利益は前年同期を下回りました。
機能素材・食品はMCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売数量が増加したことから売上高は前年同期を上回りましたが、原料価格高騰の影響等により営業利益は前年同期を下回りました。
大豆素材・食品では、新商品発売や適正価格での販売に努めたことから、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、販売数量増とコストに見合った適正価格での販売により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
ファインケミカル商品は、国内・海外における化粧品原料の需要回復、クレンジングを中心としたスキンケア用途での新規需要獲得による海外向け販売の伸長、ならびにコストに見合った適正価格での販売により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
環境・衛生は、アルコール製剤が堅調に推移したことから売上高は前年同期並みとなりましたが、利益率の高い製品の販売減少および原材料の高騰により、営業利益は前年同期を下回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントでは、売上高は前年同期を下回りましたが、営業利益は前年同期を上回りました。
地域別売上高
マレーシア、中国等のアジア向け売上高は前年同期比138.1%の361億78百万円となり、欧州、米国等のその他地域への売上高についても、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.における欧州、米国向けの販売が増加したこと等から、前年同期比160.0%の282億42百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前年同期に比べ3.1ポイント増加し20.5%となりました。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ513億93百万円増加し、3,435億47百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が11億4百万円、売上債権が284億80百万円、棚卸資産が152億51百万円、有形固定資産が2億68百万円、投資有価証券が18億10百万円増加したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ436億98百万円増加し、1,825億92百万円となりました。主な要因は、短期借入金が283億7百万円、長期借入金が180億89百万円増加した一方で、流動負債その他(未払金)が45億46百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ76億95百万円増加し、1,609億54百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が27億96百万円、自己株式が30億10百万円、その他の包括利益累計額が29億7百万円増加した一方で、資本剰余金が11億73百万円減少したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億6百万円増加し、101億63百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、344億6百万円の支出(前年同期は2億35百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益105億6百万円、減価償却費65億59百万円、仕入債務の増加71百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加277億98百万円、棚卸資産の増加140億93百万円、法人税等の支払39億42百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、74億83百万円の支出(前年同期は98億87百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出83億10百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、428億85百万円の収入(前年同期は33億59百万円の支出)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増323億73百万円と長期借入による収入188億38百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出51億27百万円、配当金の支払27億59百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は20億25百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。