四半期報告書-第148期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、海外経済の減速に伴い輸出が低迷し、個人消費についても実質所得の伸び悩みなどから依然として力強さを欠いております。今後についても米中貿易摩擦の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、2017年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間の業績としましては、売上高は前年同期比99.1%の846億99百万円となり、利益面では営業利益が39億50百万円と前年同期比132.9%、経常利益が同117.9%の37億83百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同114.7%の24億57百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前年同期比97.4%の589億51百万円となり、営業利益は前年同期比108.1%の24億1百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前年同期に対して円安傾向で推移したものの、主要原料相場は前年同期に対して低い水準で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期に対して低下しました。
<主要原料相場>大豆相場は、12月下旬以降、米中貿易交渉の進展や南米の天候不順などを背景に上昇しましたが、その後はブラジルの天候改善や順調な収穫進捗などによって上値が抑えられ、1ブッシェルあたり9米ドル前後での推移となりました。
菜種相場についても、1月以降、大豆相場の影響を受け上昇しましたが、その後はカナダ産菜種の潤沢な供給が意識されたことや、中国のカナダ産菜種の輸入禁止措置による需要の減少などを背景に、前年同期に対して低い水準で推移しました。
<為替相場>ドル円相場は、12月以降、世界景気の減速懸念などにより急速に円高ドル安が進みましたが、年明け以降は、リスク回避姿勢の後退とともに堅調な経済を背景とした米国の株価上昇などから前年同期に対して円安ドル高傾向で推移しました。
[ミールの販売]
大豆ミールは、ブラジル産大豆の順調な収穫進捗や主要大豆ミール輸出国であるアルゼンチンの生産量回復などによりシカゴ大豆ミール相場が前年同期から大きく下落しました。また、国内においては、アフリカ豚コレラの影響による中国国内の飼料需要の低迷から安価な中国産輸入ミールが増加しました。その結果、適正価格での販売に努めたものの、販売数量、売上高ともに前年同期を下回りました。
菜種ミールは、販売数量は前年同期を上回ったものの、大豆ミール価格の影響などから販売価格が低下し、売上高は前年同期並みとなりました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、想定した価格是正は実現できていないものの、販売数量の増加や、付加価値品の拡販などにより売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
<油脂>ホームユースにつきましては、オリーブオイル、アマニ油などの付加価値品の継続的な拡販に取り組むとともに、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。業務用・加工用につきましても、中食・外食向けを中心に、機能性油脂を含めた新規取引の開拓に取り組み、好調に推移しました。
<加工食品他>ドレッシングにおいて主力の「日清ドレッシングダイエット」に加え、「日清アマニ油ドレッシング」の販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前年同期比102.8%の198億97百万円となり、営業利益は前年同期比287.6%の12億48百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、機能特化型のマーガリンやショートニングの販売が好調に推移し、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品についても、原材料コストに見合った適正価格での販売に努め、売上を伸ばしました。一方、シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)は売上高、利益ともに前年同期を下回りました。これらの結果、国内加工油脂全体では、売上高は前年同期並みとなりましたが、コストの上昇もあり、営業利益は前年同期を下回りました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、マレーシア国内向けは低調だったものの、欧州向け付加価値品の販売が好調だったことなどから、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前年同期比101.5%の48億4百万円となり、営業利益は前年同期比105.2%の4億12百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、旺盛な需要を背景にアジア、欧州向け等の輸出が増加しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.および中国の日清奥利友(上海)国際貿易有限公司との連携により付加価値品の販売が伸長し、国内販売についても主要取引先への販売強化に努め、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、MCTについては付加価値品の拡販に努めましたが、その他食品・化学品の販売の減少から、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前年同期比124.2%の10億46百万円となりましたが、営業利益は前年同期比79.7%の38百万円となりました。
≪地域別売上高≫
マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前年同期比74.5%の80億7百万円となりましたが、欧州、米国などのその他地域への売上高については、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における欧州向けの販売が前年に比べて増加したことから、前年同期比136.6%の69億49百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前年同期に比べ0.9ポイント減少し17.7%となりました。
②財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ17億65百万円減少し、2,635億19百万円となりました。主な要因は、売上債権が26億17百万円、有形固定資産が20億66百万円増加した一方で、現金及び預金が48億4百万円、投資有価証券が11億6百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ18億90百万円減少し、1,142億95百万円となりました。主な要因は、短期借入金が23億32百万円増加した一方で、仕入債務が19億71百万円、未払法人税等が11億82百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1億25百万円増加し、1,492億24百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が10億20百万円減少した一方で、利益剰余金が8億77百万円、非支配株主持分が1億76百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ48億40百万円減少し、83億円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、13億93百万円の減少(前年同期は26億92百万円の増加)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益37億53百万円、減価償却費18億6百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加25億51百万円、仕入債務の減少19億86百万円、法人税等の支払23億59百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、43億46百万円の減少(前年同期は22億11百万円の減少)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出35億85百万円、投資有価証券の取得による支出6億19百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億6百万円の増加(前年同期は23億45百万円の減少)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増23億66百万円によるキャッシュの増加および配当金の支払15億39百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます)を定めております。
1.基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、あらゆるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を持続的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である以上、当社株式の大規模買付行為に対し、売却を行うか否かの判断や会社の経営を委ねることの是非に関する判断は、最終的には個々の株主の皆様に委ねられるべきものであります。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれのあるものも想定されます。
よって、このような当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると当社は考えます。
2.具体的取組みの内容の概要
(1) 企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み
当社は、当社の企業価値の源泉が、食品からファインケミカルまでの幅広い事業を通じて得た広範な知識と豊富な経験、蓄積された高い技術力、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼とご支援など、1907年の創立以来100年以上の永きに亘って培ってきた経営資源に存すると考えております。
この経営資源に基づき、当社グループは中長期的な視野に立ち、企業収益及び企業の社会的価値の向上を目指し、総合的に企業価値を高め、株主の皆様の期待にお応えできるよう努めてまいります。
① 2017年度~2020年度 中期経営計画 「OilliO Value Up 2020」
当社グループは2017年度から2020年度までの4ヵ年の中期経営計画「OilliO Value Up 2020」を策定し、企業収益拡大に向けた中長期の戦略、施策を実行してまいります。
<経営ビジョン>○日清オイリオグループは、110年に亘って培ってきた卓越した油脂に関する技術をもって、お客さまのニーズや課題を解決することで新たな価値を生み出し、市場を創造する。
○日清オイリオグループは、豊かな食卓の提案、人々の健康への貢献を通じて、企業価値の最大化を目指す。
経営ビジョンにおける3つのキーワード
・Globalization
事業の源泉である植物資源を探求し、卓越した技術でその価値を最大限引き出した商品を、世界中のお客さまにお届けし続けることで、グローバルブランドを目指す。
現在保有している国内、海外拠点を新たな視点で再構築する。更に積極的に経営資源を投入し、グローバルな推進体制を確立する。
・Technology
油脂事業での経験に基づく技術を、研究、開発と生産が融合することで、更に深化させ、お客さまのニーズに合う商品を提案していく。
油脂の基礎研究に加え、その応用研究を強化する。特に油脂をおいしく、食べやすく加工した食品の開発に資源投下し、技術的な競争優位性を発揮する。
・Marketing
消費者の生活習慣の変化に基づく心理、行動様式、動機についての理解を深めることで、お客さまにとって、あったらいいなと思う商品・サービスをお届けする。
お客さまの視点に立ち、用途開発・商品開発・生産・物流・プロモーション・販売を一体的に展開する。
<基本方針>事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移す。そのために、新たなヘルスサイエンス事業を含む5つの成長戦略と2つの基盤強化策を実行する。
◇成長戦略
・「健康とエネルギーを生むチカラ」で社会に貢献するヘルスサイエンス事業をグローバルに拡大
・グローバル化の加速に向けた投資拡大と拠点間の連携強化
・業務用、加工用領域でのグループの総力を結集した戦略の展開
・ホームユース領域におけるオイリオブランドの一層の強化と新たな市場の創造
・マーケティング強化による新たな付加価値の追求
◇基盤強化策
・製油構造変革・生産基盤強化
・ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営の実践
◇財務戦略
・ROEを重視した資本効率性と格付向上を考慮した財務健全性の最適バランスを勘案した企業価値向上の追求
・利益成長の成果を株主に適切に還元するための配当性向目標(30%程度)の設定、また、総還元性向と資本効率性向上を意識し、必要に応じた機動的な自社株取得の実施
<経営目標(2020年度)>・営業利益 :130億円以上
・ROE :7%以上
・EPS成長率 :8%(年平均)
・営業キャッシュフロー:500億円(累計)
※「OilliO Value Up 2020」は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象およびそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
② コーポレートガバナンスの強化
当社は、社会の皆様から一層の期待と信頼をいただくために、健全で透明性の高い経営を目指し、コーポレートガバナンスの強化を経営上の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
取締役会は、取締役8名(うち独立社外取締役2名)で構成し、法令で定められた事項及び経営上の重要事項を審議し、決定しております。また、取締役会は、当社の経営に関して豊富な経験を持つ取締役と経営に関する深い知識を持ち独立性の高い社外取締役により構成され、経営及び業務執行についての監督責任を負っております。
当社は、環境変化に即応した迅速な意思決定を実践するため、執行役員制度を導入しており、執行役員は取締役会から業務執行権限を委譲され、経営計画や取締役会の方針に則り、取締役の監督のもとで業務執行に携わっております。
監査役会は、監査役4名(うち独立社外監査役2名)で構成しており、監査役は、監査役会で策定された監査方針、監査計画及び業務分担に基づき、取締役会やその他重要な会議への出席、業務及び財産の状況調査等を通して、取締役の職務執行、執行役員の業務執行を監査しております。
こうした経営体制のもとで、内部統制システムの整備、企業倫理委員会やリスクマネジメント委員会の設置及び企業倫理ホットラインの設置等の具体的な施策を推進しております。
(2) 不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、当社株式の大規模買付行為の是非を株主の皆様に適切に判断していただくために必要かつ十分な情報及び当社取締役会の意見等の情報、並びに検討のための時間を確保するよう努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
3.具体的取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係わる理由
前記の具体的取組みの内容は、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるものであり、また当社役員の地位の維持を目的とするものではないことから、いずれも前記の基本方針に沿うものと判断しております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億45百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、海外経済の減速に伴い輸出が低迷し、個人消費についても実質所得の伸び悩みなどから依然として力強さを欠いております。今後についても米中貿易摩擦の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、2017年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間の業績としましては、売上高は前年同期比99.1%の846億99百万円となり、利益面では営業利益が39億50百万円と前年同期比132.9%、経常利益が同117.9%の37億83百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同114.7%の24億57百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前年同期比97.4%の589億51百万円となり、営業利益は前年同期比108.1%の24億1百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前年同期に対して円安傾向で推移したものの、主要原料相場は前年同期に対して低い水準で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期に対して低下しました。
<主要原料相場>大豆相場は、12月下旬以降、米中貿易交渉の進展や南米の天候不順などを背景に上昇しましたが、その後はブラジルの天候改善や順調な収穫進捗などによって上値が抑えられ、1ブッシェルあたり9米ドル前後での推移となりました。
菜種相場についても、1月以降、大豆相場の影響を受け上昇しましたが、その後はカナダ産菜種の潤沢な供給が意識されたことや、中国のカナダ産菜種の輸入禁止措置による需要の減少などを背景に、前年同期に対して低い水準で推移しました。
<為替相場>ドル円相場は、12月以降、世界景気の減速懸念などにより急速に円高ドル安が進みましたが、年明け以降は、リスク回避姿勢の後退とともに堅調な経済を背景とした米国の株価上昇などから前年同期に対して円安ドル高傾向で推移しました。
[ミールの販売]
大豆ミールは、ブラジル産大豆の順調な収穫進捗や主要大豆ミール輸出国であるアルゼンチンの生産量回復などによりシカゴ大豆ミール相場が前年同期から大きく下落しました。また、国内においては、アフリカ豚コレラの影響による中国国内の飼料需要の低迷から安価な中国産輸入ミールが増加しました。その結果、適正価格での販売に努めたものの、販売数量、売上高ともに前年同期を下回りました。
菜種ミールは、販売数量は前年同期を上回ったものの、大豆ミール価格の影響などから販売価格が低下し、売上高は前年同期並みとなりました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、想定した価格是正は実現できていないものの、販売数量の増加や、付加価値品の拡販などにより売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
<油脂>ホームユースにつきましては、オリーブオイル、アマニ油などの付加価値品の継続的な拡販に取り組むとともに、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。業務用・加工用につきましても、中食・外食向けを中心に、機能性油脂を含めた新規取引の開拓に取り組み、好調に推移しました。
<加工食品他>ドレッシングにおいて主力の「日清ドレッシングダイエット」に加え、「日清アマニ油ドレッシング」の販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前年同期比102.8%の198億97百万円となり、営業利益は前年同期比287.6%の12億48百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、機能特化型のマーガリンやショートニングの販売が好調に推移し、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品についても、原材料コストに見合った適正価格での販売に努め、売上を伸ばしました。一方、シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)は売上高、利益ともに前年同期を下回りました。これらの結果、国内加工油脂全体では、売上高は前年同期並みとなりましたが、コストの上昇もあり、営業利益は前年同期を下回りました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、マレーシア国内向けは低調だったものの、欧州向け付加価値品の販売が好調だったことなどから、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前年同期比101.5%の48億4百万円となり、営業利益は前年同期比105.2%の4億12百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、旺盛な需要を背景にアジア、欧州向け等の輸出が増加しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.および中国の日清奥利友(上海)国際貿易有限公司との連携により付加価値品の販売が伸長し、国内販売についても主要取引先への販売強化に努め、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、MCTについては付加価値品の拡販に努めましたが、その他食品・化学品の販売の減少から、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前年同期比124.2%の10億46百万円となりましたが、営業利益は前年同期比79.7%の38百万円となりました。
≪地域別売上高≫
マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前年同期比74.5%の80億7百万円となりましたが、欧州、米国などのその他地域への売上高については、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における欧州向けの販売が前年に比べて増加したことから、前年同期比136.6%の69億49百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前年同期に比べ0.9ポイント減少し17.7%となりました。
②財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ17億65百万円減少し、2,635億19百万円となりました。主な要因は、売上債権が26億17百万円、有形固定資産が20億66百万円増加した一方で、現金及び預金が48億4百万円、投資有価証券が11億6百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ18億90百万円減少し、1,142億95百万円となりました。主な要因は、短期借入金が23億32百万円増加した一方で、仕入債務が19億71百万円、未払法人税等が11億82百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1億25百万円増加し、1,492億24百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が10億20百万円減少した一方で、利益剰余金が8億77百万円、非支配株主持分が1億76百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ48億40百万円減少し、83億円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、13億93百万円の減少(前年同期は26億92百万円の増加)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益37億53百万円、減価償却費18億6百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加25億51百万円、仕入債務の減少19億86百万円、法人税等の支払23億59百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、43億46百万円の減少(前年同期は22億11百万円の減少)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出35億85百万円、投資有価証券の取得による支出6億19百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億6百万円の増加(前年同期は23億45百万円の減少)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増23億66百万円によるキャッシュの増加および配当金の支払15億39百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます)を定めております。
1.基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、あらゆるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を持続的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である以上、当社株式の大規模買付行為に対し、売却を行うか否かの判断や会社の経営を委ねることの是非に関する判断は、最終的には個々の株主の皆様に委ねられるべきものであります。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれのあるものも想定されます。
よって、このような当社グループの企業価値ひいては株主の皆様共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると当社は考えます。
2.具体的取組みの内容の概要
(1) 企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み
当社は、当社の企業価値の源泉が、食品からファインケミカルまでの幅広い事業を通じて得た広範な知識と豊富な経験、蓄積された高い技術力、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼とご支援など、1907年の創立以来100年以上の永きに亘って培ってきた経営資源に存すると考えております。
この経営資源に基づき、当社グループは中長期的な視野に立ち、企業収益及び企業の社会的価値の向上を目指し、総合的に企業価値を高め、株主の皆様の期待にお応えできるよう努めてまいります。
① 2017年度~2020年度 中期経営計画 「OilliO Value Up 2020」
当社グループは2017年度から2020年度までの4ヵ年の中期経営計画「OilliO Value Up 2020」を策定し、企業収益拡大に向けた中長期の戦略、施策を実行してまいります。
<経営ビジョン>○日清オイリオグループは、110年に亘って培ってきた卓越した油脂に関する技術をもって、お客さまのニーズや課題を解決することで新たな価値を生み出し、市場を創造する。
○日清オイリオグループは、豊かな食卓の提案、人々の健康への貢献を通じて、企業価値の最大化を目指す。
経営ビジョンにおける3つのキーワード
・Globalization
事業の源泉である植物資源を探求し、卓越した技術でその価値を最大限引き出した商品を、世界中のお客さまにお届けし続けることで、グローバルブランドを目指す。
現在保有している国内、海外拠点を新たな視点で再構築する。更に積極的に経営資源を投入し、グローバルな推進体制を確立する。
・Technology
油脂事業での経験に基づく技術を、研究、開発と生産が融合することで、更に深化させ、お客さまのニーズに合う商品を提案していく。
油脂の基礎研究に加え、その応用研究を強化する。特に油脂をおいしく、食べやすく加工した食品の開発に資源投下し、技術的な競争優位性を発揮する。
・Marketing
消費者の生活習慣の変化に基づく心理、行動様式、動機についての理解を深めることで、お客さまにとって、あったらいいなと思う商品・サービスをお届けする。
お客さまの視点に立ち、用途開発・商品開発・生産・物流・プロモーション・販売を一体的に展開する。
<基本方針>事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移す。そのために、新たなヘルスサイエンス事業を含む5つの成長戦略と2つの基盤強化策を実行する。
◇成長戦略
・「健康とエネルギーを生むチカラ」で社会に貢献するヘルスサイエンス事業をグローバルに拡大
・グローバル化の加速に向けた投資拡大と拠点間の連携強化
・業務用、加工用領域でのグループの総力を結集した戦略の展開
・ホームユース領域におけるオイリオブランドの一層の強化と新たな市場の創造
・マーケティング強化による新たな付加価値の追求
◇基盤強化策
・製油構造変革・生産基盤強化
・ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営の実践
◇財務戦略
・ROEを重視した資本効率性と格付向上を考慮した財務健全性の最適バランスを勘案した企業価値向上の追求
・利益成長の成果を株主に適切に還元するための配当性向目標(30%程度)の設定、また、総還元性向と資本効率性向上を意識し、必要に応じた機動的な自社株取得の実施
<経営目標(2020年度)>・営業利益 :130億円以上
・ROE :7%以上
・EPS成長率 :8%(年平均)
・営業キャッシュフロー:500億円(累計)
※「OilliO Value Up 2020」は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象およびそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
② コーポレートガバナンスの強化
当社は、社会の皆様から一層の期待と信頼をいただくために、健全で透明性の高い経営を目指し、コーポレートガバナンスの強化を経営上の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
取締役会は、取締役8名(うち独立社外取締役2名)で構成し、法令で定められた事項及び経営上の重要事項を審議し、決定しております。また、取締役会は、当社の経営に関して豊富な経験を持つ取締役と経営に関する深い知識を持ち独立性の高い社外取締役により構成され、経営及び業務執行についての監督責任を負っております。
当社は、環境変化に即応した迅速な意思決定を実践するため、執行役員制度を導入しており、執行役員は取締役会から業務執行権限を委譲され、経営計画や取締役会の方針に則り、取締役の監督のもとで業務執行に携わっております。
監査役会は、監査役4名(うち独立社外監査役2名)で構成しており、監査役は、監査役会で策定された監査方針、監査計画及び業務分担に基づき、取締役会やその他重要な会議への出席、業務及び財産の状況調査等を通して、取締役の職務執行、執行役員の業務執行を監査しております。
こうした経営体制のもとで、内部統制システムの整備、企業倫理委員会やリスクマネジメント委員会の設置及び企業倫理ホットラインの設置等の具体的な施策を推進しております。
(2) 不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、当社株式の大規模買付行為の是非を株主の皆様に適切に判断していただくために必要かつ十分な情報及び当社取締役会の意見等の情報、並びに検討のための時間を確保するよう努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
3.具体的取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係わる理由
前記の具体的取組みの内容は、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるものであり、また当社役員の地位の維持を目的とするものではないことから、いずれも前記の基本方針に沿うものと判断しております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億45百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。