四半期報告書-第150期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/09 10:01
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進む一方で、感染者数の拡大に伴う感染対策措置が継続したことで個人消費が低迷、特に外食・宿泊・娯楽等を中心に弱い動きとなり厳しい状況が続いています。
世界経済においては、中国や欧米では経済活動正常化が進んでいますが、東南アジア等の一部の新興国では変異株による感染拡大を背景に厳格な行動規制が実施されるなど、コロナ禍からの回復に時間を要しています。
当社グループにおいても、行動変容による需要の変化や消費活動の制約等により、国内・海外における事業活動が大きな影響を受けています。また、コスト面では、主要原料である穀物相場が歴史的高値圏で推移していることに加え、資源価格がコロナ禍からの世界経済回復に伴うエネルギー需要の急増により高騰しており、厳しい経営環境が続いています。
このような環境下、当社グループでは、中期経営計画「Value Up+」(2021-2024)のもと、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じて、持続的な成長を目指しております。
当第2四半期連結累計期間の業績については、売上高は前年同期比120.9%の1,953億29百万円となり、利益面では営業利益が前年同期比79.9%の62億84百万円、経常利益が同90.1%の71億71百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同95.1%の52億98百万円となりました。なお、新たな収益認識基準の適用による売上高減少の影響額は28億72百万円です。また、当第2四半期連結累計期間において、四半期連結財務諸表に与える損益の影響は軽微であります。
セグメント別の業績は次の通りです。
従来、報告セグメントの事業区分は「油脂・油糧および加工食品事業」、「加工油脂事業」、「ファインケミカル事業」の3事業区分に分類しておりましたが、中期経営計画「Value Up+」の事業戦略に沿って、「油脂事業」、「加工食品・素材事業」、「ファインケミカル事業」に変更しております。 この事業区分の変更は、当社グループの経営管理の実態を適正に表示するためのものであります。 なお、前第2四半期連結累計期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。
また、会計方針の変更に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しております。なお、各セグメントに与える影響は軽微であります。
・売上高 (単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂
事業
油脂・油糧101,233123,269+22,036121.8%
加工油脂26,19136,752+10,561140.3%
小計127,424160,022+32,597125.6%
加工食品・素材事業25,71325,739+26100.1%
ファインケミカル事業7,1298,265+1,136115.9%
その他1,3451,302△4396.8%
合計161,613195,329+33,716120.9%

・営業利益 (単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂
事業
油脂・油糧4,7432,607△2,13555.0%
加工油脂2,6432,489△15494.2%
小計7,3865,096△2,29069.0%
加工食品・素材事業497630+132126.6%
ファインケミカル事業436787+351180.5%
その他△94114+209-
セグメント間消去・調整△359△345+13-
合計7,8676,284△1,58379.9%


セグメント別の概況
≪油脂事業≫
原料価格高騰を背景とした販売価格の改定等により、売上高は前年同期を上回りました。一方、営業利益については価格改定に注力したものの原料価格高騰分を吸収できず、前年同期を下回りました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前年同期に対してほぼ同水準で推移しましたが、主要原料相場が前年同期に対して大幅に上昇したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を大きく上回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、中国の旺盛な買付などによる米国産の需給逼迫とバイオ燃料需要の増加期待等を背景に5月中旬には1ブッシェルあたり16米ドル台まで上昇しました。その後、値を下げる場面もありましたが、米国の高温乾燥による減産懸念から13米ドル台から14米ドル台での推移が続きました。8月以降米国の天候が改善し、米国産の生産量改善見通しが高まると12米ドル台まで値を下げましたが、前年同期比で大幅な高値推移となりました。
菜種相場は、欧州産菜種減産の影響による世界需給の引き締まりやバイオ燃料需要の増加期待等から5月には1トンあたり1,000カナダドルと史上最高値を更新しました。その後、大豆相場に連れ安となり下落するも、6月下旬にカナダ西部を襲った熱波によるカナダ産菜種の大幅な生産量減少や品質悪化見通し等から800~900カナダドル台の高値圏が続いたことで、前年同期比で大幅な高値推移となりました。
<為替相場>ドル円相場は、米国での大規模な経済政策やワクチン接種によるコロナ収束期待による経済回復の動きから、米国長期金利の上昇などを受け、円安ドル高が進みました。その後は米国金融緩和縮小の動向が注目されるなか109~111円での推移が続き前年同期に対して円安ドル高で推移しました。
[ミールの販売]
大豆ミールは、搾油量の回復による販売数量の増加と、中国国内のASF(アフリカ豚熱)の沈静化に伴う強い飼料需要、大豆やコーンの世界需給逼迫などによる飼料原料価格上昇により販売単価が上昇したことから、売上高は前年同期を上回りました。
菜種ミールは搾油量の回復による販売数量の増加と、競合する飼料原料が供給余力を欠き配合率が堅調に推移したこと等により販売価格が上昇したことから、売上高は前年同期を上回りました。
[油脂・加工油脂の販売]
<油脂>業務用については、「ニーズ協働発掘型」営業を展開し、長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」の提案を通じた新規顧客開拓に努めました。また、コロナ禍で大きく減少した需要の一部持ち直しと原料価格高騰の中、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は前年同期を上回りました。
加工用についても、コストに見合った適正価格での販売により、売上高は前年同期を上回りました。
ホームユースについても、販売価格改定に取り組むとともに、付加価値品の継続的な市場育成、拡販を進め、特にごま油、サプリ的オイルを伸長させました。一方で、販売数量については、新型コロナウイルス感染症拡大による内食需要増加を背景に販売が大幅に伸長した前年同期と比較し減少したことから、売上高は前年同期を下回りました。
以上の結果、油脂全体の売上高は前年同期を上回りましたが、営業利益は原料価格高騰の影響が大きく、前年同期を下回りました。
<加工油脂>海外加工油脂については、新型コロナウイルス感染症の影響が続いているものの、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において販売が堅調に推移しました。また、パーム油相場の高騰を受けた販売価格の上昇により、売上高は前年同期を上回りました。利益面ではパーム油取引の時価評価の影響等により、営業利益は前年同期を上回りました。
国内加工油脂については、コストに見合った適正価格形成への取組みおよび販売数量の回復により、売上高は前年同期を上回りましたが、利益面では原料価格高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期を下回りました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、調味料やMCT(中鎖脂肪酸)関連商品が伸長しましたが、チョコレート製品等において収益認識基準適用の影響を受けたことから、売上高は前年同期並みとなり、営業利益は前年同期を上回りました。
チョコレートは、土産物を中心とした菓子需要の低迷が続くなか拡販に努めた結果、大東カカオ㈱におけるチョコレート製品の販売数量は前年同期並みを維持しました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.の製菓原料等(調製品)の日本向け販売は減少しました。また、インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoが新規取引の開始により販売数量が増加しました。これらの結果、チョコレート全体では、売上高は前年同期並みとなり、営業利益は前年同期を上回りました。
調味料は「日清ドレッシングダイエット」などの主力商品に加え「日清アマニ油ドレッシング」や「日清えごま油ドレッシング」の拡販等により販売が増加したことから、売上高は前年同期を上回りましたが、販管費の増加により営業利益は前年同期を下回りました。
機能素材・食品はMCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が増加したことから、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
大豆素材・食品では、新商品発売や醸造用ミールの適正価格での販売に努めましたが、収益認識基準適用の影響を受けたことから売上高は前年同期並みとなり、営業利益は前年同期を上回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、中国や欧米を中心とした海外での化粧品原料の販売が回復したこと等により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
ファインケミカル商品について、国内の化粧品原料販売は厳しい状況が続く一方、中国、欧米での需要回復や、クレンジングおよびスキンケア用途での需要獲得により海外向け販売が伸長したことから、売上高、営業利益とも前年同期を上回りました。
環境・衛生は、アルコール製剤が堅調に推移したことから売上高は前年同期並みとなりましたが、利益率の高い製品の販売が減少したこと等により、営業利益は前年同期を下回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントでは、売上高は前年同期を下回りましたが、営業利益は前年同期を上回りました。
地域別売上高
マレーシア、中国等のアジア向け売上高は前年同期比128.9%の218億61百万円となり、欧州、米国等のその他地域への売上高についても、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.における欧州、北米向けの販売が増加したこと等から、前年同期比152.8%の172億32百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前年同期に比べ2.5ポイント増加し20.0%となりました。
②財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ267億11百万円増加し、3,188億65百万円となりました。主な要因は、売上債権が64億14百万円、棚卸資産が165億80百万円、有形固定資産が14億65百万円、投資有価証券が28億41百万円増加した一方で、現金及び預金が14億75百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ195億36百万円増加し、1,584億30百万円となりました。主な要因は、短期借入金が90億38百万円、長期借入金が151億99百万円増加した一方で、流動負債その他(未払金)が63億52百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ71億74百万円増加し、1,604億34百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が22億26百万円、自己株式が30億9百万円、その他の包括利益累計額が31億69百万円増加した一方で、資本剰余金が11億88百万円減少したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ15億90百万円減少し、76億65百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、172億51百万円の支出(前年同期は26億70百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益70億66百万円、減価償却費42億87百万円、仕入債務の増加32億69百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加58億33百万円、棚卸資産の増加156億40百万円、法人税等の支払18億46百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、69億円の支出(前年同期は67億14百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出72億24百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、227億36百万円の収入(前年同期は7億78百万円の支出)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増142億83百万円と長期借入による収入151億52百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出51億29百万円、配当金の支払12億98百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は13億24百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。