四半期報告書-第151期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/09 14:54
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐなか、消費活動を中心に一部持ち直しの動きが見られました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物等のサプライチェーン(供給網)の混乱と供給不安に加え、日米の金利差拡大による急激な円安の進行により、エネルギー価格や原材料価格が高騰しており、今後の企業収益の悪化や消費マインドの低迷が懸念されています。
世界経済においても、全体として新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞からの緩やかな持ち直しが続いています。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻等による国際情勢の緊迫化や中国での経済活動抑制の影響が続くなかで、各国の金融引き締めや物価上昇等による景気の下振れリスクが懸念されています。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでいます。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高95,175138,224+43,048145.2%
営業利益3,3114,967+1,655150.0%
経常利益3,9485,036+1,088127.6%
親会社株主に帰属する
四半期純利益
2,8154,395+1,579156.1%


セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、コロナ禍からの世界経済の回復やロシアのウクライナ侵攻による原材料の供給懸念に加え、急速な為替の円安進行等を背景として原材料価格が一段と高騰するなかで、生産性の向上やコスト削減に最大限努めるとともに、適正な販売価格の形成に努めました。また、付加価値型商品の拡販や新たな市場創造やユーザーの課題解決に注力したことで、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
◆油脂・油糧 (単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高59,77984,611+24,832141.5%
営業利益1,3092,041+732155.9%

[原料の調達環境]
原料の調達面では、主要原料相場が前年同期に対して上昇し、またドル円相場も前年同期に対して円安ドル高で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を大きく上回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、年明け以降、ラニーニャ現象の影響による乾燥により南米産の豊作期待が後退したことから上昇基調に転じ、更に2月のロシアのウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安から1ブッシェルあたり16~17米ドル台の歴史的な高値圏まで上昇、その後も高値圏で推移しました。
菜種相場は、世界的な需給逼迫による歴史的な高値圏での推移が続くなかで、ウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安や、天候不順によるカナダ産新穀の作付遅れ等から上昇基調に転じ、4月には1トンあたり1,200カナダドルと史上最高値を更新する等、高値圏で推移しました。
<為替相場>ドル円相場は、3月以降、日米の金融政策の乖離等により、急激な円安ドル高が進行しました。その後も米国の雇用統計の強さや消費者物価指数の上昇を受けた金融政策正常化の前倒しや、資源価格高騰を背景とした本邦貿易赤字拡大等により、6月に1998年以来の水準となる136円台まで円安ドル高が進行しました。
[油脂の販売]
業務用については、原材料価格が一段と高騰するなかで販売価格の改定に取り組みました。また、「ニーズ協働発掘型」営業によるソリューション提案の強化に取り組み、商品面では重点カテゴリーである長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」の積極的な提案による拡販に努めました。コロナ禍で減少した外食などの需要が一部持ち直すなかで販売数量は増加、販売単価は上昇し、売上高は前年同期を上回りました。
加工用についても、原材料価格が一段と高騰するなか、コストに見合った適正価格での販売に取り組んだことにより、売上高は前年同期を上回りました。
ホームユースについても、価格改定の発表にあわせた販売価格改定に取り組むとともに、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場育成」など、付加価値品の継続的な拡販を進めました。ごま油、オリーブオイル、サプリ的オイルの付加価値品の販売数量が増加したこともあり、売上高は増収となりました。
以上の結果、油脂全体の売上高は増収、営業利益が増益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、搾油数量の増加に伴う拡販により、販売数量は大幅に増加しました。また、南米産の減産に加え、大豆やコーンの世界需給逼迫などを背景とした飼料原料価格上昇に伴う販売単価の上昇により、売上高は前年同期を上回りました。
菜種ミールについては、搾油数量は減少したものの、大豆ミール同様、飼料原料価格の販売価格上昇に伴い販売価格が上昇し、売上高は前年同期を上回りました。
◆加工油脂 (単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高17,60432,318+14,714183.6%
営業利益1,2892,412+1,122187.0%

海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、パーム油相場の高騰に伴う販売価格の上昇や、輸出を中心とした販売数量の増加等により、売上高は増収となりました。また、販売単価の上昇やパーム油取引の時価評価の影響等により、営業利益は増益となりました。
国内加工油脂については、需要が低迷する厳しい状況のなか、急激なコスト上昇を背景とした販売価格の改定や新商品提案等による既存顧客への販売拡大および新規顧客開拓に努めた結果、販売数量は前年同期並みとなり、売上高は増収となりました。営業利益は原材料価格高騰の影響が大きく、減益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高13,09615,441+2,344117.9%
営業利益44066△37315.1%

加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレート等の販売数量が伸長し、また販売価格改定の実勢化により売上高は増収となりましたが、原材料価格の高騰等の影響が大きく、営業利益は減益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、土産物を中心とした菓子需要の回復が遅れるなかで、既存顧客への販売拡大や新規顧客開拓に努めたことで販売数量が増加しました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、日本国内における調製品から国産バターや脱脂粉乳使用への切り替えの影響を受けましたが、乳調整品の販売数量増により、販売数量は前年同期並みとなりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、既存顧客との取引拡大に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により遅れていた新規顧客との取引がスタートしたこともあり、販売数量が増加しました。これらの結果、チョコレート全体で売上高は増収となりましたが、原価率の上昇等により、営業利益は減益となりました。
調味料は、価格改定に伴い需要が減少するなかで、主力商品である「日清ドレッシングダイエット」に加え、オイルに特長をもつ「日清アマニ油ドレッシング」や「日清MCTドレッシングソース」の拡販に努めた結果、売上高は前年同期並みとなったものの、営業利益は原価上昇の影響が大きく、減益となりました。
機能素材・食品は、MCT(中鎖脂肪酸)の機能をメディア、加工食品メーカーならびに流通と連動したプロモーション展開(機能性マーケティング)を積極的に進めました。その結果、「日清MCTオイル」等の販売数量が増加し、また原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたことにより、売上高は前年同期を上回りました。利益面では、原価上昇の影響とプロモーション展開による販管費の増加により営業利益は前年同期を下回りました。
大豆素材・食品は、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めた結果、売上高は増収となりましたが、前期における連結子会社売却の影響等により、営業利益は減益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高4,0525,235+1,182129.2%
営業利益412542+129131.3%

ファインケミカル事業セグメントでは、国内外の需要回復の遅れに伴い販売数量は減少となりましたが、販売価格の改定等により、売上高、営業利益は増収増益となりました。
ファインケミカル製品は、国内の需要回復の遅れや中国でのロックダウンによる需要低迷の影響があったものの、スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.において、欧州域内の経済活動再開に伴い販売が堅調に推移し、特に化粧品原料の販売が増加したことにより、セグメント全体として売上高、営業利益は増収増益となりました。
環境・衛生については、堅調なアルコール製剤の需要により販売数量が増加したことで売上高は増収となりましたが、原材料高騰等の影響が大きく、営業利益は減益となりました。
≪その他≫
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
売上高642617△2596.1%
営業利益59113+54191.0%

情報システムをはじめその他の事業セグメントは、売上高は減収、営業利益は増益となりました。
地域別売上高
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
日本76,512103,056+26,544134.7%
アジア10,88717,740+6,852162.9%
その他7,77617,427+9,651224.1%
海外売上高比率19.6%25.4%-+5.8%

原材料価格の高騰を背景とした販売価格の上昇等から、マレーシア、中国等のアジア向け売上高は増収となりました。販売単価の上昇に加え、Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.における欧州向けの販売が増加したこと等から、欧州、米国等のその他地域への売上高についても増収となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前年同期に比べ5.8ポイント増加し25.4%となりました。
【参考】売上高(単体) (単位:百万円)
前第1四半期
会計期間
当第1四半期
会計期間
増減額前年同期比
油脂
事業
油脂・油糧52,52875,492+22,964143.7%
業務用・加工用19,88031,849+11,968160.2%
ホームユース13,75818,927+5,169137.6%
油糧18,88924,715+5,826130.8%
加工油脂2,2292,962+733132.9%
小計54,75778,455+23,697143.3%
加工食品・素材事業4,4894,825+336107.5%
ファインケミカル事業1,3741,451+76105.6%
その他8585△099.9%
合計60,70784,818+24,110139.7%

②財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ260億90百万円増加し、3,705億97百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が11億1百万円、売上債権が115億51百万円、棚卸資産が78億72百万円、有形固定資産が21億4百万円増加したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ186億6百万円増加し、1,987億99百万円となりました。主な要因は、短期借入金が9億95百万円、長期借入金が151億42百万円増加したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ74億83百万円増加し、1,717億98百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が22億19百万円、その他の包括利益累計額が46億59百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億1百万円減少しましたが、連結子会社の決算期変更に伴う増加21億87百万円があり、90億61百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、117億87百万円の支出(前年同期は122億85百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益60億78百万円、減価償却費23億28百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加92億32百万円、棚卸資産の増加59億14百万円、仕入債務の減少26億47百万円、法人税等の支払9億26百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、11億2百万円の支出(前年同期は42億81百万円の支出)となりました。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入15億5百万円によるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出24億88百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、115億67百万円の収入(前年同期は161億56百万円の収入)となりました。主な内訳は、長期借入による収入150億17百万円によるキャッシュの増加および短期借入金の純減21億69百万円、配当金の支払14億59百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7億33百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績については、2022年5月11日に公表した2023年3月期の業績予想に変更はありません。
なお、国内外の経済・社会活動への影響が大きい新型コロナウイルス感染拡大およびロシアのウクライナ侵攻長期化の影響等、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示いたします。