半期報告書-第153期(2024/04/01-2025/03/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
当中間連結会計期間における世界経済は、これまでの米国を中心とした各国の累積的な金融引き締めの影響もあり景気減速が見られたものの、金融緩和政策への転換等もあり、底堅く推移しました。
日本経済は、物価高により消費マインドは一部に弱い動きが見られたものの、所得・雇用環境の改善を受けて個人消費が持ち直したことに加え、円安を背景としたインバウンド需要が増加したことにより、緩やかに回復しました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでおります。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度からはROICを経営目標に加えて収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度においては、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を経営目標とし、取り組みを進めております。
当中間連結会計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、円安を背景としたインバウンド需要の回復、国内人流の活発化により外食需要や観光需要が回復したことにより業務用および加工用の販売数量は増加しました。しかしながら、オリーブオイルの原価上昇と大豆・菜種の原料価格低下の影響を受けた販売単価低下の影響が大きく減収減益となりました。油脂事業セグメント全体では、加工油脂での増収増益要因があったこともあり、増収減益となりました。
[原料の調達環境]
原料調達面では、ドル円相場が前年同期に対して円安ドル高で推移したものの、大豆相場・菜種相場が前年同期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、米国大豆の順調な生育を受けて豊作期待が高まり、上値の重い取引が続きました。24年の年明け以降は、ブラジル産大豆の減産懸念が後退したことで軟調に推移しました。5月にはブラジル南部での大規模な洪水により12米ドル台まで上昇する局面もありましたが、影響は一時的なものに留まり、8月以降は10米ドルを挟んで推移しました。
菜種相場は、世界需給が改善したことで前年同期を下回って推移しました。4月以降は、カナダ産菜種の生育が概ね順調に推移した一方で、欧州産、豪州産が減産見込みとなり600カナダドル台での取引が続きました。大豆定期の下落や中国によるカナダ産菜種への反ダンピング調査開始の報道を受けると大きく下落する局面もありましたが、いずれも長くは続かず600カナダドルを回復しました。
<為替相場>ドル円相場は、米国の雇用、経済が堅調に推移したことで米国の利下げ見通しが後退し、日米の金利差が意識されたことで円安ドル高となりました。
160円台に到達した4月下旬には、政府、日銀による円買い介入があり、一旦は調整されることとなりましたが、7月初めには37年半ぶりの水準となる161円台まで円安ドル高が進行しました。その後は日銀による円買い介入や米FOMCによる利下げ等により円高ドル安が進行しましたが、前年同期に対しては円安ドル高で推移しました。
[油脂の販売]
業務用については、ニーズ協働発掘型営業により最終製品の品質向上、コスト抑制、生産性向上など、課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では、フライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、メニューの品質を高める炊飯油や麺さばき油をはじめとする「機能性油脂」などの付加価値型商品群の積極的な提案による拡販に努めました。販売面では、7月以降の猛暑、水害等の影響もあり、荷動きがやや伸び悩む局面もありましたが、円安を背景としたインバウンド需要の回復、国内人流の活発化により外食需要や観光需要が回復したことから販売数量は増加しました。原材料価格が下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みましたが、汎用品の販売単価が低下したことにより減収となりました。
加工用については、インバウンド需要等の影響により一部業界にて生産が回復傾向となったことから、販売数量は増加しました。一方、売上高については、販売価格の改定に努めましたが、前年同期比で販売単価が低下したことにより減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」に加え、食用油の酸化を抑えおいしさが長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売し、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。また、原材料価格高騰が続くオリーブオイル等の販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかし、大豆・菜種の原料価格低下を受けた主要品等の販売単価低下に加え、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりにより販売数量も減少したため、減収となりました。
利益面については、汎用品の粗利単価低下およびオリーブオイルにおける原価上昇の影響に加え、物流費の増加もあり国内油脂全体で減益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前年同期比で搾油量がやや減少したことに加え、価格を重視した販売を実施したため、販売数量は若干減少しました。また、ドル円相場は円安ドル高で推移しましたが、大豆粕相場が大きく下落したことで販売単価も低下し、減収となりました。
菜種ミールについては、前年同期比で搾油量が増加したことを受け、適正価格を維持しながら販売拡大に努めた結果、販売数量は増加しましたが、大豆ミール価格低下の影響等から販売単価が低下したことにより、減収となりました。
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州向けおよび国内地場取引先向けの好調な販売により販売数量が前年同期を上回ったことに加え、パーム油相場上昇を受けて販売単価が上昇したことにより増収となりました。利益面については、粗利単価が向上したことにより増益となりました。
国内加工油脂については、厳しいマーケット環境が続く中、積極的な提案活動による採用増加とカカオ脂高騰に伴う代用脂需要増加等により販売数量が増加したことから増収となり、利益面についても、適正価格での販売に努めたことにより増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレートおよび機能素材・食品の適正価格での販売により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において販売数量が増加したことに加えて、原材料価格が高騰するなかコストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、調製品需要の低迷により既存顧客向け販売が前年同期を下回りましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、販売数量は前年同期並みとなりましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。チョコレート全体では主に大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の販売、病院施設における少量高エネルギー食品展開、MCTオイルによる主食のエネルギー強化の啓発を行いました。しかしながら、MCTの原価低下の影響を受けて販売単価が低下したこと等により売上高は減収となりました。一方、営業利益は適正価格での販売により増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、メイク向けを中心に、国内および海外市場での化粧品原料の販売が好調に推移し、増収増益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を継続して進めました。また、メイク製品に加え、スキンケア製品も伸長しており、国内および中国市場での販売が好調に推移しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.においても、潤滑油材が回復傾向にあり、主力の化粧品油剤等も含め順調に推移しました。これらの結果、増収増益となりました。
【参考】売上高(単体)
② 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ54億65百万円減少し、3,879億16百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が44億79百万円、流動資産その他が38億48百万円、有形固定資産が37億2百万円増加した一方で、現金及び預金が23億12百万円、売上債権が106億30百万円、投資有価証券が43億33百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ69億13百万円減少し、1,939億6百万円となりました。主な要因は、短期借入金が55億2百万円増加した一方で、仕入債務が51億83百万円、1年内償還予定の社債が50億円、未払法人税等が7億36百万円、長期借入金が5億53百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ14億47百万円増加し、1,940億10百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が43億54百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が29億7百万円減少したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億40百万円減少し、163億42百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、79億55百万円の収入(前年同期は272億3百万円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前中間純利益114億55百万円、減価償却費50億92百万円、売上債権の減少115億17百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少51億87百万円、棚卸資産の増加33億86百万円、投資有価証券売却益26億63百万円、法人税等の支払45億95百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、39億66百万円の支出(前年同期は67億73百万円の支出)となりました。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入36億30百万円によるキャッシュの増加および投資有価証券の取得による支出6億29百万円、有形固定資産の取得による支出88億63百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、44億24百万円の支出(前年同期は160億25百万円の支出)となりました。主な内訳は、配当金の支払35億68百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は19億13百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績につきましては、2024年5月10日に公表した2025年3月期の業績予想に変更はありません。
なお、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示致します。
(6) その他
当社は、2024年3月13日、ごま油の販売に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。当社は、立入検査を受けたことを厳粛に受け止め、公正取引委員会の調査に全面的に協力してまいります。
なお、調査は継続中であり、現時点では財政状態及び経営成績に及ぼす影響は不明ですが、今後、業績予想の修正が必要となった場合は速やかにお知らせいたします。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
当中間連結会計期間における世界経済は、これまでの米国を中心とした各国の累積的な金融引き締めの影響もあり景気減速が見られたものの、金融緩和政策への転換等もあり、底堅く推移しました。
日本経済は、物価高により消費マインドは一部に弱い動きが見られたものの、所得・雇用環境の改善を受けて個人消費が持ち直したことに加え、円安を背景としたインバウンド需要が増加したことにより、緩やかに回復しました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでおります。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度からはROICを経営目標に加えて収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度においては、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を経営目標とし、取り組みを進めております。
当中間連結会計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円) | ||||
前中間 連結会計期間 | 当中間 連結会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 254,839 | 261,170 | +6,330 | 102.5% |
営業利益 | 11,545 | 10,344 | △1,201 | 89.6% |
経常利益 | 11,132 | 8,913 | △2,219 | 80.1% |
親会社株主に帰属する 中間純利益 | 7,976 | 7,520 | △455 | 94.3% |
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、円安を背景としたインバウンド需要の回復、国内人流の活発化により外食需要や観光需要が回復したことにより業務用および加工用の販売数量は増加しました。しかしながら、オリーブオイルの原価上昇と大豆・菜種の原料価格低下の影響を受けた販売単価低下の影響が大きく減収減益となりました。油脂事業セグメント全体では、加工油脂での増収増益要因があったこともあり、増収減益となりました。
◆油脂・油糧 | (単位:百万円) | |||
前中間 連結会計期間 | 当中間 連結会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 162,110 | 151,034 | △11,076 | 93.2% |
営業利益 | 8,839 | 5,231 | △3,608 | 59.2% |
[原料の調達環境]
原料調達面では、ドル円相場が前年同期に対して円安ドル高で推移したものの、大豆相場・菜種相場が前年同期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、米国大豆の順調な生育を受けて豊作期待が高まり、上値の重い取引が続きました。24年の年明け以降は、ブラジル産大豆の減産懸念が後退したことで軟調に推移しました。5月にはブラジル南部での大規模な洪水により12米ドル台まで上昇する局面もありましたが、影響は一時的なものに留まり、8月以降は10米ドルを挟んで推移しました。
菜種相場は、世界需給が改善したことで前年同期を下回って推移しました。4月以降は、カナダ産菜種の生育が概ね順調に推移した一方で、欧州産、豪州産が減産見込みとなり600カナダドル台での取引が続きました。大豆定期の下落や中国によるカナダ産菜種への反ダンピング調査開始の報道を受けると大きく下落する局面もありましたが、いずれも長くは続かず600カナダドルを回復しました。
<為替相場>ドル円相場は、米国の雇用、経済が堅調に推移したことで米国の利下げ見通しが後退し、日米の金利差が意識されたことで円安ドル高となりました。
160円台に到達した4月下旬には、政府、日銀による円買い介入があり、一旦は調整されることとなりましたが、7月初めには37年半ぶりの水準となる161円台まで円安ドル高が進行しました。その後は日銀による円買い介入や米FOMCによる利下げ等により円高ドル安が進行しましたが、前年同期に対しては円安ドル高で推移しました。
[油脂の販売]
業務用については、ニーズ協働発掘型営業により最終製品の品質向上、コスト抑制、生産性向上など、課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では、フライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、メニューの品質を高める炊飯油や麺さばき油をはじめとする「機能性油脂」などの付加価値型商品群の積極的な提案による拡販に努めました。販売面では、7月以降の猛暑、水害等の影響もあり、荷動きがやや伸び悩む局面もありましたが、円安を背景としたインバウンド需要の回復、国内人流の活発化により外食需要や観光需要が回復したことから販売数量は増加しました。原材料価格が下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みましたが、汎用品の販売単価が低下したことにより減収となりました。
加工用については、インバウンド需要等の影響により一部業界にて生産が回復傾向となったことから、販売数量は増加しました。一方、売上高については、販売価格の改定に努めましたが、前年同期比で販売単価が低下したことにより減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」に加え、食用油の酸化を抑えおいしさが長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売し、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。また、原材料価格高騰が続くオリーブオイル等の販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかし、大豆・菜種の原料価格低下を受けた主要品等の販売単価低下に加え、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりにより販売数量も減少したため、減収となりました。
利益面については、汎用品の粗利単価低下およびオリーブオイルにおける原価上昇の影響に加え、物流費の増加もあり国内油脂全体で減益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前年同期比で搾油量がやや減少したことに加え、価格を重視した販売を実施したため、販売数量は若干減少しました。また、ドル円相場は円安ドル高で推移しましたが、大豆粕相場が大きく下落したことで販売単価も低下し、減収となりました。
菜種ミールについては、前年同期比で搾油量が増加したことを受け、適正価格を維持しながら販売拡大に努めた結果、販売数量は増加しましたが、大豆ミール価格低下の影響等から販売単価が低下したことにより、減収となりました。
◆加工油脂 | (単位:百万円) | |||
前中間 連結会計期間 | 当中間 連結会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 49,306 | 61,199 | +11,892 | 124.1% |
営業利益 | 2,195 | 2,959 | +764 | 134.8% |
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州向けおよび国内地場取引先向けの好調な販売により販売数量が前年同期を上回ったことに加え、パーム油相場上昇を受けて販売単価が上昇したことにより増収となりました。利益面については、粗利単価が向上したことにより増益となりました。
国内加工油脂については、厳しいマーケット環境が続く中、積極的な提案活動による採用増加とカカオ脂高騰に伴う代用脂需要増加等により販売数量が増加したことから増収となり、利益面についても、適正価格での販売に努めたことにより増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円) | ||||
前中間 連結会計期間 | 当中間 連結会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 32,864 | 37,347 | +4,482 | 113.6% |
営業利益 | 121 | 1,483 | +1,361 | - |
加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレートおよび機能素材・食品の適正価格での販売により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において販売数量が増加したことに加えて、原材料価格が高騰するなかコストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、調製品需要の低迷により既存顧客向け販売が前年同期を下回りましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、販売数量は前年同期並みとなりましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。チョコレート全体では主に大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の販売、病院施設における少量高エネルギー食品展開、MCTオイルによる主食のエネルギー強化の啓発を行いました。しかしながら、MCTの原価低下の影響を受けて販売単価が低下したこと等により売上高は減収となりました。一方、営業利益は適正価格での販売により増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円) | ||||
前中間 連結会計期間 | 当中間 連結会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 9,301 | 10,372 | +1,070 | 111.5% |
営業利益 | 622 | 903 | +281 | 145.3% |
ファインケミカル事業セグメントでは、メイク向けを中心に、国内および海外市場での化粧品原料の販売が好調に推移し、増収増益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を継続して進めました。また、メイク製品に加え、スキンケア製品も伸長しており、国内および中国市場での販売が好調に推移しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.においても、潤滑油材が回復傾向にあり、主力の化粧品油剤等も含め順調に推移しました。これらの結果、増収増益となりました。
【参考】売上高(単体)
(単位:百万円) | |||||
前中間 会計期間 | 当中間 会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | ||
油 脂 事 業 | 油脂・油糧 | 146,474 | 135,224 | △11,250 | 92.3% |
業務用・加工用 | 63,468 | 57,910 | △5,558 | 91.2% | |
ホームユース | 37,124 | 34,064 | △3,060 | 91.8% | |
油糧 | 45,881 | 43,249 | △2,631 | 94.3% | |
加工油脂 | 7,129 | 7,536 | +407 | 105.7% | |
小計 | 153,604 | 142,760 | △10,843 | 92.9% | |
加工食品・素材事業 | 10,879 | 10,423 | △456 | 95.8% | |
ファインケミカル事業 | 3,301 | 3,986 | +684 | 120.7% | |
その他 | 191 | 215 | +24 | 112.7% | |
合計 | 167,976 | 157,385 | △10,590 | 93.7% |
② 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ54億65百万円減少し、3,879億16百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が44億79百万円、流動資産その他が38億48百万円、有形固定資産が37億2百万円増加した一方で、現金及び預金が23億12百万円、売上債権が106億30百万円、投資有価証券が43億33百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ69億13百万円減少し、1,939億6百万円となりました。主な要因は、短期借入金が55億2百万円増加した一方で、仕入債務が51億83百万円、1年内償還予定の社債が50億円、未払法人税等が7億36百万円、長期借入金が5億53百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ14億47百万円増加し、1,940億10百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が43億54百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が29億7百万円減少したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億40百万円減少し、163億42百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、79億55百万円の収入(前年同期は272億3百万円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前中間純利益114億55百万円、減価償却費50億92百万円、売上債権の減少115億17百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少51億87百万円、棚卸資産の増加33億86百万円、投資有価証券売却益26億63百万円、法人税等の支払45億95百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、39億66百万円の支出(前年同期は67億73百万円の支出)となりました。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入36億30百万円によるキャッシュの増加および投資有価証券の取得による支出6億29百万円、有形固定資産の取得による支出88億63百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、44億24百万円の支出(前年同期は160億25百万円の支出)となりました。主な内訳は、配当金の支払35億68百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は19億13百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績につきましては、2024年5月10日に公表した2025年3月期の業績予想に変更はありません。
なお、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示致します。
(6) その他
当社は、2024年3月13日、ごま油の販売に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。当社は、立入検査を受けたことを厳粛に受け止め、公正取引委員会の調査に全面的に協力してまいります。
なお、調査は継続中であり、現時点では財政状態及び経営成績に及ぼす影響は不明ですが、今後、業績予想の修正が必要となった場合は速やかにお知らせいたします。