有価証券報告書-第147期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や内外需要の底堅さを背景とした企業収益の好調さなどにより、緩やかに回復しているものの、実質所得の伸び悩みなどに伴い個人消費は依然として力強さを欠くとともに、海外経済の減速を背景とした輸出の低迷が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、2017年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当連結会計年度の業績としましては、売上高は前期比101.5%の3,430億59百万円となり、利益面では営業利益が129億48百万円と前期比142.3%、経常利益が同147.9%の137億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同130.5%の90億44百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前期比107.1%の2,384億96百万円となり、営業利益は前期比236.8%の75億46百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、為替は前期比で円高ドル安の水準となったものの、主要原料相場が5月頃まで高値圏で推移したこと等から、大豆価格、菜種価格ともに前期並みの水準となりました。
<主要原料相場>大豆相場は、アルゼンチン産大豆の乾燥天候による大幅な減産や米国産大豆の作付遅延などを背景に、5月頃まで1ブッシェルあたり10米ドルを超える高値圏で推移するとともに、菜種相場についても、カナダの乾燥天候による作付遅延の懸念や、大豆相場の動きを受けて、5月頃まで高値圏で推移しました。6月に入ると米国産大豆の豊作見通しや米中貿易摩擦の影響を受けて大豆の価格が大きく下落し、その後は米中貿易摩擦を巡る見通しの変化や、産地における生育や収穫の進捗状況等の影響を受けながら不安定な値動きとなりました。
<為替相場>ドル円相場は、2018年3月頃にかけて日銀の金融緩和縮小の観測や、米国の保護主義的な関税政策への懸念を背景に円高ドル安で推移しました。4月以降は、米国経済の好調などを背景に円安傾向での推移となりました。その後は米国中間選挙や米中貿易摩擦を巡る不透明感などからドルの上値の重い状況が続き、前期との比較においては、円高ドル安の水準となりました。
[ミールの販売]
飼料用原料の需要が世界的に堅調に推移する中、アルゼンチンの大豆減産等を背景にシカゴ大豆ミール相場が上昇、それに伴い国内の大豆ミール販売価格が上昇したことから、売上高は前期を上回りました。
<大豆ミール>世界的な人口増加や生活水準向上などを背景に、アジアを中心とした畜産需要は継続的に拡大しており、大豆ミールを含めた飼料用原料の需要は堅調に推移しました。これらを背景にシカゴ大豆ミール相場は、年初から春にかけて大豆ミールの主要輸出国であるアルゼンチンの大幅な大豆減産の影響を受けて大きく上昇、その後は、米国大豆の豊作や中国の飼料需要低迷等を背景に下落しました。このような環境を受けて、国内配合飼料における需要は前期並みとなったものの、適正価格での拡販に努め、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
<菜種ミール>配合飼料における菜種ミールの配合率が漸減となるなか、競合する配合飼料原料価格の影響を受けながらも、日本国内における菜種ミール需給のひっ迫感などを背景に、大豆ミール価格の上昇に合わせた適正価格での販売に努め、売上高は前期を上回りました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、原材料コストに見合った適正価格での販売や、付加価値品の拡販などにより売上高、利益ともに前期を上回りました。
<油脂等>ホームユースにつきましては、オリーブオイル、ごま油、アマニ油などの付加価値品の継続的な拡販に取り組むとともに、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。贈答用詰合セットにつきましては、ギフト市場全体が縮小する厳しい環境の中、オリーブオイル系のギフト商品などの販売が堅調に推移しました。
業務用につきましては、中食・外食向けを中心に、機能性油脂を含めた新規取引の開拓に取り組み、好調に推移しました。
加工用につきましては、食用油における既存取引先との取引領域拡大や、新規取引の拡大に取り組むとともに、原材料コストに見合う適正価格での販売に努めました。また、大豆たん白についても、既存取引先への販売が堅調に推移するとともに、新規取引の開拓についても好調に推移しました。
<加工食品>ドレッシングにおいて「日清ドレッシングダイエット」などの主力商品の販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。また、子会社のもぎ豆腐店㈱においても、豆腐類の販売が堅調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前期比88.3%の823億9百万円となり、営業利益は前期比86.9%の39億88百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、加工食品メーカー向けの油脂販売が前期を上回るとともに、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品においても、原材料コストに見合った適正価格での販売に努めました。また、T.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)の販売も増加し、国内加工油脂全体では、売上高、営業利益ともに堅調に推移しました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、マレーシアの海外子会社のIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、欧州向けの付加価値品の販売は概ね堅調に推移したものの、マレーシア国内向けの販売が前期に対して減少したことから、数量、売上高ともに前期を下回りました。また、コスト面でも、ユーティリティーコストの上昇に加えて、パーム油相場や為替の変動による影響などもあり、営業利益についても前期を下回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前期比103.4%の186億99百万円となり、営業利益は前期比111.9%の15億54百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、アジア、欧州向け等の輸出販売につきましては、海外経済の減速の影響等から前期並みとなりましたが、国内販売につきましては、旺盛な需要を受けて好調に推移しました。また、中国の販売子会社である日清奥利友(上海)国際貿易有限公司における中国国内向け販売も好調に推移し、売上高については前期を上回りましたが、原価の上昇もあり、営業利益については前期並みとなりました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、MCTの販売が前期を下回りましたが、化学品における拡販等により売上高は前期並みとなりました。また、営業利益については、適正価格での販売に努めた結果、前期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前期比90.1%の35億54百万円となり、営業利益は前期比88.8%の4億2百万円となりました。
≪地域別売上高≫
地域別売上高につきましては、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.の売上高が前期と比べて減少したことなどに伴い、マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前期比87.2%の365億65百万円となり、欧州、米国などのその他地域への売上高についても前期比86.7%の253億49百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前期に比べ3.0ポイント減少し18.0%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ77億63百万円減少し、131億40百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、207億18百万円の増加となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益131億48百万円、減価償却費70億14百万円、たな卸資産の減少53億86百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少26億43百万円、法人税等の支払額23億72百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、112億70百万円の減少となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出102億16百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億67百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、169億49百万円の減少となりました。主な内訳は、短期借入金の純減45億82百万円、長期借入金の返済による支出106億75百万円、配当金の支払22億22百万円によるキャッシュの減少であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の分析等
当社グループの連結売上高は、前期比101.5%の3,430億59百万円となりました。
セグメント別では、油脂・油糧および加工食品事業が前期比107.1%の2,384億96百万円、加工油脂事業につきましては前期比88.3%の823億9百万円、ファインケミカル事業につきましては前期比103.4%の186億99百万円、その他の事業につきましては前期比90.1%の35億54百万円となりました。
利益面については、原材料価格等のコストが低下したことに加え、適正な販売価格の維持・形成、付加価値品の拡販などにより、営業利益は前期比142.3%の129億48百万円、経常利益は前期比147.9%の137億16百万円となりました。
特別損失として減損損失等を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比130.5%の90億44百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替相場の変動、原材料国際価格の変動等があります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ64億47百万円減少し、2,652億85百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が49億61百万円増加した一方で、現金及び預金が36億24百万円、有価証券が46億円、たな卸資産が58億76百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ141億86百万円減少し、1,161億85百万円となりました。主な要因は、仕入債務が27億69百万円、短期借入金が155億52百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ77億39百万円増加し、1,490億99百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が68億22百万円増加したことであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要について、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資本的支出としては、ファインケミカル事業における化成品工場および製造設備、水島工場における搾油製造設備等の予定があります。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ77億63百万円減少して131億40百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益などによるキャッシュの増加により207億18百万円の収入(前連結会計年度は56億67百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により112億70百万円の支出(前連結会計年度は107億95百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出などによるキャッシュの減少により169億49百万円の支出(前連結会計年度は117億76百万円の収入)となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2019年3月31日)
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況は、次のとおりであります。
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂・油糧および加工食品事業において8億69百万円増加、加工油脂事業において8億10百万円減少、ファインケミカル事業において13億94百万円増加、その他の事業において78百万円増加しました。
セグメント別の利益では、前年同期と比較し油脂・油糧および加工食品事業において43億59百万円増加、加工油脂事業において6億1百万円減少、ファインケミカル事業において1億65百万円増加、その他の事業において50百万円減少しました。
なお、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 「基本方針」2.具体的取組みの内容の概要」に記載しております。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や内外需要の底堅さを背景とした企業収益の好調さなどにより、緩やかに回復しているものの、実質所得の伸び悩みなどに伴い個人消費は依然として力強さを欠くとともに、海外経済の減速を背景とした輸出の低迷が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループでは、2017年度から中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当連結会計年度の業績としましては、売上高は前期比101.5%の3,430億59百万円となり、利益面では営業利益が129億48百万円と前期比142.3%、経常利益が同147.9%の137億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同130.5%の90億44百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業につきましては、売上高は前期比107.1%の2,384億96百万円となり、営業利益は前期比236.8%の75億46百万円となりました。
原料・油糧の状況および油脂・加工食品の販売状況は以下のとおりです。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、為替は前期比で円高ドル安の水準となったものの、主要原料相場が5月頃まで高値圏で推移したこと等から、大豆価格、菜種価格ともに前期並みの水準となりました。
<主要原料相場>大豆相場は、アルゼンチン産大豆の乾燥天候による大幅な減産や米国産大豆の作付遅延などを背景に、5月頃まで1ブッシェルあたり10米ドルを超える高値圏で推移するとともに、菜種相場についても、カナダの乾燥天候による作付遅延の懸念や、大豆相場の動きを受けて、5月頃まで高値圏で推移しました。6月に入ると米国産大豆の豊作見通しや米中貿易摩擦の影響を受けて大豆の価格が大きく下落し、その後は米中貿易摩擦を巡る見通しの変化や、産地における生育や収穫の進捗状況等の影響を受けながら不安定な値動きとなりました。
<為替相場>ドル円相場は、2018年3月頃にかけて日銀の金融緩和縮小の観測や、米国の保護主義的な関税政策への懸念を背景に円高ドル安で推移しました。4月以降は、米国経済の好調などを背景に円安傾向での推移となりました。その後は米国中間選挙や米中貿易摩擦を巡る不透明感などからドルの上値の重い状況が続き、前期との比較においては、円高ドル安の水準となりました。
[ミールの販売]
飼料用原料の需要が世界的に堅調に推移する中、アルゼンチンの大豆減産等を背景にシカゴ大豆ミール相場が上昇、それに伴い国内の大豆ミール販売価格が上昇したことから、売上高は前期を上回りました。
<大豆ミール>世界的な人口増加や生活水準向上などを背景に、アジアを中心とした畜産需要は継続的に拡大しており、大豆ミールを含めた飼料用原料の需要は堅調に推移しました。これらを背景にシカゴ大豆ミール相場は、年初から春にかけて大豆ミールの主要輸出国であるアルゼンチンの大幅な大豆減産の影響を受けて大きく上昇、その後は、米国大豆の豊作や中国の飼料需要低迷等を背景に下落しました。このような環境を受けて、国内配合飼料における需要は前期並みとなったものの、適正価格での拡販に努め、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
<菜種ミール>配合飼料における菜種ミールの配合率が漸減となるなか、競合する配合飼料原料価格の影響を受けながらも、日本国内における菜種ミール需給のひっ迫感などを背景に、大豆ミール価格の上昇に合わせた適正価格での販売に努め、売上高は前期を上回りました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、原材料コストに見合った適正価格での販売や、付加価値品の拡販などにより売上高、利益ともに前期を上回りました。
<油脂等>ホームユースにつきましては、オリーブオイル、ごま油、アマニ油などの付加価値品の継続的な拡販に取り組むとともに、「日清ヘルシーオフ」などの機能性の高い油脂についても引き続き販売の拡大に努め、好調に推移しました。贈答用詰合セットにつきましては、ギフト市場全体が縮小する厳しい環境の中、オリーブオイル系のギフト商品などの販売が堅調に推移しました。
業務用につきましては、中食・外食向けを中心に、機能性油脂を含めた新規取引の開拓に取り組み、好調に推移しました。
加工用につきましては、食用油における既存取引先との取引領域拡大や、新規取引の拡大に取り組むとともに、原材料コストに見合う適正価格での販売に努めました。また、大豆たん白についても、既存取引先への販売が堅調に推移するとともに、新規取引の開拓についても好調に推移しました。
<加工食品>ドレッシングにおいて「日清ドレッシングダイエット」などの主力商品の販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き好調に推移しました。また、子会社のもぎ豆腐店㈱においても、豆腐類の販売が堅調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業につきましては、売上高は前期比88.3%の823億9百万円となり、営業利益は前期比86.9%の39億88百万円となりました。
国内および海外の状況は以下のとおりです。
[国内加工油脂]
国内加工油脂は、加工食品メーカー向けの油脂販売が前期を上回るとともに、子会社の大東カカオ㈱におけるチョコレート製品においても、原材料コストに見合った適正価格での販売に努めました。また、T.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)の販売も増加し、国内加工油脂全体では、売上高、営業利益ともに堅調に推移しました。
[海外加工油脂]
海外加工油脂は、マレーシアの海外子会社のIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品の販売において、欧州向けの付加価値品の販売は概ね堅調に推移したものの、マレーシア国内向けの販売が前期に対して減少したことから、数量、売上高ともに前期を下回りました。また、コスト面でも、ユーティリティーコストの上昇に加えて、パーム油相場や為替の変動による影響などもあり、営業利益についても前期を下回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業につきましては、売上高は前期比103.4%の186億99百万円となり、営業利益は前期比111.9%の15億54百万円となりました。
化粧品原料および食品・化学品その他の販売状況は以下のとおりです。
[化粧品原料]
化粧品原料は、アジア、欧州向け等の輸出販売につきましては、海外経済の減速の影響等から前期並みとなりましたが、国内販売につきましては、旺盛な需要を受けて好調に推移しました。また、中国の販売子会社である日清奥利友(上海)国際貿易有限公司における中国国内向け販売も好調に推移し、売上高については前期を上回りましたが、原価の上昇もあり、営業利益については前期並みとなりました。
[食品・化学品その他]
食品・化学品その他は、MCTの販売が前期を下回りましたが、化学品における拡販等により売上高は前期並みとなりました。また、営業利益については、適正価格での販売に努めた結果、前期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前期比90.1%の35億54百万円となり、営業利益は前期比88.8%の4億2百万円となりました。
≪地域別売上高≫
地域別売上高につきましては、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.の売上高が前期と比べて減少したことなどに伴い、マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前期比87.2%の365億65百万円となり、欧州、米国などのその他地域への売上高についても前期比86.7%の253億49百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前期に比べ3.0ポイント減少し18.0%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ77億63百万円減少し、131億40百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、207億18百万円の増加となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益131億48百万円、減価償却費70億14百万円、たな卸資産の減少53億86百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少26億43百万円、法人税等の支払額23億72百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、112億70百万円の減少となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出102億16百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億67百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、169億49百万円の減少となりました。主な内訳は、短期借入金の純減45億82百万円、長期借入金の返済による支出106億75百万円、配当金の支払22億22百万円によるキャッシュの減少であります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 5,667 | 20,718 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △10,795 | △11,270 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 11,776 | △16,949 |
現金及び現金同等物の増減額(△減少) | 6,908 | △7,763 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 20,903 | 13,140 |
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
油脂・油糧および加工食品事業 | 153,633 | 101.5 |
加工油脂事業 | 78,248 | 87.7 |
ファインケミカル事業 | 15,041 | 102.4 |
その他 | 249 | 85.6 |
合計 | 247,172 | 96.7 |
(注) 1 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
油脂・油糧および加工食品事業 | 238,496 | 107.1 |
加工油脂事業 | 82,309 | 88.3 |
ファインケミカル事業 | 18,699 | 103.4 |
その他 | 3,554 | 90.1 |
合計 | 343,059 | 101.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の分析等
当社グループの連結売上高は、前期比101.5%の3,430億59百万円となりました。
セグメント別では、油脂・油糧および加工食品事業が前期比107.1%の2,384億96百万円、加工油脂事業につきましては前期比88.3%の823億9百万円、ファインケミカル事業につきましては前期比103.4%の186億99百万円、その他の事業につきましては前期比90.1%の35億54百万円となりました。
利益面については、原材料価格等のコストが低下したことに加え、適正な販売価格の維持・形成、付加価値品の拡販などにより、営業利益は前期比142.3%の129億48百万円、経常利益は前期比147.9%の137億16百万円となりました。
特別損失として減損損失等を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比130.5%の90億44百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替相場の変動、原材料国際価格の変動等があります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ64億47百万円減少し、2,652億85百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が49億61百万円増加した一方で、現金及び預金が36億24百万円、有価証券が46億円、たな卸資産が58億76百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ141億86百万円減少し、1,161億85百万円となりました。主な要因は、仕入債務が27億69百万円、短期借入金が155億52百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ77億39百万円増加し、1,490億99百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が68億22百万円増加したことであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要について、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資本的支出としては、ファインケミカル事業における化成品工場および製造設備、水島工場における搾油製造設備等の予定があります。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ77億63百万円減少して131億40百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益などによるキャッシュの増加により207億18百万円の収入(前連結会計年度は56億67百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により112億70百万円の支出(前連結会計年度は107億95百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出などによるキャッシュの減少により169億49百万円の支出(前連結会計年度は117億76百万円の収入)となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2019年3月31日)
1年以内 (百万円) | 1年超 (百万円) | |
短期借入金 | 4,918 | - |
社債 | 5,000 | 20,000 |
長期借入金 | 375 | 15,393 |
リース債務 | 264 | 894 |
合計 | 10,557 | 36,287 |
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況は、次のとおりであります。
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂・油糧および加工食品事業において8億69百万円増加、加工油脂事業において8億10百万円減少、ファインケミカル事業において13億94百万円増加、その他の事業において78百万円増加しました。
セグメント別の利益では、前年同期と比較し油脂・油糧および加工食品事業において43億59百万円増加、加工油脂事業において6億1百万円減少、ファインケミカル事業において1億65百万円増加、その他の事業において50百万円減少しました。
なお、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 「基本方針」2.具体的取組みの内容の概要」に記載しております。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。