四半期報告書-第149期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/09 15:19
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、極めて厳しい環境にあります。外出自粛や訪日観光客の減少により国内消費が落ち込み、一部GoToキャンペーン等による持ち直しもありましたが、依然として外食業・観光業をはじめ、厳しい状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大に伴い、各国で景気が大幅に悪化しております。ワクチンの接種が一部の国で開始されておりますが、収束までには相当の時間が見込まれるとともに、変異種の拡大による感染者急増が懸念されます。また、米中対立に伴う貿易摩擦等のリスク要因もあり、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループは、2017年度に中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートさせ、事業構造改革を継承しつつ、より成長路線に軸足を移すことを基本方針とし、具体的な経営目標の実現に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期比98.0%の2,515億65百万円となり、利益面では営業利益が前年同期比97.0%の125億4百万円、経常利益が同102.8%の130億60百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同105.6%の89億87百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた内食需要の高まりによるホームユース商品の販売増、および各セグメントにおける付加価値品の伸長はあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う業務用商品等の販売減の影響が大きく、売上高は前年同期を下回りました。利益面では、コストに見合った適正価格の維持・形成、付加価値品の拡販に継続的に取り組むなど、収益の改善を図りました。また加工油脂事業セグメントにおいてパーム油取引の時価評価益を計上いたしました。しかしながら、販売減や物流費単価上昇等による減益要因を補うことができず、営業利益は前年同期を下回りました。なお、経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益は、持分法投資損益が改善したことから、前年同期を上回りました。
・売上高 (単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂・油糧
および加工食品事業
180,210177,004△3,20598.2%
加工油脂事業59,37759,518140100.2%
ファインケミカル事業14,30012,991△1,30890.8%
その他2,7202,051△66975.4%
合計256,609251,565△5,04498.0%

・営業利益 (単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額前年同期比
油脂・油糧
および加工食品事業
7,6939,2911,598120.8%
加工油脂事業4,2072,710△1,49664.4%
ファインケミカル事業1,248978△27078.4%
その他198△21△220-
セグメント間消去・調整△462△4548-
合計12,88512,504△38197.0%


セグメント別の概況
≪油脂・油糧および加工食品事業≫
油脂・油糧および加工食品事業セグメントでは、外食需要の減少による業務用商品の販売減により売上高は前年同期を下回りましたが、ホームユース商品や付加価値品の販売増等により、営業利益は前年同期を上回りました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、以下の要因により原料価格は前年同期並みの水準となりました。
<主要原料相場>大豆相場は、新型コロナウイルス感染症の影響による穀物需要の減少懸念等から1ブッシェルあたり8米ドル~9米ドル台で推移していました。その後、各国の経済活動再開による需要回復期待や中国による旺盛な米国産大豆の買付、降雨不足による米国の収穫量減少見通し等を受け、夏場以降上昇基調となったことにより、前年同期に対してやや高い水準で推移しました。
菜種相場は、中国向けカナダ産菜種輸出量が回復していないことや、新型コロナウイルス感染症の影響による穀物需要の減少懸念等によって、上値の重い展開となっていましたが、大豆相場・原油相場の上昇や欧州産菜種不作の影響等を受け、夏場以降上昇基調となったことにより、前年同期に対してやや高い水準で推移しました。
<為替相場>ドル円相場は、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大や米国大統領選挙等の影響により、値動きの荒い展開となりましたが、リスク回避の円買いや米国の大規模な金融緩和政策等を受けて、前年同期に対して円高水準で推移しました。
[ミールの販売]
大豆ミール相場は、軟調に推移していましたが、中国での経済回復とASF(アフリカ豚熱)沈静化に伴う飼料用需要回復や大豆相場上昇に連動して上昇基調となり、大豆ミールの販売価格は前年同期並みとなりました。販売数量は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う国内油脂需要の減少により搾油量が減少したことから前年同期を下回りました。この結果、大豆ミールの売上高は前年同期を下回りました。
菜種ミールは、国内油脂需要の減少に伴う国内搾油量の減少により配合飼料配合率が漸減する環境下ではありましたが、販売価格ならびに販売数量の維持に努め、売上高は前年同期並みとなりました。
[油脂・加工食品の販売]
油脂・加工食品の販売は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う厳しい環境のなか、売上高は前年同期を下回りましたが、付加価値品の販売が伸長した結果、営業利益は前年同期を上回りました。
<油脂等>業務用につきましては、「ニーズ協働発掘型」営業による新規取引の開拓を継続し、「日清炊飯油」「日清炒め油」「日清吸油が少ない長持ち油」等の機能性油脂の拡販にも取り組みました。GoToキャンペーン等により、外食需要、観光需要の減少傾向が一時持ち直したものの、売上高は前年同期を下回りました。
ホームユースにつきましては、付加価値品の継続的な市場育成、拡販に取り組み、特にごま油、サプリ的オイルを伸長させ、「日清ヘルシーオフ」等の機能性の高い油脂についても引き続き販売を拡大させました。また新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要拡大もあり、売上高は前年同期を上回りました。
加工用につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要減少を受けましたが、コストに見合った価格での販売、新規取引の獲得に努めたことで、売上高は前年同期を上回りました。大豆たん白につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要減少を受け、売上高は前年同期を下回りました。
<加工食品>ドレッシングにつきましては、新商品のマヨネーズタイプ「日清えごま油日和」や「日清えごま油ドレッシング」等により販売が増加し、ウェルネス食品についても、MCT(中鎖脂肪酸)関連商品の販売が引き続き堅調に推移しました。
≪加工油脂事業≫
加工油脂事業セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要の減少があったものの、拡販に努めたことから売上高は前年同期並みとなりました。付加価値品の販売減や原料価格の高騰に伴う減益要因を最小限にとどめるべく、コストに見合った適正価格の維持・形成や、経費の削減等を行いましたが、営業利益については前年同期を下回りました。
マーガリンやショートニング、大東カカオ㈱におけるチョコレート製品については、主に外食・土産菓子需要の減少から売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.における製菓原料等(調製品)については、日本向け輸出が堅調に推移したこと等により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.におけるパーム加工品では、欧州向け付加価値品の販売が落ち込みましたが、マレーシア国内への拡販等により、売上高は前年同期を上回りました。利益面では、原料価格の高騰による減益要因を最小限にとどめるべくコストに見合った適正価格の維持・形成に努め、またパーム油取引の時価評価益の計上もありましたが、欧州向け付加価値品の販売の落ち込み等が影響し、営業利益は前年同期を下回りました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、MCT等の付加価値品や、アルコール製剤の拡販に努めましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大による化粧品原料の需要減少により、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
<化粧品原料>化粧品原料は、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出頻度の低下やマスク着用の常態化に伴うアジア・欧州での化粧品需要の減少、訪日観光客によるインバウンド需要の減少等により、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
<食品・化学品その他>食品・化学品その他は、MCT等の付加価値品が伸長し、セッツ㈱においても、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、アルコール製剤の販売が拡大しました。これらの結果、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントでは、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
地域別売上高
マレーシア、中国などのアジア向け売上高は前年同期比119.9%の261億94百万円となりましたが、欧州、米国などのその他地域への売上高は、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における欧州向けの販売が前年に比べて減少したことから、前年同期比87.4%の176億51百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前年同期に比べ1.0ポイント増加し17.4%となりました。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ145億10百万円増加し、2,919億35百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が117億63百万円、有価証券が20億円減少した一方で、売上債権が154億7百万円、たな卸資産が44億26百万円、有形固定資産が53億49百万円、投資有価証券が32億7百万円増加したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ78億13百万円増加し、1,359億13百万円となりました。主な要因は、仕入債務が65億48百万円増加したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ66億97百万円増加し、1,560億22百万円となりました。主な要因は、非支配株主持分が13億28百万円減少した一方で、利益剰余金が62億93百万円、その他の包括利益累計額が16億20百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ137億25百万円減少し、98億26百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、2億35百万円の支出(前年同期は75億97百万円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益128億90百万円、減価償却費60億9百万円、仕入債務の増加66億47百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加155億12百万円、たな卸資産の増加48億35百万円、法人税等の支払43億23百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、98億87百万円の支出(前年同期は107億23百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出95億44百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、33億59百万円の支出(前年同期は27億40百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増7億88百万円によるキャッシュの増加および配当金の支払26億73百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出9億円によるキャッシュの減少であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は18億42百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。