有価証券報告書-第152期(2023/04/01-2024/03/31)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、株高などを背景にした好調な個人消費を中心に米国経済の底堅さが見られましたが、累積的な金融引き締めの影響などもあり、景気の減速が懸念されております。
また、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、外食や旅行を中心に消費は回復したものの、エネルギーコストや原材料価格の高騰を背景とした物価上昇により全体として弱い動きとなりました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでおります。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度にはROICを経営目標に加え、収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度においては、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を経営目標とし、取り組みを進めております。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。
(注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。
ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷
[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ189億29百万円増加し、3,933億82百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が73億97百万円、売上債権が23億48百万円、有形固定資産が40億84百万円、投資有価証券が121億58百万円増加した一方で、棚卸資産が84億26百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ22億14百万円減少し、2,008億20百万円となりました。主な要因は、1年内償還予定の社債が100億円、未払金が31億73百万円、未払費用が16億31百万円、未払法人税等が11億88百万円、長期借入金が43億18百万円、リース債務(固定)が15億7百万円増加した一方で、仕入債務が32億89百万円、短期借入金が181億86百万円、社債が50億円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ211億43百万円増加し、1,925億62百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が107億50百万円、その他の包括利益累計額が93億7百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ67億40百万円増加しましたが、会社分割に伴う減少11億56百万円があり、164億83百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、367億15百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益211億69百万円、減価償却費92億87百万円、棚卸資産の減少100億22百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加12億86百万円、仕入債務の減少42億74百万円、法人税等の支払50億25百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、160億83百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出147億63百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、145億86百万円の支出となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入50億64百万円、社債発行による収入50億円によるキャッシュの増加および短期借入金の純減186億53百万円、長期借入金の返済による支出9億47百万円、配当金の支払43億78百万円によるキャッシュの減少であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績および財政状態の分析
当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において107億41百万円増加、加工食品・素材事業において59億15百万円増加、ファインケミカル事業において11億38百万円増加しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
・売上高
・[参考]売上高(単体)
・営業利益
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、天候不順による原料の減産懸念や円安ドル高の進行があるものの、原材料価格が一時期のピークから下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力しました。この結果、油脂事業セグメント全体では、ミールの販売数量の減少、国内油脂および海外加工油脂の販売単価下落等により減収となりましたが、国内油脂における適正価格での販売等により増益となりました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前期に対して円安ドル高で推移したものの、主要原料である大豆・菜種の相場が前期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、4月以降ブラジル産の豊作見通しや米国産の作付が順調に進んだことで軟調に推移しましたが、米国の作付面積減少や生産地の高温乾燥から7月には15米ドル台まで上昇しました。その後、収穫期を迎え9月には一旦下落しましたが、ブラジル産の作付けが始まるとエルニーニョ現象による減産懸念が高まり10月以降は再び上昇しました。徐々に減産懸念が後退すると年明けからは軟化し2024年2月には11米ドル台まで下落、その後も12米ドル前後で推移しました。
菜種相場は、4月以降カナダ産の生産量回復、豪州産の豊作等、世界需給改善により軟調に推移しました。
7月には高温乾燥により800カナダドル半ばまで上昇しましたが、収穫期へ向けて天候が改善したことや他油種に連れ安となり、12月には600カナダドル半ばまで下落しました。年明けからは独自材料に乏しい中、大豆に連れ安となり2024年2月に570カナダドル台まで下落した後、パーム相場や原油相場の上昇に連れて600カナダドル台を回復しました。
<為替相場>ドル円相場は、一昨年の10月に150円台まで円安ドル高が進行した後、米国の利上げ停止と日本の大規模金融緩和政策転換が意識されたことで、1月には130円割れまで円高ドル安となりました。しかしながら日米ともに金融政策の方向性に変更がないことから6月には140円台、10月には150円台まで円安ドル高となりました。その後、米国の追加利上げ期待の後退、日銀による早期のマイナス金利解除観測が高まり、年末には140円台前半まで円高ドル安が進行しました。しかし、こうした動きは長く続かず、年明けからは日米金利差を意識した取引へと戻り、2024年2月には150円台を回復しました。
[油脂の販売]
業務用については、原材料価格が前期と比較し下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、「ニーズ協働発掘型営業」により、「最終製品の品質向上」「コスト抑制」「生産性の向上」などの課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面ではフライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、メニューの品質を高める炊飯油や麺さばき油などの「機能性油脂」など、「付加価値型商品群」の積極的な提案による拡販に努めました。新型コロナウイルス感染症の5類への移行により外食需要や観光需要が回復し、販売数量は前期を上回りましたが、販売単価が下回ったことで減収となりました。
加工用については、原料相場に見合った商売を進めるも物価上昇を背景とした消費マインドの低下による各業界での生産減により、販売数量が前期を下回り、減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」などの拡販により、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。また、オリーブオイルなどの原材料価格高騰が続くなか、販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めましたが、販売単価が前期を下回ったことに加え、物価上昇による生活防衛意識の高まりの影響を受けて販売数量が前期を下回ったことから、減収となりました。
以上の結果、国内油脂全体では売上高は減収となりましたが、油脂コストが低下するなか、粗利単価が改善したことで増益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、シカゴ大豆粕定期は前年並みでしたが、ドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売価格は上昇しました。一方、搾油量の減少により販売数量は減少し、売上高は減収となりました。
菜種ミールについては、搾油量は前年並みとなりましたが、配合飼料への配合率が上昇せず販売数量は減少しました。また、菜種ミール需給が緩和した影響から販売価格は下落し、売上高は減収となりました。
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、輸出向けが若干減少したものの、国内地場取引先向けの販売が好調に推移したこともあり、全体の販売数量は前年を上回りました。一方、パーム油相場の下落に伴い販売価格が下落したことで減収となり、またパーム油時価評価益の減少などもあり、減益となりました。
イタリアのIntercontinental Specialty Fats(Italy)S.r.l.においては、既存顧客への拡販や新規顧客の獲得により増収となりました。また、利益面では前期のロシアのウクライナ侵攻によるパーム油の需要増に対する反動減があったものの、既存顧客や新規顧客への拡販により、増益となりました。
国内加工油脂については、物価高に伴う消費者の節約志向の定着化や取引先製品のダウンサイズ化・油脂使用量減少といった厳しい状況が続くなか、新規販売先の拡大および既存顧客での新規商品採用、コストに見合った適正価格での販売と継続的なコスト改善への取り組みにより、増収増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響があったものの、チョコレート製品における販売数量増および適正な販売価格への改定により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う土産市場の需要回復や製パン市場向け調製品の需要回復等により、販売数量は前期を上回りました。また、原材料価格やエネルギーコストが上昇するなか、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めたことにより、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.およびインドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、販売数量は前年並みとなりました。チョコレート全体では大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
調味料は、ドレッシングの販売数量は前年を上回ったものの、原価率上昇や販管費増加の影響が大きく、増収減益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めました。原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、販管費の増加等により、増収減益となりました。
大豆素材・食品は、大豆たん白等の販売において原材料価格の上昇に対する適正価格での販売により、増収増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い国内、中国市場での販売は好調に推移しました。一方、スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.では、前期は新型コロナウイルス感染症対策緩和に伴う特需がありましたが、当期はその反動の影響が大きく、減収減益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を進めました。国内化粧品向け需要は回復の兆しを見せています。また、中国市場ではコロナ禍からの回復による販売数量増により増収増益となりました。一方、欧州においては長引くインフレがようやく収束に向かい市場も回復しつつあるものの、昨年好調だったIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.の販売数量減の影響が大きく、減収減益となりました。
環境・衛生については、アルコール製剤の需要減少により販売数量が減少し、また販売価格の改定を進めたものの、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、減収減益となりました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントは、減収増益となりました。
≪地域別売上高≫
パーム油相場の下落を背景とした海外加工油脂製品の販売価格下落等の影響により、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は減収となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ67億40百万円増加しましたが、会社分割に伴う減少11億56百万円があり、164億83百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や棚卸資産の減少によるキャッシュの増加および売上債権の増加や仕入債務の減少や法人税等の支払によるキャッシュの減少により367億15百万円の収入(前連結会計年度は3億98百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により160億83百万円の支出(前連結会計年度は61億43百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入や社債発行による収入などによるキャッシュの増加および短期借入金の純減と長期借入金の返済や配当金の支払などによるキャッシュの減少により145億86百万円の支出(前連結会計年度は63億42百万円の収入)となりました。
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資金の支出予定としては、横浜磯子事業場におけるインキュベーションスクエア設立とマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における生産設備増強と品質・生産効率向上を予定しております。
当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2024年3月31日)
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
なお、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等およびその達成状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の目標とする経営指標に記載しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。
なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。
なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。
市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
なお、当連結会計年度については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※7減損損失」の内容に記載のとおりであります。
当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、株高などを背景にした好調な個人消費を中心に米国経済の底堅さが見られましたが、累積的な金融引き締めの影響などもあり、景気の減速が懸念されております。
また、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、外食や旅行を中心に消費は回復したものの、エネルギーコストや原材料価格の高騰を背景とした物価上昇により全体として弱い動きとなりました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでおります。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度にはROICを経営目標に加え、収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度においては、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を経営目標とし、取り組みを進めております。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | |
売上高 | 556,565 | 513,541 | △43,023 | 92.3% |
営業利益 | 16,186 | 20,840 | +4,653 | 128.8% |
経常利益 | 16,242 | 20,033 | +3,791 | 123.3% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 11,157 | 15,148 | +3,991 | 135.8% |
ROE | 7.0% | 8.8% | - | +1.8P |
ROIC | 4.5% | 5.1% | - | +0.6P |
(注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。
ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷
[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ189億29百万円増加し、3,933億82百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が73億97百万円、売上債権が23億48百万円、有形固定資産が40億84百万円、投資有価証券が121億58百万円増加した一方で、棚卸資産が84億26百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ22億14百万円減少し、2,008億20百万円となりました。主な要因は、1年内償還予定の社債が100億円、未払金が31億73百万円、未払費用が16億31百万円、未払法人税等が11億88百万円、長期借入金が43億18百万円、リース債務(固定)が15億7百万円増加した一方で、仕入債務が32億89百万円、短期借入金が181億86百万円、社債が50億円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ211億43百万円増加し、1,925億62百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が107億50百万円、その他の包括利益累計額が93億7百万円増加したことであります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
資産合計 | 374,453 | 393,382 | +18,929 |
負債合計 | 203,034 | 200,820 | △2,214 |
純資産合計 | 171,418 | 192,562 | +21,143 |
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ67億40百万円増加しましたが、会社分割に伴う減少11億56百万円があり、164億83百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、367億15百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益211億69百万円、減価償却費92億87百万円、棚卸資産の減少100億22百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加12億86百万円、仕入債務の減少42億74百万円、法人税等の支払50億25百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、160億83百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出147億63百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、145億86百万円の支出となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入50億64百万円、社債発行による収入50億円によるキャッシュの増加および短期借入金の純減186億53百万円、長期借入金の返済による支出9億47百万円、配当金の支払43億78百万円によるキャッシュの減少であります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 398 | 36,715 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △6,143 | △16,083 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 6,342 | △14,586 |
現金及び現金同等物の増減額(△減少) | 3,023 | 5,584 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 10,899 | 16,483 |
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比 | |
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 229,925 | 81.1% |
加工油脂 | 113,635 | 92.5% | |
小計 | 343,561 | 84.6% | |
加工食品・素材事業 | 48,106 | 104.6% | |
ファインケミカル事業 | 15,212 | 80.2% | |
その他 | 1,865 | 102.8% | |
合計 | 408,746 | 86.4% |
(注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比 | |
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 317,995 | 90.8% |
加工油脂 | 103,978 | 88.1% | |
小計 | 421,973 | 90.1% | |
加工食品・素材事業 | 70,129 | 107.7% | |
ファインケミカル事業 | 18,884 | 92.3% | |
その他 | 2,553 | 97.5% | |
合計 | 513,541 | 92.3% |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績および財政状態の分析
当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において107億41百万円増加、加工食品・素材事業において59億15百万円増加、ファインケミカル事業において11億38百万円増加しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
・売上高
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 350,356 | 317,995 | △32,360 | 90.8% |
加工油脂 | 118,023 | 103,978 | △14,045 | 88.1% | |
小計 | 468,379 | 421,973 | △46,405 | 90.1% | |
加工食品・素材事業 | 65,103 | 70,129 | 5,026 | 107.7% | |
ファインケミカル事業 | 20,462 | 18,884 | △1,577 | 92.3% | |
その他 | 2,619 | 2,553 | △66 | 97.5% | |
合計 | 556,565 | 513,541 | △43,023 | 92.3% |
・[参考]売上高(単体)
前事業年度 (百万円) | 当事業年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 317,062 | 287,479 | △29,582 | 90.7% |
業務用・加工用 | 132,883 | 121,944 | △10,938 | 91.8% | |
ホームユース | 74,654 | 70,832 | △3,821 | 94.9% | |
油糧 | 109,525 | 94,702 | △14,822 | 86.5% | |
加工油脂 | 13,420 | 14,768 | +1,347 | 110.0% | |
小計 | 330,483 | 302,247 | △28,235 | 91.5% | |
加工食品・素材事業 | 19,259 | 21,343 | +2,083 | 110.8% | |
ファインケミカル事業 | 5,976 | 6,858 | +882 | 114.8% | |
その他 | 342 | 406 | +63 | 118.5% | |
合計 | 356,062 | 330,856 | △25,205 | 92.9% |
・営業利益
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 9,097 | 14,478 | +5,381 | 159.2% |
加工油脂 | 5,528 | 4,503 | △1,024 | 81.5% | |
小計 | 14,625 | 18,981 | +4,356 | 129.8% | |
加工食品・素材事業 | 533 | 990 | +457 | 185.7% | |
ファインケミカル事業 | 1,385 | 1,208 | △176 | 87.2% | |
その他 | 462 | 534 | +71 | 115.6% | |
セグメント間消去・調整 | △820 | △874 | △54 | - | |
合計 | 16,186 | 20,840 | +4,653 | 128.8% |
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、天候不順による原料の減産懸念や円安ドル高の進行があるものの、原材料価格が一時期のピークから下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力しました。この結果、油脂事業セグメント全体では、ミールの販売数量の減少、国内油脂および海外加工油脂の販売単価下落等により減収となりましたが、国内油脂における適正価格での販売等により増益となりました。
◆油脂・油糧 | (単位:百万円) | |||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 350,356 | 317,995 | △32,360 | 90.8% |
営業利益 | 9,097 | 14,478 | +5,381 | 159.2% |
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前期に対して円安ドル高で推移したものの、主要原料である大豆・菜種の相場が前期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、4月以降ブラジル産の豊作見通しや米国産の作付が順調に進んだことで軟調に推移しましたが、米国の作付面積減少や生産地の高温乾燥から7月には15米ドル台まで上昇しました。その後、収穫期を迎え9月には一旦下落しましたが、ブラジル産の作付けが始まるとエルニーニョ現象による減産懸念が高まり10月以降は再び上昇しました。徐々に減産懸念が後退すると年明けからは軟化し2024年2月には11米ドル台まで下落、その後も12米ドル前後で推移しました。
菜種相場は、4月以降カナダ産の生産量回復、豪州産の豊作等、世界需給改善により軟調に推移しました。
7月には高温乾燥により800カナダドル半ばまで上昇しましたが、収穫期へ向けて天候が改善したことや他油種に連れ安となり、12月には600カナダドル半ばまで下落しました。年明けからは独自材料に乏しい中、大豆に連れ安となり2024年2月に570カナダドル台まで下落した後、パーム相場や原油相場の上昇に連れて600カナダドル台を回復しました。
<為替相場>ドル円相場は、一昨年の10月に150円台まで円安ドル高が進行した後、米国の利上げ停止と日本の大規模金融緩和政策転換が意識されたことで、1月には130円割れまで円高ドル安となりました。しかしながら日米ともに金融政策の方向性に変更がないことから6月には140円台、10月には150円台まで円安ドル高となりました。その後、米国の追加利上げ期待の後退、日銀による早期のマイナス金利解除観測が高まり、年末には140円台前半まで円高ドル安が進行しました。しかし、こうした動きは長く続かず、年明けからは日米金利差を意識した取引へと戻り、2024年2月には150円台を回復しました。
[油脂の販売]
業務用については、原材料価格が前期と比較し下落基調となるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、「ニーズ協働発掘型営業」により、「最終製品の品質向上」「コスト抑制」「生産性の向上」などの課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面ではフライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、メニューの品質を高める炊飯油や麺さばき油などの「機能性油脂」など、「付加価値型商品群」の積極的な提案による拡販に努めました。新型コロナウイルス感染症の5類への移行により外食需要や観光需要が回復し、販売数量は前期を上回りましたが、販売単価が下回ったことで減収となりました。
加工用については、原料相場に見合った商売を進めるも物価上昇を背景とした消費マインドの低下による各業界での生産減により、販売数量が前期を下回り、減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」などの拡販により、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。また、オリーブオイルなどの原材料価格高騰が続くなか、販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めましたが、販売単価が前期を下回ったことに加え、物価上昇による生活防衛意識の高まりの影響を受けて販売数量が前期を下回ったことから、減収となりました。
以上の結果、国内油脂全体では売上高は減収となりましたが、油脂コストが低下するなか、粗利単価が改善したことで増益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、シカゴ大豆粕定期は前年並みでしたが、ドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売価格は上昇しました。一方、搾油量の減少により販売数量は減少し、売上高は減収となりました。
菜種ミールについては、搾油量は前年並みとなりましたが、配合飼料への配合率が上昇せず販売数量は減少しました。また、菜種ミール需給が緩和した影響から販売価格は下落し、売上高は減収となりました。
◆加工油脂 | (単位:百万円) | |||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 118,023 | 103,978 | △14,045 | 88.1% |
営業利益 | 5,528 | 4,503 | △1,024 | 81.5% |
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、輸出向けが若干減少したものの、国内地場取引先向けの販売が好調に推移したこともあり、全体の販売数量は前年を上回りました。一方、パーム油相場の下落に伴い販売価格が下落したことで減収となり、またパーム油時価評価益の減少などもあり、減益となりました。
イタリアのIntercontinental Specialty Fats(Italy)S.r.l.においては、既存顧客への拡販や新規顧客の獲得により増収となりました。また、利益面では前期のロシアのウクライナ侵攻によるパーム油の需要増に対する反動減があったものの、既存顧客や新規顧客への拡販により、増益となりました。
国内加工油脂については、物価高に伴う消費者の節約志向の定着化や取引先製品のダウンサイズ化・油脂使用量減少といった厳しい状況が続くなか、新規販売先の拡大および既存顧客での新規商品採用、コストに見合った適正価格での販売と継続的なコスト改善への取り組みにより、増収増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 65,103 | 70,129 | +5,026 | 107.7% |
営業利益 | 533 | 990 | +457 | 185.7% |
加工食品・素材事業セグメントでは、原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響があったものの、チョコレート製品における販売数量増および適正な販売価格への改定により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う土産市場の需要回復や製パン市場向け調製品の需要回復等により、販売数量は前期を上回りました。また、原材料価格やエネルギーコストが上昇するなか、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めたことにより、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.およびインドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、販売数量は前年並みとなりました。チョコレート全体では大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
調味料は、ドレッシングの販売数量は前年を上回ったものの、原価率上昇や販管費増加の影響が大きく、増収減益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めました。原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、販管費の増加等により、増収減益となりました。
大豆素材・食品は、大豆たん白等の販売において原材料価格の上昇に対する適正価格での販売により、増収増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 20,462 | 18,884 | △1,577 | 92.3% |
営業利益 | 1,385 | 1,208 | △176 | 87.2% |
ファインケミカル事業セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い国内、中国市場での販売は好調に推移しました。一方、スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.では、前期は新型コロナウイルス感染症対策緩和に伴う特需がありましたが、当期はその反動の影響が大きく、減収減益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を進めました。国内化粧品向け需要は回復の兆しを見せています。また、中国市場ではコロナ禍からの回復による販売数量増により増収増益となりました。一方、欧州においては長引くインフレがようやく収束に向かい市場も回復しつつあるものの、昨年好調だったIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.の販売数量減の影響が大きく、減収減益となりました。
環境・衛生については、アルコール製剤の需要減少により販売数量が減少し、また販売価格の改定を進めたものの、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、減収減益となりました。
≪その他≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 2,619 | 2,553 | △66 | 97.5% |
営業利益 | 462 | 534 | +71 | 115.6% |
情報システムをはじめその他の事業セグメントは、減収増益となりました。
≪地域別売上高≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
日本 | 429,416 | 404,831 | △24,585 | 94.3% |
アジア | 65,014 | 57,202 | △7,811 | 88.0% |
その他 | 62,134 | 51,508 | △10,626 | 82.9% |
海外売上高比率 | 22.8% | 21.2% | - | △1.7P |
パーム油相場の下落を背景とした海外加工油脂製品の販売価格下落等の影響により、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は減収となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ67億40百万円増加しましたが、会社分割に伴う減少11億56百万円があり、164億83百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や棚卸資産の減少によるキャッシュの増加および売上債権の増加や仕入債務の減少や法人税等の支払によるキャッシュの減少により367億15百万円の収入(前連結会計年度は3億98百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により160億83百万円の支出(前連結会計年度は61億43百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入や社債発行による収入などによるキャッシュの増加および短期借入金の純減と長期借入金の返済や配当金の支払などによるキャッシュの減少により145億86百万円の支出(前連結会計年度は63億42百万円の収入)となりました。
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資金の支出予定としては、横浜磯子事業場におけるインキュベーションスクエア設立とマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.における生産設備増強と品質・生産効率向上を予定しております。
当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2024年3月31日)
1年以内 (百万円) | 1年超 (百万円) | |
短期借入金 | 14,266 | - |
社債 | 10,000 | 15,000 |
長期借入金 | 1,047 | 56,632 |
リース債務 | 577 | 7,100 |
合計 | 25,891 | 78,733 |
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
なお、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等およびその達成状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の目標とする経営指標に記載しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。
なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。
なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。
市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
なお、当連結会計年度については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※7減損損失」の内容に記載のとおりであります。
当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。