有価証券報告書-第153期(2024/04/01-2025/03/31)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、金融緩和政策への転換を受けたインフレ圧力の緩和により各国の個人消費が持ち直す等、底堅い成長を維持しました。
日本経済は、物価上昇の影響から食料品を中心とした消費に一部弱い動きが見られたものの、所得改善等による個人消費の持ち直しや円安を背景としたインバウンド需要の高まりもあり、緩やかに回復しました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでまいりました。
当社グループは、「ビジョン2030」において6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しています。また、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標とし、2022年度からはROICを経営目標に加えて収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。2025年度より開始した新中期経営計画「Value UpX」(2025年度-2028年度)では、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上を2028年度の経営目標とし、取り組みを進めてまいります。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。
(注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。
ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷
[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ51億40百万円減少し、3,882億42百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が56億67百万円、有形固定資産が49億52百万円増加した一方で、現金及び預金が32億86百万円、売上債権が69億43百万円、投資有価証券が60億86百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ106億64百万円減少し、1,901億56百万円となりました。主な要因は、仕入債務が11億75百万円、短期借入金が98億24百万円増加した一方で、1年内償還予定の社債が100億円、未払金が18億17百万円、未払費用が9億17百万円、未払法人税等が30億42百万円、長期借入金が60億8百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ55億23百万円増加し、1,980億86百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が67億52百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が22億52百万円減少したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、211億66百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益198億55百万円、減価償却費104億63百万円、売上債権の減少75億20百万円、仕入債務の増加10億90百万円によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加50億1百万円、法人税等の支払79億21百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、95億90百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出154億74百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、138億85百万円の支出となりました。主な内訳は、短期借入金の純増43億90百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出9億99百万円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払64億88百万円によるキャッシュの減少であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績および財政状態の分析
当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において35億94百万円減少、加工食品・素材事業において19億12百万円増加、ファインケミカル事業において5億81百万円減少しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
・売上高
・[参考]売上高(単体)
・営業利益
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂・油糧において、インバウンド需要の増加に加え、国内人流の回復による外食需要や観光需要の持ち直しにより、業務用および加工用の販売数量は増加しました。販売価格面においては、原料価格が前期比で低下するも、物流費上昇や円安ドル高等の厳しいコスト環境に加え、油脂コストが上昇基調となる中、価格改定を進めました。しかしながら、製品市況や生活防衛意識の高まりを受け価格改定は当初想定より遅れることになり、また、オリーブオイルの原価上昇の影響もあり減収減益となりました。加工油脂では増収増益となったものの、油脂事業セグメント全体では、増収減益となりました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前期に対して円安ドル高で推移したものの、大豆相場・菜種相場が前期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、前期がブラジル産大豆生産量の下方修正を巡って高値で推移したのに対し、当期はアルゼンチン産大豆の減産懸念があったものの、ブラジル産大豆生産量が史上最高を更新する見通しとなったことで上値の重い取引が続きました。
2024年は年明け以降、ブラジル産大豆減産懸念が後退したことで徐々に下落しました。ブラジル南部での大規模な洪水が報じられると一時12米ドル台まで上昇する局面もありましたが、米国の豊作期待が上値を抑えることで10米ドルを挟んで推移しました。10月以降は米国生産量の下方修正が相場を支えましたが、ブラジル産大豆の順調な生育を受けて上値も重く10米ドル前後での取引となりました。
菜種相場は、前期同様に大豆等他市場との連動性を高めながらも世界菜種生産量が前期対比で減産となったことで底堅い取引が続きました。
2024年はカナダ産菜種の生育が概ね順調に推移した一方で、欧州産、豪州産が減産見込みとなり、600カナダドル台での取引が続きました。大豆定期の下落や中国による反ダンピング調査、米国・中国による追加関税の報道を受けると600カナダドルを割る水準まで下落する局面もありましたが、カナダ産菜種の生産量見通しが下方修正され、世界需給のひっ迫感が意識されたことで調整は続かず、600カナダドルを回復して推移しました。
<為替相場>ドル円相場は米国の雇用、経済が堅調に推移したことやトランプ政権による景気対策への期待感から日米金利差縮小は限定的となり、前期比では円安ドル高となりました。
2024年は7月まではほぼ一本調子で161円台まで円安ドル高が進行しました。政府、日銀による為替介入等から9月には一時140円割れとなる局面もありましたが、長くは続かず10月には150円台を回復、トランプ大統領の当選以降は米国株高、米ドル買いの動きが強まり158円台まで円安ドル高が進みました。年が明けると日銀による早期利上げ期待の高まりと共に徐々にトランプ政権による政策が米国景気後退懸念を高めたことで円高ドル安が進行しました。
[油脂の販売]
業務用については、ニーズ協働発掘型営業により最終製品の品質向上、コスト抑制、生産性向上など、課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では、フライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、特に米の品質課題が顕著となる中、要望が高まっている炊飯油をはじめ、麺さばき油など付加価値型商品群の積極的な提案による拡販に努めました。販売面では、消費者の低価格志向、節約志向が強まる中、原材料価格上昇などによるメニュー単価上昇により一部で客数が前期割れのところもあった一方で、活発な国内移動とインバウンド需要増加により外食需要が堅調に推移したことから、販売数量は増加しました。売上高については、物流費やエネルギーコスト等が上昇する中、価格改定による適正な販売価格の形成に取り組みましたが、汎用品を中心に販売単価が前期比で低下したことから減収となりました。
加工用については、物価高による消費マインド低下の影響が見られた一方、インバウンド需要などにより一部業界にて生産が回復傾向となった結果、販売数量は増加しました。売上高については、コスト上昇を背景に価格改定を進めましたが、前期比で販売単価が低下したことにより減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」に加え、食用油の酸化を抑えおいしさが長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売し、食用油の価値向上とクッキングオイルの構造改革に引き続き取り組みました。また、原材料価格高騰が続くオリーブオイル等の販売価格改定に加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかし、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりによる販売数量の減少に加え、価格改定に取り組むも難航し、大豆・菜種を原料とする主要品等の販売単価が前期比で低下したことから、減収となりました。
利益面については、オリーブオイルにおける原価上昇および汎用品の粗利単価低下に加え、物流費の増加もあり国内油脂全体で減益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前期比で搾油量が微減となりましたが、販売数量は前期並みとなりました。また、ドル円相場は円安ドル高で推移しましたが、シカゴ大豆粕相場が大きく下落したことで販売単価は低下し、減収となりました。
菜種ミールについては、前期比で搾油量が増加したことを受け、適正価格を維持しながら販売拡大に努めた結果、販売数量は増加しました。しかし、大豆ミール価格低下の影響等により、販売単価は低下し、減収となりました。
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州向けおよび国内地場取引先向けの好調な販売により販売数量が前期を上回ったことに加え、パーム油相場上昇を受けて販売単価が上昇したことにより増収となりました。また、利益面においても販売数量の増加に加え、パーム油時価評価益の影響もあり増益となりました。
国内加工油脂については、厳しいマーケット環境が続く中、積極的な提案活動による採用増加とカカオ脂高騰に伴う代用脂需要増加等により販売数量が増加したことから増収となりました。また、利益面については、パーム油等の相場急騰や物流費上昇等の減益要因がありましたが、販売数量の増加および相場に応じた適正価格での販売に努めたことにより増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレートおよび機能素材・食品の適正価格での販売により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ株式会社において原材料価格が高騰するなかコストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co.,Pte.Ltd.においては、調製品需要の低迷により既存顧客向け販売数量が前期を下回ったものの、販売価格上昇により増収増益となりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいても同様に、販売数量は主要顧客向け販売減少等の影響により前期を下回りましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。チョコレート全体では主に大東カカオ株式会社の業績が貢献し、増収増益となりました。
機能素材・食品は、「日清MCTオイルHC」シリーズの「日常活動を脂肪燃焼タイムに変える」をコンセプトとしたTVCM、店頭プロモーション、PRと連動したマーケティングを展開するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の販売、またMCTオイルによるエネルギー強化の啓発を行いました。その結果、病院施設におけるMCTオイル市場が拡大し、少量高エネルギー食品の販売数量が増加しました。しかしながら、MCTの原価低下の影響を受けて販売単価が低下したこと等により減収となりました。一方、営業利益は適正価格での販売により増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、メイク向けを中心に化粧品原料の販売が好調に推移したことから、増収増益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を継続して進めました。また、メイク製品に加え、スキンケア製品も伸長しており、特にアジアおよび北米市場を中心に販売が好調に推移しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.においては、インフレの影響により原価を含めコストが増加しましたが、主力の化粧品油剤の販売が順調に推移しました。これらの結果、増収増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や売上債権の減少と仕入債務の増加によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加や法人税等の支払によるキャッシュの減少により211億66百万円の収入(前連結会計年度は367億15百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により95億90百万円の支出(前連結会計年度は160億83百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増によるキャッシュの増加および長期借入金の返済と社債の償還による支出や配当金の支払などによるキャッシュの減少により138億85百万円の支出(前連結会計年度は145億86百万円の支出)となりました。
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資金の支出予定としては、国内の生産プロセス変革や生産体制再構築、北米のバリューチェーン構築等の投資を予定しております。
当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。
なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。
なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。
市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、金融緩和政策への転換を受けたインフレ圧力の緩和により各国の個人消費が持ち直す等、底堅い成長を維持しました。
日本経済は、物価上昇の影響から食料品を中心とした消費に一部弱い動きが見られたものの、所得改善等による個人消費の持ち直しや円安を背景としたインバウンド需要の高まりもあり、緩やかに回復しました。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでまいりました。
当社グループは、「ビジョン2030」において6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しています。また、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標とし、2022年度からはROICを経営目標に加えて収益性と資産効率性の向上に取り組んでおります。2025年度より開始した新中期経営計画「Value UpX」(2025年度-2028年度)では、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上を2028年度の経営目標とし、取り組みを進めてまいります。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりとなりました。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | |
売上高 | 513,541 | 530,878 | +17,336 | 103.4% |
営業利益 | 20,840 | 19,278 | △1,561 | 92.5% |
経常利益 | 20,033 | 18,089 | △1,944 | 90.3% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 15,148 | 12,850 | △2,298 | 84.8% |
ROE | 8.8% | 7.0% | - | △1.8P |
ROIC | 5.1% | 4.6% | - | △0.5P |
(注)ROIC(投下資本利益率)は、以下の算定式に基づき算出しております(いずれの数値も連結ベース)。
ROIC =(当連結会計年度の税引後営業利益+持分法投資損益)÷
[{(当事業年度の投下資本)+(前事業年度の投下資本)}÷2]
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ51億40百万円減少し、3,882億42百万円となりました。主な要因は、棚卸資産が56億67百万円、有形固定資産が49億52百万円増加した一方で、現金及び預金が32億86百万円、売上債権が69億43百万円、投資有価証券が60億86百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ106億64百万円減少し、1,901億56百万円となりました。主な要因は、仕入債務が11億75百万円、短期借入金が98億24百万円増加した一方で、1年内償還予定の社債が100億円、未払金が18億17百万円、未払費用が9億17百万円、未払法人税等が30億42百万円、長期借入金が60億8百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ55億23百万円増加し、1,980億86百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が67億52百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が22億52百万円減少したことであります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
資産合計 | 393,382 | 388,242 | △5,140 |
負債合計 | 200,820 | 190,156 | △10,664 |
純資産合計 | 192,562 | 198,086 | +5,523 |
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、211億66百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益198億55百万円、減価償却費104億63百万円、売上債権の減少75億20百万円、仕入債務の増加10億90百万円によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加50億1百万円、法人税等の支払79億21百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、95億90百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出154億74百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、138億85百万円の支出となりました。主な内訳は、短期借入金の純増43億90百万円によるキャッシュの増加および長期借入金の返済による支出9億99百万円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払64億88百万円によるキャッシュの減少であります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 36,715 | 21,166 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △16,083 | △9,590 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △14,586 | △13,885 |
現金及び現金同等物の増減額(△減少) | 5,584 | △2,063 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 16,483 | 14,420 |
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比 | |
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 220,853 | 96.1% |
加工油脂 | 141,549 | 124.6% | |
小計 | 362,402 | 105.5% | |
加工食品・素材事業 | 54,594 | 113.5% | |
ファインケミカル事業 | 17,706 | 116.4% | |
その他 | 1,916 | 102.7% | |
合計 | 436,619 | 106.8% |
(注) 金額は、原価計算に利用した価格等により算定しております。
② 受注実績
当社グループでは、主として計画に基づく生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比 | |
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 299,045 | 94.0% |
加工油脂 | 129,917 | 124.9% | |
小計 | 428,962 | 101.7% | |
加工食品・素材事業 | 78,708 | 112.2% | |
ファインケミカル事業 | 20,830 | 110.3% | |
その他 | 2,376 | 93.1% | |
合計 | 530,878 | 103.4% |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績および財政状態の分析
当連結会計年度における経営成績および財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
② セグメントごとの財政状態及び経営成績の分析
セグメント別の資産では、前連結会計年度末に比べ油脂事業において35億94百万円減少、加工食品・素材事業において19億12百万円増加、ファインケミカル事業において5億81百万円減少しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
・売上高
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 317,995 | 299,045 | △18,950 | 94.0% |
加工油脂 | 103,978 | 129,917 | +25,939 | 124.9% | |
小計 | 421,973 | 428,962 | +6,989 | 101.7% | |
加工食品・素材事業 | 70,129 | 78,708 | +8,578 | 112.2% | |
ファインケミカル事業 | 18,884 | 20,830 | +1,945 | 110.3% | |
その他 | 2,553 | 2,376 | △176 | 93.1% | |
合計 | 513,541 | 530,878 | +17,336 | 103.4% |
・[参考]売上高(単体)
前事業年度 (百万円) | 当事業年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 287,479 | 267,313 | △20,166 | 93.0% |
業務用・加工用 | 121,944 | 115,968 | △5,976 | 95.1% | |
ホームユース | 70,832 | 67,856 | △2,976 | 95.8% | |
油糧 | 94,702 | 83,489 | △11,213 | 88.2% | |
加工油脂 | 14,768 | 16,022 | 1,254 | 108.5% | |
小計 | 302,247 | 283,336 | △18,911 | 93.7% | |
加工食品・素材事業 | 21,343 | 20,083 | △1,259 | 94.1% | |
ファインケミカル事業 | 6,858 | 7,910 | 1,051 | 115.3% | |
その他 | 406 | 403 | △2 | 99.3% | |
合計 | 330,856 | 311,733 | △19,122 | 94.2% |
・営業利益
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 前期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 14,478 | 6,968 | △7,510 | 48.1% |
加工油脂 | 4,503 | 6,302 | +1,799 | 139.9% | |
小計 | 18,981 | 13,270 | △5,710 | 69.9% | |
加工食品・素材事業 | 990 | 4,774 | +3,784 | 482.0% | |
ファインケミカル事業 | 1,208 | 1,771 | +562 | 146.6% | |
その他 | 534 | 479 | △54 | 89.8% | |
セグメント間消去・調整 | △874 | △1,017 | △143 | - | |
合計 | 20,840 | 19,278 | △1,561 | 92.5% |
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 421,973 | 428,962 | +6,989 | 101.7% |
営業利益 | 18,981 | 13,270 | △5,710 | 69.9% |
油脂・油糧において、インバウンド需要の増加に加え、国内人流の回復による外食需要や観光需要の持ち直しにより、業務用および加工用の販売数量は増加しました。販売価格面においては、原料価格が前期比で低下するも、物流費上昇や円安ドル高等の厳しいコスト環境に加え、油脂コストが上昇基調となる中、価格改定を進めました。しかしながら、製品市況や生活防衛意識の高まりを受け価格改定は当初想定より遅れることになり、また、オリーブオイルの原価上昇の影響もあり減収減益となりました。加工油脂では増収増益となったものの、油脂事業セグメント全体では、増収減益となりました。
◆油脂・油糧 | (単位:百万円) | |||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 317,995 | 299,045 | △18,950 | 94.0% |
営業利益 | 14,478 | 6,968 | △7,510 | 48.1% |
[原料の調達環境]
原料の調達面では、ドル円相場が前期に対して円安ドル高で推移したものの、大豆相場・菜種相場が前期と比較して下落したことから、大豆価格、菜種価格ともに前期を下回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、前期がブラジル産大豆生産量の下方修正を巡って高値で推移したのに対し、当期はアルゼンチン産大豆の減産懸念があったものの、ブラジル産大豆生産量が史上最高を更新する見通しとなったことで上値の重い取引が続きました。
2024年は年明け以降、ブラジル産大豆減産懸念が後退したことで徐々に下落しました。ブラジル南部での大規模な洪水が報じられると一時12米ドル台まで上昇する局面もありましたが、米国の豊作期待が上値を抑えることで10米ドルを挟んで推移しました。10月以降は米国生産量の下方修正が相場を支えましたが、ブラジル産大豆の順調な生育を受けて上値も重く10米ドル前後での取引となりました。
菜種相場は、前期同様に大豆等他市場との連動性を高めながらも世界菜種生産量が前期対比で減産となったことで底堅い取引が続きました。
2024年はカナダ産菜種の生育が概ね順調に推移した一方で、欧州産、豪州産が減産見込みとなり、600カナダドル台での取引が続きました。大豆定期の下落や中国による反ダンピング調査、米国・中国による追加関税の報道を受けると600カナダドルを割る水準まで下落する局面もありましたが、カナダ産菜種の生産量見通しが下方修正され、世界需給のひっ迫感が意識されたことで調整は続かず、600カナダドルを回復して推移しました。
<為替相場>ドル円相場は米国の雇用、経済が堅調に推移したことやトランプ政権による景気対策への期待感から日米金利差縮小は限定的となり、前期比では円安ドル高となりました。
2024年は7月まではほぼ一本調子で161円台まで円安ドル高が進行しました。政府、日銀による為替介入等から9月には一時140円割れとなる局面もありましたが、長くは続かず10月には150円台を回復、トランプ大統領の当選以降は米国株高、米ドル買いの動きが強まり158円台まで円安ドル高が進みました。年が明けると日銀による早期利上げ期待の高まりと共に徐々にトランプ政権による政策が米国景気後退懸念を高めたことで円高ドル安が進行しました。
[油脂の販売]
業務用については、ニーズ協働発掘型営業により最終製品の品質向上、コスト抑制、生産性向上など、課題解決の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では、フライ油の酸価上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、特に米の品質課題が顕著となる中、要望が高まっている炊飯油をはじめ、麺さばき油など付加価値型商品群の積極的な提案による拡販に努めました。販売面では、消費者の低価格志向、節約志向が強まる中、原材料価格上昇などによるメニュー単価上昇により一部で客数が前期割れのところもあった一方で、活発な国内移動とインバウンド需要増加により外食需要が堅調に推移したことから、販売数量は増加しました。売上高については、物流費やエネルギーコスト等が上昇する中、価格改定による適正な販売価格の形成に取り組みましたが、汎用品を中心に販売単価が前期比で低下したことから減収となりました。
加工用については、物価高による消費マインド低下の影響が見られた一方、インバウンド需要などにより一部業界にて生産が回復傾向となった結果、販売数量は増加しました。売上高については、コスト上昇を背景に価格改定を進めましたが、前期比で販売単価が低下したことにより減収となりました。
ホームユースについては、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」に加え、食用油の酸化を抑えおいしさが長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売し、食用油の価値向上とクッキングオイルの構造改革に引き続き取り組みました。また、原材料価格高騰が続くオリーブオイル等の販売価格改定に加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかし、物価上昇を背景とした生活防衛意識の高まりによる販売数量の減少に加え、価格改定に取り組むも難航し、大豆・菜種を原料とする主要品等の販売単価が前期比で低下したことから、減収となりました。
利益面については、オリーブオイルにおける原価上昇および汎用品の粗利単価低下に加え、物流費の増加もあり国内油脂全体で減益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前期比で搾油量が微減となりましたが、販売数量は前期並みとなりました。また、ドル円相場は円安ドル高で推移しましたが、シカゴ大豆粕相場が大きく下落したことで販売単価は低下し、減収となりました。
菜種ミールについては、前期比で搾油量が増加したことを受け、適正価格を維持しながら販売拡大に努めた結果、販売数量は増加しました。しかし、大豆ミール価格低下の影響等により、販売単価は低下し、減収となりました。
◆加工油脂 | (単位:百万円) | |||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 103,978 | 129,917 | +25,939 | 124.9% |
営業利益 | 4,503 | 6,302 | +1,799 | 139.9% |
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、欧州向けおよび国内地場取引先向けの好調な販売により販売数量が前期を上回ったことに加え、パーム油相場上昇を受けて販売単価が上昇したことにより増収となりました。また、利益面においても販売数量の増加に加え、パーム油時価評価益の影響もあり増益となりました。
国内加工油脂については、厳しいマーケット環境が続く中、積極的な提案活動による採用増加とカカオ脂高騰に伴う代用脂需要増加等により販売数量が増加したことから増収となりました。また、利益面については、パーム油等の相場急騰や物流費上昇等の減益要因がありましたが、販売数量の増加および相場に応じた適正価格での販売に努めたことにより増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 70,129 | 78,708 | +8,578 | 112.2% |
営業利益 | 990 | 4,774 | +3,784 | 482.0% |
加工食品・素材事業セグメントでは、チョコレートおよび機能素材・食品の適正価格での販売により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ株式会社において原材料価格が高騰するなかコストに見合った適正な販売価格への改定を進めた結果、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co.,Pte.Ltd.においては、調製品需要の低迷により既存顧客向け販売数量が前期を下回ったものの、販売価格上昇により増収増益となりました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいても同様に、販売数量は主要顧客向け販売減少等の影響により前期を下回りましたが、販売価格の上昇により増収増益となりました。チョコレート全体では主に大東カカオ株式会社の業績が貢献し、増収増益となりました。
機能素材・食品は、「日清MCTオイルHC」シリーズの「日常活動を脂肪燃焼タイムに変える」をコンセプトとしたTVCM、店頭プロモーション、PRと連動したマーケティングを展開するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の販売、またMCTオイルによるエネルギー強化の啓発を行いました。その結果、病院施設におけるMCTオイル市場が拡大し、少量高エネルギー食品の販売数量が増加しました。しかしながら、MCTの原価低下の影響を受けて販売単価が低下したこと等により減収となりました。一方、営業利益は適正価格での販売により増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 前期比 | |
売上高 | 18,884 | 20,830 | +1,945 | 110.3% |
営業利益 | 1,208 | 1,771 | +562 | 146.6% |
ファインケミカル事業セグメントでは、メイク向けを中心に化粧品原料の販売が好調に推移したことから、増収増益となりました。
ファインケミカル製品については、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を継続して進めました。また、メイク製品に加え、スキンケア製品も伸長しており、特にアジアおよび北米市場を中心に販売が好調に推移しました。スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.においては、インフレの影響により原価を含めコストが増加しましたが、主力の化粧品油剤の販売が順調に推移しました。これらの結果、増収増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べ20億63百万円減少し、144億20百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費や売上債権の減少と仕入債務の増加によるキャッシュの増加および棚卸資産の増加や法人税等の支払によるキャッシュの減少により211億66百万円の収入(前連結会計年度は367億15百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などによるキャッシュの減少により95億90百万円の支出(前連結会計年度は160億83百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増によるキャッシュの増加および長期借入金の返済と社債の償還による支出や配当金の支払などによるキャッシュの減少により138億85百万円の支出(前連結会計年度は145億86百万円の支出)となりました。
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、資金調達方法として、当社取引銀行5行との間でシンジケーション方式により総額100億円のコミットメントライン契約を締結している等により、資金の流動性は確保しております。
当社と国内子会社10社の間で「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」を構築しており、当該システムを利用し効率的な資金配分を行っております。
設備資金、投融資資金等の長期的な資金需要については、金融市場動向、既存の社債の償還時期および借入金の返済時期等も総合的に勘案し、社債および借入金等による資金調達を行っております。
今後の重要な資金の支出予定としては、国内の生産プロセス変革や生産体制再構築、北米のバリューチェーン構築等の投資を予定しております。
当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度(2025年3月31日)
1年以内 (百万円) | 1年超 (百万円) | |
短期借入金 | 19,147 | - |
社債 | - | 15,000 |
長期借入金 | 5,990 | 50,623 |
リース債務 | 584 | 6,954 |
合計 | 25,722 | 72,578 |
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得見込額等に基づいて回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。
なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得等の見積りによるものであるため、その見積りの前提に変更が生じた場合は、繰延税金資産の計上に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループは、退職給付債務および費用について、昇給率、退職率等の基礎率及び割引率を用いて計算しております。
なお、これらの前提に変動があった場合には、退職給付債務および費用に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価について、事業部等を基礎としてグルーピングされた資産グループごとの収益性の評価及び回収可能価額の算定を行い、収益性が著しく低下している資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしております。
市場環境等の変化により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって行った会計上の見積りのうち、当該会計上の見積りが当連結会計年度の翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると判断したものはありません。