四半期報告書-第152期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、中国の経済活動再開やエネルギー価格の上昇が一服したこと等により緩やかな回復が見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、先行き不透明な状況が継続しております。また、各国でのインフレ抑制のための金融引き締めが経済成長の重しとなり、景気後退リスクが懸念されています。
また、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、外食や旅行を中心に消費が持ち直し、インバウンド需要についても回復が見られました。一方で、エネルギーコストや原材料価格の高騰を背景とした物価上昇による企業収益の悪化や消費の低迷が懸念されています。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでいます。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度にはROICを経営目標に加え、今まで以上に収益性と資産効率性の向上に取組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度の目標であるROE8.0%、ROIC4.6%の達成に向けた取組みを進めております。
当第1四半期連結累計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、原材料価格が一時期のピークを越えたものの、天候不順による減産懸念や日米の金融政策の乖離等を背景とした円安ドル高の進行等により高止まりするなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力しました。油脂事業セグメント全体では、海外加工油脂の販売単価下落の影響が大きく減収となりましたが、国内油脂の販売単価が上昇したことで増益となりました。
[原料の調達環境]
原料の調達面では、主要原料である大豆・菜種ともに歴史的高値となった前年からは下落となりました。一方で、ドル円相場が前年同期に対して円安ドル高で推移したことで、大豆価格は前年同期を上回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、昨年末から南米の乾燥を材料に上昇し、アルゼンチン産の減産懸念が高まったことで1~3月は1ブッシェルあたり14~15米ドルの高値圏で推移しました。4月以降、ブラジル産の豊作見通しが高まったことや、米国での良好な天候により新穀作付が順調に進んだことで、一時軟調推移となりましたが、米国の乾燥により再び15米ドル台まで高騰しました。
菜種相場は、カナダ産の生産量回復、豪州産の豊作、ウクライナからの輸出増加による世界的な需給改善により下落基調が続き、5月には約2年振りの水準となる600カナダドル台まで下落しました。
<為替相場>ドル円相場は、昨年10月に24年振りに150円台まで円安ドル高が進行した後は、米国の利上げ停止と日本の大規模金融緩和政策転換が意識されたことで円安ドル高に修正が入り、一時130円割れまで下落しました。しかし、日米ともに金融政策の方向性に変更がないことから6月には140円台回復となり、前年同期に対して円安ドル高の推移となりました。
[油脂の販売]
業務用については、原材料価格が歴史的高値からは下落したものの、大豆の減産懸念や円安進行などにより原材料価格が高い水準にあるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、「ニーズ協働発掘型営業」により、「最終製品の品質向上」「コスト抑制」「生産性の向上」などの課題に対するソリューション提案の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」を重点カテゴリーとし、積極的な提案による拡販に努めました。しかし、5月より新型コロナウイルス感染症が5類に移行されるも、外食需要や観光需要の本格的な回復には至らず、販売数量が減少したことで減収となりました。
加工用については、原料相場がピーク時と比較して下落するなか、コストに見合った適正価格での販売に取り組んだことにより、増収となりました。
ホームユースについては、食料品の値上げなど物価上昇の継続による生活防衛意識の高まりの影響を受けて市場が縮小するなか、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」などの拡販により、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。オリーブオイル・ごま油・こめ油などの原材料価格高騰が続くなか、販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかしながら、販売数量が前年同期を下回ったことから、減収となりました。
以上の結果、国内油脂全体では増収となり、販売単価についても前年同期比で上昇したことで増益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前年同期比で搾油量が減少したこと等から、販売数量は減少しました。一方、シカゴ大豆粕定期が上昇したことやドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売価格は大きく上昇し、売上高は前年同期並みとなりました。
菜種ミールについても、搾油量が前年同期と比べて減少したことで、販売数量は減少しました。一方、大豆ミール価格の上昇等の影響を受けて販売価格は上昇し、増収となりました。
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、出荷の期ズレの影響で輸出向けの販売が減少したこと等により、全体の販売数量は減少しました。また、パーム油相場の下落に伴い販売価格が低下したことで減収となり、パーム油時価評価益の減少などもあり、減益となりました。
イタリアのIntercontinental Specialty Fats(Italy)S.r.l.においては、新規顧客への拡販が寄与し、増収となりました。一方、利益面では前年同期のロシアのウクライナ侵攻によるパーム油の需要増の反動から、減益となりました。
国内加工油脂については、物価上昇に伴う消費者の節約志向や取引先製品のダウンサイズ化・油脂使用量減少といった厳しい状況が続くなか、新規ユーザーの獲得および既存顧客での新規商品採用により販売数量が増加したこと、原料代およびユーティリティ・包装資材等のコスト上昇を背景とした価格改定を実施したことにより、増収増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
加工食品・素材事業セグメントでは、原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響があったものの、主にチョコレート製品において適正な販売価格への改定を進めたこと等により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、販売数量は前期並みであったものの、原材料価格やエネルギーコストが上昇するなか、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めたことにより、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、昨年に続き日本国内における調製品の需要減少に伴い、販売数量が減少しました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、採算改善を優先したこと等により、販売数量は減少しました。チョコレート全体では大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
調味料は、ドレッシングの販売数量が堅調だったものの、原価率上昇や販管費増加の影響が大きく、増収減益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めました。しかし、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、販管費の増加等により、増収減益となりました。
大豆素材・食品は、大豆たん白等の販売において原材料価格の上昇に対する適正価格での販売により、増収増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
ファインケミカル事業セグメントでは、欧州の景気低迷等による欧州子会社での販売数量減少やエネルギーコストの上昇等により、減収減益となりました。
ファインケミカル製品については、国内化粧品向け需要が回復の兆しを見せつつありますが、主要販売先の中国は先行き不透明感により消費が低迷し、最終製品の在庫過多により販売数量は減少しました。また、欧米も物価高等から需要が停滞しており、昨年好調だった欧州子会社での販売数量が大きく減少しました。原材料価格は下落基調にあるものの、依然としてエネルギーコストの高騰が続いていることなどから、減収減益となりました。
環境・衛生については、アルコール製剤の需要減少により販売数量が減少し、また販売価格の改定を進めたものの、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、減収減益となりました。
≪その他≫
情報システムをはじめその他の事業セグメントは、増収増益となりました。
地域別売上高
パーム油相場の下落を背景とした海外加工油脂製品の販売価格下落等の影響により、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は減収となりました。
【参考】売上高(単体)
② 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億74百万円減少し、3,719億79百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が10億51百万円、有形固定資産が33億95百万円、投資有価証券が23億70百万円増加した一方で、売上債権が21億25百万円、棚卸資産が82億67百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ109億52百万円減少し、1,920億82百万円となりました。主な要因は、仕入債務が56億83百万円、短期借入金が38億71百万円、未払法人税等が10億27百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ84億78百万円増加し、1,798億97百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が25億93百万円、その他の包括利益累計額が53億47百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億94百万円増加し、118億93百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、114億67百万円の収入(前年同期は117億87百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益73億71百万円、減価償却費23億19百万円、売上債権の減少26億69百万円、棚卸資産の減少90億48百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少62億27百万円、法人税等の支払31億39百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億50百万円の支出(前年同期は11億2百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入12億77百万円によるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出49億86百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、68億18百万円の支出(前年同期は115億67百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純減42億8百万円、配当金の支払24億32百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は8億32百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績につきましては、2023年5月12日に公表した2024年3月期の業績予想に変更はありません。
なお、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示いたします。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、中国の経済活動再開やエネルギー価格の上昇が一服したこと等により緩やかな回復が見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、先行き不透明な状況が継続しております。また、各国でのインフレ抑制のための金融引き締めが経済成長の重しとなり、景気後退リスクが懸念されています。
また、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、外食や旅行を中心に消費が持ち直し、インバウンド需要についても回復が見られました。一方で、エネルギーコストや原材料価格の高騰を背景とした物価上昇による企業収益の悪化や消費の低迷が懸念されています。
このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでいます。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。
当社グループは、株主資本コストを上回るROE水準の達成を重要な経営目標としております。2022年度にはROICを経営目標に加え、今まで以上に収益性と資産効率性の向上に取組んでおります。また、「成長性」「積極投資」「持続性」「効率性」の4つの視点でKPIと実行施策をフレームワーク(「達成チャート」)で整理し、2024年度の目標であるROE8.0%、ROIC4.6%の達成に向けた取組みを進めております。
当第1四半期連結累計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円) | ||||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 138,224 | 128,740 | △9,483 | 93.1% |
営業利益 | 4,967 | 6,334 | +1,367 | 127.5% |
経常利益 | 5,036 | 6,554 | +1,517 | 130.1% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 | 4,395 | 5,037 | +641 | 114.6% |
セグメント別の概況
≪油脂事業≫
油脂事業セグメントでは、油脂・油糧において、原材料価格が一時期のピークを越えたものの、天候不順による減産懸念や日米の金融政策の乖離等を背景とした円安ドル高の進行等により高止まりするなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力しました。油脂事業セグメント全体では、海外加工油脂の販売単価下落の影響が大きく減収となりましたが、国内油脂の販売単価が上昇したことで増益となりました。
◆油脂・油糧 | (単位:百万円) | |||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 84,611 | 84,046 | △564 | 99.3% |
営業利益 | 2,041 | 4,842 | +2,800 | 237.2% |
[原料の調達環境]
原料の調達面では、主要原料である大豆・菜種ともに歴史的高値となった前年からは下落となりました。一方で、ドル円相場が前年同期に対して円安ドル高で推移したことで、大豆価格は前年同期を上回りました。
<主要原料相場>大豆相場は、昨年末から南米の乾燥を材料に上昇し、アルゼンチン産の減産懸念が高まったことで1~3月は1ブッシェルあたり14~15米ドルの高値圏で推移しました。4月以降、ブラジル産の豊作見通しが高まったことや、米国での良好な天候により新穀作付が順調に進んだことで、一時軟調推移となりましたが、米国の乾燥により再び15米ドル台まで高騰しました。
菜種相場は、カナダ産の生産量回復、豪州産の豊作、ウクライナからの輸出増加による世界的な需給改善により下落基調が続き、5月には約2年振りの水準となる600カナダドル台まで下落しました。
<為替相場>ドル円相場は、昨年10月に24年振りに150円台まで円安ドル高が進行した後は、米国の利上げ停止と日本の大規模金融緩和政策転換が意識されたことで円安ドル高に修正が入り、一時130円割れまで下落しました。しかし、日米ともに金融政策の方向性に変更がないことから6月には140円台回復となり、前年同期に対して円安ドル高の推移となりました。
[油脂の販売]
業務用については、原材料価格が歴史的高値からは下落したものの、大豆の減産懸念や円安進行などにより原材料価格が高い水準にあるなか、適正な販売価格の維持・形成に取り組みました。また、「ニーズ協働発掘型営業」により、「最終製品の品質向上」「コスト抑制」「生産性の向上」などの課題に対するソリューション提案の質の向上に継続的に取り組みました。商品面では長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」を重点カテゴリーとし、積極的な提案による拡販に努めました。しかし、5月より新型コロナウイルス感染症が5類に移行されるも、外食需要や観光需要の本格的な回復には至らず、販売数量が減少したことで減収となりました。
加工用については、原料相場がピーク時と比較して下落するなか、コストに見合った適正価格での販売に取り組んだことにより、増収となりました。
ホームユースについては、食料品の値上げなど物価上昇の継続による生活防衛意識の高まりの影響を受けて市場が縮小するなか、揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」などの拡販により、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めました。オリーブオイル・ごま油・こめ油などの原材料価格高騰が続くなか、販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透に努めました。しかしながら、販売数量が前年同期を下回ったことから、減収となりました。
以上の結果、国内油脂全体では増収となり、販売単価についても前年同期比で上昇したことで増益となりました。
[ミールの販売]
大豆ミールについては、前年同期比で搾油量が減少したこと等から、販売数量は減少しました。一方、シカゴ大豆粕定期が上昇したことやドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売価格は大きく上昇し、売上高は前年同期並みとなりました。
菜種ミールについても、搾油量が前年同期と比べて減少したことで、販売数量は減少しました。一方、大豆ミール価格の上昇等の影響を受けて販売価格は上昇し、増収となりました。
◆加工油脂 | (単位:百万円) | |||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 32,318 | 22,418 | △9,899 | 69.4% |
営業利益 | 2,412 | 1,053 | △1,358 | 43.7% |
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、出荷の期ズレの影響で輸出向けの販売が減少したこと等により、全体の販売数量は減少しました。また、パーム油相場の下落に伴い販売価格が低下したことで減収となり、パーム油時価評価益の減少などもあり、減益となりました。
イタリアのIntercontinental Specialty Fats(Italy)S.r.l.においては、新規顧客への拡販が寄与し、増収となりました。一方、利益面では前年同期のロシアのウクライナ侵攻によるパーム油の需要増の反動から、減益となりました。
国内加工油脂については、物価上昇に伴う消費者の節約志向や取引先製品のダウンサイズ化・油脂使用量減少といった厳しい状況が続くなか、新規ユーザーの獲得および既存顧客での新規商品採用により販売数量が増加したこと、原料代およびユーティリティ・包装資材等のコスト上昇を背景とした価格改定を実施したことにより、増収増益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円) | ||||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 15,441 | 17,010 | +1,568 | 110.2% |
営業利益 | 66 | 194 | +128 | 292.5% |
加工食品・素材事業セグメントでは、原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響があったものの、主にチョコレート製品において適正な販売価格への改定を進めたこと等により、増収増益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、販売数量は前期並みであったものの、原材料価格やエネルギーコストが上昇するなか、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めたことにより、増収増益となりました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、昨年に続き日本国内における調製品の需要減少に伴い、販売数量が減少しました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、採算改善を優先したこと等により、販売数量は減少しました。チョコレート全体では大東カカオ㈱の業績が貢献し、増収増益となりました。
調味料は、ドレッシングの販売数量が堅調だったものの、原価率上昇や販管費増加の影響が大きく、増収減益となりました。
機能素材・食品は、「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めました。しかし、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、販管費の増加等により、増収減益となりました。
大豆素材・食品は、大豆たん白等の販売において原材料価格の上昇に対する適正価格での販売により、増収増益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円) | ||||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 5,235 | 4,643 | △591 | 88.7% |
営業利益 | 542 | 312 | △229 | 57.7% |
ファインケミカル事業セグメントでは、欧州の景気低迷等による欧州子会社での販売数量減少やエネルギーコストの上昇等により、減収減益となりました。
ファインケミカル製品については、国内化粧品向け需要が回復の兆しを見せつつありますが、主要販売先の中国は先行き不透明感により消費が低迷し、最終製品の在庫過多により販売数量は減少しました。また、欧米も物価高等から需要が停滞しており、昨年好調だった欧州子会社での販売数量が大きく減少しました。原材料価格は下落基調にあるものの、依然としてエネルギーコストの高騰が続いていることなどから、減収減益となりました。
環境・衛生については、アルコール製剤の需要減少により販売数量が減少し、また販売価格の改定を進めたものの、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、減収減益となりました。
≪その他≫
(単位:百万円) | ||||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
売上高 | 617 | 621 | +3 | 100.6% |
営業利益 | 113 | 166 | +52 | 146.5% |
情報システムをはじめその他の事業セグメントは、増収増益となりました。
地域別売上高
(単位:百万円) | ||||
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 増減額 | 前年同期比 | |
日本 | 103,056 | 105,181 | +2,124 | 102.1% |
アジア | 17,740 | 12,885 | △4,854 | 72.6% |
その他 | 17,427 | 10,673 | △6,753 | 61.2% |
海外売上高比率 | 25.4% | 18.3% | ― | △7.1P |
パーム油相場の下落を背景とした海外加工油脂製品の販売価格下落等の影響により、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は減収となりました。
【参考】売上高(単体)
(単位:百万円) | |||||
前第1四半期 会計期間 | 当第1四半期 会計期間 | 増減額 | 前年同期比 | ||
油脂 事業 | 油脂・油糧 | 75,492 | 76,211 | +719 | 101.0% |
業務用・加工用 | 31,849 | 32,653 | +804 | 102.5% | |
ホームユース | 18,927 | 18,561 | △366 | 98.1% | |
油糧 | 24,715 | 24,996 | +281 | 101.1% | |
加工油脂 | 2,962 | 3,625 | +663 | 122.4% | |
小計 | 78,455 | 79,837 | +1,382 | 101.8% | |
加工食品・素材事業 | 4,825 | 5,510 | +685 | 114.2% | |
ファインケミカル事業 | 1,451 | 1,646 | +194 | 113.4% | |
その他 | 85 | 96 | +10 | 112.7% | |
合計 | 84,818 | 87,091 | +2,272 | 102.7% |
② 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億74百万円減少し、3,719億79百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が10億51百万円、有形固定資産が33億95百万円、投資有価証券が23億70百万円増加した一方で、売上債権が21億25百万円、棚卸資産が82億67百万円減少したことであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ109億52百万円減少し、1,920億82百万円となりました。主な要因は、仕入債務が56億83百万円、短期借入金が38億71百万円、未払法人税等が10億27百万円減少したことであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ84億78百万円増加し、1,798億97百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が25億93百万円、その他の包括利益累計額が53億47百万円増加したことであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億94百万円増加し、118億93百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によるキャッシュ・フローは、114億67百万円の収入(前年同期は117億87百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益73億71百万円、減価償却費23億19百万円、売上債権の減少26億69百万円、棚卸資産の減少90億48百万円によるキャッシュの増加および仕入債務の減少62億27百万円、法人税等の支払31億39百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億50百万円の支出(前年同期は11億2百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入12億77百万円によるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出49億86百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動によるキャッシュ・フローは、68億18百万円の支出(前年同期は115億67百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純減42億8百万円、配当金の支払24億32百万円によるキャッシュの減少であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は8億32百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
連結業績につきましては、2023年5月12日に公表した2024年3月期の業績予想に変更はありません。
なお、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示いたします。