有価証券報告書-第140期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
業績等の概要
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 業績
当連結会計年度の売上高は、コーヒー類が減収となったものの、調味料・加工食品(海外)の現地通貨ベースでの増収に加え、為替の影響等により、前期を590億円上回る1兆1,502億円(前期比105.4%)となりました。同事業利益は、発酵原料の高騰に加え、冷凍食品(海外)やコーヒー類の減益等もあり、前期並みの973億円(前期比100.5%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を76億円上回る607億円(前期比114.5%)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向けうま味調味料「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、家庭用コーヒーのマーケットの縮小とそれに伴う競争激化によりコーヒー類の売上げが前期を下回ったことに加え、子会社売却の影響等により調味料・加工食品(日本)の売上げが前期並みだったことから、前期を62億円下回る3,841億円(前期比98.4%)となりました。事業利益は、冷凍食品(日本)、コーヒー類が減益となったことから、前期を16億円下回る391億円(前期比95.9%)となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、調味料・加工食品(海外)や冷凍食品(海外)の売上げが増加したことに加え、為替の影響等もあり、前期を357億円上回る4,647億円(前期比108.3%)となりました。事業利益は、冷凍食品(海外)と加工用うま味調味料が大幅な減益となったものの、前期並みの416億円(前期比99.7%)となりました。
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、動物栄養、化成品ともに増収となり前期を101億円上回る1,342億円(前期比108.2%)となりました。事業利益は、動物栄養の大幅な増益に加え、化成品も増益となったことから、前期を 37億円上回る96億円(前期比164.2%)となりました。
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、医薬用・食品用アミノ酸及び機能性表示食品等のサプリメント事業が増収するとともに、製薬カスタムサービスが大幅な増収となったこと等により、前期を147億円上回る1,042億円(前期比116.5%)となりました。事業利益は、医薬用・食品用アミノ酸が大幅な減益となったものの、前期並みの79億円(前期比97.8%)となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を45億円上回る627億円(前期比107.9%)となり、海外包材事業の大幅減益により、事業利益は前期を13億円下回る10億円の損失(前期比-)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績は、「(1) 業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては会計上の見積りを行う必要があり、各種引当金の計上、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を590億円上回る1兆1,502億円(前期比105.4%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期並みの5,223億円(前期比100.5%)となりました。海外では、調味料・加工食品(海外)の現地通貨ベースでの増収に加え、為替の影響等により、前期を562億円上回る6,278億円(前期比109.8%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,739億円(前期比107.5%)、2,391億円(前期比105.4%)及び1,147億円(前期比127.6%)となりました。なお、売上高海外比率は54.6%(前期は52.4%)となりました。
② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益
売上原価は、売上高の増加及び発酵原料の高騰に伴い、前期から486億円増加し、7,527億円(前期比106.9%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント悪化し、65.4%となりました。販売費は、物流費の増加の影響等もあり、前期から44億円増加し、1,738億円(前期比102.6%)となりました。研究開発費は、前期から6億円増加し、278億円(前期比102.6%)となりました。一般管理費は、従業員給付費用の増加により前期から62億円増加し、1,024億円(前期比106.5%)となりました。持分法による損益は、前期から14億円増加し、39億円(156.9%)となりました。
③ 事業利益
事業利益は、前期並みの973億円(前期比100.5%)となりました。地域別に見ますと、日本では467億円(前期比104.6%)、海外では506億円(前期比97.0%)となりました。日本において、業務用ベーカリーや、冷凍食品(日本)、コーヒー類が減益となったものの、全体としては増益となりました。海外において、動物栄養が大幅な増益となったものの、冷凍食品(海外)と加工用うま味調味料の大幅な減益等により、全体として減益となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ349億円(前期比95.6%)、113億円(前期比89.3%)及び43億円(前期比146.5%)となりました。なお、事業利益海外比率は52.0%(前期は53.9%)となりました。
セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。
④ その他の営業収益(費用)
その他の営業収益は、前期から2億円増加し、97億円(前期比102.4%)となりました。その他の営業費用は、事業構造改革に伴う減損損失等の影響により、前期から9億円増加し、237億円(前期比104.4%)となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前期並みの833億円(前期比99.6%)となりました。
⑥ 金融収益(費用)
金融収益は、前期から23億円増加し、95億円(前期比131.6%)となりました。金融費用は、前期から32億円増加し、74億円(前期比176.9%)となりました。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を76億円上回り、607億円(前期比114.5%)となり、1株当たり当期利益は106円84銭(前期は92円81銭)となりました。
(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析
当期末の資産合計は、前期末の1兆3,501億円に対して757億円増加し、1兆4,258億円となりました。これは主として、子会社の新規連結による影響や、能力拡張投資等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
負債合計は、前期末の6,594億円に対して458億円増加し、7,053億円となりました。なお、有利子負債残高は、前期末に対して82億円増加し3,442億円となりました。
資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加等により、前期末に対して298億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,414億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.0%となりました。
セグメントごとの概況は、次の通りです。
① 日本食品セグメント
当期末の資産合計は、前期末の2,808億円に対して34億円増加し、2,843億円となりました。これは主として、有形固定資産の増加、及び冷凍食品(日本)、コーヒー類での棚卸資産の増加等によるものです。
② 海外食品セグメント
当期末の資産合計は、前期末の4,144億円に対して301億円増加し、4,445億円となりました。これは主として、子会社の新規連結による影響や、生産体制の強化等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
③ ライフサポートセグメント
当期末の資産合計は、前期末の1,328億円に対して19億円減少し、1,308億円となりました。これは主として、動物栄養における事業構造改革に伴う減損損失の計上による有形固定資産等の減少によるものです。
④ ヘルスケアセグメント
当期末の資産合計は、前期末の1,066億円に対して244億円増加し、1,310億円となりました。これは主として、子会社の新規連結によるのれん等の増加や、設備投資等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
(6) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,266億円の収入(前期は1,089億円の収入)となりました。税引前当期利益が854億円であり、減価償却費及び償却費517億円と、法人所得税の支払額233億円があったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、991億円の支出(前期は1,422億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出707億円と、オルゲン食品社の株式及び同社の商標権の取得による支出、キャンブルック社、キュクレ食品社、アグロ2アグリ社(以下、「A2A社」という。)の株式の取得による支出があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、239億円の支出(前期は147億円の収入)となりました。配当金の支払があったこと等によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ18億円増加し1,878億円となりました。
(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入等による資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金、オルゲン食品社の株式及び同社のブランド「ビジム ムトゥファク」の商標権取得、並びにキュクレ食品社の株式50%の追加取得、A2A社の株式65.5%の追加取得、及びキャンブルック社の株式98.4%の追加取得です。
(8)経営上の目標の達成状況について
経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(9) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
① 退職後給付費用に係る費用
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しておりました。IFRSでは確定給付制度の再測定を発生時にその他の包括利益を通じて資本に認識し、過去勤務費用は発生時に一括で収益又は費用として処理しております。
② のれんの償却
日本基準ではのれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 業績
当連結会計年度の売上高は、コーヒー類が減収となったものの、調味料・加工食品(海外)の現地通貨ベースでの増収に加え、為替の影響等により、前期を590億円上回る1兆1,502億円(前期比105.4%)となりました。同事業利益は、発酵原料の高騰に加え、冷凍食品(海外)やコーヒー類の減益等もあり、前期並みの973億円(前期比100.5%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を76億円上回る607億円(前期比114.5%)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
売上高 (億円) | 前期増減 (億円) | 前期比 | 事業利益 (億円) | 前期増減 (億円) | 前期比 | |||
日本食品 | 3,841 | △62 | 98.4 | % | 391 | △16 | 95.9 | % |
海外食品 | 4,647 | 357 | 108.3 | % | 416 | △1 | 99.7 | % |
ライフサポート | 1,342 | 101 | 108.2 | % | 96 | 37 | 164.2 | % |
ヘルスケア | 1,042 | 147 | 116.5 | % | 79 | △1 | 97.8 | % |
その他 | 627 | 45 | 107.9 | % | △10 | △13 | - | % |
合計 | 11,502 | 590 | 105.4 | % | 973 | 4 | 100.5 | % |
(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向けうま味調味料「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、家庭用コーヒーのマーケットの縮小とそれに伴う競争激化によりコーヒー類の売上げが前期を下回ったことに加え、子会社売却の影響等により調味料・加工食品(日本)の売上げが前期並みだったことから、前期を62億円下回る3,841億円(前期比98.4%)となりました。事業利益は、冷凍食品(日本)、コーヒー類が減益となったことから、前期を16億円下回る391億円(前期比95.9%)となりました。
<主要な変動要因> | ||
・調味料・加工食品(日本)は、主に家庭用のスープが増収となるも、業務用ベーカリーの減収及び子会社売却の影響等により前期並み ・冷凍食品(日本)は、家庭用が「ギョーザ」「ザ★チャーハン」等の主力品拡大に加え、新製品が貢献し増収。業務用はデザート、餃子等のコアカテゴリーは拡大するも、鶏肉加工品等の苦戦により前期並み。全体で増収 ・コーヒー類は、スティックコーヒー及び業務用は増収となるも、市場縮小及び競争が激化した家庭用製品やギフト製品、CVS向け製品の減収により全体で減収 | ||
<主要な変動要因> | ||
・調味料・加工食品(日本)は、家庭用が増益となるも、業務用ベーカリーの減益、原材料価格の上昇影響もあり、全体で減益 ・冷凍食品(日本)は、増収となるも、円安及び原材料価格の上昇影響等により減益 ・コーヒー類は、商標権取得に伴い支払ロイヤルティがなくなった影響あるも、家庭用が大幅減益、業務用が前期並みに留まり、全体で減益 |
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、調味料・加工食品(海外)や冷凍食品(海外)の売上げが増加したことに加え、為替の影響等もあり、前期を357億円上回る4,647億円(前期比108.3%)となりました。事業利益は、冷凍食品(海外)と加工用うま味調味料が大幅な減益となったものの、前期並みの416億円(前期比99.7%)となりました。
<主要な変動要因> | ||
・調味料・加工食品(海外)は、換算為替影響、子会社の新規連結影響、「味の素®」及び風味調味料等の販売好調等により増収 ・冷凍食品(海外)は、欧州の子会社新規連結影響や換算為替影響、北米におけるアジアン製品の拡大により増収 ・加工用うま味調味料は、換算為替の増収影響あるも、主に海外における価格下落影響や貿易為替の減収影響により前期並み。甘味料は国内販売増や換算為替影響により増収 | ||
<主要な変動要因> | ||
・調味料・加工食品(海外)は、競争激化のタイの缶コーヒー事業が大幅減益となるも、風味調味料等の大幅増益、換算為替等により増益 ・冷凍食品(海外)は、原燃料価格高騰や米国における運送規制影響及び新生産体制構築に伴う生産コスト増等により大幅減益 ・加工用うま味調味料は、貿易為替影響に加え、販売単価の下落もあり大幅減益。甘味料は、安定生産によるコスト低減、販管費の効率的使用に加え、貿易為替影響もあり増益 |
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、動物栄養、化成品ともに増収となり前期を101億円上回る1,342億円(前期比108.2%)となりました。事業利益は、動物栄養の大幅な増益に加え、化成品も増益となったことから、前期を 37億円上回る96億円(前期比164.2%)となりました。
<主要な変動要因> | ||
・動物栄養は、換算為替影響に加えトリプトファン及び「AjiPro®-L」が大幅増収となり、全体で増収 ・化成品は、香粧品素材、ケミカルがいずれも増収になり、全体で増収 | ||
<主要な変動要因> | ||
・動物栄養は、主にトリプトファンの増収影響により大幅増益 ・化成品は、ケミカルの販売単価増、貿易為替影響により増益 |
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、医薬用・食品用アミノ酸及び機能性表示食品等のサプリメント事業が増収するとともに、製薬カスタムサービスが大幅な増収となったこと等により、前期を147億円上回る1,042億円(前期比116.5%)となりました。事業利益は、医薬用・食品用アミノ酸が大幅な減益となったものの、前期並みの79億円(前期比97.8%)となりました。
<主要な変動要因> | ||
・アミノ酸は、医薬用・食品用アミノ酸、製薬カスタムサービスともに換算為替影響及び子会社の新規連結影響が大きく、全体で増収 ・その他は、機能性表示食品の拡売により、大幅に増収 | ||
<主要な変動要因> | ||
・医薬用・食品用アミノ酸は、大手顧客の在庫調整影響に加え、M&A関連費用の計上もあり大幅減益。製薬カスタムサービスは、先行投資あるも、増収効果や換算為替影響により増益 ・その他は、増収に伴い増益 |
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を45億円上回る627億円(前期比107.9%)となり、海外包材事業の大幅減益により、事業利益は前期を13億円下回る10億円の損失(前期比-)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績は、「(1) 業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては会計上の見積りを行う必要があり、各種引当金の計上、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を590億円上回る1兆1,502億円(前期比105.4%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期並みの5,223億円(前期比100.5%)となりました。海外では、調味料・加工食品(海外)の現地通貨ベースでの増収に加え、為替の影響等により、前期を562億円上回る6,278億円(前期比109.8%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,739億円(前期比107.5%)、2,391億円(前期比105.4%)及び1,147億円(前期比127.6%)となりました。なお、売上高海外比率は54.6%(前期は52.4%)となりました。
② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益
売上原価は、売上高の増加及び発酵原料の高騰に伴い、前期から486億円増加し、7,527億円(前期比106.9%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント悪化し、65.4%となりました。販売費は、物流費の増加の影響等もあり、前期から44億円増加し、1,738億円(前期比102.6%)となりました。研究開発費は、前期から6億円増加し、278億円(前期比102.6%)となりました。一般管理費は、従業員給付費用の増加により前期から62億円増加し、1,024億円(前期比106.5%)となりました。持分法による損益は、前期から14億円増加し、39億円(156.9%)となりました。
③ 事業利益
事業利益は、前期並みの973億円(前期比100.5%)となりました。地域別に見ますと、日本では467億円(前期比104.6%)、海外では506億円(前期比97.0%)となりました。日本において、業務用ベーカリーや、冷凍食品(日本)、コーヒー類が減益となったものの、全体としては増益となりました。海外において、動物栄養が大幅な増益となったものの、冷凍食品(海外)と加工用うま味調味料の大幅な減益等により、全体として減益となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ349億円(前期比95.6%)、113億円(前期比89.3%)及び43億円(前期比146.5%)となりました。なお、事業利益海外比率は52.0%(前期は53.9%)となりました。
セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。
④ その他の営業収益(費用)
その他の営業収益は、前期から2億円増加し、97億円(前期比102.4%)となりました。その他の営業費用は、事業構造改革に伴う減損損失等の影響により、前期から9億円増加し、237億円(前期比104.4%)となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前期並みの833億円(前期比99.6%)となりました。
⑥ 金融収益(費用)
金融収益は、前期から23億円増加し、95億円(前期比131.6%)となりました。金融費用は、前期から32億円増加し、74億円(前期比176.9%)となりました。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を76億円上回り、607億円(前期比114.5%)となり、1株当たり当期利益は106円84銭(前期は92円81銭)となりました。
(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析
当期末の資産合計は、前期末の1兆3,501億円に対して757億円増加し、1兆4,258億円となりました。これは主として、子会社の新規連結による影響や、能力拡張投資等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
負債合計は、前期末の6,594億円に対して458億円増加し、7,053億円となりました。なお、有利子負債残高は、前期末に対して82億円増加し3,442億円となりました。
資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加等により、前期末に対して298億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,414億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.0%となりました。
セグメントごとの概況は、次の通りです。
① 日本食品セグメント
当期末の資産合計は、前期末の2,808億円に対して34億円増加し、2,843億円となりました。これは主として、有形固定資産の増加、及び冷凍食品(日本)、コーヒー類での棚卸資産の増加等によるものです。
② 海外食品セグメント
当期末の資産合計は、前期末の4,144億円に対して301億円増加し、4,445億円となりました。これは主として、子会社の新規連結による影響や、生産体制の強化等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
③ ライフサポートセグメント
当期末の資産合計は、前期末の1,328億円に対して19億円減少し、1,308億円となりました。これは主として、動物栄養における事業構造改革に伴う減損損失の計上による有形固定資産等の減少によるものです。
④ ヘルスケアセグメント
当期末の資産合計は、前期末の1,066億円に対して244億円増加し、1,310億円となりました。これは主として、子会社の新規連結によるのれん等の増加や、設備投資等に伴う有形固定資産の増加等によるものです。
(6) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
(億円) | |||
2017年3月期 | 2018年3月期 | 差額 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,089 | 1,266 | 177 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,422 | △991 | 431 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 147 | △239 | △386 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 1 | △17 | △19 |
現金及び現金同等物の増減額 | △184 | 18 | 203 |
売却目的保有に分類される処分グループに係る 資産に含まれる現金及び現金同等物 | - | - | - |
現金及び現金同等物の期末残高 | 1,860 | 1,878 | 18 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,266億円の収入(前期は1,089億円の収入)となりました。税引前当期利益が854億円であり、減価償却費及び償却費517億円と、法人所得税の支払額233億円があったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、991億円の支出(前期は1,422億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出707億円と、オルゲン食品社の株式及び同社の商標権の取得による支出、キャンブルック社、キュクレ食品社、アグロ2アグリ社(以下、「A2A社」という。)の株式の取得による支出があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、239億円の支出(前期は147億円の収入)となりました。配当金の支払があったこと等によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ18億円増加し1,878億円となりました。
(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入等による資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金、オルゲン食品社の株式及び同社のブランド「ビジム ムトゥファク」の商標権取得、並びにキュクレ食品社の株式50%の追加取得、A2A社の株式65.5%の追加取得、及びキャンブルック社の株式98.4%の追加取得です。
(8)経営上の目標の達成状況について
経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(9) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
① 退職後給付費用に係る費用
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しておりました。IFRSでは確定給付制度の再測定を発生時にその他の包括利益を通じて資本に認識し、過去勤務費用は発生時に一括で収益又は費用として処理しております。
② のれんの償却
日本基準ではのれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。