有価証券報告書-第174期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(業績等の概要)
以下の説明は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (表示方法の変更)」及び「同(企業結合等関係)」に記載のとおり、遡及・組替後の前連結会計年度の連結財務諸表等の数値を用いて行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調が続きました。一方、通商問題を巡る動向や中国経済の先行きなど海外経済の不確実性や金融資本市場の変動影響に加え、消費税率引き上げ、年度終盤には新型コロナウイルス感染症拡大の影響など、足下では景気が下押しされ厳しい状況にあります。
印刷業界におきましては、IT化の進展に伴う情報媒体のデジタルシフトの影響により、ペーパーメディアの需要は減少し、原紙価格の値上がりや競争激化による単価下落など、依然として厳しい経営環境が続きました。また、2015年の国連総会において採択された「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」の達成に向け、企業の積極的なSDGsへの取り組みが期待されております。
このような環境のなかでトッパングループは、SDGs推進体制を構築するとともに、取り組みに関する基本的な考え方をまとめた「TOPPAN SDGs STATEMENT」を策定しました。また、新たな収益モデルを早期確立すべく、新規事業においては積極的に経営資源を投入してまいります。一方、既存事業においては技術開発強化やコスト削減など、競争優位性の確立を推進してまいります。
以上の結果、当期の売上高は前年に比べ1.5%増の1兆4,860億円となりました。また、連結営業利益は45.2%増の664億円、連結経常利益は35.8%増の667億円、親会社株主に帰属する当期純利益は112.1%増の870億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、キャッシュレス決済関連サービスやICカード関連、プレミアム商品券が好調に推移し、前年を上回りました。また、どの角度から見ても視認性を損なわないムービングホログラムや、高精細な凹版印刷技術により強い凹凸感を表現するなど、より高いセキュリティの提供を開始しました。
ビジネスフォーム関連では、ビジネスフォームは改元や消費税率引き上げに対応した需要増などがありましたが、製品仕様の簡素化による単価下落や電子化に伴う数量減などの影響があり、前年並みとなりました。データ・プリント・サービスは、金融機関などにおける事務通知物やダイレクトメールの受託が堅調に推移し、前年を上回りました。
コンテンツ・マーケティング関連では、出版印刷は前年を下回りましたが、SP関連ツールは好調に推移しました。商業印刷は昨年度の米国総合ファイナンス印刷会社の一部事業を買収した効果により大幅に増加し、全体では前年を上回りました。また新薬開発の世界同時申請が主流となる製薬業界向けに、膨大な過去翻訳データから深層学習で構築した高精度AI機械翻訳を活用したサービスの提供を開始し、新薬開発のリードタイム短縮に貢献しました。地方創生・観光立国の取り組みとしては、文化財のアーカイブ化、高品位複製やVRコンテンツ制作など、デジタル技術を活用したサービスに注力しました。拡大を続ける電子書籍市場において、株式会社BookLiveは、ブランド認知率の向上のため新たなテレビCMを放映するなど広告宣伝を実施するとともに、イラスト・マンガ学習動画サービスを提供する企業を子会社化するなど、さらなる事業の拡大に注力しました。
BPO関連では、企業等の業務のアウトソーシング需要が高まるなか、コールセンター業務が増加し、前年を上回りました。
以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ3.8%増の9,080億円、営業利益は28.9%増の563億円となりました。
b 生活・産業事業分野
パッケージ関連では、軟包材は、医療医薬、食料品向けを中心に前年を上回り、海外もインドネシアを中心に好調に推移しましたが、紙器は減収となりました。また、プラスチックごみ問題が注目され環境配慮型包材の需要がますます高まるなか、バイオマス素材である「セルロースナノファイバー」を使用した飲料向け紙カップの開発や、プラスチック外装材の紙化など、プラスチック使用量の大幅削減を実現しました。バリアフィルムは、「GL BARRIER」を用いたボイル殺菌・ホット充填が可能な、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)基材のモノマテリアル化に対応した高機能包材を開発するなど、ラインナップの拡充に注力し、前年を上回りました。
建装材関連は、主力の化粧シートの増、及び非住宅向け商品の伸長により国内は堅調に推移しました。一方海外は、欧米における市況の低迷、米中貿易摩擦による中国市況の悪化を受け減少、海外工場の一部では新型コロナウイルスの影響により、一時操業を停止しました。また、大手建装材印刷メーカーであるINTERPRINT GmbHを買収し、地産地消体制の強化を行いました。今後もグローバルにおける建装材事業の更なる拡大を推進してまいります。
以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ1.4%増の4,204億円、営業利益は54.7%増の289億円となりました。
c エレクトロニクス事業分野
半導体関連では、半導体市況が低迷するなか、フォトマスクは前年を下回りました。一方、高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)など新たなテクノロジーを視野にハイエンド向けへの対応を強化し、好調に推移しました。また、IoTの本格普及に向けて省電力性と広域性に優れる通信方式が注目される中、低消費電力で分散アクセスや双方向通信などが可能な通信規格「ZETA」の通信モジュールの量産を開始しました。
ディスプレイ関連では、カラーフィルタは、スマートフォン向けを中心に需要が低迷し減収となりましたが、反射防止フィルムは順調に推移しました。TFT液晶パネルは、構造改革により収益力の改善に努めたものの、中国向けを中心に減少しました。
以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ8.8%減の1,781億円、営業利益は12.2%減の121億円となりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響につきましては、当社グループの事業領域が多岐にわたることから、プラス・マイナスの両面に生じています。なお、セグメントごとの具体的な影響は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野においては、全国のイベント中止や延期、流通・メーカーの販促需要減などにより、チラシやパンフレット、セールスプロモーション等が減少しました。また、書籍の販売延期などの影響も受けました。一方、巣ごもり需要により電子書籍は増加しましたが、全体としてはマイナスの影響を受けました。
生活・産業事業分野においては、パッケージ関連ではインバウンド向け包材が減少した半面、医薬・衛生用品や家庭用加工食品向け包材などが増加し、全体として影響は軽微でした。
エレクトロニクス事業分野においては、半導体関連ではサーバ需要に伴う部材需要増はあったものの、TFT液晶は部材調達の難航により減少するなど、全体としてはマイナスの影響を受けました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当期における総資産は、前期に比べ507億円減少し2兆1,434億円となりました。これは機械装置及び運搬具が306億円、現金及び預金が298億円、建物及び構築物が178億円、それぞれ増加したものの、投資有価証券が1,557億円減少したことなどによるものです。
負債は、前期に比べ321億円減少し8,332億円となりました。これは未払法人税等が265億円、長期借入金が147億円、それぞれ増加したものの、繰延税金負債が458億円、1年内償還予定の新株予約権付社債が400億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
純資産は、前期に比べ186億円減少し1兆3,102億円となりました。これは利益剰余金が711億円増加し、自己株式が496億円減少したものの、その他有価証券評価差額金が1,069億円、非支配株主持分が343億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ238億円(8.7%)増加し2,968億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期における営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ153億円(20.0%)増加し921億円となりました。これは、減少要因である投資有価証券売却損益の増加が627億円あったことや、法人税等の支払額が160億円増加したものの、税金等調整前当期純利益が696億円増加したことや、増加要因である売上債権の増減額の増加が268億円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期における投資活動により使用した資金は、前期に比べ387億円(52.4%)減少し351億円となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が213億円増加したものの、投資有価証券の売却及び償還による収入が671億円増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期における財務活動により使用した資金は、前期に比べ314億円(2,490.5%)増加し327億円となりました。これは、長期借入による収入が292億円増加したものの、短期借入金の純増減額が272億円減少、社債の償還による支出が229億円増加、長期借入金の返済による支出が140億円増加したことなどによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、212億円(1.5%)増の1兆4,860億円となりました。TFT液晶やフォトマスクなどエレクトロニクス事業分野が低調に推移したほか、出版印刷の縮小や選別受注を推進した一部のパッケージ品種が減少しました。一方、米国ファイナンス印刷会社及び欧州建装材会社の買収による純増影響や、軟包材、セキュア事業の拡大に伴い、全体としては増収となりました。
売上原価は前期比0.3%減の1兆1,858億円、売上原価率は1.4ポイント低下して79.8%となりました。この結果、売上総利益は、前期比9.2%増の3,001億円となりました。当期は売上原価率を抑え、80%を切るレベルまで低減いたしました。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなど、総合的なコスト削減策に取り組んでまいります。
販売費及び一般管理費は、前期比2.0%増の2,337億円となりました。対売上高比率は15.7%で、前期の15.6%から0.1ポイント上昇しました。現在、当社では収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、人員の最適配置による外部委託費低減、総労務費の圧縮などを引き続き推進していく方針です。
営業利益は、前連結会計年度に比べ、206億円(45.2%)増の664億円となりました。セキュアや軟包材の数量増に伴う利益増に加え、小学校の教科書採択年度による増、低差益品の選別受注推進による利益改善がありました。また、償却方法の変更影響と退職給付影響が生じた結果、全体としては増益となりました。今後も営業利益の拡大に向けた施策を積極的に講じていく方針です。
経常利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ、176億円(35.8%)増の667億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益や構造改革関連費用を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ、459億円(112.1%)増の870億円となりました。
当社の経営においては、株主価値重視の観点からROEの向上をめざすとともに、段階利益のなかでも特に、本業の収益力を表す営業利益の拡大に注力しています。資本効率、ひいては企業価値をさらに高める経営に邁進し、株主の皆さまの期待に応えていきたいと考えております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野の総資産は68億円(0.8%)減少し8,503億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は484億円(11.3%)増加し4,757億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は41億円(1.9%)増加し2,193億円となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。
これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、将来の成長事業と構造改革への投資財源へ充当してまいります。
また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金運用をはかっております。
これらの方針により、成長に向けた積極投資を継続しながらも、持続的な安定配当により株主還元とのバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。
以下の説明は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (表示方法の変更)」及び「同(企業結合等関係)」に記載のとおり、遡及・組替後の前連結会計年度の連結財務諸表等の数値を用いて行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調が続きました。一方、通商問題を巡る動向や中国経済の先行きなど海外経済の不確実性や金融資本市場の変動影響に加え、消費税率引き上げ、年度終盤には新型コロナウイルス感染症拡大の影響など、足下では景気が下押しされ厳しい状況にあります。
印刷業界におきましては、IT化の進展に伴う情報媒体のデジタルシフトの影響により、ペーパーメディアの需要は減少し、原紙価格の値上がりや競争激化による単価下落など、依然として厳しい経営環境が続きました。また、2015年の国連総会において採択された「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」の達成に向け、企業の積極的なSDGsへの取り組みが期待されております。
このような環境のなかでトッパングループは、SDGs推進体制を構築するとともに、取り組みに関する基本的な考え方をまとめた「TOPPAN SDGs STATEMENT」を策定しました。また、新たな収益モデルを早期確立すべく、新規事業においては積極的に経営資源を投入してまいります。一方、既存事業においては技術開発強化やコスト削減など、競争優位性の確立を推進してまいります。
以上の結果、当期の売上高は前年に比べ1.5%増の1兆4,860億円となりました。また、連結営業利益は45.2%増の664億円、連結経常利益は35.8%増の667億円、親会社株主に帰属する当期純利益は112.1%増の870億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、キャッシュレス決済関連サービスやICカード関連、プレミアム商品券が好調に推移し、前年を上回りました。また、どの角度から見ても視認性を損なわないムービングホログラムや、高精細な凹版印刷技術により強い凹凸感を表現するなど、より高いセキュリティの提供を開始しました。
ビジネスフォーム関連では、ビジネスフォームは改元や消費税率引き上げに対応した需要増などがありましたが、製品仕様の簡素化による単価下落や電子化に伴う数量減などの影響があり、前年並みとなりました。データ・プリント・サービスは、金融機関などにおける事務通知物やダイレクトメールの受託が堅調に推移し、前年を上回りました。
コンテンツ・マーケティング関連では、出版印刷は前年を下回りましたが、SP関連ツールは好調に推移しました。商業印刷は昨年度の米国総合ファイナンス印刷会社の一部事業を買収した効果により大幅に増加し、全体では前年を上回りました。また新薬開発の世界同時申請が主流となる製薬業界向けに、膨大な過去翻訳データから深層学習で構築した高精度AI機械翻訳を活用したサービスの提供を開始し、新薬開発のリードタイム短縮に貢献しました。地方創生・観光立国の取り組みとしては、文化財のアーカイブ化、高品位複製やVRコンテンツ制作など、デジタル技術を活用したサービスに注力しました。拡大を続ける電子書籍市場において、株式会社BookLiveは、ブランド認知率の向上のため新たなテレビCMを放映するなど広告宣伝を実施するとともに、イラスト・マンガ学習動画サービスを提供する企業を子会社化するなど、さらなる事業の拡大に注力しました。
BPO関連では、企業等の業務のアウトソーシング需要が高まるなか、コールセンター業務が増加し、前年を上回りました。
以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ3.8%増の9,080億円、営業利益は28.9%増の563億円となりました。
b 生活・産業事業分野
パッケージ関連では、軟包材は、医療医薬、食料品向けを中心に前年を上回り、海外もインドネシアを中心に好調に推移しましたが、紙器は減収となりました。また、プラスチックごみ問題が注目され環境配慮型包材の需要がますます高まるなか、バイオマス素材である「セルロースナノファイバー」を使用した飲料向け紙カップの開発や、プラスチック外装材の紙化など、プラスチック使用量の大幅削減を実現しました。バリアフィルムは、「GL BARRIER」を用いたボイル殺菌・ホット充填が可能な、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)基材のモノマテリアル化に対応した高機能包材を開発するなど、ラインナップの拡充に注力し、前年を上回りました。
建装材関連は、主力の化粧シートの増、及び非住宅向け商品の伸長により国内は堅調に推移しました。一方海外は、欧米における市況の低迷、米中貿易摩擦による中国市況の悪化を受け減少、海外工場の一部では新型コロナウイルスの影響により、一時操業を停止しました。また、大手建装材印刷メーカーであるINTERPRINT GmbHを買収し、地産地消体制の強化を行いました。今後もグローバルにおける建装材事業の更なる拡大を推進してまいります。
以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ1.4%増の4,204億円、営業利益は54.7%増の289億円となりました。
c エレクトロニクス事業分野
半導体関連では、半導体市況が低迷するなか、フォトマスクは前年を下回りました。一方、高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)など新たなテクノロジーを視野にハイエンド向けへの対応を強化し、好調に推移しました。また、IoTの本格普及に向けて省電力性と広域性に優れる通信方式が注目される中、低消費電力で分散アクセスや双方向通信などが可能な通信規格「ZETA」の通信モジュールの量産を開始しました。
ディスプレイ関連では、カラーフィルタは、スマートフォン向けを中心に需要が低迷し減収となりましたが、反射防止フィルムは順調に推移しました。TFT液晶パネルは、構造改革により収益力の改善に努めたものの、中国向けを中心に減少しました。
以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ8.8%減の1,781億円、営業利益は12.2%減の121億円となりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響につきましては、当社グループの事業領域が多岐にわたることから、プラス・マイナスの両面に生じています。なお、セグメントごとの具体的な影響は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野においては、全国のイベント中止や延期、流通・メーカーの販促需要減などにより、チラシやパンフレット、セールスプロモーション等が減少しました。また、書籍の販売延期などの影響も受けました。一方、巣ごもり需要により電子書籍は増加しましたが、全体としてはマイナスの影響を受けました。
生活・産業事業分野においては、パッケージ関連ではインバウンド向け包材が減少した半面、医薬・衛生用品や家庭用加工食品向け包材などが増加し、全体として影響は軽微でした。
エレクトロニクス事業分野においては、半導体関連ではサーバ需要に伴う部材需要増はあったものの、TFT液晶は部材調達の難航により減少するなど、全体としてはマイナスの影響を受けました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当期における総資産は、前期に比べ507億円減少し2兆1,434億円となりました。これは機械装置及び運搬具が306億円、現金及び預金が298億円、建物及び構築物が178億円、それぞれ増加したものの、投資有価証券が1,557億円減少したことなどによるものです。
負債は、前期に比べ321億円減少し8,332億円となりました。これは未払法人税等が265億円、長期借入金が147億円、それぞれ増加したものの、繰延税金負債が458億円、1年内償還予定の新株予約権付社債が400億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
純資産は、前期に比べ186億円減少し1兆3,102億円となりました。これは利益剰余金が711億円増加し、自己株式が496億円減少したものの、その他有価証券評価差額金が1,069億円、非支配株主持分が343億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ238億円(8.7%)増加し2,968億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期における営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ153億円(20.0%)増加し921億円となりました。これは、減少要因である投資有価証券売却損益の増加が627億円あったことや、法人税等の支払額が160億円増加したものの、税金等調整前当期純利益が696億円増加したことや、増加要因である売上債権の増減額の増加が268億円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期における投資活動により使用した資金は、前期に比べ387億円(52.4%)減少し351億円となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が213億円増加したものの、投資有価証券の売却及び償還による収入が671億円増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期における財務活動により使用した資金は、前期に比べ314億円(2,490.5%)増加し327億円となりました。これは、長期借入による収入が292億円増加したものの、短期借入金の純増減額が272億円減少、社債の償還による支出が229億円増加、長期借入金の返済による支出が140億円増加したことなどによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 886,022 | 1.5 |
| 生活・産業事業分野 | 412,897 | 1.6 |
| エレクトロニクス事業分野 | 177,606 | △9.2 |
| 合 計 | 1,476,526 | 0.1 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 898,875 | 3.9 | 41,420 | 4.7 |
| 生活・産業事業分野 | 424,496 | 4.3 | 107,739 | 13.5 |
| エレクトロニクス事業分野 | 181,172 | △4.1 | 15,371 | 34.2 |
| 合 計 | 1,504,545 | 3.0 | 164,531 | 12.7 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 897,022 | 3.8 |
| 生活・産業事業分野 | 411,726 | 1.5 |
| エレクトロニクス事業分野 | 177,258 | △9.1 |
| 合 計 | 1,486,007 | 1.5 |
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、212億円(1.5%)増の1兆4,860億円となりました。TFT液晶やフォトマスクなどエレクトロニクス事業分野が低調に推移したほか、出版印刷の縮小や選別受注を推進した一部のパッケージ品種が減少しました。一方、米国ファイナンス印刷会社及び欧州建装材会社の買収による純増影響や、軟包材、セキュア事業の拡大に伴い、全体としては増収となりました。
売上原価は前期比0.3%減の1兆1,858億円、売上原価率は1.4ポイント低下して79.8%となりました。この結果、売上総利益は、前期比9.2%増の3,001億円となりました。当期は売上原価率を抑え、80%を切るレベルまで低減いたしました。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなど、総合的なコスト削減策に取り組んでまいります。
販売費及び一般管理費は、前期比2.0%増の2,337億円となりました。対売上高比率は15.7%で、前期の15.6%から0.1ポイント上昇しました。現在、当社では収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、人員の最適配置による外部委託費低減、総労務費の圧縮などを引き続き推進していく方針です。
営業利益は、前連結会計年度に比べ、206億円(45.2%)増の664億円となりました。セキュアや軟包材の数量増に伴う利益増に加え、小学校の教科書採択年度による増、低差益品の選別受注推進による利益改善がありました。また、償却方法の変更影響と退職給付影響が生じた結果、全体としては増益となりました。今後も営業利益の拡大に向けた施策を積極的に講じていく方針です。
経常利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ、176億円(35.8%)増の667億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益や構造改革関連費用を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ、459億円(112.1%)増の870億円となりました。
当社の経営においては、株主価値重視の観点からROEの向上をめざすとともに、段階利益のなかでも特に、本業の収益力を表す営業利益の拡大に注力しています。資本効率、ひいては企業価値をさらに高める経営に邁進し、株主の皆さまの期待に応えていきたいと考えております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野の総資産は68億円(0.8%)減少し8,503億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は484億円(11.3%)増加し4,757億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は41億円(1.9%)増加し2,193億円となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。
これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、将来の成長事業と構造改革への投資財源へ充当してまいります。
また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金運用をはかっております。
これらの方針により、成長に向けた積極投資を継続しながらも、持続的な安定配当により株主還元とのバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。