有価証券報告書-第175期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に対する各種政策の効果もあり持ち直しの動きが見られますが、依然として厳しい状況にあります。国内外の感染症の動向や通商問題を巡る海外経済の不確実性、金融資本市場の変動影響など、先行き不透明な状況が続いており、引き続き注視する必要があります。
当社グループを取り巻く環境におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による個人消費や企業活動の停滞、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少など、厳しい経営環境が続きました。一方、生活様式の変化に伴うオンライン需要や巣ごもり消費の増加、さらには環境衛生に対する意識の高まりなど、新たな需要も見込まれています。また、2015年の国連総会において採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の達成に向け、企業の積極的な取り組みが期待されております。
このような環境のなかで当社グループは、SDGsへの取り組みに関する基本的な考え方をまとめた「TOPPAN SDGs STATEMENT」に基づき、事業での貢献において特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」を発表しました。また、安定した財務基盤を確保しながら新たな収益モデルを早期確立すべく、新規事業においては積極的に経営資源を投入していくとともに、既存事業においてはさらなる技術開発強化やコスト削減など、競争優位性の確立を推進してまいります。
以上の結果、当期の売上高は前期に比べ1.3%減の1兆4,669億円となりました。また、営業利益は11.5%減の587億円、経常利益は13.0%減の580億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.8%減の819億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、ICカード関連は好調に推移しましたが、昨年度のプレミアム商品券需要増の反動減があり、前年を下回りました。海外では、前年度末に買収した新規子会社がデジタル政府関連システムやクレジットカードの需要に対応しました。また、抗ウイルス性能を有したカードが、第三者認証機関であるSIAA(抗菌製品技術協議会)の認証を国内で初めて取得するなど、環境衛生ニーズに対応しました。ホログラム製造においては、世界最高水準のセキュリティ認証を取得するなど、より安全性の高いセキュアソリューションの提供を推進しました。
ビジネスフォーム関連では、ビジネスフォームは、金融機関を中心とした非対面手続きの促進に伴う各種窓口帳票の減少や、前年度の改元や税率引き上げに関連した一時的な需要増の反動により、大幅な減収となりました。データ・プリント・サービスは、経済対策や新型コロナウイルスワクチン関連など行政機関を中心とした通知物需要の取り込みなどはありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事務通知物やダイレクトメールの縮小などがあり、わずかに減収となりました。
コンテンツ・マーケティング関連では、雑誌・書籍をはじめとした出版印刷が減少し、前年を下回りました。SP関連ツール及び商業印刷は、イベントの中止・延期やチラシ、パンフレットの減少などにより、前年を下回りました。DXの取り組みとしては、AIカメラを活用し、店頭顧客の属性や店内行動に合わせて、最適なデジタルコンテンツを店頭サイネージから配信するシステムの開発や、複数サービスのシングルサインオンを可能にするID統合プラットフォームの提供など、デジタル技術を活かしたサービスに注力しました。また、電子書籍関連では、コロナ禍における巣ごもり需要増の一方で、海外企業の参入が本格化し競争が激しさを増すなか、株式会社BookLiveは、テレビCMを放映するなど、より幅広いユーザーの獲得に取り組みました。
BPO関連では、企業や政府・地方自治体等のアウトソーシング需要を取り込み、受注が想定以上に伸びていることもあり、好調に推移しました。また、株式会社ベルシステム24ホールディングスと合弁契約を締結し、企業のDX推進を支援する株式会社TBネクストコミュニケーションズを2020年5月に設立しました。労働力不足などの社会問題に対し、BPOサービスは労働集約型から知識集約型への転換が求められており、当社が持つ高度なセキュリティインフラ・業務設計力と、ベルシステム24のコンタクトセンターノウハウを融合させた次世代BPOサービスの展開を実現していきます。 以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ3.3%減の8,781億円、営業利益は9.2%減の511億円となりました。
b 生活・産業事業分野
パッケージ関連では、軟包材は、加工食品向けが堅調に推移したものの、外食向けを中心に減少し、前年を下回りました。紙器は、トイレタリー関連が減少し、前年を下回りました。環境配慮型製品の需要がますます高まるなか、「GL BARRIER」の基材に再生材である「メカニカルリサイクルPETフィルム」を使用した新製品を開発するなど、高いバリア性と環境適性の両立に取り組みました。また、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、食品をはじめとした生活必需品向け包装材の供給を継続し、社会的責任を遂行するとともに、抗ウイルス機能を持つ紙製パッケージを開発するなど、環境衛生需要にも対応しました。海外においては、インドネシアではトイレタリー等の需要を取り込み、欧米ではバリアフィルムを用いた環境配慮型製品の拡販に注力しました。
建装材関連は、国内は、住宅市場が緩やかな回復傾向にある一方、店舗、ホテル等の非住宅市場は、案件の延期・中止の影響を受け、厳しい状況が続いています。海外は、コロナ禍で外出自粛が続くなか、家具等のインテリア需要拡大により順調に推移しました。全体では、昨年度実施した欧州大手建装材メーカーであるINTERPRINT GmbHの買収効果もあり、増収となりました。また、増加する環境衛生ニーズに対応すべく、「オレフィン製化粧シート」に続き、「塩ビ製化粧シート」、「コート紙化粧シート」でも、SIAA認証を取得し、抗ウイルス・抗菌製品のラインナップを拡大しました。
以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ1.3%増の4,259億円、営業利益は4.4%減の276億円となりました。
c エレクトロニクス事業分野
半導体関連では、フォトマスクは、社会のデジタル化進展を背景にしたオンライン会議等の需要拡大により、サーバーやメモリ、通信用などを中心に半導体需要が下支えされ、前年を上回りました。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、通信データ量の増大に伴い需要が高まるなか、業界最高水準の品質と技術を武器に大型・高多層の高付加価値品を取り込み、好調に推移しました。また、IoTの本格普及に向けて、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」のシステム構築に必要な機器類やソフトウェアなどを一括して提供するサブスクリプションサービスの提供を開始しました。
ディスプレイ関連では、カラーフィルタは、下期の車載向けを中心に回復が見られるものの、市況の低迷により通年では減収となりました。また、VR/ARゴーグル向けなど超高精細品を取り込み、利用用途の拡大に取り組みました。反射防止フィルムは、テレワークや巣ごもり需要によりテレビ、ノートPC、モニター向け需要が拡大するなか、高精細AG(アンチグレア)などの高付加価値品を取り込み、前年を上回りました。TFT液晶パネルは、車載や産業機器向けなどの需要は下期に入り回復基調にあるものの、上期の低迷を受けて通年では減少しました。新規事業については、非接触タッチパネルのニーズが高まるなか、パネルと並行に空中に映像を出現させる世界初の空中タッチディスプレイを開発するなど、技術開発を推進しました。また、調光デバイスでは、オフィス向け施工の受注やリバース品の販売を開始するなど、事業の拡大に注力しました。
以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ3.1%増の1,837億円、営業利益は1.7%減の119億円となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,200億円増加し2兆3,635億円となりました。これは退職給付に係る資産が646億円、有価証券が493億円、建物及び構築物が148億円減少したものの、現金及び預金が2,267億円、投資有価証券が1,484億円それぞれ増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ771億円増加し9,103億円となりました。これは1年内償還予定の社債が300億円、未払法人税等が164億円、電子記録債務が126億円それぞれ減少したものの、長期借入金が1,004億円、繰延税金負債が313億円それぞれ増加したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,429億円増加し1兆4,531億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が873億円、利益剰余金が610億円それぞれ増加したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,003億円(67.5%)増加し4,972億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,300億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、768億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資を行った一方、投資有価証券の売却及び償還による収入があったことなどにより、812億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払を行った一方、長期借入等による資金調達を行ったことから、422億円の収入となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、1.3%減の1兆4,669億円となりました。コロナ禍において、半導体需要の高まりを受けたフォトマスクやFC-BGA、巣ごもり需要を取り込んだ電子書籍や反射防止フィルムが増収となったほか、経済対策を背景としてBPO関連が大幅に増加しました。また、建装材関連では、昨年度に買収したINTERPRINT GmbHの純増影響があり増収となりました。一方、外出自粛の影響で、商業印刷やSP関連ツール、外食向けパッケージが低調に推移したほか、TFT液晶やカラーフィルタ、出版印刷、昨年度の証券系印刷の反動を受けたセキュア関連が減少し、全体としては減収となりました。
売上原価は前期比1.7%減の1兆1,655億円、売上原価率は0.3ポイント低下して79.5%となりました。この結果、売上総利益は、前期比0.4%増の3,014億円となりました。総合的なコスト削減策により、売上原価率は、80%を切るレベルに到達した前期から、さらに低減しました。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなどに取り組んでいきます。
販売費及び一般管理費は、前期比3.8%増の2,426億円となりました。対売上高比率は16.5%で、前期の15.7%から0.8ポイント上昇しました。
当社では現在、収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、人員の最適配置による外部委託費低減、総労務費の圧縮などを引き続き推進していく方針です。
営業利益は前期比11.5%減の587億円となり、売上高営業利益率は4.0%と、前期の4.5%から0.5ポイント低下しました。当社は、本業の収益力を測る指標として営業利益を重視しており、今後もその拡大に向けた施策を積極的に講じていく方針です。
税金等調整前当期純利益は前期比3.6%減の1,300億円となりました。これは、一連の保有資産価値見直し施策に伴い投資有価証券評価損や減損損失を計上した一方、同施策が奏功し投資有価証券売却益及び固定資産売却益が増加したことなどによるものです。
以上の結果、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比5.8%減の819億円となり、1株当たり当期純利益は、前期の261円06銭から237円16銭に減少しました。
利益率は、総資産当期純利益率(RОA)が前期の4.0%から3.6%へ、また自己資本当期純利益率(ROE)が前期の7.4%から6.5%へと、それぞれ低下しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野の総資産は483億円(5.7%)減少し8,020億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は341億円(7.2%)減少し4,415億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は115億円(5.3%)減少し2,077億円となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。
これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、将来の成長事業と構造改革への投資財源へ充当してまいります。
また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金運用を図っております。
これらの方針により、成長に向けた積極投資を継続しながらも、持続的な安定配当により株主還元とのバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に対する各種政策の効果もあり持ち直しの動きが見られますが、依然として厳しい状況にあります。国内外の感染症の動向や通商問題を巡る海外経済の不確実性、金融資本市場の変動影響など、先行き不透明な状況が続いており、引き続き注視する必要があります。
当社グループを取り巻く環境におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による個人消費や企業活動の停滞、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少など、厳しい経営環境が続きました。一方、生活様式の変化に伴うオンライン需要や巣ごもり消費の増加、さらには環境衛生に対する意識の高まりなど、新たな需要も見込まれています。また、2015年の国連総会において採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の達成に向け、企業の積極的な取り組みが期待されております。
このような環境のなかで当社グループは、SDGsへの取り組みに関する基本的な考え方をまとめた「TOPPAN SDGs STATEMENT」に基づき、事業での貢献において特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」を発表しました。また、安定した財務基盤を確保しながら新たな収益モデルを早期確立すべく、新規事業においては積極的に経営資源を投入していくとともに、既存事業においてはさらなる技術開発強化やコスト削減など、競争優位性の確立を推進してまいります。
以上の結果、当期の売上高は前期に比べ1.3%減の1兆4,669億円となりました。また、営業利益は11.5%減の587億円、経常利益は13.0%減の580億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.8%減の819億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、ICカード関連は好調に推移しましたが、昨年度のプレミアム商品券需要増の反動減があり、前年を下回りました。海外では、前年度末に買収した新規子会社がデジタル政府関連システムやクレジットカードの需要に対応しました。また、抗ウイルス性能を有したカードが、第三者認証機関であるSIAA(抗菌製品技術協議会)の認証を国内で初めて取得するなど、環境衛生ニーズに対応しました。ホログラム製造においては、世界最高水準のセキュリティ認証を取得するなど、より安全性の高いセキュアソリューションの提供を推進しました。
ビジネスフォーム関連では、ビジネスフォームは、金融機関を中心とした非対面手続きの促進に伴う各種窓口帳票の減少や、前年度の改元や税率引き上げに関連した一時的な需要増の反動により、大幅な減収となりました。データ・プリント・サービスは、経済対策や新型コロナウイルスワクチン関連など行政機関を中心とした通知物需要の取り込みなどはありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事務通知物やダイレクトメールの縮小などがあり、わずかに減収となりました。
コンテンツ・マーケティング関連では、雑誌・書籍をはじめとした出版印刷が減少し、前年を下回りました。SP関連ツール及び商業印刷は、イベントの中止・延期やチラシ、パンフレットの減少などにより、前年を下回りました。DXの取り組みとしては、AIカメラを活用し、店頭顧客の属性や店内行動に合わせて、最適なデジタルコンテンツを店頭サイネージから配信するシステムの開発や、複数サービスのシングルサインオンを可能にするID統合プラットフォームの提供など、デジタル技術を活かしたサービスに注力しました。また、電子書籍関連では、コロナ禍における巣ごもり需要増の一方で、海外企業の参入が本格化し競争が激しさを増すなか、株式会社BookLiveは、テレビCMを放映するなど、より幅広いユーザーの獲得に取り組みました。
BPO関連では、企業や政府・地方自治体等のアウトソーシング需要を取り込み、受注が想定以上に伸びていることもあり、好調に推移しました。また、株式会社ベルシステム24ホールディングスと合弁契約を締結し、企業のDX推進を支援する株式会社TBネクストコミュニケーションズを2020年5月に設立しました。労働力不足などの社会問題に対し、BPOサービスは労働集約型から知識集約型への転換が求められており、当社が持つ高度なセキュリティインフラ・業務設計力と、ベルシステム24のコンタクトセンターノウハウを融合させた次世代BPOサービスの展開を実現していきます。 以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ3.3%減の8,781億円、営業利益は9.2%減の511億円となりました。
b 生活・産業事業分野
パッケージ関連では、軟包材は、加工食品向けが堅調に推移したものの、外食向けを中心に減少し、前年を下回りました。紙器は、トイレタリー関連が減少し、前年を下回りました。環境配慮型製品の需要がますます高まるなか、「GL BARRIER」の基材に再生材である「メカニカルリサイクルPETフィルム」を使用した新製品を開発するなど、高いバリア性と環境適性の両立に取り組みました。また、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、食品をはじめとした生活必需品向け包装材の供給を継続し、社会的責任を遂行するとともに、抗ウイルス機能を持つ紙製パッケージを開発するなど、環境衛生需要にも対応しました。海外においては、インドネシアではトイレタリー等の需要を取り込み、欧米ではバリアフィルムを用いた環境配慮型製品の拡販に注力しました。
建装材関連は、国内は、住宅市場が緩やかな回復傾向にある一方、店舗、ホテル等の非住宅市場は、案件の延期・中止の影響を受け、厳しい状況が続いています。海外は、コロナ禍で外出自粛が続くなか、家具等のインテリア需要拡大により順調に推移しました。全体では、昨年度実施した欧州大手建装材メーカーであるINTERPRINT GmbHの買収効果もあり、増収となりました。また、増加する環境衛生ニーズに対応すべく、「オレフィン製化粧シート」に続き、「塩ビ製化粧シート」、「コート紙化粧シート」でも、SIAA認証を取得し、抗ウイルス・抗菌製品のラインナップを拡大しました。
以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ1.3%増の4,259億円、営業利益は4.4%減の276億円となりました。
c エレクトロニクス事業分野
半導体関連では、フォトマスクは、社会のデジタル化進展を背景にしたオンライン会議等の需要拡大により、サーバーやメモリ、通信用などを中心に半導体需要が下支えされ、前年を上回りました。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、通信データ量の増大に伴い需要が高まるなか、業界最高水準の品質と技術を武器に大型・高多層の高付加価値品を取り込み、好調に推移しました。また、IoTの本格普及に向けて、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」のシステム構築に必要な機器類やソフトウェアなどを一括して提供するサブスクリプションサービスの提供を開始しました。
ディスプレイ関連では、カラーフィルタは、下期の車載向けを中心に回復が見られるものの、市況の低迷により通年では減収となりました。また、VR/ARゴーグル向けなど超高精細品を取り込み、利用用途の拡大に取り組みました。反射防止フィルムは、テレワークや巣ごもり需要によりテレビ、ノートPC、モニター向け需要が拡大するなか、高精細AG(アンチグレア)などの高付加価値品を取り込み、前年を上回りました。TFT液晶パネルは、車載や産業機器向けなどの需要は下期に入り回復基調にあるものの、上期の低迷を受けて通年では減少しました。新規事業については、非接触タッチパネルのニーズが高まるなか、パネルと並行に空中に映像を出現させる世界初の空中タッチディスプレイを開発するなど、技術開発を推進しました。また、調光デバイスでは、オフィス向け施工の受注やリバース品の販売を開始するなど、事業の拡大に注力しました。
以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ3.1%増の1,837億円、営業利益は1.7%減の119億円となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,200億円増加し2兆3,635億円となりました。これは退職給付に係る資産が646億円、有価証券が493億円、建物及び構築物が148億円減少したものの、現金及び預金が2,267億円、投資有価証券が1,484億円それぞれ増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ771億円増加し9,103億円となりました。これは1年内償還予定の社債が300億円、未払法人税等が164億円、電子記録債務が126億円それぞれ減少したものの、長期借入金が1,004億円、繰延税金負債が313億円それぞれ増加したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,429億円増加し1兆4,531億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が873億円、利益剰余金が610億円それぞれ増加したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,003億円(67.5%)増加し4,972億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,300億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、768億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資を行った一方、投資有価証券の売却及び償還による収入があったことなどにより、812億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払を行った一方、長期借入等による資金調達を行ったことから、422億円の収入となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 867,337 | △2.1 |
| 生活・産業事業分野 | 417,532 | 1.1 |
| エレクトロニクス事業分野 | 181,425 | 2.2 |
| 合 計 | 1,466,294 | △0.7 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 863,469 | △3.9 | 39,129 | △5.5 |
| 生活・産業事業分野 | 413,529 | △2.6 | 103,135 | △4.3 |
| エレクトロニクス事業分野 | 185,843 | 2.6 | 18,167 | 18.2 |
| 合 計 | 1,462,842 | △2.8 | 160,432 | △2.5 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション事業分野 | 865,753 | △3.5 |
| 生活・産業事業分野 | 418,134 | 1.6 |
| エレクトロニクス事業分野 | 183,047 | 3.3 |
| 合 計 | 1,466,935 | △1.3 |
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、1.3%減の1兆4,669億円となりました。コロナ禍において、半導体需要の高まりを受けたフォトマスクやFC-BGA、巣ごもり需要を取り込んだ電子書籍や反射防止フィルムが増収となったほか、経済対策を背景としてBPO関連が大幅に増加しました。また、建装材関連では、昨年度に買収したINTERPRINT GmbHの純増影響があり増収となりました。一方、外出自粛の影響で、商業印刷やSP関連ツール、外食向けパッケージが低調に推移したほか、TFT液晶やカラーフィルタ、出版印刷、昨年度の証券系印刷の反動を受けたセキュア関連が減少し、全体としては減収となりました。
売上原価は前期比1.7%減の1兆1,655億円、売上原価率は0.3ポイント低下して79.5%となりました。この結果、売上総利益は、前期比0.4%増の3,014億円となりました。総合的なコスト削減策により、売上原価率は、80%を切るレベルに到達した前期から、さらに低減しました。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなどに取り組んでいきます。
販売費及び一般管理費は、前期比3.8%増の2,426億円となりました。対売上高比率は16.5%で、前期の15.7%から0.8ポイント上昇しました。
当社では現在、収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、人員の最適配置による外部委託費低減、総労務費の圧縮などを引き続き推進していく方針です。
営業利益は前期比11.5%減の587億円となり、売上高営業利益率は4.0%と、前期の4.5%から0.5ポイント低下しました。当社は、本業の収益力を測る指標として営業利益を重視しており、今後もその拡大に向けた施策を積極的に講じていく方針です。
税金等調整前当期純利益は前期比3.6%減の1,300億円となりました。これは、一連の保有資産価値見直し施策に伴い投資有価証券評価損や減損損失を計上した一方、同施策が奏功し投資有価証券売却益及び固定資産売却益が増加したことなどによるものです。
以上の結果、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比5.8%減の819億円となり、1株当たり当期純利益は、前期の261円06銭から237円16銭に減少しました。
利益率は、総資産当期純利益率(RОA)が前期の4.0%から3.6%へ、また自己資本当期純利益率(ROE)が前期の7.4%から6.5%へと、それぞれ低下しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野の総資産は483億円(5.7%)減少し8,020億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は341億円(7.2%)減少し4,415億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は115億円(5.3%)減少し2,077億円となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。
これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、将来の成長事業と構造改革への投資財源へ充当してまいります。
また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金運用を図っております。
これらの方針により、成長に向けた積極投資を継続しながらも、持続的な安定配当により株主還元とのバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。