四半期報告書-第124期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
(単位:億円)
EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当第3四半期連結累計期間(2021年1月~9月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比19.7%増の6,158億円でした。2021年7月から業績が連結対象となったC&E顔料事業(旧ドイツBASF社のColors & Effects顔料事業)を除くと、15.8%の増収となりました。新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗などに伴い、世界各国で感染対策と経済活動の両立が図られるなか、国内外における活発なデジタル関連需要を背景に、高付加価値製品である半導体、電気・電子向け材料などの出荷が引き続き好調に推移しました。また、生活必需品である食品包装分野の出荷が堅調であったほか、一部の国での行動制限の緩和により、化粧品用顔料の出荷も回復基調となりました。一方で、自動車向け材料につきましては、総じて出荷が堅調に推移したものの、地域・品目によって半導体不足やロックダウンによる自動車減産の影響が見られました。
営業利益は、前年同期比30.0%増の333億円でした。C&E顔料事業を除くと、55.0%の増益となりました。当第3四半期(7-9月)には、原油価格上昇などによる原料コストやサプライチェーンの停滞を背景とした物流コスト増加の影響が一層強まりましたが、引き続き高付加価値製品を中心に各セグメントで出荷を伸ばしたことに加え、様々な製品において価格対応に取り組むことでコスト増加影響の低減に努めました。しかしながら、C&E顔料事業の統合に伴う一時費用を計上したことなどが、増益幅を押し下げました。
経常利益は、持分法による投資利益や為替差益の増加などにより、前年同期比47.6%増の339億円でした。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比9.9%増の153億円でした。
EBITDAは、前年同期比17.5%増の513億円でした。
また、各セグメントの業績は次のとおりです。
[パッケージング&グラフィック]
売上高は、前年同期比12.6%増の3,224億円でした。食品包装分野では、パッケージ用インキは米州や欧州で引き続き出荷が堅調であったことに加え、国内では緊急事態宣言が再発令されるなか、昨年よりも影響が限定的であったことにより、増収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキについては、国内での商業向けがチラシやイベント関連印刷物の需要減により減収となるも、引き続き市況が好調なアジアや安定供給を背景にシェアを伸ばす米州や欧州で出荷が増えたことにより、増収となりました。デジタル印刷で使用されるジェットインキは屋外広告(看板・ポスター)やバナーなどの産業用や商業印刷用が好調に推移したことに加え、2020年6月に実施したテキスタイル用事業の買収効果もあり、大幅な増収となりました。
営業利益は、前年同期比18.5%増の161億円でした。海外を中心に原料価格上昇による原料コストの増加の影響が一層強まり、各地域で価格対応に取り組んだ結果、アジアでは減益となりましたが、セグメント全体では増益を確保しました。
[カラー&ディスプレイ]
売上高は、前年同期比36.6%増の1,091億円でした。C&E顔料事業を除くと、11.5%の増収となりました。既存事業につきましては、色材分野では全体で増収となるなか、化粧品用顔料も新型コロナウイルスのワクチン普及により行動制限が緩和されたことで出荷が引き続き回復基調となりました。ディスプレイ分野では、カラーフィルタ用顔料は好調なパネル需要により出荷が伸び増収となりましたが、TFT液晶は中国メーカーとの競争激化により、減収となりました。スペシャリティ分野では光輝材が引き続き欧州での建材用発泡コンクリートの需要増により、増収となりました。こうした既存事業の増収に加え、C&E顔料事業の業績が連結対象となったことが全体の売上高を更に押し上げました。
営業利益は、前年同期比49.7%減の32億円でした。C&E顔料事業を除くと、51.9%の増益となりました。化粧品用顔料の出荷回復に加え、カラーフィルタ用顔料や光輝材など高付加価値製品の出荷が引き続き堅調であるなど、既存事業は好調を維持しましたが、当第3四半期においてC&E顔料事業統合に伴う一時費用を計上したことなどから、大幅な減益となりました。
[ファンクショナルプロダクツ]
売上高は、前年同期比22.4%増の2,085億円でした。半導体分野を主用途とするエポキシ樹脂は電子機器に使用される封止材向けを中心に出荷が好調に推移しました。また、スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープの出荷も堅調に推移しました。サステナブル樹脂※は、電気・電子、建材向けなど幅広い用途の出荷が好調に推移するなか、アジアにおいて自動車向け材料の出荷が一部停滞しました。自動車の軽量化や電装化に伴って用途が拡大しているPPSコンパウンドは、自動車市場への半導体不足による影響が懸念されるなか、引き続き安定した受注状況を維持し、全ての地域で増収となりました。
営業利益は、前年同期比81.7%増の204億円でした。原料コストが増加傾向にあるなか、エポキシ樹脂など高付加価値製品の出荷が引き続き好調を維持していることに加え、各製品で価格対応に取り組んだことにより、大幅な増益となりました。
※サステナブル樹脂:環境対応と機能性を高めることを目指した樹脂戦略製品の総称で、水性、UV硬化型、ポリエステル、アクリル、ウレタン樹脂が含まれます。
(2)財政状態
(資産、負債及び純資産の状況に関する分析)
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、主にドイツBASF社が保有する顔料事業を買収したことなどにより、前連結会計年度末と比べて3,485億円増加し、1兆1,665億円となりました。負債の部は、主に社債及びコマーシャル・ペーパーの発行、借入金の増加により、前連結会計年度末比3,195億円増の7,861億円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や為替の影響などにより、前連結会計年度末比290億円増の3,804億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当四半期連結累計期間は第3四半期連結累計期間であり、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成していません。このため、キャッシュ・フローの状況に関する分析について記載していません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、9,631百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、10,739百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の体制及び方針に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、ドイツBASF社が保有する顔料事業を取得したことにより、「カラー&ディ
スプレイ」セグメントにおける従業員数が前連結会計年度末と比べて2,536人増加し、当第3四半期連結会計期間末において、連結従業員数は22,623人となりました。
(7)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、ドイツBASF社が保有する顔料事業を取得したことにより、主要な設備が増加しています。
当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
(単位:億円)
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前 年 同 期 比 | |
売上高 | 5,143 | 6,158 | +19.7% | +16.5% |
営業利益 | 256 | 333 | +30.0% | +27.5% |
経常利益 | 230 | 339 | +47.6% | - |
親会社株主に帰属 する四半期純利益 | 139 | 153 | +9.9% | - |
EBITDA | 436 | 513 | +17.5% | - |
US$/円(平均) | 107.16 | 108.50 | +1.3% | - |
EUR/円(平均) | 120.49 | 129.68 | +7.6% | - |
EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当第3四半期連結累計期間(2021年1月~9月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比19.7%増の6,158億円でした。2021年7月から業績が連結対象となったC&E顔料事業(旧ドイツBASF社のColors & Effects顔料事業)を除くと、15.8%の増収となりました。新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗などに伴い、世界各国で感染対策と経済活動の両立が図られるなか、国内外における活発なデジタル関連需要を背景に、高付加価値製品である半導体、電気・電子向け材料などの出荷が引き続き好調に推移しました。また、生活必需品である食品包装分野の出荷が堅調であったほか、一部の国での行動制限の緩和により、化粧品用顔料の出荷も回復基調となりました。一方で、自動車向け材料につきましては、総じて出荷が堅調に推移したものの、地域・品目によって半導体不足やロックダウンによる自動車減産の影響が見られました。
営業利益は、前年同期比30.0%増の333億円でした。C&E顔料事業を除くと、55.0%の増益となりました。当第3四半期(7-9月)には、原油価格上昇などによる原料コストやサプライチェーンの停滞を背景とした物流コスト増加の影響が一層強まりましたが、引き続き高付加価値製品を中心に各セグメントで出荷を伸ばしたことに加え、様々な製品において価格対応に取り組むことでコスト増加影響の低減に努めました。しかしながら、C&E顔料事業の統合に伴う一時費用を計上したことなどが、増益幅を押し下げました。
経常利益は、持分法による投資利益や為替差益の増加などにより、前年同期比47.6%増の339億円でした。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比9.9%増の153億円でした。
EBITDAは、前年同期比17.5%増の513億円でした。
また、各セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:億円) | ||||||||
セグメント | 売 上 高 | 営 業 利 益 | ||||||
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年 同期比 | 現地通貨 ベース 前年同期比 | 前第3四半期連結累計期間 | 当第3四半期連結累計期間 | 前年 同期比 | 現地通貨 ベース 前年同期比 | |
パッケージング& グラフィック | 2,862 | 3,224 | +12.6% | +9.5% | 135 | 161 | +18.5% | +16.9% |
カラー&ディスプレイ | 799 | 1,091 | +36.6% | +32.5% | 63 | 32 | △49.7% | △46.5% |
ファンクショナル プロダクツ | 1,704 | 2,085 | +22.4% | +19.7% | 112 | 204 | +81.7% | +77.7% |
その他、全社・消去 | △222 | △242 | - | - | △55 | △64 | - | - |
計 | 5,143 | 6,158 | +19.7% | +16.5% | 256 | 333 | +30.0% | +27.5% |
[パッケージング&グラフィック]
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前 年 同 期 比 | |||
売 上 高 | 2,862 | 億円 | 3,224 | 億円 | +12.6% | +9.5% |
営 業 利 益 | 135 | 億円 | 161 | 億円 | +18.5% | +16.9% |
売上高は、前年同期比12.6%増の3,224億円でした。食品包装分野では、パッケージ用インキは米州や欧州で引き続き出荷が堅調であったことに加え、国内では緊急事態宣言が再発令されるなか、昨年よりも影響が限定的であったことにより、増収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキについては、国内での商業向けがチラシやイベント関連印刷物の需要減により減収となるも、引き続き市況が好調なアジアや安定供給を背景にシェアを伸ばす米州や欧州で出荷が増えたことにより、増収となりました。デジタル印刷で使用されるジェットインキは屋外広告(看板・ポスター)やバナーなどの産業用や商業印刷用が好調に推移したことに加え、2020年6月に実施したテキスタイル用事業の買収効果もあり、大幅な増収となりました。
営業利益は、前年同期比18.5%増の161億円でした。海外を中心に原料価格上昇による原料コストの増加の影響が一層強まり、各地域で価格対応に取り組んだ結果、アジアでは減益となりましたが、セグメント全体では増益を確保しました。
[カラー&ディスプレイ]
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前 年 同 期 比 | |||
売 上 高 | 799 | 億円 | 1,091 | 億円 | +36.6% | +32.5% |
営 業 利 益 | 63 | 億円 | 32 | 億円 | △49.7% | △46.5% |
売上高は、前年同期比36.6%増の1,091億円でした。C&E顔料事業を除くと、11.5%の増収となりました。既存事業につきましては、色材分野では全体で増収となるなか、化粧品用顔料も新型コロナウイルスのワクチン普及により行動制限が緩和されたことで出荷が引き続き回復基調となりました。ディスプレイ分野では、カラーフィルタ用顔料は好調なパネル需要により出荷が伸び増収となりましたが、TFT液晶は中国メーカーとの競争激化により、減収となりました。スペシャリティ分野では光輝材が引き続き欧州での建材用発泡コンクリートの需要増により、増収となりました。こうした既存事業の増収に加え、C&E顔料事業の業績が連結対象となったことが全体の売上高を更に押し上げました。
営業利益は、前年同期比49.7%減の32億円でした。C&E顔料事業を除くと、51.9%の増益となりました。化粧品用顔料の出荷回復に加え、カラーフィルタ用顔料や光輝材など高付加価値製品の出荷が引き続き堅調であるなど、既存事業は好調を維持しましたが、当第3四半期においてC&E顔料事業統合に伴う一時費用を計上したことなどから、大幅な減益となりました。
[ファンクショナルプロダクツ]
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前 年 同 期 比 | |||
売 上 高 | 1,704 | 億円 | 2,085 | 億円 | +22.4% | +19.7% |
営 業 利 益 | 112 | 億円 | 204 | 億円 | +81.7% | +77.7% |
売上高は、前年同期比22.4%増の2,085億円でした。半導体分野を主用途とするエポキシ樹脂は電子機器に使用される封止材向けを中心に出荷が好調に推移しました。また、スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープの出荷も堅調に推移しました。サステナブル樹脂※は、電気・電子、建材向けなど幅広い用途の出荷が好調に推移するなか、アジアにおいて自動車向け材料の出荷が一部停滞しました。自動車の軽量化や電装化に伴って用途が拡大しているPPSコンパウンドは、自動車市場への半導体不足による影響が懸念されるなか、引き続き安定した受注状況を維持し、全ての地域で増収となりました。
営業利益は、前年同期比81.7%増の204億円でした。原料コストが増加傾向にあるなか、エポキシ樹脂など高付加価値製品の出荷が引き続き好調を維持していることに加え、各製品で価格対応に取り組んだことにより、大幅な増益となりました。
※サステナブル樹脂:環境対応と機能性を高めることを目指した樹脂戦略製品の総称で、水性、UV硬化型、ポリエステル、アクリル、ウレタン樹脂が含まれます。
(2)財政状態
(資産、負債及び純資産の状況に関する分析)
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、主にドイツBASF社が保有する顔料事業を買収したことなどにより、前連結会計年度末と比べて3,485億円増加し、1兆1,665億円となりました。負債の部は、主に社債及びコマーシャル・ペーパーの発行、借入金の増加により、前連結会計年度末比3,195億円増の7,861億円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や為替の影響などにより、前連結会計年度末比290億円増の3,804億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当四半期連結累計期間は第3四半期連結累計期間であり、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成していません。このため、キャッシュ・フローの状況に関する分析について記載していません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、9,631百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、10,739百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の体制及び方針に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、ドイツBASF社が保有する顔料事業を取得したことにより、「カラー&ディ
スプレイ」セグメントにおける従業員数が前連結会計年度末と比べて2,536人増加し、当第3四半期連結会計期間末において、連結従業員数は22,623人となりました。
(7)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、ドイツBASF社が保有する顔料事業を取得したことにより、主要な設備が増加しています。