訂正有価証券報告書-第13期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は1兆8,582億円(対前連結会計年度末比441億円増)となりました。
非流動資産は1兆126億円(同752億円増)となりました。のれんは2,130億円(同445億円増)、その他の無形資産は4,169億円(同295億円増)となりました。オジェダ社やマイトブリッジ社の買収等に伴い、のれんとその他の無形資産が増加しました。
流動資産は8,456億円(同310億円減)となりました。現金及び現金同等物は3,317億円(同92億円減)となりました。
資本合計は、1兆2,683億円(同35億円減)となり、親会社所有者帰属持分比率は68.3%となりました。当期純利益1,647億円を計上した一方で、剰余金の配当716億円に加え、自己株式の取得1,307億円を実施しました。在外営業活動体の換算差額が資本の増加方向に286億円変動しました。なお、2017年5月31日に自己株式の消却1,322億円(8,500万株)を実施しました。
負債の合計は、5,899億円(同477億円増)となりました。非流動負債は1,683億円(同259億円増)となりました。流動負債は4,216億円(同218億円増)となりました。
[経営成績]
⦅連結業績(コアベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(コアベース)は、下表の通りです。売上高、コア営業利益、コア当期純利益はいずれも減少しました。
[連結業績(コアベース)] (単位:百万円)
当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
売上高
連結売上高は1兆3,003億円(対前連結会計年度比0.9%減)となりました。
・2016年4月に行われたグローバル皮膚科事業の譲渡及び2017年4月に行われた日本における長期収載品の譲渡等の影響により、減収となりました。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ、免疫抑制剤プログラフ等、主力品の売上は増加しました。
コア営業利益/コア当期純利益
・売上総利益は1兆61億円(同1.5%増)となりました。なお、売上原価率は、グループ間取引における未実現利益消去に伴う為替の影響等を受けた一方で、製品構成の変化等により、前連結会計年度に比べ1.8ポイント低下し、22.6%となりました。
・販売費及び一般管理費は、経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進する一方で、為替による影響等もあり4,783億円(同1.6%増)となりました。
・研究開発費は、後期開発プロジェクトの進展や新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用の増加等により、2,208億円(同6.1%増)となりました。対売上高研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.1ポイント上昇し、17.0%となりました。
・無形資産償却費は、358億円(同0.0%増)となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,687億円(同2.1%減)、コア当期純利益は2,043億円(同4.2%減)となりました。
⦅連結業績(フルベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(フルベース)は、下表の通りです。売上高、営業利益、税引前利益、当期純利益はいずれも減少しました。
フルベースの業績には、コアベースの実績で除外される、「その他の収益」、「その他の費用」(減損損失、為替差損等)、売却可能金融資産の売却益(「金融収益」に計上)等が含まれます。
「その他の費用」として、ガニメド ファーマシューティカルズ社に係る開発プロジェクトの計画見直しやアジェンシス社の研究活動終了に伴い、減損損失等を計上しました。また、「その他の収益」として、マイトブリッジ社の買収の完了に伴い、企業結合に伴う再測定益を計上しました。このほか、為替差損を計上したこと等から、「その他の収益」は119億円(前連結会計年度:96億円)、「その他の費用」は673億円(前連結会計年度:233億円)となりました。また、売却可能金融資産の売却益は47億円(前連結会計年度:213億円)でした。
[連結業績(フルベース)] (単位:百万円)
主要製品の売上高
[主要3領域の売上高] (単位:億円)
◇がん領域フランチャイズ
・XTANDI/イクスタンジの売上高は2,943億円(対前連結会計年度比16.8%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が順調に拡大しました。
◇泌尿器OABフランチャイズ
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上高は1,257億円(同27.2%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が増加しました。一方、ベシケアの売上高は1,023億円(同11.9%減)となりました。
◇移植フランチャイズ
・プログラフの売上高は1,985億円(同6.6%増)となりました。EMEAとアジア・オセアニアで引き続き伸長しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本市場では、消炎鎮痛剤セレコックス、成人気管支喘息治療剤シムビコート、2型糖尿病治療剤スーグラ、成人関節リウマチ治療剤シムジア等が引き続き成長しました。また、新製品である高コレステロール血症治療剤レパーサ(2016年4月発売)、便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(2017年3月発売)の、市場への着実な浸透を図っています。
・米州では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。
地域別売上高の状況
地域別の売上高は下表の通りです。日本とEMEAは減少、米州とアジア・オセアニアは増加しました。
このうち日本市場は、2017年4月に行われた長期収載品16製品の譲渡及び2017年6月に高血圧治療剤ミカルディスの後発医薬品が発売された影響等により減収となりました。また、EMEAは2016年4月に行われたグローバル皮膚科事業譲渡の影響により減収となりましたが、その影響を除くと増収となりました。
※地域別売上高については売上元会社の所在地に基づき集計しています。
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,126億円(対前連結会計年度比770億円増)となりました。
・法人所得税の支払額が650億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,218億円(同484億円支出増)となりました。
・オジェダ社買収等に伴う子会社株式の取得による支出837億円等がありました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,034億円(同373億円支出増)となりました。
・配当金の支払額は716億円となったほか、自己株式の取得1,307億円を実施しました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,317億円(対前連結会計年度末比92億円減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は3,126億円の資金を得ました。これらを、オジェダ社買収等に伴う子会社株式の取得に837億円使用する等、投資活動として1,218億円支出しました。また、配当金の支払に716億円、自己株式の取得に1,307億円使用する等、財務活動として2,034億円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,317億円となりました。
[財務政策]
これらの資金基盤を背景に、当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに株主還元にも積極的に取り組みます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めていきます。これに加えて、自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率と還元水準の向上を図ります。資金の流動性については、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えていますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めています。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
[目標とする経営指標の達成状況について]
当社では、企業価値を持続的に向上させるため、営業利益等の期間損益のみならず、経営に託された資本の効率的な活用を意識して、親会社所有者帰属持分当期純利益率(ROE)を重要な経営指標とし、経営計画2015-2017の期間中に15%の達成を目指してきました。ROEの2015年度-2017年度の3年平均ROEは、15.1%となりました。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却をしていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせずに毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度7,858百万円、当連結会計年度10,245百万円減少しています。
また、IFRSでは米国子会社のアジェンシスの買収時に発生したのれんにつき減損損失を計上したため、「その他の費用」が、当連結会計年度7,200百万円増加しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準において、一部の製品、技術等の開発段階における契約一時金及びマイルストン支払は、発生した会計期間の研究開発費として計上していましたが、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「その他の無形資産」に計上しています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、契約一時金及びマイルストン支払に係る研究開発費が前連結会計年度10,315百万円、当連結会計年度2,256百万円減少しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は1兆8,582億円(対前連結会計年度末比441億円増)となりました。
非流動資産は1兆126億円(同752億円増)となりました。のれんは2,130億円(同445億円増)、その他の無形資産は4,169億円(同295億円増)となりました。オジェダ社やマイトブリッジ社の買収等に伴い、のれんとその他の無形資産が増加しました。
流動資産は8,456億円(同310億円減)となりました。現金及び現金同等物は3,317億円(同92億円減)となりました。
資本合計は、1兆2,683億円(同35億円減)となり、親会社所有者帰属持分比率は68.3%となりました。当期純利益1,647億円を計上した一方で、剰余金の配当716億円に加え、自己株式の取得1,307億円を実施しました。在外営業活動体の換算差額が資本の増加方向に286億円変動しました。なお、2017年5月31日に自己株式の消却1,322億円(8,500万株)を実施しました。
負債の合計は、5,899億円(同477億円増)となりました。非流動負債は1,683億円(同259億円増)となりました。流動負債は4,216億円(同218億円増)となりました。
[経営成績]
⦅連結業績(コアベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(コアベース)は、下表の通りです。売上高、コア営業利益、コア当期純利益はいずれも減少しました。
[連結業績(コアベース)] (単位:百万円)
前連結会計年度 (2017年3月期) | 当連結会計年度 (2018年3月期) | 対前連結会計年度増減額 (増減率) | |
売上高 | 1,311,665 | 1,300,316 | △11,349 (△0.9%) |
売上原価 | 320,503 | 294,250 | △26,254 (△8.2%) |
販売費及び一般管理費 | 470,777 | 478,330 | 7,553 (1.6%) |
研究開発費 | 208,129 | 220,781 | 12,652 (6.1%) |
無形資産償却費 | 35,837 | 35,838 | 1 (0.0%) |
持分法による損益 | △1,864 | △2,419 | △555 (-) |
コア営業利益 | 274,554 | 268,698 | △5,856 (△2.1%) |
コア当期純利益 | 213,343 | 204,326 | △9,017 (△4.2%) |
基本的1株当たり コア当期純利益(円) | 101.15 | 100.64 | △0.51 (△0.5%) |
当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
売上高
連結売上高は1兆3,003億円(対前連結会計年度比0.9%減)となりました。
・2016年4月に行われたグローバル皮膚科事業の譲渡及び2017年4月に行われた日本における長期収載品の譲渡等の影響により、減収となりました。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ、免疫抑制剤プログラフ等、主力品の売上は増加しました。
コア営業利益/コア当期純利益
・売上総利益は1兆61億円(同1.5%増)となりました。なお、売上原価率は、グループ間取引における未実現利益消去に伴う為替の影響等を受けた一方で、製品構成の変化等により、前連結会計年度に比べ1.8ポイント低下し、22.6%となりました。
・販売費及び一般管理費は、経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進する一方で、為替による影響等もあり4,783億円(同1.6%増)となりました。
・研究開発費は、後期開発プロジェクトの進展や新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用の増加等により、2,208億円(同6.1%増)となりました。対売上高研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.1ポイント上昇し、17.0%となりました。
・無形資産償却費は、358億円(同0.0%増)となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,687億円(同2.1%減)、コア当期純利益は2,043億円(同4.2%減)となりました。
⦅連結業績(フルベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(フルベース)は、下表の通りです。売上高、営業利益、税引前利益、当期純利益はいずれも減少しました。
フルベースの業績には、コアベースの実績で除外される、「その他の収益」、「その他の費用」(減損損失、為替差損等)、売却可能金融資産の売却益(「金融収益」に計上)等が含まれます。
「その他の費用」として、ガニメド ファーマシューティカルズ社に係る開発プロジェクトの計画見直しやアジェンシス社の研究活動終了に伴い、減損損失等を計上しました。また、「その他の収益」として、マイトブリッジ社の買収の完了に伴い、企業結合に伴う再測定益を計上しました。このほか、為替差損を計上したこと等から、「その他の収益」は119億円(前連結会計年度:96億円)、「その他の費用」は673億円(前連結会計年度:233億円)となりました。また、売却可能金融資産の売却益は47億円(前連結会計年度:213億円)でした。
[連結業績(フルベース)] (単位:百万円)
前連結会計年度 (2017年3月期) | 当連結会計年度 (2018年3月期) | 対前連結会計年度増減額 (増減率) | |
売上高 | 1,311,665 | 1,300,316 | △11,349 (△0.9%) |
営業利益 | 260,830 | 213,258 | △47,572 (△18.2%) |
税引前利益 | 281,769 | 218,113 | △63,656 (△22.6%) |
当期純利益 | 218,701 | 164,679 | △54,022 (△24.7%) |
基本的1株当たり 当期純利益(円) | 103.69 | 81.11 | △22.58 (△21.8%) |
包括利益 | 174,644 | 198,539 | 23,895 (13.7%) |
主要製品の売上高
[主要3領域の売上高] (単位:億円)
前連結会計年度 (2017年3月期) | 当連結会計年度 (2018年3月期) | 対前連結会計年度増減率 | |
がん領域フランチャイズ | 3,077 | 3,452 | 12.2% |
XTANDI/イクスタンジ | 2,521 | 2,943 | 16.8% |
泌尿器OABフランチャイズ | 2,149 | 2,281 | 6.1% |
ベシケア | 1,161 | 1,023 | △11.9% |
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ | 988 | 1,257 | 27.2% |
移植フランチャイズ | 1,862 | 1,985 | 6.6% |
◇がん領域フランチャイズ
・XTANDI/イクスタンジの売上高は2,943億円(対前連結会計年度比16.8%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が順調に拡大しました。
◇泌尿器OABフランチャイズ
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上高は1,257億円(同27.2%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が増加しました。一方、ベシケアの売上高は1,023億円(同11.9%減)となりました。
◇移植フランチャイズ
・プログラフの売上高は1,985億円(同6.6%増)となりました。EMEAとアジア・オセアニアで引き続き伸長しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本市場では、消炎鎮痛剤セレコックス、成人気管支喘息治療剤シムビコート、2型糖尿病治療剤スーグラ、成人関節リウマチ治療剤シムジア等が引き続き成長しました。また、新製品である高コレステロール血症治療剤レパーサ(2016年4月発売)、便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス(2017年3月発売)の、市場への着実な浸透を図っています。
・米州では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。
地域別売上高の状況
地域別の売上高は下表の通りです。日本とEMEAは減少、米州とアジア・オセアニアは増加しました。
このうち日本市場は、2017年4月に行われた長期収載品16製品の譲渡及び2017年6月に高血圧治療剤ミカルディスの後発医薬品が発売された影響等により減収となりました。また、EMEAは2016年4月に行われたグローバル皮膚科事業譲渡の影響により減収となりましたが、その影響を除くと増収となりました。
前連結会計年度 (2017年3月期) | 当連結会計年度 (2018年3月期) | 対前連結会計年度増減率 | |
日本(億円) | 4,808 | 4,212 | △12.4% |
うち国内市場売上高 | 4,527 | 3,834 | △15.3% |
米州(百万米ドル) | 3,805 | 3,909 | 2.7% |
EMEA(百万ユーロ) | 2,785 | 2,651 | △4.8% |
アジア・オセアニア(億円) | 877 | 1,020 | 16.3% |
※地域別売上高については売上元会社の所在地に基づき集計しています。
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,126億円(対前連結会計年度比770億円増)となりました。
・法人所得税の支払額が650億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,218億円(同484億円支出増)となりました。
・オジェダ社買収等に伴う子会社株式の取得による支出837億円等がありました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,034億円(同373億円支出増)となりました。
・配当金の支払額は716億円となったほか、自己株式の取得1,307億円を実施しました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,317億円(対前連結会計年度末比92億円減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
医薬品事業 | 656,484 | 113.2 |
合計 | 656,484 | 113.2 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
医薬品事業 | 1,300,316 | 99.1 |
合計 | 1,300,316 | 99.1 |
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
マッケソン社 | 150,184 | 11.4 | 148,962 | 11.5 |
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は3,126億円の資金を得ました。これらを、オジェダ社買収等に伴う子会社株式の取得に837億円使用する等、投資活動として1,218億円支出しました。また、配当金の支払に716億円、自己株式の取得に1,307億円使用する等、財務活動として2,034億円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,317億円となりました。
[財務政策]
これらの資金基盤を背景に、当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに株主還元にも積極的に取り組みます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めていきます。これに加えて、自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率と還元水準の向上を図ります。資金の流動性については、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えていますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めています。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
[目標とする経営指標の達成状況について]
当社では、企業価値を持続的に向上させるため、営業利益等の期間損益のみならず、経営に託された資本の効率的な活用を意識して、親会社所有者帰属持分当期純利益率(ROE)を重要な経営指標とし、経営計画2015-2017の期間中に15%の達成を目指してきました。ROEの2015年度-2017年度の3年平均ROEは、15.1%となりました。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却をしていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせずに毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度7,858百万円、当連結会計年度10,245百万円減少しています。
また、IFRSでは米国子会社のアジェンシスの買収時に発生したのれんにつき減損損失を計上したため、「その他の費用」が、当連結会計年度7,200百万円増加しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準において、一部の製品、技術等の開発段階における契約一時金及びマイルストン支払は、発生した会計期間の研究開発費として計上していましたが、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「その他の無形資産」に計上しています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、契約一時金及びマイルストン支払に係る研究開発費が前連結会計年度10,315百万円、当連結会計年度2,256百万円減少しています。