有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は2兆3,182億円 (前連結会計年度末比4,205億円増) となりました。
非流動資産は1兆4,506億円 (同4,102億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首に使用権資産を831億円追加で認識したことに伴い、有形固定資産は2,686億円 (同951億円増) となりました。2019年12月にXyphos社、2020年1月にAudentes社を買収したことなどに伴い、のれんは2,675億円 (同416億円増) 、無形資産は7,385億円 (同3,088億円増) となりました。
流動資産は8,675億円 (同104億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,184億円 (同73億円増) となりました。
資本合計は、1兆2,892億円 (同308億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は55.6%となりました。当期利益1,954億円を計上した一方で、剰余金の配当735億円に加え、自己株式の取得529億円を実施しました。なお、2019年5月と2020年2月にあわせて2,094億円 (11,804万株) の自己株式の消却をしました。
負債の合計は、1兆290億円 (同3,897億円増) となりました。
非流動負債は2,303億円 (同887億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を755億円追加で認識したことに伴い、その他の金融負債は1,293億円 (同764億円増) となりました。Audentes社の買収に伴い、繰延税金負債が増加し、277億円 (同225億円増) となりました。
流動負債は7,987億円 (同3,010億円増) となりました。Audentes社の買収資金に充当するため資金調達を行い、当連結会計年度末の残高は短期社債1,860億円、短期借入金1,400億円となりました。これに加えて、IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を169億円追加で認識したことなどから、その他の金融負債は3,457億円 (同3,316億円増) となりました。
[経営成績]
⦅連結業績 (コアベース) ⦆
当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は、下表のとおりです。売上収益、コア営業利益は前連結会計年度と同程度となりました。一方、コア当期利益は減少しました。
[連結業績 (コアベース) ]
売上収益
売上収益は1兆3,008億円 (前連結会計年度比0.4%減) となりました。
・為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、2.4%の増収となりました。
・主力製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、過活動膀胱 (OAB) 治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上が引き続き拡大しました。
・日本と米国での伸長に加え欧州でも発売した急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタが増加したほか、骨粗鬆症治療剤イベニティをはじめとする日本の新製品群が伸長しました。
・これによって、OAB治療剤ベシケア、抗がん剤タルセバの独占販売期間満了や日本における喘息治療剤シムビコート、KMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチン等の契約終了の影響等による売上の減少を補いました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は1兆241億円 (同1.0%増) となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ1.1ポイント低下し、21.3%となりました。
・販売費及び一般管理費は、4,993億円 (同1.8%増) となりました。経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進することで、XTANDIに係る米国での売上拡大に伴う共同販促費用の増加や新製品立ち上げのために必要な投資の増加を一部吸収しました。これに加えて、第2四半期連結会計期間における損失評価引当金の戻入れが一過性の費用減少要因となりました。
・研究開発費は、2,242億円 (同7.4%増) となりました。重点後期開発品に対する投資に加え、Audentes社買収による研究開発費の増加をはじめとする新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加しました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント増加し、17.2%となりました。
・無形資産償却費は、212億円 (同39.9%減) となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,778億円 (同0.3%減) となりました。また、前連結会計年度において一過性の要因により税率が低かったことから、法人所得税費用が増加したため、コア当期利益は2,232億円 (同10.5%減) となりました。なお、為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、コア営業利益は4.3%の増益となりました。
⦅連結業績 (フルベース) ⦆
当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は、下表のとおりです。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」 (減損損失、為替差損等) 等が含まれます。
「その他の収益」として、第3四半期連結会計期間に有形固定資産売却益等を計上しました。また、「その他の費用」として、為替差損を計上したほか、第1四半期連結会計期間において、選択的ニューロキニン3 (NK3) 受容体拮抗薬fezolinetantの開発進捗に応じてOgeda社の旧株主に支払う条件付対価の公正価値増加分を計上しました。これに加えて、第4四半期連結会計期間に、買収したAudentes社の権利確定前のストックオプション等の清算に関する費用、Cytokinetics社との契約見直しに伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、「その他の収益」は122億円 (前連結会計年度:142億円) 、「その他の費用」は459億円 (前連結会計年度:488億円) となりました。
[連結業績 (フルベース) ]
主要製品の売上
(注) プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
◇XTANDI/イクスタンジ
・売上は4,000億円 (前連結会計年度比20.1%増) となりました。日本、米国、エスタブリッシュドマーケット (注1) 、グレーターチャイナ (注2) 及びインターナショナル (注3) の全ての地域で売上が拡大しました。
◇ゾスパタ
・日本、米国に加え、2019年11月に欧州で発売しました。売上は143億円 (同467.6%増) となりました。
◇泌尿器OAB製品
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,616億円 (同9.8%増) となりました。全ての地域で売上が増加しました。
・ベシケアの売上は米国及び欧州において独占販売期間満了に伴う後発医薬品発売の影響を受け、447億円 (同52.9%減) となりました。
◇プログラフ
・売上は1,929億円 (同1.4%減) となりました。グレーターチャイナ、インターナショナルで伸長しましたが、日本、米国、エスタブリッシュドマーケットの売上が減少しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本では、イベニティに加え、糖尿病治療剤スーグラとスージャヌ配合錠、慢性便秘症治療剤リンゼス、抗悪性腫瘍剤ビーリンサイト等の新製品群の売上が引き続き拡大しました。また、2019年11月に腎性貧血治療剤エベレンゾを発売しました。一方、シムビコート及びKMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチンは契約終了に伴い当社による販売を終了したため売上が減少しました。
・米国では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。また、Seattle Genetics社と共同開発を進めている尿路上皮がん治療剤PADCEVが発売されました。一方、タルセバの収入が独占販売期間満了に伴い減少しました。
地域別売上収益の状況
地域別の売上収益は下表のとおりです。米国、インターナショナルは増加、日本、エスタブリッシュドマーケット及びグレーターチャイナは減少しました。
エスタブリッシュドマーケット、グレーターチャイナは為替の影響を受けて減少しましたが、その影響を除くと増加しました。
(注) 1. エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア
2. グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
3. インターナショナル:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,220億円 (前連結会計年度比366億円減) となりました。
・法人所得税の支払額が480億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,898億円 (同3,480億円支出増) となりました。
・Audentes社、Xyphos社等の買収に伴い、子会社の取得による支出が3,208億円 (同3,015億円増) となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,811億円 (前連結会計年度は2,337億円の支出) となりました。
・Audentes社の買収に必要な資金を調達したことに伴い社債及び借入金の増減額が3,260億円となりました。
・配当金の支払額は735億円 (前連結会計年度比15億円増) となりました。また、自己株式の取得による支出529億円 (同1,075億円減) がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,184億円 (前連結会計年度末比73億円増) となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当連結会計年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
[財務政策]
当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、短期社債及び借入金による資金調達を行い、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は2兆3,182億円 (前連結会計年度末比4,205億円増) となりました。
非流動資産は1兆4,506億円 (同4,102億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首に使用権資産を831億円追加で認識したことに伴い、有形固定資産は2,686億円 (同951億円増) となりました。2019年12月にXyphos社、2020年1月にAudentes社を買収したことなどに伴い、のれんは2,675億円 (同416億円増) 、無形資産は7,385億円 (同3,088億円増) となりました。
流動資産は8,675億円 (同104億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,184億円 (同73億円増) となりました。
資本合計は、1兆2,892億円 (同308億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は55.6%となりました。当期利益1,954億円を計上した一方で、剰余金の配当735億円に加え、自己株式の取得529億円を実施しました。なお、2019年5月と2020年2月にあわせて2,094億円 (11,804万株) の自己株式の消却をしました。
負債の合計は、1兆290億円 (同3,897億円増) となりました。
非流動負債は2,303億円 (同887億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を755億円追加で認識したことに伴い、その他の金融負債は1,293億円 (同764億円増) となりました。Audentes社の買収に伴い、繰延税金負債が増加し、277億円 (同225億円増) となりました。
流動負債は7,987億円 (同3,010億円増) となりました。Audentes社の買収資金に充当するため資金調達を行い、当連結会計年度末の残高は短期社債1,860億円、短期借入金1,400億円となりました。これに加えて、IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を169億円追加で認識したことなどから、その他の金融負債は3,457億円 (同3,316億円増) となりました。
[経営成績]
⦅連結業績 (コアベース) ⦆
当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は、下表のとおりです。売上収益、コア営業利益は前連結会計年度と同程度となりました。一方、コア当期利益は減少しました。
[連結業績 (コアベース) ]
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) | 増減額 (増減率) | |
売上収益 | 1,306,348 | 1,300,843 | △5,505 (△0.4%) |
売上原価 | 292,050 | 276,739 | △15,311 (△5.2%) |
販売費及び一般管理費 | 490,263 | 499,295 | 9,032 (1.8%) |
研究開発費 | 208,682 | 224,226 | 15,545 (7.4%) |
無形資産償却費 | 35,212 | 21,164 | △14,048 (△39.9%) |
持分法による投資損益 | △1,627 | △1,660 | △33 (―) |
コア営業利益 | 278,514 | 277,758 | △756 (△0.3%) |
コア当期利益 | 249,343 | 223,178 | △26,165 (△10.5%) |
基本的1株当たりコア当期利益 (円) | 129.07 | 118.95 | △10.11 (△7.8%) |
売上収益
売上収益は1兆3,008億円 (前連結会計年度比0.4%減) となりました。
・為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、2.4%の増収となりました。
・主力製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、過活動膀胱 (OAB) 治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上が引き続き拡大しました。
・日本と米国での伸長に加え欧州でも発売した急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタが増加したほか、骨粗鬆症治療剤イベニティをはじめとする日本の新製品群が伸長しました。
・これによって、OAB治療剤ベシケア、抗がん剤タルセバの独占販売期間満了や日本における喘息治療剤シムビコート、KMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチン等の契約終了の影響等による売上の減少を補いました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は1兆241億円 (同1.0%増) となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ1.1ポイント低下し、21.3%となりました。
・販売費及び一般管理費は、4,993億円 (同1.8%増) となりました。経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進することで、XTANDIに係る米国での売上拡大に伴う共同販促費用の増加や新製品立ち上げのために必要な投資の増加を一部吸収しました。これに加えて、第2四半期連結会計期間における損失評価引当金の戻入れが一過性の費用減少要因となりました。
・研究開発費は、2,242億円 (同7.4%増) となりました。重点後期開発品に対する投資に加え、Audentes社買収による研究開発費の増加をはじめとする新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加しました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント増加し、17.2%となりました。
・無形資産償却費は、212億円 (同39.9%減) となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,778億円 (同0.3%減) となりました。また、前連結会計年度において一過性の要因により税率が低かったことから、法人所得税費用が増加したため、コア当期利益は2,232億円 (同10.5%減) となりました。なお、為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、コア営業利益は4.3%の増益となりました。
⦅連結業績 (フルベース) ⦆
当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は、下表のとおりです。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」 (減損損失、為替差損等) 等が含まれます。
「その他の収益」として、第3四半期連結会計期間に有形固定資産売却益等を計上しました。また、「その他の費用」として、為替差損を計上したほか、第1四半期連結会計期間において、選択的ニューロキニン3 (NK3) 受容体拮抗薬fezolinetantの開発進捗に応じてOgeda社の旧株主に支払う条件付対価の公正価値増加分を計上しました。これに加えて、第4四半期連結会計期間に、買収したAudentes社の権利確定前のストックオプション等の清算に関する費用、Cytokinetics社との契約見直しに伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、「その他の収益」は122億円 (前連結会計年度:142億円) 、「その他の費用」は459億円 (前連結会計年度:488億円) となりました。
[連結業績 (フルベース) ]
(単位:百万円) | |||
前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) | 増減額 (増減率) | |
売上収益 | 1,306,348 | 1,300,843 | △5,505 (△0.4%) |
営業利益 | 243,912 | 243,991 | 80 (0.0%) |
税引前利益 | 248,967 | 245,350 | △3,617 (△1.5%) |
当期利益 | 222,265 | 195,411 | △26,854 (△12.1%) |
基本的1株当たり当期利益 (円) | 115.05 | 104.15 | △10.90 (△9.5%) |
包括利益 | 222,250 | 156,692 | △65,558 (△29.5%) |
主要製品の売上
(単位:億円) | |||
前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) | 増減率 | |
XTANDI/イクスタンジ | 3,331 | 4,000 | 20.1% |
ゾスパタ | 25 | 143 | 467.6% |
PADCEV | ― | 18 | ― |
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ | 1,472 | 1,616 | 9.8% |
ベシケア | 950 | 447 | △52.9% |
プログラフ (注) | 1,957 | 1,929 | △1.4% |
(注) プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
◇XTANDI/イクスタンジ
・売上は4,000億円 (前連結会計年度比20.1%増) となりました。日本、米国、エスタブリッシュドマーケット (注1) 、グレーターチャイナ (注2) 及びインターナショナル (注3) の全ての地域で売上が拡大しました。
◇ゾスパタ
・日本、米国に加え、2019年11月に欧州で発売しました。売上は143億円 (同467.6%増) となりました。
◇泌尿器OAB製品
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,616億円 (同9.8%増) となりました。全ての地域で売上が増加しました。
・ベシケアの売上は米国及び欧州において独占販売期間満了に伴う後発医薬品発売の影響を受け、447億円 (同52.9%減) となりました。
◇プログラフ
・売上は1,929億円 (同1.4%減) となりました。グレーターチャイナ、インターナショナルで伸長しましたが、日本、米国、エスタブリッシュドマーケットの売上が減少しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本では、イベニティに加え、糖尿病治療剤スーグラとスージャヌ配合錠、慢性便秘症治療剤リンゼス、抗悪性腫瘍剤ビーリンサイト等の新製品群の売上が引き続き拡大しました。また、2019年11月に腎性貧血治療剤エベレンゾを発売しました。一方、シムビコート及びKMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチンは契約終了に伴い当社による販売を終了したため売上が減少しました。
・米国では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。また、Seattle Genetics社と共同開発を進めている尿路上皮がん治療剤PADCEVが発売されました。一方、タルセバの収入が独占販売期間満了に伴い減少しました。
地域別売上収益の状況
地域別の売上収益は下表のとおりです。米国、インターナショナルは増加、日本、エスタブリッシュドマーケット及びグレーターチャイナは減少しました。
エスタブリッシュドマーケット、グレーターチャイナは為替の影響を受けて減少しましたが、その影響を除くと増加しました。
(単位:億円) | |||
前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) | 増減率 | |
日本 | 3,695 | 3,454 | △6.5% |
米国 | 4,216 | 4,435 | 5.2% |
エスタブリッシュドマーケット | 3,000 | 2,961 | △1.3% |
グレーターチャイナ | 624 | 604 | △3.3% |
インターナショナル | 1,227 | 1,348 | 9.9% |
(注) 1. エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア
2. グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
3. インターナショナル:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,220億円 (前連結会計年度比366億円減) となりました。
・法人所得税の支払額が480億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,898億円 (同3,480億円支出増) となりました。
・Audentes社、Xyphos社等の買収に伴い、子会社の取得による支出が3,208億円 (同3,015億円増) となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,811億円 (前連結会計年度は2,337億円の支出) となりました。
・Audentes社の買収に必要な資金を調達したことに伴い社債及び借入金の増減額が3,260億円となりました。
・配当金の支払額は735億円 (前連結会計年度比15億円増) となりました。また、自己株式の取得による支出529億円 (同1,075億円減) がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,184億円 (前連結会計年度末比73億円増) となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比 (%) |
医薬品事業 | 547,004 | 87.2 |
合計 | 547,004 | 87.2 |
(注) 1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比 (%) |
医薬品事業 | 1,300,843 | 99.6 |
合計 | 1,300,843 | 99.6 |
(注) 1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
McKesson Group | 151,260 | 11.6 | 162,361 | 12.5 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当連結会計年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
[財務政策]
当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、短期社債及び借入金による資金調達を行い、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。