有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は1兆8,976億円(前連結会計年度末比394億円増)となりました。
非流動資産は1兆405億円(同279億円増)となりました。のれんは2,259億円(同129億円増)、無形資産は4,297億円(同128億円増)となりました。ポテンザ社の買収等に伴い、のれんと無形資産が増加しました。
流動資産は8,572億円(同115億円増)となりました。現金及び現金同等物は3,111億円(同207億円減)となりました。
資本合計は、1兆2,584億円(同99億円減)となり、親会社所有者帰属持分比率は66.3%となりました。当期利益2,223億円を計上した一方で、剰余金の配当721億円に加え、自己株式の取得1,604億円を実施しました。なお、2018年5月31日に自己株式の消却1,304億円(8,900万株)を実施しました。
負債の合計は、6,393億円(同493億円増)となりました。非流動負債は1,416億円(同267億円減)となりました。流動負債は4,977億円(同760億円増)となりました。
[経営成績]
⦅連結業績(コアベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(コアベース)は、下表のとおりです。売上収益、コア営業利益、コア当期利益はいずれも増加しました。
[連結業績(コアベース)] (単位:百万円)
当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
売上収益
売上収益は1兆3,063億円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジのほか、ベシケアとベタニス/ミラベトリック/ベットミガを合わせた過活動膀胱(OAB)治療剤の売上が拡大しました。また、免疫抑制剤プログラフの売上は減少しました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は、1兆143億円(同0.8%増)となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ0.3ポイント低下し、22.4%となりました。
・販売費及び一般管理費は、4,903億円(同2.5%増)となりました。引き続き、経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進しましたが、XTANDIに係る米国での共同販促費用が増加しました。
・研究開発費は、重点後期開発品や新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加した一方、2018年3月までにアジェンシス Inc.の研究活動を終了したことなどから、2,087億円(同5.5%減)となりました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント減少し、16.0%となりました。
・無形資産償却費は、352億円(同1.7%減)となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,785億円(同3.7%増)、コア当期利益は2,493億円(同22.0%増)となりました。
⦅連結業績(フルベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(フルベース)は、下表のとおりです。売上収益、営業利益、税引前利益、当期利益はいずれも増加しました。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」(減損損失、為替差損等)等が含まれます。
「その他の収益」として、アジェンシス Inc.に係る有形固定資産売却益に加え、ポテンザ社の買収に伴い、買収前から保有していた同社株式を再評価した結果、評価益を計上しました。また、「その他の費用」として、国内事業再編等に伴うリストラクチャリング費用のほか、訴訟関係費用、開発プロジェクトの中止に伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、「その他の収益」は142億円(前連結会計年度:119億円)、「その他の費用」は488億円(前連結会計年度:673億円)となりました。
[連結業績(フルベース)] (単位:百万円)
主要製品の売上
(単位:億円)
(注)プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
◇XTANDI/イクスタンジ
・売上は3,331億円(前連結会計年度比13.2%増)となりました。日本、米州、EMEA(欧州、中東及びアフリカ)及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が拡大しました。
◇泌尿器OAB製品
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,472億円(同17.0%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が増加しました。また、ベシケアの売上は950億円(同7.2%減)となりました。
◇プログラフ
・売上は1,957億円(同1.4%減)となりました。アジア・オセアニアで伸長した一方で、それ以外の地域の売上は減少しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本では、2型糖尿病治療剤スーグラが2018年5月に発売したスージャヌ配合錠と合わせて売上が増加したことに加え、高コレステロール血症治療剤レパーサ、慢性便秘症治療剤リンゼス等が引き続き伸長しました。
・米州では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。
・2018年12月に日本と米国において、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬としてFLT3阻害剤ゾスパタを発売しました。また、2019年3月に日本において、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療薬としてヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤イベニティを発売しました。
地域別売上収益の状況
地域別の売上収益は下表のとおりです。米州、アジア・オセアニアは増加、日本、EMEAは減少しました。
このうち日本は、2018年4月に実施された薬価改定の影響に加え、高血圧治療剤ミカルディス等の長期収載品が後発医薬品の影響を受けました。
(単位:億円)
※地域別売上収益については売上元会社の所在地に基づき集計しています。
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,586億円(前連結会計年度比540億円減)となりました。
・法人所得税の支払額が699億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△418億円(同800億円支出減)となりました。
・有形固定資産や無形資産の取得による支出に加え、ポテンザ社買収に伴う子会社の取得による支出等があった一方で、アジェンシス Inc.保有資産の譲渡等に伴い、有形固定資産の売却による収入等がありました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,337億円(同303億円支出増)となりました。
・配当金の支払額は721億円(同4億円増)となりました。また、自己株式の取得による支出1,604億円(同297億円増)等がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,111億円(前連結会計年度末比207億円減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は2,586億円の資金を得ました。これらを、ポテンザ社買収に伴う子会社の取得に使用する等、投資活動として418億円支出しました。また、配当金の支払に721億円、自己株式の取得に1,604億円使用する等、財務活動として2,337億円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,111億円となりました。
[財務政策]
これらの資金基盤を背景に、当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。これに加えて、自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えていますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却をしていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせずに毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度10,245百万円、当連結会計年度11,701百万円減少しています。
また、IFRSでは米国子会社のアジェンシス Inc.の買収時に発生したのれんにつき減損損失を計上したため、「その他の費用」が、前連結会計年度7,200百万円増加しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準において、一部の製品、技術等の開発段階における契約一時金及びマイルストン支払は、発生した会計期間の研究開発費として計上していましたが、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「無形資産」に計上しています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、契約一時金及びマイルストン支払に係る研究開発費が前連結会計年度2,256百万円、当連結会計年度9,128百万円減少しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
[財政状態]
総資産は1兆8,976億円(前連結会計年度末比394億円増)となりました。
非流動資産は1兆405億円(同279億円増)となりました。のれんは2,259億円(同129億円増)、無形資産は4,297億円(同128億円増)となりました。ポテンザ社の買収等に伴い、のれんと無形資産が増加しました。
流動資産は8,572億円(同115億円増)となりました。現金及び現金同等物は3,111億円(同207億円減)となりました。
資本合計は、1兆2,584億円(同99億円減)となり、親会社所有者帰属持分比率は66.3%となりました。当期利益2,223億円を計上した一方で、剰余金の配当721億円に加え、自己株式の取得1,604億円を実施しました。なお、2018年5月31日に自己株式の消却1,304億円(8,900万株)を実施しました。
負債の合計は、6,393億円(同493億円増)となりました。非流動負債は1,416億円(同267億円減)となりました。流動負債は4,977億円(同760億円増)となりました。
[経営成績]
⦅連結業績(コアベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(コアベース)は、下表のとおりです。売上収益、コア営業利益、コア当期利益はいずれも増加しました。
[連結業績(コアベース)] (単位:百万円)
前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減額 (増減率) | |
売上収益 | 1,300,316 | 1,306,348 | 6,032 (0.5%) |
売上原価 | 294,250 | 292,050 | △2,200 (△0.7%) |
販売費及び一般管理費 | 478,330 | 490,263 | 11,933 (2.5%) |
研究開発費 | 220,781 | 208,682 | △12,099 (△5.5%) |
無形資産償却費 | 35,838 | 35,212 | △626 (△1.7%) |
持分法による投資損益 | △2,419 | △1,627 | 791 (-) |
コア営業利益 | 268,698 | 278,514 | 9,816 (3.7%) |
コア当期利益 | 204,326 | 249,343 | 45,017 (22.0%) |
基本的1株当たり コア当期利益(円) | 100.64 | 129.07 | 28.42 (28.2%) |
当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
売上収益
売上収益は1兆3,063億円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジのほか、ベシケアとベタニス/ミラベトリック/ベットミガを合わせた過活動膀胱(OAB)治療剤の売上が拡大しました。また、免疫抑制剤プログラフの売上は減少しました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は、1兆143億円(同0.8%増)となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ0.3ポイント低下し、22.4%となりました。
・販売費及び一般管理費は、4,903億円(同2.5%増)となりました。引き続き、経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進しましたが、XTANDIに係る米国での共同販促費用が増加しました。
・研究開発費は、重点後期開発品や新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加した一方、2018年3月までにアジェンシス Inc.の研究活動を終了したことなどから、2,087億円(同5.5%減)となりました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント減少し、16.0%となりました。
・無形資産償却費は、352億円(同1.7%減)となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,785億円(同3.7%増)、コア当期利益は2,493億円(同22.0%増)となりました。
⦅連結業績(フルベース)⦆
当連結会計年度の連結業績(フルベース)は、下表のとおりです。売上収益、営業利益、税引前利益、当期利益はいずれも増加しました。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」(減損損失、為替差損等)等が含まれます。
「その他の収益」として、アジェンシス Inc.に係る有形固定資産売却益に加え、ポテンザ社の買収に伴い、買収前から保有していた同社株式を再評価した結果、評価益を計上しました。また、「その他の費用」として、国内事業再編等に伴うリストラクチャリング費用のほか、訴訟関係費用、開発プロジェクトの中止に伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、「その他の収益」は142億円(前連結会計年度:119億円)、「その他の費用」は488億円(前連結会計年度:673億円)となりました。
[連結業績(フルベース)] (単位:百万円)
前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減額 (増減率) | |
売上収益 | 1,300,316 | 1,306,348 | 6,032 (0.5%) |
営業利益 | 213,258 | 243,912 | 30,653 (14.4%) |
税引前利益 | 218,113 | 248,967 | 30,854 (14.1%) |
当期利益 | 164,679 | 222,265 | 57,586 (35.0%) |
基本的1株当たり 当期利益(円) | 81.11 | 115.05 | 33.94 (41.8%) |
包括利益 | 198,539 | 222,250 | 23,710 (11.9%) |
主要製品の売上
(単位:億円)
前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減率 | |
XTANDI/イクスタンジ | 2,943 | 3,331 | 13.2% |
泌尿器OAB製品 | 2,281 | 2,422 | 6.2% |
ベシケア | 1,023 | 950 | △7.2% |
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ | 1,257 | 1,472 | 17.0% |
プログラフ(注) | 1,985 | 1,957 | △1.4% |
(注)プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
◇XTANDI/イクスタンジ
・売上は3,331億円(前連結会計年度比13.2%増)となりました。日本、米州、EMEA(欧州、中東及びアフリカ)及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が拡大しました。
◇泌尿器OAB製品
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,472億円(同17.0%増)となりました。日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアの全ての地域で売上が増加しました。また、ベシケアの売上は950億円(同7.2%減)となりました。
◇プログラフ
・売上は1,957億円(同1.4%減)となりました。アジア・オセアニアで伸長した一方で、それ以外の地域の売上は減少しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本では、2型糖尿病治療剤スーグラが2018年5月に発売したスージャヌ配合錠と合わせて売上が増加したことに加え、高コレステロール血症治療剤レパーサ、慢性便秘症治療剤リンゼス等が引き続き伸長しました。
・米州では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。
・2018年12月に日本と米国において、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬としてFLT3阻害剤ゾスパタを発売しました。また、2019年3月に日本において、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療薬としてヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤イベニティを発売しました。
地域別売上収益の状況
地域別の売上収益は下表のとおりです。米州、アジア・オセアニアは増加、日本、EMEAは減少しました。
このうち日本は、2018年4月に実施された薬価改定の影響に加え、高血圧治療剤ミカルディス等の長期収載品が後発医薬品の影響を受けました。
(単位:億円)
前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減率 | |
日本 | 4,212 | 3,966 | △5.8% |
米州 | 4,333 | 4,615 | 6.5% |
EMEA | 3,438 | 3,403 | △1.0% |
アジア・オセアニア | 1,020 | 1,079 | 5.8% |
※地域別売上収益については売上元会社の所在地に基づき集計しています。
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,586億円(前連結会計年度比540億円減)となりました。
・法人所得税の支払額が699億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△418億円(同800億円支出減)となりました。
・有形固定資産や無形資産の取得による支出に加え、ポテンザ社買収に伴う子会社の取得による支出等があった一方で、アジェンシス Inc.保有資産の譲渡等に伴い、有形固定資産の売却による収入等がありました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,337億円(同303億円支出増)となりました。
・配当金の支払額は721億円(同4億円増)となりました。また、自己株式の取得による支出1,604億円(同297億円増)等がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,111億円(前連結会計年度末比207億円減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
医薬品事業 | 627,371 | 95.6 |
合計 | 627,371 | 95.6 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
医薬品事業 | 1,306,348 | 100.5 |
合計 | 1,306,348 | 100.5 |
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
マッケソン社 | 148,962 | 11.5 | 151,260 | 11.6 |
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フロー]
当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は2,586億円の資金を得ました。これらを、ポテンザ社買収に伴う子会社の取得に使用する等、投資活動として418億円支出しました。また、配当金の支払に721億円、自己株式の取得に1,604億円使用する等、財務活動として2,337億円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,111億円となりました。
[財務政策]
これらの資金基盤を背景に、当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。これに加えて、自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えていますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却をしていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせずに毎期減損テストを行っています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度10,245百万円、当連結会計年度11,701百万円減少しています。
また、IFRSでは米国子会社のアジェンシス Inc.の買収時に発生したのれんにつき減損損失を計上したため、「その他の費用」が、前連結会計年度7,200百万円増加しています。
(研究開発費の資産計上)
日本基準において、一部の製品、技術等の開発段階における契約一時金及びマイルストン支払は、発生した会計期間の研究開発費として計上していましたが、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「無形資産」に計上しています。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、契約一時金及びマイルストン支払に係る研究開発費が前連結会計年度2,256百万円、当連結会計年度9,128百万円減少しています。