有価証券報告書-第206期(2025/04/01-2026/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠して作成しています。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」に記載しています。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財政状態又は経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりです。
・のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積額を資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を割引率として用いて現在価値に割り引いて算定しています。
上市後の無形資産の将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる製品の販売価格、関連する疾患領域における患者数及び当該製品のシェア等に基づく製品の収益予測及び固定費の予測等の多くの前提条件が含まれています。また、のれんを含む資金生成単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、上述の前提条件に加え、開発品に係る研究開発活動の成功確率等を勘案した開発品の収益予測等の前提条件が含まれています。これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、のれん及び無形資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
・引当金
引当金は、期末日における将来の債務の決済時期及び決済に必要と予想されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。特に、米国で販売している製品に適用される売上割戻引当金の見積りに用いられる将来の販売数量や割戻率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて見積もった将来の各事業年度の課税所得を前提としています。当該将来の課税所得の見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を生じさせる可能性があります。
・条件付対価契約に関する金融資産、および条件付対価契約に関する金融負債
子会社売却に伴い生じた条件付対価契約に関する金融資産および企業結合の結果生じる条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、特定の開発品の開発進捗に応じて発生する開発マイルストンや販売後の売上収益に応じて発生する販売マイルストンを考慮して、それらが達成される可能性や貨幣の時間的価値を考慮して算定しています。これらの見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、条件付対価契約に関する金融資産および金融負債の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度の医薬品業界においては、世界的に医療費抑制の動きが継続するなか、革新的な医薬品の創出や医薬品の安定供給の重要性が一層高まり、各国・地域において、創薬力の強化に向けた研究開発環境の整備や、サプライチェーンの強靭化を含む製造体制の強化に向けた取組が進展しました。
このような状況のもと、当社グループは、グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)の地位確立に向けて全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動計画であるReboot 2027を策定しました。2025年度はその初年度として、規律あるコストマネジメントのもと、主力製品の売上拡大を図る一方、注力領域に経営資源を集中させることを目指しアジア事業を再編するなど、再成長を目指して事業活動を進めてまいりました。
日本においては、2025年2月からヤンセンファーマ株式会社と「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の共同プロモーション活動を開始し、2026年1月以降、順次当社が流通を担う形に変更しました。また、「オゼンピック皮下注」および「ウゴービ皮下注」について、それぞれ2025年7月および2025年11月よりノボ ノルディスク ファーマ株式会社と共同プロモーション活動を開始しました。「ラツーダ」および「ツイミーグ」については、引き続き価値最大化に注力しました。再生・細胞医薬事業においては、iPS細胞由来の再生・細胞医薬品として世界初の製品となる、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」について、当社が日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月に取得しました。
北米においては、「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)について、競合剤に対して優位性のある製品特性等を医療関係者および患者さんに訴求することによる認知度の向上や、営業体制の最適化等を通じ販売拡大に引き続き注力しました。小児先天性無胸腺症向け培養ヒト胸腺組織「リサイミック」については、米国内の自社細胞製品製造施設の立ち上げ準備を推進しました。また、米国での基幹3製品の売上収益が当社グループの売上収益を支える状況となるなか、当社は、2025年8月に基幹3製品の特許権を含む実質的に全ての資産等を、当社の完全子会社であるSumitomo Pharma Switzerland GmbHおよびUrovant Sciences GmbHより譲り受けました。これにより、当社が基幹3製品の事業運営に直接的に関与する体制を構築しました。
そうしたなか、Reboot 2027で掲げた財務目標の前倒しでの達成が見込まれる状況となりました。この状況を受けて、2028年度までの成長戦略であるBoost 2028を策定しました。
なお、当社は新株式発行を2026年4月8日の取締役会において決議し、このうち公募による新株式発行については、同年4月24日に978億円の払込を受領しました。また、当社は、金融機関からの借入債務等につき、当社の親会社である住友化学株式会社による債務保証を受けていましたが、公募による新株式発行と併せて、同社の債務保証を受けない借入金への借り換えを実施しました。
(業績管理指標として「コア営業利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から一部の項目を除外したものとなります。除外する主なものは、減損損失、事業構造改善費用、条件付対価公正価値の変動額等です。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
(単位:億円)
■ 売上収益は、4,533億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
日本およびアジアは減収となりましたが、北米において「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことに加え、「オルゴビクス」の販売マイルストン収入を計上したこと等により増収となりました。
■ コア営業利益は、1,059億円(前連結会計年度比145.4%増)となりました。
増収に加え、事業構造改善効果の発現や再生・細胞医薬事業の再編等により販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が減少したこと、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより関係会社持分譲渡益をその他の収益に490億円計上したことから、コア営業利益は大幅な増益となりました。
■ 営業利益は、1,073億円(前連結会計年度比272.6%増)となりました。
コア営業利益の増益に加え、事業構造改善費用が減少したことにより、営業利益は大幅な増益となりました。
■ 税引前当期利益は、1,003億円(前連結会計年度比469.8%増)となりました。
営業利益の増益の影響が大きく、税引前当期利益は大幅な増益となりました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,069億円(前連結会計年度比352.2%増)となりました。
税引前当期利益の増益の影響が大きく、親会社の所有者に帰属する当期利益は大幅な増益となりました。
(セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
<日本>■ 売上収益は、924億円(前連結会計年度比7.5%減)となりました。
「ツイミーグ」の売上が伸長し、「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の販売を開始しましたが、2型糖尿病治療剤「エクア」「エクメット」の独占販売期間が終了したことによる売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、124億円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。
減収により売上総利益は減少しましたが、前連結会計年度に実施した早期退職等に伴う事業構造改善効果により販売費及び一般管理費が減少した影響が大きく、増益となりました。
<北米>■ 売上収益は、3,379億円(前連結会計年度比34.2%増)となりました。
抗てんかん剤「アプティオム」について独占販売期間が終了したことにより売上が減少しましたが、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上拡大ならびに「オルゴビクス」の販売マイルストン収入計上の影響が大きく、増収となりました。
■ コアセグメント利益は、757億円(前連結会計年度比77.8%増)となりました。
増収による売上総利益の増加の影響が大きく、大幅な増益となりました。
<アジア>■ 売上収益は、230億円(前連結会計年度比51.2%減)となりました。
連結子会社であった住友制葯投資(中国)有限公司およびSumitomo Pharma Asia Pacific Pte. Ltd.ならびにそれらの子会社を通じて運営するアジア事業の一部持分を譲渡したことに伴い、当該会社が連結子会社でなくなったことにより、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、95億円(前連結会計年度比60.5%減)となりました。
アジア事業の一部持分の譲渡により、減益となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格により換算したものです。
2 セグメント間取引については相殺消去しています。
3 当連結会計年度において、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。
4 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっています。
③ 受注状況
当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っていません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 当連結会計年度において、北米セグメントにおける販売実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。
3 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける販売実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。
4 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(4) 財政状態
資産については、前連結会計年度末に比べ620億円増加し、8,046億円となりました。
非流動資産では、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより持分法で会計処理されている投資が増加したため、前連結会計年度末に比べ359億円増加しました。
流動資産では、売却目的で保有する資産や棚卸資産が減少しましたが、営業債権及びその他の債権や現金及び現金同等物が増加した結果、前連結会計年度末に比べ261億円増加しました。
負債については、借入金や繰延税金負債等が減少した結果、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、5,121億円となりました。
資本合計は、当期利益の計上により利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末に比べ1,230億円増加し、2,925億円となりました。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は36.4%となりました。
(5) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が大きく増加したこと等により、前連結会計年度に比べ552億円増加し、717億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、アジア事業の一部持分の譲渡に伴う子会社の支配喪失による収入がありましたが、前連結会計年度にはRoivant Sciences Ltd.株式等の投資有価証券の売却による多額の収入があったこと等により、前連結会計年度に比べ772億円収入が減少し、225億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度の借入金の返済等による支出が前連結会計年度の返済額を下回った結果、前連結会計年度に比べ176億円支出が減少し、913億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、売却目的で保有する資産の振替および現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は443億円となり、前連結会計年度末に比べ212億円増加しました。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠して作成しています。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」に記載しています。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財政状態又は経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりです。
・のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積額を資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を割引率として用いて現在価値に割り引いて算定しています。
上市後の無形資産の将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる製品の販売価格、関連する疾患領域における患者数及び当該製品のシェア等に基づく製品の収益予測及び固定費の予測等の多くの前提条件が含まれています。また、のれんを含む資金生成単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、上述の前提条件に加え、開発品に係る研究開発活動の成功確率等を勘案した開発品の収益予測等の前提条件が含まれています。これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、のれん及び無形資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
・引当金
引当金は、期末日における将来の債務の決済時期及び決済に必要と予想されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。特に、米国で販売している製品に適用される売上割戻引当金の見積りに用いられる将来の販売数量や割戻率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて見積もった将来の各事業年度の課税所得を前提としています。当該将来の課税所得の見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を生じさせる可能性があります。
・条件付対価契約に関する金融資産、および条件付対価契約に関する金融負債
子会社売却に伴い生じた条件付対価契約に関する金融資産および企業結合の結果生じる条件付対価契約に関する金融負債の公正価値は、特定の開発品の開発進捗に応じて発生する開発マイルストンや販売後の売上収益に応じて発生する販売マイルストンを考慮して、それらが達成される可能性や貨幣の時間的価値を考慮して算定しています。これらの見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、条件付対価契約に関する金融資産および金融負債の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度の医薬品業界においては、世界的に医療費抑制の動きが継続するなか、革新的な医薬品の創出や医薬品の安定供給の重要性が一層高まり、各国・地域において、創薬力の強化に向けた研究開発環境の整備や、サプライチェーンの強靭化を含む製造体制の強化に向けた取組が進展しました。
このような状況のもと、当社グループは、グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)の地位確立に向けて全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動計画であるReboot 2027を策定しました。2025年度はその初年度として、規律あるコストマネジメントのもと、主力製品の売上拡大を図る一方、注力領域に経営資源を集中させることを目指しアジア事業を再編するなど、再成長を目指して事業活動を進めてまいりました。
日本においては、2025年2月からヤンセンファーマ株式会社と「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の共同プロモーション活動を開始し、2026年1月以降、順次当社が流通を担う形に変更しました。また、「オゼンピック皮下注」および「ウゴービ皮下注」について、それぞれ2025年7月および2025年11月よりノボ ノルディスク ファーマ株式会社と共同プロモーション活動を開始しました。「ラツーダ」および「ツイミーグ」については、引き続き価値最大化に注力しました。再生・細胞医薬事業においては、iPS細胞由来の再生・細胞医薬品として世界初の製品となる、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」について、当社が日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月に取得しました。
北米においては、「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)について、競合剤に対して優位性のある製品特性等を医療関係者および患者さんに訴求することによる認知度の向上や、営業体制の最適化等を通じ販売拡大に引き続き注力しました。小児先天性無胸腺症向け培養ヒト胸腺組織「リサイミック」については、米国内の自社細胞製品製造施設の立ち上げ準備を推進しました。また、米国での基幹3製品の売上収益が当社グループの売上収益を支える状況となるなか、当社は、2025年8月に基幹3製品の特許権を含む実質的に全ての資産等を、当社の完全子会社であるSumitomo Pharma Switzerland GmbHおよびUrovant Sciences GmbHより譲り受けました。これにより、当社が基幹3製品の事業運営に直接的に関与する体制を構築しました。
そうしたなか、Reboot 2027で掲げた財務目標の前倒しでの達成が見込まれる状況となりました。この状況を受けて、2028年度までの成長戦略であるBoost 2028を策定しました。
なお、当社は新株式発行を2026年4月8日の取締役会において決議し、このうち公募による新株式発行については、同年4月24日に978億円の払込を受領しました。また、当社は、金融機関からの借入債務等につき、当社の親会社である住友化学株式会社による債務保証を受けていましたが、公募による新株式発行と併せて、同社の債務保証を受けない借入金への借り換えを実施しました。
(業績管理指標として「コア営業利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から一部の項目を除外したものとなります。除外する主なものは、減損損失、事業構造改善費用、条件付対価公正価値の変動額等です。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
(単位:億円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上収益 | 3,988 | 4,533 | 545 | 13.7 |
| コア営業利益 | 432 | 1,059 | 628 | 145.4 |
| 営業利益 | 288 | 1,073 | 785 | 272.6 |
| 税引前当期利益 | 176 | 1,003 | 827 | 469.8 |
| 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 236 | 1,069 | 832 | 352.2 |
■ 売上収益は、4,533億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
日本およびアジアは減収となりましたが、北米において「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことに加え、「オルゴビクス」の販売マイルストン収入を計上したこと等により増収となりました。
■ コア営業利益は、1,059億円(前連結会計年度比145.4%増)となりました。
増収に加え、事業構造改善効果の発現や再生・細胞医薬事業の再編等により販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が減少したこと、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより関係会社持分譲渡益をその他の収益に490億円計上したことから、コア営業利益は大幅な増益となりました。
■ 営業利益は、1,073億円(前連結会計年度比272.6%増)となりました。
コア営業利益の増益に加え、事業構造改善費用が減少したことにより、営業利益は大幅な増益となりました。
■ 税引前当期利益は、1,003億円(前連結会計年度比469.8%増)となりました。
営業利益の増益の影響が大きく、税引前当期利益は大幅な増益となりました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,069億円(前連結会計年度比352.2%増)となりました。
税引前当期利益の増益の影響が大きく、親会社の所有者に帰属する当期利益は大幅な増益となりました。
(セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
<日本>■ 売上収益は、924億円(前連結会計年度比7.5%減)となりました。
「ツイミーグ」の売上が伸長し、「ゼプリオン」および「ゼプリオンTRI」の販売を開始しましたが、2型糖尿病治療剤「エクア」「エクメット」の独占販売期間が終了したことによる売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、124億円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。
減収により売上総利益は減少しましたが、前連結会計年度に実施した早期退職等に伴う事業構造改善効果により販売費及び一般管理費が減少した影響が大きく、増益となりました。
<北米>■ 売上収益は、3,379億円(前連結会計年度比34.2%増)となりました。
抗てんかん剤「アプティオム」について独占販売期間が終了したことにより売上が減少しましたが、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上拡大ならびに「オルゴビクス」の販売マイルストン収入計上の影響が大きく、増収となりました。
■ コアセグメント利益は、757億円(前連結会計年度比77.8%増)となりました。
増収による売上総利益の増加の影響が大きく、大幅な増益となりました。
<アジア>■ 売上収益は、230億円(前連結会計年度比51.2%減)となりました。
連結子会社であった住友制葯投資(中国)有限公司およびSumitomo Pharma Asia Pacific Pte. Ltd.ならびにそれらの子会社を通じて運営するアジア事業の一部持分を譲渡したことに伴い、当該会社が連結子会社でなくなったことにより、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、95億円(前連結会計年度比60.5%減)となりました。
アジア事業の一部持分の譲渡により、減益となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前期比 (%) |
| 日本 | 66,163 | 5.7 |
| 北米 | 318,089 | 106.8 |
| アジア | 23,907 | △46.8 |
| 合計 | 408,160 | 56.2 |
(注) 1 金額は販売価格により換算したものです。
2 セグメント間取引については相殺消去しています。
3 当連結会計年度において、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。
4 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前期比 (%) |
| 日本 | 13,531 | △42.4 |
| 北米 | 3,193 | △51.7 |
| アジア | - | - |
| 合計 | 16,724 | △44.4 |
(注) 金額は仕入価格によっています。
③ 受注状況
当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っていません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前期比 (%) |
| 日本 | 92,365 | △7.5 |
| 北米 | 337,923 | 34.2 |
| アジア | 23,006 | △51.2 |
| 合計 | 453,294 | 13.7 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 当連結会計年度において、北米セグメントにおける販売実績が著しく増加しました。これは、「オルゴビクス」および「ジェムテサ」の売上が拡大したことによるものです。
3 当連結会計年度において、アジアセグメントにおける販売実績が著しく減少しました。これは、アジア事業の一部持分を譲渡したことによるものです。
4 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | |
| Cencora, Inc.(米国) | 73,304 | 18.4 | 102,438 | 22.6 |
| McKesson Corporation(米国) | 71,287 | 17.9 | 93,500 | 20.6 |
| Cardinal Health, Inc.(米国) | 53,697 | 13.5 | 69,152 | 15.3 |
(4) 財政状態
資産については、前連結会計年度末に比べ620億円増加し、8,046億円となりました。
非流動資産では、アジア事業の一部持分を譲渡したことにより持分法で会計処理されている投資が増加したため、前連結会計年度末に比べ359億円増加しました。
流動資産では、売却目的で保有する資産や棚卸資産が減少しましたが、営業債権及びその他の債権や現金及び現金同等物が増加した結果、前連結会計年度末に比べ261億円増加しました。
負債については、借入金や繰延税金負債等が減少した結果、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、5,121億円となりました。
資本合計は、当期利益の計上により利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末に比べ1,230億円増加し、2,925億円となりました。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は36.4%となりました。
(5) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が大きく増加したこと等により、前連結会計年度に比べ552億円増加し、717億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、アジア事業の一部持分の譲渡に伴う子会社の支配喪失による収入がありましたが、前連結会計年度にはRoivant Sciences Ltd.株式等の投資有価証券の売却による多額の収入があったこと等により、前連結会計年度に比べ772億円収入が減少し、225億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度の借入金の返済等による支出が前連結会計年度の返済額を下回った結果、前連結会計年度に比べ176億円支出が減少し、913億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、売却目的で保有する資産の振替および現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は443億円となり、前連結会計年度末に比べ212億円増加しました。