四半期報告書-第120期第1四半期(平成31年1月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/05/15 13:15
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に帰属する
四半期純利益
(百万円)
1株当たり
四半期
純利益
(円)
2019年12月期第1四半期273,61838,93439,51533,50983.90
2018年12月期第1四半期263,76047,14447,22128,87072.26
増減率3.7%△17.4%△16.3%16.1%16.1%

外貨増減率5.1%

当第1四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年3月31日)の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、緩やかな回復基調が続きました。国内化粧品市場も同様に回復基調が継続したことに加え、増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しました。海外化粧品市場は、国によりばらつきがみられる欧州は弱い成長にとどまり、米州はメイクアップを中心にマイナス成長となりました。一方、中国やその他アジアでは堅調な成長が継続しました。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020の第2フェーズである後半3カ年の2年目であり、成長加速のための新戦略の実行に取り組んでいます。成長を牽引するプレステージブランドやメイド・イン・ジャパンのコスメティクス・パーソナルケアブランドにマーケティング投資を集中するとともに、デジタルマーケティングやイノベーション創出への投資強化も進めています。加えて、課題であるサプライチェーンの基盤構築、米州・欧州の収益性向上に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、現地通貨ベースで前年比5.1%増、アメニティグッズ事業の撤退影響を除く実質ベースでは前年比5.5%増となり、年間目標達成に向けて計画通り進捗しました。戦略的に投資強化を続けているプレステージ領域が成長を牽引したことに加え、メイド・イン・ジャパンブランドである「エリクシール」や「アネッサ」が引き続き大きく伸長しました。円換算後では、前年比3.7%増の2,736億円となりました。
営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティングや研究開発、人材への投資を強化したことなどにより、前年比17.4%減の389億円となり、計画通り進捗しました。売上高営業利益率は14.2%と2桁の高い収益性を確保しています。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用の減少などにより、前年比16.1%増の335億円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1ドル=110.2円、1ユーロ=125.2円、1中国元=16.3円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業は、マーケティング投資を強化してきた「SHISEIDO」や「エリクシール」が好調を継続したことに加え、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により訪日外国人向けのインバウンド需要を確実に獲得しました。一方、「リバイタル」のリンクルリフトクリームなどの品切れによる機会損失が大きかったほか、前年同期の新製品規模が大きかった「TSUBAKI」や「専科」の売上が前年を下回りました。以上のことから、売上高は前年比0.6%減の1,140億円となりました。アメニティグッズ事業の撤退影響を除いた実質前年比は0.4%増でした。営業利益は、マーケティングやブランド開発、人材への投資の強化などにより、前年比12.2%減の263億円となりました。
② 中国事業
中国事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続したことに加え、コスメティクスブランドでは“メイド・イン・ジャパン”ブランドである「エリクシール」や「アネッサ」が引き続き大きく伸長しました。Eコマースは、全てのブランド事業で大きく伸長し中国事業の成長に貢献しました。以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.7%増、円換算後では前年比15.0%増の525億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティング投資の強化などにより、前年比12.3%減の130億円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、「SHISEIDO」、「NARS」、「LAURA MERCIER」などのプレステージブランドが好調を継続したことに加え、「アネッサ」や「Dolce&Gabbana」が大きく成長したことなどにより、全ての国と地域で成長を実現し、売上高は現地通貨ベースで前年比13.5%増、円換算後では前年比11.0%増の189億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティング投資の強化などにより、前期比26.8%減の24億円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、「Dolce&Gabbana」、「narciso rodriguez」などのフレグランスブランドは好調に推移しましたが、不採算直営店舗の閉鎖などの構造改革に取り組んでいる「bareMinerals」や前年同期の新製品規模が大きかった「NARS」の売上が前年を下回ったことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比1.3%減、円換算後では前年比0.5%減の280億円となりました。売上減に伴う差益減に加え、“センター・オブ・エクセレンス”(注)の強化などにより、営業損失は前年に対し10億円増の55億円となりました。米州事業を機能別に分けると、米州における販売事業(コマーシャルベース)、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造拠点となる“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」、「LAURA MERCIER」などのプレステージブランドが成長したほか、新製品が好調に推移した「narciso rodriguez」が伸長したことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比6.3%増、円換算後では前年比0.1%減の250億円となりました。新製品発売に伴うマーケティング投資の強化などにより、営業損失は前期に対し5億円増の18億円となりました。欧州事業を機能別に分けると、欧州における販売事業(コマーシャルベース)、フレグランスのブランドホルダー機能、フレグランスの“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業では、「クレ・ド・ポー ボーテ」の一部商品が品切れした一方、アジアを中心に「SHISEIDO」、「アネッサ」などが前年を上回る伸長を継続したことから、売上高は現地通貨ベースで前年比9.2%増、円換算後では前年比9.3%増の234億円となりました。一方、強いモメンタムを継続していることから、店頭売上は前年比で20%を超える成長となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティング投資の強化などにより、前年比9.5%減の49億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業では、中国やタイなどが好調に推移し、売上高は現地通貨ベースで前年比4.7%増、円換算後では前年比3.3%増の35億円となりました。営業利益は売上増に伴う差益増などにより、前年比5.1%増の1億円となりました。
(注) “センター・オブ・エクセレンス”とは、スキンケアは日本、メイクアップ、デジタル、テクノロジーは米州、フレグランスは欧州といった、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、当社のグローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制のことです。
(2) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、76億円(売上高比2.8%)です。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(7) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当第1四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
2019年4月30日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
ムーディーズS&P
長期A2(見通し:安定的)A-(見通し:安定的)
短期P-1A-2

③ 資産及び負債・純資産
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金などの減少があったものの、使用権資産の計上や売上債権などの増加により、前連結会計年度末に比べ685億円増の1兆781億円となりました。負債は、短期借入金や電子記録債務などの増加により、396億円増の5,808億円となりました。純資産は、利益剰余金などが増加したことにより、289億円増の4,974億円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の44.4%から0.3ポイント減の44.1%となりました。
また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.29倍となりました。