半期報告書-第125期(2024/01/01-2024/06/30)
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態および経営成績の状況
(単位:百万円)
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)および償却費を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、為替影響、当中間連結会計期間・前中間連結会計期間におけるすべての事業譲渡影響と譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下「事業譲渡影響」という。)および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
当中間連結会計期間(2024年1月1日~2024年6月30日)は、地政学リスクの高まり、物価上昇、円安の進行等に伴う先行き不透明感が継続しました。中国や欧州では経済成長の減速感が見られたほか、米国では良好な雇用環境を背景に景気は堅調に推移したものの個人消費の勢いに陰りが見られるなど、先行きへの警戒感が高まりました。日本においては緩やかな景気の回復が続きました。
国内化粧品市場は、堅調に推移しました。物価上昇が家計の重石になる状況が続く一方で、消費は堅調に推移したほか、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことなどが貢献しました。海外化粧品市場の動向は地域ごとにばらつきが見られました。中国海南島などの免税市場では、規制強化に伴う流通在庫調整の影響は着実に縮小しましたが、消費行動の変化を背景に厳しい市場環境が続きました。また中国では、景況感の悪化に伴う貯蓄の増加や消費の減速を背景に緩やかな成長に留まりました。欧米市場は堅調な成長が継続しました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを中心とした社会課題の解決に向けてイノベーションに積極的に取り組みながら、「Personal Beauty Wellness Company」として、スキンビューティーとウェルネスを融合し、一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業を目指します。そして2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」に取り組みます。
当期は、2023年から2025年までの3カ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」の2年目であり、2025年のコア営業利益率9%の達成に向け、グローバルコスト削減のための構造改革主要アクションの完遂と、グロスプロフィット最大化を追求する体制の構築に取り組んでいます。日本事業においては、「持続的な成長」、「稼げる基盤構築」、「人財変革」の3つを柱とする経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じて、収益性改善を進めています。中国・トラベルリテール事業においては、組織構造の最適化を図るとともに、多様化する市場の変化を捉えた持続的な成長の実現を目指します。米州・欧州・アジアパシフィック事業においては、積極的な経営資源投下により成長加速を図ります。これらを通じ、適正な地域ポートフォリオへの転換を進め、不透明で変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できる経営基盤の構築を進めていきます。
当中間連結会計期間の売上高は前年比2.9%増の5,085億円、現地通貨ベースでは前年比4.1%減、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比0.5%減となりました。実質ベースの売上高は、中国人旅行者の消費行動の変化などにより低い出荷レベルとなったトラベルリテール事業や、景況感の悪化に伴う消費減速の影響を受けた中国事業は前年を下回りました。また、米州事業では一時的な生産減による出荷減から減収となりました。一方、日本事業は、成長性・収益性の高いブランドへの活動の集中や新市場創造に向けた戦略的マーケティングが功を奏し、力強い成長を果たしました。また、欧州事業も好調さを維持、アジアパシフィック事業も堅調に推移しました。
コア営業利益は193億円、前年に対しては88億円の減益となりました。トラベルリテール・米州・中国事業における売上減に伴う減益の影響を、日本・欧州・アジアパシフィック事業での増収影響や、構造改革効果で一部相殺しました。また、「その他」は、トラベルリテール・中国事業向けの内部売上高減少に伴う差益減等により減益となったほか、「調整額」は未実現利益消去額の増加などにより、減益となりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は、前年に対し117億円減少し、0億円となりました。コア営業利益の減益に加え、非経常項目において主に日本事業の早期退職支援プランに関する構造改革費用を計上したことが影響しました。
なお、EBITDAマージンは8.9%となりました。
当中間連結会計期間における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=152.1円、1ユーロ=164.5円、1中国元=21.1円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記」の「5. 事業セグメント」をご参照ください。
(単位:百万円)
(注) 1 当中間連結会計期間より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「日本事業」に計上していた一部業績を「その他」に計上しています。なお、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
2 売上高における実質増減率は、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
3 「その他」に計上しているパーソナルケア製品生産事業に係る売上高は、資生堂久喜工場の譲渡に伴い、2023年4月1日以降、一部を除き発生していません。
4 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品、一般用医薬品の販売)等を含んでいます。
5 コア営業利益又は損失における売上比は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高に対する比率です。
6 コア営業利益又は損失の調整額は、主にセグメント間の取引消去の金額です。
① 日本事業
日本事業では、経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じた収益性改善を引き続き進めています。成長性・収益性の高いブランド・商品・お客さま接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み、愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現したほか、戦略的マーケティングによりファンデ美容液という新市場創出に取り組み、「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」などが好調に推移しました。また、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前の水準を上回って推移し、インバウンド消費も着実に回復しました。
以上のことから、売上高は1,415億円となりました。前年比は13.1%増、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比13.3%増となりました。コア営業利益は79億円、売上増による差益増や費用効率化などにより、前年に対し116億円改善しました。
② 中国事業
中国事業では、大型プロモーションを中心とした成長から、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進めています。「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」は堅調に成長し「618」Eコマースプロモーションにおいて市場を上回る成長を実現しました。一方で、ALPS処理水の海洋放出後の日本製品買い控えの影響が残った「SHISEIDO」は苦戦を強いられました。
以上のことから、売上高は1,317億円となりました。前年比は0.8%増、現地通貨ベースでは前年比7.6%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比6.6%減となりました。コア営業利益は49億円、売上減に伴う差益減を、原価低減、固定費低減などの構造改革効果などにより一部相殺し、前年に対し6億円減益となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、タイを中心として堅調に成長しました。「アネッサ」、「Drunk Elephant」、「SHISEIDO」が全体の成長をけん引しました。
以上のことから、売上高は344億円となりました。前年比は12.3%増、現地通貨ベースでは前年比3.3%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比5.9%増となりました。コア営業利益は22億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し20億円の増益となりました。
④ 米州事業
米州事業では、「SHISEIDO」や「narciso rodriguez」が増収となった一方で、主に「NARS」や「Drunk Elephant」 において一時的な生産減により出荷が減少しました。
以上のことから、売上高は573億円となりました。前年比は8.4%増、現地通貨ベースでは前年比3.9%減、為替影響、事業譲渡および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比5.4%減となりました。コア営業利益は26億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し15億円の減益となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」が着実に伸長したほか、「narciso rodriguez」がフレグランスの好調をけん引しました。また店舗拡大とともに積極的なマーケティング活動を進めている「Drunk Elephant」は引き続き力強い成長を実現しました。
以上のことから、売上高は628億円となりました。前年比は19.5%増、現地通貨ベースでは前年比5.9%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比11.8%増となりました。コア営業利益は37億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し25億円の増益となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)では、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことを受け、日本において力強い回復を実現しました。一方、中国海南島・韓国では、中国人旅行者の消費行動の変化等の影響を受け、低い出荷レベルとなりました。
以上のことから、売上高は669億円となりました。前年比は13.7%減、現地通貨ベースでは前年比22.6%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比22.7%減となりました。コア営業利益は77億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し77億円の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の1,047億円に比べ128億円減少し、919億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益(42億円)、減価償却費及び償却費(375億円)、構造改革引当金の増減額(171億円)などの増加項目があった一方、営業債務の増減額(296億円)などの減少項目があったことにより、前年同期に比べて121億円減少の316億円の収入となりました。在庫回転日数(DSI)は、229日となりました。なお、利息及び配当金の受取額には㈱ファイントゥデイホールディングス(以下「FTH」という。)からの配当金(36億円)が含まれています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、FTHの全株式を譲渡したことによる関連会社株式の売却による収入(128億円)があった一方、子会社の取得による支出(491億円)や、ITシステムへの投資等の無形資産の取得による支出(130億円)、工場設備への投資等の有形固定資産の取得による支出(119億円)などにより、前年同期に比べて353億円支出は増加し、591億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加(635億円)があった一方、長期借入金の返済による支出(300億円)、リース負債の返済による支出(133億円)、配当金の支払額(120億円)などにより、前年同期に比べて478億円収入は増加し、65億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、135億円(売上高比2.7%)です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当中間連結会計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注および販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注および販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備の重要な異動または前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因および経営戦略の現状と見通し
通期の連結業績予想に変更はありません。今後の事業環境については、日本・米州・欧州・アジアパシフィック事業の成長加速などへの期待がある一方、中国・トラベルリテール市場では、中国人消費者の節約志向の高まり・消費行動の変化から先行きの不透明感が一層強くなっています。当社は、構造改革の完遂とグロスプロフィットの最大化、そして市場変化に応じた対策のさらなる強化・追加施策の実行を通じて、2024年12月期のコア営業利益見通し550億円の達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
(10) 資本の財源および資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当中間連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2024年7月31日現在の発行体格付けはA3(見通し:安定的)となっています。
③ 資産及び負債・資本
総資産は、円安による資産の換算差額が増加、DDG Skincare Holdings LLCの取得によりのれんおよび無形資産が増加した一方、子会社株式の取得などによる現金及び現金同等物の減少、持分法で会計処理されている投資の減少などにより、前連結会計年度末に比べ945億円増の1兆3,500億円となりました。負債は、社債及び借入金の増加などにより、532億円増の6,683億円となりました。資本は、配当金支払いにより利益剰余金が減少した一方、円安による在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、414億円増の6,817億円となりました。
また、親会社の所有者に帰属する持分に対する現預金を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.12倍となりました。
(1) 財政状態および経営成績の状況
(単位:百万円)
売上高 | コア営業利益 | 営業利益 又は損失(△) | 税引前 中間利益 | 親会社の 所有者に 帰属する 中間利益 | EBITDA | |
2024年12月期中間期 | 508,536 | 19,272 | △2,728 | 4,207 | 15 | 45,471 |
2023年12月期中間期 | 494,189 | 28,039 | 13,632 | 15,391 | 11,753 | 53,239 |
増減率 | 2.9% | △31.3% | - | △72.7% | △99.9% | △14.6% |
外貨増減率 | △4.1% |
実質増減率 | △0.5% |
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)および償却費を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、為替影響、当中間連結会計期間・前中間連結会計期間におけるすべての事業譲渡影響と譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下「事業譲渡影響」という。)および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
当中間連結会計期間(2024年1月1日~2024年6月30日)は、地政学リスクの高まり、物価上昇、円安の進行等に伴う先行き不透明感が継続しました。中国や欧州では経済成長の減速感が見られたほか、米国では良好な雇用環境を背景に景気は堅調に推移したものの個人消費の勢いに陰りが見られるなど、先行きへの警戒感が高まりました。日本においては緩やかな景気の回復が続きました。
国内化粧品市場は、堅調に推移しました。物価上昇が家計の重石になる状況が続く一方で、消費は堅調に推移したほか、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことなどが貢献しました。海外化粧品市場の動向は地域ごとにばらつきが見られました。中国海南島などの免税市場では、規制強化に伴う流通在庫調整の影響は着実に縮小しましたが、消費行動の変化を背景に厳しい市場環境が続きました。また中国では、景況感の悪化に伴う貯蓄の増加や消費の減速を背景に緩やかな成長に留まりました。欧米市場は堅調な成長が継続しました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを中心とした社会課題の解決に向けてイノベーションに積極的に取り組みながら、「Personal Beauty Wellness Company」として、スキンビューティーとウェルネスを融合し、一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業を目指します。そして2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」に取り組みます。
当期は、2023年から2025年までの3カ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」の2年目であり、2025年のコア営業利益率9%の達成に向け、グローバルコスト削減のための構造改革主要アクションの完遂と、グロスプロフィット最大化を追求する体制の構築に取り組んでいます。日本事業においては、「持続的な成長」、「稼げる基盤構築」、「人財変革」の3つを柱とする経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じて、収益性改善を進めています。中国・トラベルリテール事業においては、組織構造の最適化を図るとともに、多様化する市場の変化を捉えた持続的な成長の実現を目指します。米州・欧州・アジアパシフィック事業においては、積極的な経営資源投下により成長加速を図ります。これらを通じ、適正な地域ポートフォリオへの転換を進め、不透明で変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できる経営基盤の構築を進めていきます。
当中間連結会計期間の売上高は前年比2.9%増の5,085億円、現地通貨ベースでは前年比4.1%減、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比0.5%減となりました。実質ベースの売上高は、中国人旅行者の消費行動の変化などにより低い出荷レベルとなったトラベルリテール事業や、景況感の悪化に伴う消費減速の影響を受けた中国事業は前年を下回りました。また、米州事業では一時的な生産減による出荷減から減収となりました。一方、日本事業は、成長性・収益性の高いブランドへの活動の集中や新市場創造に向けた戦略的マーケティングが功を奏し、力強い成長を果たしました。また、欧州事業も好調さを維持、アジアパシフィック事業も堅調に推移しました。
コア営業利益は193億円、前年に対しては88億円の減益となりました。トラベルリテール・米州・中国事業における売上減に伴う減益の影響を、日本・欧州・アジアパシフィック事業での増収影響や、構造改革効果で一部相殺しました。また、「その他」は、トラベルリテール・中国事業向けの内部売上高減少に伴う差益減等により減益となったほか、「調整額」は未実現利益消去額の増加などにより、減益となりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は、前年に対し117億円減少し、0億円となりました。コア営業利益の減益に加え、非経常項目において主に日本事業の早期退職支援プランに関する構造改革費用を計上したことが影響しました。
なお、EBITDAマージンは8.9%となりました。
当中間連結会計期間における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=152.1円、1ユーロ=164.5円、1中国元=21.1円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記」の「5. 事業セグメント」をご参照ください。
(単位:百万円)
区 分 | 当中間期 | 構成比 | 前中間期 | 構成比 | 増 減 | 増減率 | 外貨 増減率 | 実質 増減率 | |
売 上 高 | 日本事業 | 141,518 | 27.8% | 125,157 | 25.3% | 16,360 | 13.1% | 13.1% | 13.3% |
中国事業 | 131,671 | 25.9% | 130,609 | 26.4% | 1,062 | 0.8% | △7.6% | △6.6% | |
アジアパシフィック事業 | 34,447 | 6.8% | 30,680 | 6.2% | 3,766 | 12.3% | 3.3% | 5.9% | |
米州事業 | 57,258 | 11.3% | 52,828 | 10.7% | 4,430 | 8.4% | △3.9% | △5.4% | |
欧州事業 | 62,806 | 12.4% | 52,575 | 10.7% | 10,230 | 19.5% | 5.9% | 11.8% | |
トラベルリテール事業 | 66,850 | 13.1% | 77,473 | 15.7% | △10,622 | △13.7% | △22.6% | △22.7% | |
その他 | 13,983 | 2.7% | 24,863 | 5.0% | △10,879 | △43.8% | △44.9% | 23.8% | |
合 計 | 508,536 | 100.0% | 494,189 | 100.0% | 14,347 | 2.9% | △4.1% | △0.5% |
区 分 | 当中間期 | 売上比 | 前中間期 | 売上比 | 増 減 | 増減率 | セグメント間の 内部売上高 又は振替高を含めた売上高 | |||
当中間期 | 前中間期 | |||||||||
コア営業利益又は損失 | 日本事業 | 7,948 | 5.6% | △3,678 | △2.9% | 11,627 | - | 142,055 | 125,605 | |
中国事業 | 4,945 | 3.7% | 5,498 | 4.2% | △553 | △10.1% | 133,526 | 132,122 | ||
アジアパシフィック事業 | 2,193 | 5.9% | 235 | 0.7% | 1,957 | 829.9% | 37,029 | 32,304 | ||
米州事業 | 2,603 | 4.3% | 4,059 | 7.3% | △1,456 | △35.9% | 59,980 | 55,494 | ||
欧州事業 | 3,739 | 5.6% | 1,250 | 2.2% | 2,489 | 199.2% | 66,466 | 55,778 | ||
トラベルリテール事業 | 7,702 | 11.5% | 15,447 | 19.9% | △7,745 | △50.1% | 67,069 | 77,633 | ||
その他 | △8,986 | △7.0% | △3,419 | △2.5% | △5,567 | - | 128,468 | 136,250 | ||
小 計 | 20,145 | 3.2% | 19,393 | 3.2% | 751 | 3.9% | 634,595 | 615,189 | ||
調整額 | △873 | - | 8,646 | - | △9,519 | - | △126,058 | △121,000 | ||
合 計 | 19,272 | 3.8% | 28,039 | 5.7% | △8,767 | △31.3% | 508,536 | 494,189 |
(注) 1 当中間連結会計期間より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「日本事業」に計上していた一部業績を「その他」に計上しています。なお、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
2 売上高における実質増減率は、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
3 「その他」に計上しているパーソナルケア製品生産事業に係る売上高は、資生堂久喜工場の譲渡に伴い、2023年4月1日以降、一部を除き発生していません。
4 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品、一般用医薬品の販売)等を含んでいます。
5 コア営業利益又は損失における売上比は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高に対する比率です。
6 コア営業利益又は損失の調整額は、主にセグメント間の取引消去の金額です。
① 日本事業
日本事業では、経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じた収益性改善を引き続き進めています。成長性・収益性の高いブランド・商品・お客さま接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み、愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現したほか、戦略的マーケティングによりファンデ美容液という新市場創出に取り組み、「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」などが好調に推移しました。また、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前の水準を上回って推移し、インバウンド消費も着実に回復しました。
以上のことから、売上高は1,415億円となりました。前年比は13.1%増、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比13.3%増となりました。コア営業利益は79億円、売上増による差益増や費用効率化などにより、前年に対し116億円改善しました。
② 中国事業
中国事業では、大型プロモーションを中心とした成長から、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進めています。「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」は堅調に成長し「618」Eコマースプロモーションにおいて市場を上回る成長を実現しました。一方で、ALPS処理水の海洋放出後の日本製品買い控えの影響が残った「SHISEIDO」は苦戦を強いられました。
以上のことから、売上高は1,317億円となりました。前年比は0.8%増、現地通貨ベースでは前年比7.6%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比6.6%減となりました。コア営業利益は49億円、売上減に伴う差益減を、原価低減、固定費低減などの構造改革効果などにより一部相殺し、前年に対し6億円減益となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、タイを中心として堅調に成長しました。「アネッサ」、「Drunk Elephant」、「SHISEIDO」が全体の成長をけん引しました。
以上のことから、売上高は344億円となりました。前年比は12.3%増、現地通貨ベースでは前年比3.3%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比5.9%増となりました。コア営業利益は22億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し20億円の増益となりました。
④ 米州事業
米州事業では、「SHISEIDO」や「narciso rodriguez」が増収となった一方で、主に「NARS」や「Drunk Elephant」 において一時的な生産減により出荷が減少しました。
以上のことから、売上高は573億円となりました。前年比は8.4%増、現地通貨ベースでは前年比3.9%減、為替影響、事業譲渡および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比5.4%減となりました。コア営業利益は26億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し15億円の減益となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」が着実に伸長したほか、「narciso rodriguez」がフレグランスの好調をけん引しました。また店舗拡大とともに積極的なマーケティング活動を進めている「Drunk Elephant」は引き続き力強い成長を実現しました。
以上のことから、売上高は628億円となりました。前年比は19.5%増、現地通貨ベースでは前年比5.9%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比11.8%増となりました。コア営業利益は37億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し25億円の増益となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)では、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことを受け、日本において力強い回復を実現しました。一方、中国海南島・韓国では、中国人旅行者の消費行動の変化等の影響を受け、低い出荷レベルとなりました。
以上のことから、売上高は669億円となりました。前年比は13.7%減、現地通貨ベースでは前年比22.6%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比22.7%減となりました。コア営業利益は77億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し77億円の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の1,047億円に比べ128億円減少し、919億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益(42億円)、減価償却費及び償却費(375億円)、構造改革引当金の増減額(171億円)などの増加項目があった一方、営業債務の増減額(296億円)などの減少項目があったことにより、前年同期に比べて121億円減少の316億円の収入となりました。在庫回転日数(DSI)は、229日となりました。なお、利息及び配当金の受取額には㈱ファイントゥデイホールディングス(以下「FTH」という。)からの配当金(36億円)が含まれています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、FTHの全株式を譲渡したことによる関連会社株式の売却による収入(128億円)があった一方、子会社の取得による支出(491億円)や、ITシステムへの投資等の無形資産の取得による支出(130億円)、工場設備への投資等の有形固定資産の取得による支出(119億円)などにより、前年同期に比べて353億円支出は増加し、591億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加(635億円)があった一方、長期借入金の返済による支出(300億円)、リース負債の返済による支出(133億円)、配当金の支払額(120億円)などにより、前年同期に比べて478億円収入は増加し、65億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、135億円(売上高比2.7%)です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当中間連結会計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注および販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注および販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備の重要な異動または前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因および経営戦略の現状と見通し
通期の連結業績予想に変更はありません。今後の事業環境については、日本・米州・欧州・アジアパシフィック事業の成長加速などへの期待がある一方、中国・トラベルリテール市場では、中国人消費者の節約志向の高まり・消費行動の変化から先行きの不透明感が一層強くなっています。当社は、構造改革の完遂とグロスプロフィットの最大化、そして市場変化に応じた対策のさらなる強化・追加施策の実行を通じて、2024年12月期のコア営業利益見通し550億円の達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
(10) 資本の財源および資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2024年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当中間連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2024年7月31日現在の発行体格付けはA3(見通し:安定的)となっています。
③ 資産及び負債・資本
総資産は、円安による資産の換算差額が増加、DDG Skincare Holdings LLCの取得によりのれんおよび無形資産が増加した一方、子会社株式の取得などによる現金及び現金同等物の減少、持分法で会計処理されている投資の減少などにより、前連結会計年度末に比べ945億円増の1兆3,500億円となりました。負債は、社債及び借入金の増加などにより、532億円増の6,683億円となりました。資本は、配当金支払いにより利益剰余金が減少した一方、円安による在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、414億円増の6,817億円となりました。
また、親会社の所有者に帰属する持分に対する現預金を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.12倍となりました。